【R18】冴えないエロゲの作り方(イラスト付き) 作:きりぼー
まったく創作意欲を欠いていますが、どういうわけか英梨々だけはよくしゃべる。
そういうわけで週一ぐらいで英梨々と倫也のドタバタをお送りしたいと思います。
R18タグは付けていますが、過激な描写やイラストはほぼないです。
ご期待にそえず申し訳ないです。
※ 英梨々が主人公の他作品も多数あるため多少の影響を受けています。まったく未読の方や原作原理主義の方はとまどうかもしれませんが、お気楽にお過ごしください。
それではどうぞ
のどかな春休みが明け、高校二年の新学年がスタートした。
とても暖かい春で桜はすでに散っていた。
新学年最初のイベントはやはりクラス分けだろう。貼り出されたクラス分け表を見上げながら、俺は自分の名前を確認する。2年B組。出席番号は当然の一番、安芸倫也の名前がすぐに見つかった。
隣で険しい顔で表を確認していた金髪美少女の口角が少しあがり、「ふんっ」と鼻息荒く勝ち誇った顔に変った。
「倫也と同じクラスね」
「そうみたいだなー」
「あんまり学校で話しかけないでよねっ」
「話しかけてきたのお前からだけどな」
「あたしはいいのよ。あたしは」
よくわからない理屈を述べているこいつが澤村英梨々だ。父親がイギリス人の外交官。ミドルネームを入れて、澤村・スペンサー・英梨々と名乗ることもある。
俺の家から坂道を上った先の洋館に住む金持ちのお嬢様だ。
「んじゃ、俺は先に教室に行ってるぞ」
幼馴染でアニメやマンガが好きだから子供の頃から仲が良い。英梨々は小学生の時にオタクとしていじめられた経験もあり、表面的にはオタクであることを隠している。
そのため、オタクであること隠そうともしない俺とは学校では距離をとっている。至ってまっとうな判断だと思う。
そういうわけで学校内ではお嬢様モードで過ごす英梨々を、俺は茶化さずに尊重している。
※ ※ ※
俺たちの通う私立豊ケ崎高校は都内有数の進学校だ。俺は実力と努力で受験戦争に勝って入学した自負があるが、英梨々に関しては怪しいところがある。露骨な裏口というわけでもないだろうが、作文入試の狭き門で合格していた。まぁそんなことはどうでもいいが。
いざ入学して英梨々が勉強についていけないか心配していたが、素養は高いので問題ないようだ。成績は中ぐらいをキープしていて、俺は他人事ながら一安心した。俺の成績は問題なく上の中といったところ。科目別でみれば一桁台の順位がちらほらあるが、総合でみたら目立たない。副教科が弱点だ。
地元から合格したのは俺と英梨々だけだった。だから登下校は一緒に通っている。
登校時は在校生が電車で乗ってくるころから距離をとる。
下校の時は地元の駅に近づき、他の生徒が誰もいなくなると英梨々は近づいてきて俺に声をかけてくる。それからは一緒に並んで歩いて帰る。
まるで付き合っているのを隠しているカップルのようだなぁと思わなくもないが、英梨々がそう思っているのかはよくわからない。
改札を出て、アーケード商店街を抜けると住宅街になり、三叉路にぶつかる。そのあたりで見上げると丘の上に赤い屋根の洋館がよく目立つ。その丘の下まで行けば俺の家だ。
「で、この間の話なんだけどさ・・・」
「ああ、あれね」
「どう?引き受けてくれるよな」
「あんたね・・・あんなペラッペラの企画書でよく人にものを頼めたわね」
さっきまでは新クラスの振り分けについて、英梨々がテキトーな感想を述べていた。周りに気を使っている分、俺よりも他の生徒について詳しい。俺はその話を適当な相槌を打ちながら聞き流し、家の前にきてやっと本題を切り出したところだ。
暖かい春風が時々強く吹いている。桜はすっかり散って、緑色の新芽がちらほらと出始めていた。
俺の家の駐車場で立ち止まり、しばし談笑をする。家の中に誘うかどうかは、これからの会話の発展しだい。英梨々が立話に疲れたり、喉が乾いたと言ったら家の中へ誘う。そうでなければ適当なところで切り上げる。
英梨々としても学校帰りに制服のままうちにくるよりも、いちど家に戻ってラフな格好をしたいらしい。うちは英梨々の実家じゃないんだが。
「企画はまだ出来ていないかもしれないが、こう・・・胸がときめくような、読んでいて胸がキュンキュンするような、それでいて、心臓がバクバクと・・・」
「あんた、同じこと言ってるわよ。具体性が何もないのよ」
「あるぞ?」
「どんな?」
「まずだな、可愛いメインヒロインと出会うだろ。ボーイ・ミーツ・ガールは基本だからな。それから、メインヒロインと仲良くなっていくんだよ」
「はぁ?あんたバカなの?それのどこが企画なのよ」
「いや、詳細はこれからでな・・・だが英梨々、お前の絵なら覇権がとれる!」
「・・・はぁ・・・」
英梨々ががっかりしたような深いため息をついた。
今、俺が提案しているのはゲーム作りの話だ。俺の子供の頃の夢はゲームを作ってゲーム会社の社長になり、面白いゲームを世に出すことだ。そのためにコツコツとプログラムの勉強もして、簡単なスクリプト・・・いわゆる紙芝居ゲーといわれるアドベンチャータイプのゲーム程度なら自作ができる。
シナリオと、分岐チャートと、イラストと、音楽さえあればの話だが。
「で?どんな子だっけ?」
「あれは・・・坂の上で・・・こう柔らかい風が吹いて・・・髪がなびいて・・・ピンク色のカーディガンがとても似合っていて、白いロングスカートが揺れて・・・桜が似合う・・・ああこれぞメインヒロイン!って感じの女の子だよ」
「名前は?」
「知らん」
俺が新聞配達のバイト中に目撃した女の子だ。白いベレー帽が風で飛ばされたのを拾ってあげた。その瞬間にびびびっと電撃が走り、俺の創作意欲に火がついたのだ。
「告白するのかしら?」
「いや・・・どこの誰かもわからんし・・・」
「どこの誰かわかったら告白するのかしら?」
「いや・・・それは・・・どうだろう・・・」
「意気地なし、あんたそれでも男なの?」
「いや、そういうんじゃなくてだな・・・そんな現実的な話でなくて、俺は二次元のヒロインが好きだし、三次元でどうこうっていうのは・・・」
「はいはい、言い訳言い訳」
「あのな・・・」
実際、どこの誰かもわからない女の子だし、逆光だったためか、はたまたそのシチュエーションに気を取られていたせいか、顔もよく覚えていない。もちろん可愛かったのだけど・・・
「まぁいいわよ」
「いいのか?」
「で、どっちを作るのよ?」
「どっち?何がだ?」
「はぁ?あんたバカなの?死ぬの?そんなの決まってんでしょーが」
「いや、ぜんぜんわからん・・・」
「ゲームなんて2種類しかないでしょ」
「いや・・・いろんなジャンルがあるぞ?」
「どうせ倫也が組めるプログラムなんて紙芝居ゲーぐらいでしょ」
「・・・まぁそうだけど・・・」
「なら、二択よね」
アドベンチャータイプのゲームに二択だと・・・なんだろう。俺は少し空を見上げて考えた。小鳥が飛んでいる。上空は風が強いのだろう、雲の流れが速い。
「あっ」
俺はやっと英梨々が言わんとすることが解った。
この目の前にいる金髪美少女。もう少し付け加えるなら、小柄で笑うと八重歯の見える金髪ツインテールの美少女は・・・
腐女子だった。
最近ではやや進化して発酵少女というらしいが、まぁそんな些細なことはいい。十八禁のエロ同人マンガを描く本格的な腐女子で、ジャンルはBLも百合もふたなりももちろんノンケだってこなすマルチタイプだ。
「で、どっちよ」
「の・・・ノーマルで」
「なら、あたしの役目はないわね、他当たってちょうだい」
「いやいや、ちょっと待て、俺たちはまだ高校生だぞ!?」
「そうよ。確かにR18を買うのは法律で禁止されているわ。でも創作するのは自由なのよ。あんただってそれぐらいの事知ってるでしょ」
「いや、まぁそうだけどさ・・・」
「だいたいR18版作っておけば、一般版にするのも簡単でしょ」
「いや、まぁそうだけどさ・・・」
「煩悩全開でゲーム作るのに、わざわざ縛り作って一般版で作っていいものができると思っているのかしら?」
「それは思ってるぞ?」
「なら、他をあたりなさいよ。じゃあね、さよなら」
そう言って英梨々は踵を返した。
「いやいや、ちょっと待ってくれ・・・」
「何?あたしはあんたと違って忙しいんだけど」
何しろ英梨々は柏木エリ名義の人気同人作家だ。マンガ創作で暇になることはほとんどない。
「R18なら受けてくれるのか?」
「条件によってわね」
「条件?金ならないぞ・・・」
「あんたに金なんて期待するわけないでしょ」
「それはありがたいが・・・」
「エロゲー作るとして、ヒロインはせいぜい5人よね」
「まぁ・・・それだけ作れたらボリュームもあっていいよな」
「チャート分岐はどうせ流用するんでしょ」
「人聞きの悪い。流用ではなく雛形に沿う作りにするだけだ」
「いいかしら。あたしのささやかな経験からすると、大作を作ろうとすると挫折するわよ。倫也はゲームを完成どころか、作ったこともないわよね」
「短編なら作っただろ」
「あれをゲームと呼ぶならね・・・」
俺が作ったのは分岐が1つのショートストーリーだ。それでも出来た時は嬉しかったが、英梨々はイラストを作ってはくれなかった。シナリオを読んで駄作と思ったからだろう。
「そうねぇ・・・分岐は3回。それぞれ二つの選択肢でいいわ」
「ふむ・・・それを5人か」
「バカね。あんた人の話聞いてる?いきなり大作は無理だっていってるでしょーが」
「じゃあ・・・メインヒロインだけで作るのか?」
「はぁ・・・倫也と話をすると疲れるわ」
「なんだよ・・・」
春風がときどき強く吹く。そのたびに英梨々のスカートが揺れて、手で抑えている。その仕草が妙にエロい。まだまだ小さいガキのようですっかり高校生の大人になっていた。
「最初からメインヒロインなんて作らなくていいわよ。そんなぽっと出のどこの馬の骨かもわからない人のシナリオなんて書けないでしょ」
「いわれてみれば・・・そうだな」
「だからいいわよ」
「何が??」
「5人もいれば1人は幼馴染ルートでしょ」
「おおぅ・・・そうだな。定番だよなっ!」
「でしょ。だから、とりあえず幼馴染ルートを作りなさいよ」
「英梨々で?」
英梨々がモジモジしながら内股になって照れている。
「バッカっじゃないのっ!あたしをおかずにしないでよねっ」
「いやいや、おまえがいったんだよねぇ!?」
「と・・・とにかく幼馴染ルートで一本仕上げなさいよ!その出来栄えをみてからイラストつけるかどうか決めるから」
「・・・うーん、なるほどな・・・」
風が強く吹く。どこかでバタンと何かが倒れたような音がしたり、何かがガサガサと道路の上を転がっている。
「じゃ、あたしそろそろ帰るわよ」
「ああ・・・うん・・・」
「何よ、不服なのかしら?」
「いや、どんな感じがいいんだ?」
「そんなのあんたが考えなさいよ!あたしに聞いてどうすんのよ」
「だ・・・だよなっ」
「ふんっ!」
英梨々がクルリと軽やかに回って、坂道を登り始めた。さよならとか、バイバイとかそういう別れの挨拶は嫌いらしい。
俺は、あた強い風が吹いてスカートがまくれあがらないかなぁーとぼんやりと見ていたが、英梨々はカバンを後ろにもってスカートを抑えていた。
それから振り返って、俺の下心を見透かしたように、「べぇー」と舌を出して帰っていった。
【振り返る英梨々】
(続く)
下記、原作との相違点
例によって、英梨々は下記のハンディーをもらって恵に対抗します
①小学生の時の喧嘩は修復済
②基本的にすでに親密
③筆者の寵愛を受け、英梨々ルートの加護を受けている
※ 恵を不幸にして自分の恋愛は成就されない
恵は下記の条件をもっています。
①容姿、声ともに倫也のストライク 相思相愛
②女子力は料理・掃除含め高め
③倫也恵ルートに傾くと作品はボツになる
詩羽・・・英梨々の良き友人でサポータ ヒロイン属性はなし
美智留・・・前作でノルマを達成したので本作ではおとなしめの予定
出海・・・ニ学年下だと出番がないため一学年下として登場する