【R18】冴えないエロゲの作り方(イラスト付き) 作:きりぼー
彼に明るい未来はまっているのか!?
「はっ」
意識が戻るというか、死に戻りした場所はいつもの喫茶店。
俺は座っていて、斜め前には恵がこちらを・・・めっちゃ睨んでいる・・・
いつもフラットな顔の恵がこんな顔をするのは珍しい。
【画像17 むすっーとした恵」
そして、隣には英梨々がこちらを人でも殺すのかと思うほど睨みつけている。一体なにがあったというのか。
テーブルの上に小倉トーストはなく、それぞれの前にアイスコーヒーだけが置いてある。
「あの・・・、今、どういう状況・・・?」
ただならぬ雰囲気にまったく心当たりのないような、あるような。俺は正直に質問した。
「はぁ?あんたバカなの?自分がしたことぐらい責任を持ちなさいよ!」
「あの、すまんが・・・ちょっと調子が悪くてな・・・できれば状況をだな・・・」
「あんたね・・・加藤さんが告白されたと思ってメインヒロインを引き受けてくれたのに、あんたが突然『英梨々は俺の彼女だ』とか紹介するから、ややこしくなったんでしょ」
「ふぁ?」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
2人の刺す視線が痛い。というか、ちょっと待て。
「英梨々ルートに確定しているだとぉ!?」
選択肢はどうした、選択肢は。
いやいや、そもそも死に戻りを願ったなら英梨々ルートを選択しているようなものなのか・・・直前で逃亡したしな・・・
「はぁ?なによ英梨々ルートって。勝手にあたしを倫也のオナペット候補にしないでくれるかしら?だいたい、あたしはあんたの彼女なんかじゃないし」
「だよな・・・」
「なんかあんたに言われるとむかつくわね」
「で、どうして加藤は怒っているんだ?」
さっきからぷくっーとわかりやすく頬を膨らませている。怒ってはいるが可愛い。なんか子供みたいに見える。
「あのさー安芸くんさぁ・・・、女の子を誘う時はちゃんと相手のことを考えて欲しいんだけど」
「常々考えているつもりなんだけど・・・」
「言い訳しないでくれるかなぁ」
「ごめん」
「安芸くんがどうしてわたしを気になったのかわからないけど、『メインヒロイン』になって欲しいなんていわれたら、自分に気があるのかなって思うよね」
「・・・そうか?」
「あのさー、私が今言いたいのは、安芸くんがどう思うかじゃなくて、わたしがどう思ったかが大事なんだよ。メインヒロインだって人間なんだから」
「ふむ」
喫茶店のソファーに座ってはいるが、気分は土下座したい。
「それにね、澤村さんというものがありながら、他の女の子に声をかけるっていうのは澤村さんにも失礼だよねぇ」
「いや・・・こいつはただの・・・」
ただの幼馴染のはずなんだけどなぁ・・・
「ただの何よ?倫也」
「幼馴染・・・だよな?」
「そうよ。あんたとあたしはただの幼馴染だけど。あんたが『彼女だ』なんて紹介するからややこしいんじゃないの」
「俺が言ったのか・・・」
「はぁ?あんたバカなの?死ぬの?自分の言動ぐらい責任もちなさいよ」
「いや・・・すまん」
「なんで、あたしがこんなところで三角関係っぽいことに巻き込まれないといけないのよ」
「いやいや、お前がここに後から来たんだろ?」
「はぁ?あんた頭大丈夫?あたしは最初からここにいるわよ」
「なんだとー」
「倫也が大事な話があるっていうから、部活をお休みしてここまで来たんでしょーが」
よく見ると英梨々の脇にはスクールバッグがある。なるほど・・・細かいところでいろいろ違っているようだ。
この世界の恵も俺のことを好きなんだろうか?だいたい、なんで俺のことが好きだったのかは謎のままだ。
「まずは、俺が誤解を招くような紹介をしてしまったことを謝る。ごめん。加藤。ごめん。英梨々」
「ふん」
「そういう問題かなぁ・・・」
「よくわからんが・・・英梨々は三角関係の外側にいるわけだな?」
「はぁ?あんた何言っての。三角関係も何も、この三人に恋愛感情はないでしょ。あたしが言ったは不用意な発言で誤解を招いて三角関係みたいになったって話でしょ」
「何が違うんだ・・・」
「事実関係が違うでしょ」
「ふむ・・・」
ただでさえ恋愛に疎い上に、状況の途中から修羅場に放り込まれるとか無理ゲーすぎる。だんだんと状況がわかってきたが、俺はいよいよエロゲ主人公から抜け出したのだろうか?
「わたしも二股とかされるの嫌だし。はっきりして欲しいんだけど」
この状況で英梨々はともかく、恵にも脈がまだ残っているのだろうか。
「はっきりと申しますと?」
「わたしと付き合うなら澤村さんとはけじめをつけて欲しいし、澤村さんと付き合うならわたしに声なんてかけて欲しくない」
「いや、俺は英梨々や加藤とゲームが作りたいだけでな・・・」
「わたしとしては、安芸くんと澤村さんがイチャイチャするための出汁にされるのは嫌なんだけど」
「逆よ加藤さん」
「逆?」
「倫也はエロゲーを口実に加藤さんとイチャイチャしたいという下心があるだけよ」
全力で否定したいが、合っているで否定しにくい上に、状況的に俺が悪者っぽいから余計な油はそそがない。
「ふーん」
「ね?わかったでしょ。倫也ってこういう奴なのよ。あんまり関わってはダメな奴なの。こいつがオタクなのは充分承知しているでしょ?」
「うん」
「あたしも倫也を止めなかったのは反省するわ。こいつとは腐れ縁で、ただゲームを作るのはいいかなぁって思っただけなのよ。昔からの夢だったみたいだし」
「うん」
「だから、忘れちゃってちょうだい」
ふむ・・・英梨々がいい感じでまとめてくれた。
「ごめん。安芸くんに確認したいんだけど、澤村さんと関係ないんだよね?」
「関係なくはないけど・・・付き合ってはないらしいな」
「だったら・・・わたしにメインヒロインになって欲しいっていう気持ちは本当だったんだよね」
「まぁ・・・そうだな」
「安芸くんからちゃんと聞きたい」
「ちゃんと?」
恵の目からハイライトが消えている。
「安芸くん。どっち選ぶの?」
その時だ。脳内に選択肢が浮かんだ。くそぉ、まだ続いていたのか。適当なところで終わっておきたかった。どうにも修羅場は苦手だ。
① ごめん加藤。俺・・・やっぱり英梨々とゲーム作りたい。
② ごめん英梨々。俺・・・加藤と付き合ってみたい。好きだ加藤、俺と付き合ってくれ!
謝罪から始まる選択肢。どうやら因果律もいよいよ極まってきたようだ。そういや魔女っ子でも繰り返すとカルマが溜まるみたいなこと言ってたな。俺はどうやらその特異点にいるか、近づいているらしい。
①を選ぶべきなんだろうな。恵のことは名残り惜しいが、あの時に美智留が出てきたのは俺が望んだことなのだろう。ちと急展開過ぎた気がするが、エロゲ主人公である以上は避けられないのかもしれない。
②は・・・恵ルートのトゥルーエンドにでもいけるのだろうか。また買物デートして、観覧車のって、お弁当つくってもらって・・・あとはベッドインだけだ。
隣にいる英梨々の顔色を伺うと不安そうな顔で窓の外を見ていた。
俺のとの関係を『ただの幼馴染』といいながらも、こだわりを感じる。恋愛感情をお互いに抱いているかわからないけど、前回英梨々が泣きそうになったのは事実だし、俺が恵を抱く決心がつかない以上は、英梨々としばらく並んで歩くのが身の丈に合っているのかもしれない。
「ごめん加藤。俺・・・やっぱり英梨々とゲーム作りたい」
恵は何も言わずに鞄を持って立ち上がった。それから無言でドアを開けて外へと出ていった。
「倫也、何してんのよ」
「しょうがないだろ・・・」
「はぁ?もう少し言い方とか、気遣いとかあるでしょ。だいたいあの子があんたのメインヒロインなんだから、ちゃんと告白して付き合いなさいよ」
「ああそうだな!そういう選択肢もあったかもしれないな!」
「あんたみたいなオタクに彼女ができるチャンスなんてもう一生ないかもしれないわよ?」
「しょうがないだろ・・・」
「しょうがない、しょうがないって、何がしょうがないのよ。このチキン」
「まったくだな」
英梨々の顔は割とまじめに怒っている感じがする。もうちょい自分が選ばれてニヤニヤするのかと思ったけど、そうでもないらしい。
「ほら、帰るわよ」
「・・・そうだな・・・はぁ・・・」
「そんなでっかい溜息つくと幸せが逃げるわよ」
「だよなぁ」
「ほんと大事なメインヒロイン候補だったのに」
俺は鞄を持って立ち上がった。店内にはロマンチックな曲が流れたままだった。ラフマニノフだっけ・・・誰だよ。音楽室の肖像画にあったか?
英梨々がグダグダと俺に文句言っていたが、会計では自分のウォレットを使って済ませてくれた。
「奢ってくれるのか?」
「あんたの財布事情ぐらい知ってるわよ」
それがイエスという意味なのだと受けとって、素直に「ごちそうさん、神様仏様英梨々様」と言っておく。
帰り道ではいつもよりも口数が少なかった。ゲーム作りが一気に白紙になった感じがするからしょうがない。
けどギクシャクはしていなし、隣を黙って歩いていても心地よい空気は流れていた。と思う。
恵-1
英梨々+1
無情にもリザルトだけが頭に浮かんだ。
※ ※ ※
休日。四月の下旬。もうすぐゴールデンウイークになる。今日は天気がとてもいい。
なんでも英梨々が珍しいケーキをもらったとかで食べるか聞いてきた。俺はもちろん喰いたいと言った。
そういうわけで英梨々が部屋にくる。
あの日以来、やっぱり少しだけ関係がおかしくなった。『ただの幼馴染』の距離感がうまくつかめない。そのせいか英梨々がずっと部屋にきていなかった。
『少し野暮用があるから、部屋に上がって待っててくれ』
そうメッセージで残しておいた。別になんの用もないのだが。
俺の部屋の窓からは英梨々の屋敷が良く見えるし、坂道を歩いて降りてくる金髪美少女の目立つ事この上ない。
英梨々が来るのを確認したので、俺は部屋のクローゼットの中に隠れた。
クローゼットといっても元々がじいちゃんの和室だったので押入れを改装したもので、中は広い。おまけに隣の両親の寝室の押入れと奥でつながっている。この悪戯心溢れる改装をなぜしたのかわかりかねるが、子供の頃は忍者屋敷のようで楽しかった。
ブラインドルーバーの扉になっているので、中から部屋を観察することができる。かくれんぼしていても暗すぎないのがいいところだ。
しばらくすると呼び鈴が鳴った。いないとは伝えてある。英梨々は子供の頃から合鍵を持っているのでそのまま上がってくるはずだ。
階段を軽快にトントンと上がってくる音がする。だいたい足音で機嫌がわかる。今日は機嫌が良さそうだ。
部屋の扉が開いた。俺は息を殺して潜む。
英梨々は金髪ツインテールにネイビーブルーの長いリボンをしていた。白い上品なシャツにデニムのスカートタイプのサロペットを着ている。少し丈が短いようで膝上10㎝といったところだ。
英梨々は部屋をキョロキョロとして、テーブルの上にケーキの入った箱を置いた。
それから俺の本棚を眺めてラノベを一冊とる。俺の集めているラノベは英梨々は買わずにここで読むことが多い。
ベッドに上がって・・・
あっ!
・・・見えた。
仰向けに寝転がろうとした英梨々は無防備だったらしい。警戒していないのは当たり前だが、普段の英梨々が俺に下着が見えるようなことはしない。
【画像17-2 英梨々ラッキースケベ』
これがラッキースケベなのか、覗きなのかは見解の相違による。意外だったのは真っ白なパンツをはいていたことだ。
こういう時は白と青のストライプだろ・・・とツッコミつつも、別にそんなつもりではないだろうし、デートでもないから自然かもしれない。
英梨々が足を伸ばして寝ころぶと、角度が浅くなって見えにくい。
クローゼットをもう少し片づけておけばよかった。ちょっと驚かすつもりで隠れただけなので荷物で狭い。しゃがめばもうちょいいいアングルで覗けそうなんだが・・・
ガチャン。ガラガラガラ・・・キーン。
まるで何かのコントのように荷物が崩れて、最期に金属音が高らかになった。
英梨々は驚いたように身を丸くして、こっちをみている。こっちから部屋の中は明るいので良く見えるが、部屋からクローゼットの中は暗くて見えない。
英梨々が立ち上がってこっちに向かってくる。
ガシャッと扉を開ける。
俺は無様にも尻もちをついた状態だ。英梨々が仁王立ちをしていた。
「・・・あんた何してんの?」
「いや、あの・・・たまには脅かしてみようかななんて・・・」
「ああ・・・まぁ驚いたけど。バカなことしているとケーキが不味くなるわよ」
「・・・おう、そうだな・・・」
俺はのそのそと這い出た。
英梨々が扉と部屋の中を何度か見ている。
「どうした・・・?」
「倫也。ここから覗いてた?」
ギクッ。図星だ。まぁ覗く気はなかったんだが、たまたま見えただけので不可抗力だ。
「勘のいい子は嫌いだよ」
「サイテー」
「いや、ミテナイヨ。今のはお約束の問答だろ」
「見てたわよね?」
「見てないって」
「だって、倫也鼻血でてるわよ?」
「えっ?まじ・・・?」
俺は慌てて鼻を抑えた。
「・・・あれ?」
「嘘よ。何慌ててんのよ。正直に言いなさいよ。怒らないから」
「見てないって。俺、ちょっと紅茶淹れてくるわ」
「ふん」
俺は逃げるように部屋から出た。
英梨々とのいつもの休日がまた始まろうとしていた。
(おしまい)
・・・えっ?続くの?
(続く)
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