【R18】冴えないエロゲの作り方(イラスト付き) 作:きりぼー
意識が覚醒した。
見回すと小倉トーストのおいしい喫茶店に戻っていた。曲はJPOP。
目の前には恵がいて、隣には英梨々がいる。テーブルには食べかけの小倉トーストと桜あんトーストが四分割されてまだ残っている。
「もしかして、安芸くんと澤村さんは付き合ってるのかな?」
ふむ。流石に三度目ともなると余裕がでてくる。恵は相変わらずフラットな表情で淡々と聞いてきたが内心は別だろう。
何しろ恵は俺のことがどうやら好きなのだ。脳内選択肢に邪魔されなければ無事に恵ルートを攻略できる。それどころか、俺は恵ルートを正しく進んでいたかもしれない。恵は「正解」だと言っていた。しかし、英梨々のマイナス点が重なり失敗に終わった。
だとすると攻略方法は別になる。同じように恵を選び、詩羽先輩と出海ちゃんを拒否して英梨々を回復させる。これで好感度1の分岐に進むのはわかった。
ここで恵を選び、お弁当イベントを発生させて今度はタコさんウインナーを選ぶ。それでいいのだろうか?それだと恵の好感度が下がり、英梨々の好感度が回復するのかもしれない。
そんなルートがあるだろうか?特定のヒロインルートに入ったら後はどの分岐を選んでもイベント内容が変わるだけで、攻略できるのが簡単なギャルゲーのセオリーだ。
その前の分岐の変更だと、詩羽先輩を拒否して英梨々を回復し、出海ちゃんの提案を受け入れて英梨々にマイナスか、その逆で詩羽先輩を受けれて、出海ちゃんを拒否するかだ。
「・・・あれ?」
選択肢が出てこない。どういことだろう?ここで英梨々を幼馴染と紹介するはずなのだが・・・
「なに倫也ぼんやりしているのよ。さっさと答えなさいよ」
「ああ・・・うん」
あれれ・・・?脳内選択肢はどうなった?
「えっと・・・だな・・・俺と英梨々は・・・付き合ってはいない・・・よな?」
「ふんっ」
「幼馴染・・・英梨々とはずっと昔から一緒で特別な幼馴染で妹みたいな奴で・・・な?」
「はぁ?なんであたしがあんたの妹にならないといけないのよ。『トモお兄ちゃん♪』とか呼ばれたいわけ?」
「いいな、それ」
「バッカじゃないの」
「ふーん。じゃあ付き合ってないんだね?安芸くん」
「・・・うん」
「・・・」
「なら、行こうか」
「行く?」
英梨々は口を突き出して拗ねた顔をしている。俺としては最大限英梨々との関係を説明したつもりだし、付き合っていないのは事実だし、これ以上どうにもならない。
恵は鞄を持って立ち上がった。
「あんまり遅くなると困るし」
「うん?」
「安芸くんの家。参考になるゲームがあるんだよね?」
「ああ、うちにはゲームはたくさんあるが・・・」
「見せてもらわないとメインヒロインが何かわからないから」
「そ・・・そうだな・・・」
恵がテーブルから離れた。それから英梨々に「じゃ澤村さん、そういうことで失礼させてもらうね」と言った。
その抑揚のない棒読みが、冷静で残酷な宣戦布告のようにも思えた。
英梨々は前を向いたまま、瞳に涙を浮かべている。おいおい、どうした。
確か・・・この後は恵は帰ったはずだ。俺は英梨々と一緒に学校へ戻ってから、ゲーム作りの話などしながら一緒に帰った。英梨々の好感度は1つしか下がらず、すぐに挽回できるはずだった。
えっと・・・
恵は喫茶店の出口へ向かっていく。俺はどっちにもいけず立ち上がったまま身動きがとれない。
その時だ、脳内に選択肢が現れた。
① そういうわけで英梨々、ちょっと加藤にギャルゲーを説明してくる
② なぁ英梨々、もしかしてこれって童貞卒業のチャンスじゃね!?
・・・選択肢がおかしい。②を選択することでもしかして俺は童貞を卒業できるのか?どちらも恵ルートの気がするが、もしかしたらどちらか一方は英梨々ルートなのだろうか。
いずれにせよ②はサイコパスすぎる。①はちゃんとそれらしい言い訳もあるし、俺は別に恵を襲うことはしない。
「・・・そういうわけで英梨々、ちょっと加藤にギャルゲーを説明してくる」
「・・・こんなにトースト食べられないんですけど」
「ああ、そうだな。持ち帰りで。あと支払いは立替えてくれ」
「はぁ・・・、もういいわよ。早く行きなさいよ、せっかくの童貞卒業のチャンスが流れるわよ」
「ゲーム教えるだけだからねぇ!?」
「ふん。どうだか」
英梨々が不機嫌そうだが、俺の背中を押した。ここで泣かれたリ、キレられたら俺はここに残るんだけど・・・
『恵+1 英梨々-2』
・・・英梨々が口ではそう言ったがやはり相当怒っているようで、好感度は一気に下がって-2。ゲームオーバーまであと1つだ。
カラン、コロン。ドアの開く鈴の音がして、恵が外へと出た。俺は後ろ髪を引かれる思いをしたが恵の後を追った。
外は少し夕暮れになっていた。恵は振り向いて俺を確認すると立ち止まった。横に並ぶとまた無言で歩き始めた。
「次の駅はこっちでいいんだよね?」
恵の質問に俺はうなずいた。これから恵は俺の家にくるという。前世だったら好感度が+2の状態だから、なにかエッチなイベントが解放されるはずだが、今回はまだ好感度+1なのでキスイベントだろうか?
移動中も恵はフラットな表情で、ときどき会話する声も抑揚がなく感情がみえてこない。それは恵が意図的に感情を押し殺しているのが少しわかってきた。前世の教訓は大きい。恵が俺を好きなら、恵の態度もうなずけるものがある。
地元の駅についた。英梨々以外の女の子と一緒に降りるのは初めてだった。
改札を抜ける。
「・・・あれ?」
俺はあたりを見回す。何か様子がおかしい。
「どうしたの安芸くん?」
まだイベントが何も発生していないので、恵は俺を安芸くんと呼ぶ。
「いや、なんか変だ・・・」
「変?」
俺の地元は駅前にアーケード商店街がある。けっこう凝ったアーチの看板が昭和的な情緒を感じさせる。しかしこれは・・・色がすっかり剥げて金属部分が剥き出しになって錆びている。撤去した方がいいんじゃないかというぐらい危うさを感じるものに変っていた。
それにけっこう地元が潤っているので、駅前はカラフルなレンガで舗装され明るかったはずだ。
・・・なぜか剥き出しコンクリートで、割れた縁石には雑草が生えている。
「降りる駅間違えたっけ・・・」
「桜坂下だったけど」
「・・・あってるな」
不思議に思いながら俺は商店街の中を進んでいく。人気の商店街は活気があって夕暮れのこの時間が一番混みあっている。総菜屋があって、八百屋や肉屋があって、小物屋や安い衣服店やちょっとオシャレなアパレルも並んでいて・・・
「今日、休みじゃないよな・・・」
「商店街?」
「うん・・・シャッターが多いな」
「安芸くん、これ休みじゃなくて店舗募集しているけど」
「・・・あれ、ほんとだ」
ほとんど店が閉店していた。店舗募集の張り紙がされていた。あるいはそれすら古ぼけて破れ、長い間空き店舗だったことがわかる。
舗装されているはずのオシャレなタイルはところどころ割れたり剥がれている。
開いている店は大手のドラッグストアとコンビニぐらいだった。
「なんだ?どうなってるんだ?」
「どうしたの?」
俺は駆け出した。何かがおかしい。
商店街中ほどにある写真館が・・・ない。
「安芸くん・・・どうしたの急に走って」
「ここに・・・写真館があったんだ。そこに英梨々の写真が大きく飾られていて・・・」
それが商店街の象徴的な華やかさだった。今時は写真館で記念撮影する人は減って各地でなくなっている。そんなご時世でもここは人気だった。
初めてこの商店街を訪れた人は必ずここで立ち止まって写真を見上げる。
地元の人はその金髪の美少女を姫様か貴族と勘違いして、お嬢様と呼んで慕っていた。
「ないけど?」
「なんか変なんだ」
だいたい『死に戻り』ってなんだよ・・・ありえない。どうやら、俺はおかしな世界に迷いこんだらしい。
気分が動転したまま商店街を抜けると、道路の先には丘が見える。そこに赤い屋根の大きな洋館が建っているはずだったがやはりなかった。
俺はケータイを取り出し、英梨々に連絡しようとした。
「待って、安芸くん」
恵が手でそれを制した。
「安芸くん、きっと何か調子がおかしいんだと思う。少し休んで冷静になってからかんがえよう?ね?」
「・・・いや・・・そうなのか」
「うん。なんか喫茶店で途中から様子が変だったし」
気が動転して過呼吸にならないように落ち着いて深呼吸をした。
閑静な住宅街を歩いていくと桜坂に分岐する三叉路がある。今はもう散って新緑が芽吹いている。
そして、丘の下にあるのが俺の家だ。先祖代々住んでいるらしく庭先は少し広い。車が三台は置ける。
「ここ・・・俺の家」
俺の家は大きな変化はなかった。なんでもない普通の一軒家だ。
玄関の鍵を回しドアを開けた。
「両親は共働きでさ、出張が多くて誰もいないけど・・・」
「そう」
「入る?」
「ん?ここで待っていた方がいい?ゲーム貸してくれるならここで待っていてもいいけど、それなら学校にもってきてもらいたかったな」
「いや、そうじゃなくて・・・」
「入ったら安芸くんが襲うの?」
「襲わないよ!」
「なら、問題ないよね」
恵は気にせずに中に入っていた。誰もいない中に向かって「お邪魔します」と言った。それから靴を脱いで、しゃがんでから靴を並べ直した。しっかりした子だ。
リビングに入ってあたりを見回す。手前がキッチンだ。
「広いねぇ」
「そうかもな。もうボロ屋だけどな」
「そうかな?」
「なんどか改装しているからなぁ・・・ところでゲームは俺の部屋なんだけど・・・」
「うん?」
「二回なんだが、こっち持ってこようか?」
「その方がいいなら、安芸くんに任せるよ」
「と・・・とりあえず部屋片づけてくるから、ちょっと座って待っててくれ」
「うん」
俺は二階へと階段を駆け上がり、途中でバタバタと戻ってきてキッチンで麦茶を二杯コップにいれて、恵に出した。
それから部屋へあがって急いで散乱した物を片付ける。幸いそんなに散らかっていない。ゴミ箱を空にして、掃除機を軽くかけ、窓を全開に開けた。ここから英梨々の住む赤い屋根の屋敷が見えるはずだがやはりなかった。何か別の建物が建っている。
隣の部屋から消臭スプレーをもってきて撒いた。今できることはこれぐらいだ。
リビングに戻って恵を呼んだ。
恵は鞄を持ってゆっくりと立ち上がった。動作がのんびりとしている。
女の子を部屋にいれるのは・・・これで3人目だ。英梨々と美智留と恵。もっとも前者の2人は物心ついた時から出入りしているが・・・
「あまり綺麗な部屋じゃないから期待しないでくれな」
扉を開けて恵を中にへと入れた。こんなにほいほいとついてくるなんて・・・もしかして土下座でもしたらほんとにヤらしてくれたりして・・・
今は街のことと恵のことがごっちゃなっていて、混乱している。
恵は鞄を両手で前にもったまま無言で立っていた。
「鞄あずかるよ」
鞄を受け取る時に少し手が当たった。前世ではデートした時に手をつないだ。受け取ったカバンを勉強机のイスの上に立てかけた。
恵はキョロキョロと部屋を見ている。何しろアニメポスターが複数枚貼ってある。それに英梨々の描いた絵も飾って・・・ない。さらに・・・英梨々用のクッションもない。
「・・・あれ?」俺は首をかしげる。模様替えをした記憶はない。
恵はそれから迷った末に床のクッションでなく、ベッドの方へ座った。普通・・・そっちに座るか?
「ねぇ安芸くん。両親は何時頃帰ってくるのかな?」
「今日は帰ってこないと思うぞ?出張だし」
「そっか。ならゆっくりできるかな?」
「何が?」
『エッチ』
俺は耳を疑った。今、恵は『エッチ』と言ったか?するつもりで来たのか?普通はそうなのか?そもそもなんで俺が好きなんだ?いやいやなんかおかしいだろ・・・
俺の動転をよそに、加藤は起用に背中に手を回してチャックをおろし、セーラー服を脱ぎ始めた。
俺はぜんぜんそんな覚悟も心の準備もできていない。何かの冗談だろう。
「加藤・・・」
「・・・加藤じゃない。こんな時ぐらい恵って呼んで」
そう言って、制服を折りたたんで、少し迷ってクッションの上に置いた。
【画像13 加藤が脱ぐ】
目のやり場に困る見事な谷間が見えた。恵らしさを裏切らない淡いピンク色の可愛いブラが豊かな胸を支えている。
恵は顔を火照らせてから俺に、
「好感度2のイベントはエッチなことするんだよね?」と言った。
前世での好感度が引き継がれているんだろうか・・・俺は死に戻りをしたはずでは?
何かがおかしい・・・
けど、それ以上に恵の魅力の前に、俺はどうも抗うすべはないらしい。
(続く)
不穏だな・・・
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