【R18】冴えないエロゲの作り方(イラスト付き) 作:きりぼー
うちの英梨々は二桁ヒロインなので・・・
引き続きのんびりご支援いただければと思います。
だいたいプロットをざっくり作って20話程度、4~5か月で完結すると思います。
夏に作った『コスプレ英梨々とエッチしたい』のようにエロ全振りではなく、どちらかというと構成重視になる予定です。
加藤好きが楽しめる、本来の冴えカノ同人かもしれません。
エロイラストだけは毎週更新するつもりなので、それだけでも観て行ってくださいな。
春の陽気に誘われて午後の授業は眠い。
昼食後の5時間目。古文。ラリホーを唱えていると表現される爺さん先生は、真面目に授業を受けさせようという気概はすでになく、寝たいやつは寝ておけという感じで起こすことも、怒ることも、減点するようなこともない。
時間割が決まった時点で諦めた生徒は、早々と寝る準備をしている。真面目に授業を受けたいが、活舌も悪く声も小さい。気が付けば俺も例外に漏れず睡魔と戦うことになる。
内容がまるで頭にはいってこないので、せめて板書ぐらいはしておこうとがんばってみるが集中力が続かない。このままでは寝るのは時間の問題だ。
しょうがないのでエロゲ企画書のための紙を一枚出して、舞台やあらすじを考えてみることにする。
だが、時すでに遅し。
俺も例外に漏れず眠ってしまっていた。
「安芸くん、大丈夫?」
少し高い澄んだ声が聴こえた。耳に心地よく響く。
「次、選択科目だよ」
「ああ、うん?」
寝ぼけたまま顔をあげると、女子生徒が声をかけてきていた。周りを見るともう他の生徒は移動しているようだ。
「体調が悪いなら、先生にいっておくけど」
「いや、平気」
クラスメートBという感じの量産型ボブカット。特に目立った特徴のないこの子は・・・一年の時も同じクラスだった気がする。
「おでこ。真っ赤になってる」
ずっと俯いて寝ていたせいだろう。窓ガラスに映る自分を見てみたがそれではわからなかった。
「じゃ、わたしも行くから」
「ああ・・・うん」
せめてまぬけな俺を笑ってくれればいいのに、無表情のままだった。
俺はごそごそと机に古典のノートと教科書をしまい、美術の教科書を出した。英梨々も起こしてくれればいいのに薄情なやつだ。
教室から出ていく女子の後ろ姿を見送る。名前はなんだったか・・・。ほとんど会話した記憶がない。
寝ぼけた頭で、なんであの子は最期まで残っていたんだろう?と考えた。考えても理由などわかるはずもないが。
時計を見ると授業が開始しそうだ。出欠確認では最初に呼ばれるので急がないとまずい。
俺も立ち上がったところで、さっきの女子が戻ってきた。
「あっ、そうだ。安芸くん」
なんだろう?俺に用事があったようだ。ドアから中をのぞくように顔を傾けてのぞいている。髪が少し揺れていた。
「こないだ、ありがとね」
まったくノーマークで名前もうろ覚えの女子だったが、声がなんというかとてもキレイだった。それに良く見るとけっこうカワイイ顔立ちをしている。
二次元にしか興味ないという建前の元、あまりクラスメートや男子で噂のカワイイ女子などには興味をもたないようにしていた。
というか、学校三大美人がみんなたまたま知り合いなのだ。
同学年の英梨々。1つ先輩の眠り姫と呼ばれる霞ヶ丘詩羽。そして1つ後輩の波島出海。
なので、他の生徒まで目が届くわけもなく・・・興味をあまりもてなかったというのもある。
だいたい英梨々が口やかましい。学校では俺としゃべらないくせに、俺が他の女子生徒と話していると何かと文句をいってくる。彼女でもないくせに、彼女気取りのところがときどきある。
そんな英梨々も他の男子生徒からハイペースで告白を受けているようだが、全部断っているらしい。その点については俺もヤキモキとしないで済んでいるのは自覚している。
そういうわけで・・・ああ、加納?だったかな、この女子についてはぜんぜん知らなかった。
「ありがとう?って何かしたっけ?」
「春休みに帽子拾ってくれたの・・・あれ、安芸くんだよね?」
「帽子・・・?」
そう、春休みに些細なフラグが立った。あれのことか。
俺は自転車で朝刊を配るバイトをしていた。坂の上にいた少女の白いベレー帽が風で飛ばされるのをたまたま目撃し、俺はそれを拾ったのだ。
「・・・ん?白いベレー帽のことか?」
「うん」
「ああ、うん・・・ええええっ・・・」
「そんな驚く?」
「加納・・・だっけ・・・」
「かのう?」
「名前」
「加藤。加藤恵」
「ああ、そうだ。わりぃな。加藤だったな。そっか、あれはお前だったのか」
「お前って言われ方は嫌かな」
「・・・ごめん」
その時、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。
「あっ、いかなきゃ」
「俺は遅刻になるのか・・・」
「ならないんじゃないかな」
「俺、出席番号最初なんだよ」
「うん。でも、美術の先生は出席はとらずに休みの子を確認するだけだから」
「なるほど。加藤も美術だっけ?」
「うん」
いつのまにか、並んで歩いて美術教室へ2人で向かっていた。すでに授業が始まっている教室の前を歩くのはなんだかいつもと違った気分になる。
何か加藤には大事な話をしないといけない気がしたが、とりあえず雑談からだ。
「音楽の方が合ってそうだけどな」
「ん?どうして?」
「だってほら・・・加藤は・・・」
かわいい声をしているから・・・と、危うく言いかけるとこだった。なんだそれは、初対面ではないが、対して親しくもない女子に突然いう言葉ではないだろう。
「・・・」
「・・・?」
きょとんと、隣を歩く加藤は、俺の方をまっすぐと見上げるように見つめていた。よくみると端正な顔立ちで・・・印象こそ薄いし、ぜんぜん目だっていなかったけど・・・充分に可愛い部類に入ると思う。
磨かれていない原石というよりは、発見されていな原石という感じだが。
「ほら・・・加藤は声が透き通っていてキレイだし」
あっ、俺はバカだ。言い方を変えただけだな。
「・・・えっと・・・ありがと・・・」
加藤が少し俯いて頬を赤らめた。
【挿絵02】加藤と廊下を歩く
加藤に特徴がない理由は表情の変化に乏しいからだろう。
英梨々なんて喜怒哀楽が激しいし、ケラケラと転げまわるようにバカ笑いするし、つまんない事でカリカリと怒る。あんまり泣かないけど、アニメや映画をみていて涙をうるうるさせることもある。
妙なことを口走ったせいで加藤と少し気まずい空気になって、会話が続かない。
階段を静かに降りて渡り廊下を歩き、特別教室のある第二校舎へと進む。美術室へはまた階段を上らないといけない。不親切な作りだ。もう一つぐらい雑談をはさめそうだ。
「えっと・・・加藤ってアニメはみる?」
いきなりアニメの話題を切り出した俺はバカか?いやいや、アニメは譲れない。
加藤から帰ってきた答えは、日曜日のファミリー向けアニメだった。オタク御用達の深夜アニメやネットアニメとはどうやら無縁のようだ。
まぁ、一般女子なんてそんなもんだろう。
もう一つ、ゲームで話題を振ってみたがやっていないらしい。
「ネットはみるけど」
というのが加藤のこちら側への歩みよりだった。今時ネットぐらいは誰でもみる。
人と仲良くなるには共通点を探すといいらしいとどこかで読んだ。ここから加藤がどのようなジャンルをみているか聞き出すべきか、それとも方向性を変えるか・・・
残念ながら美術教室はもうすぐ着く。
ぜんぜん話が盛り上がらなかった
それなのに、もっと加藤と一緒に話していたい。そう思った。
あと、加藤がなんだかとてもいい香りがする。女の子の匂いだ。
「あのさ・・・加藤って、えっと・・・部活は何かやってる?委員会とか」
「部活は帰宅部で・・・委員会は学園祭委員会に入ったけど、まだ活動してないよ」
「じゃあ、今日の放課後空いてる?」
「特に予定はないけど・・・」
教室についた。俺は足を止める。唾をごくりと飲み込む。なんだろう胸がドキドキしている。運動不足だろうか。
「放課後、もう少し話せない?」
「うん。別にいいけど・・・何の話?」
よし、OKもらった。これで次に繋がった。
「その話はとりあえず置いといて、加藤から先に教室にはいってくれ、俺はあとから時間ずらすから」
「うん?」
「一緒もなんか気まずいだろ」
「ああ、そういうこと」
加藤が後ろのドアをあけて教室に入っていった。教室内はまだざわめいていて特に問題はないようだ。
俺は中の様子を隙間から伺い、ドアをあけて教室に入った。美術の先生は俺に目もくれず興味のある数人の生徒に囲われて、美術史についてディープな授業をすでに行っていた。
特に興味のない生徒は実技の絵を進める準備をしている。なんというか自由な校風だと思う。強制的に勉強をさせるつもりがないらしい。
それでいて生徒たちも受験戦争に勝ち残っただけあって、授業の妨害になるような大きな声ではしゃべらない。各自がやるべきことをやっているという感じだ。
英梨々は遅れてきた俺には目もくれず先生の周りで熱心に授業を聞いている。こと美術に関しては妥協するところがない。その後ろ姿が金髪なのでやたらと目立つ。
俺は空いている席に座り、起こしてくれなかった友人の1人に小言を言い、それから加藤にどうやって『メインヒロイン役』を頼むか頭の中でシミュレートしていた。
ふと加藤をみると、加藤もこちらを見て目が合った。
笑いもせず、ポーカーフェイスのままの加藤は目線をまた先生の方へ向けたが、落ち着いているようで内心は俺と同じようにソワソワとしてないだろうか?
いや、ソワソワというか・・・浮かれていないだろう?
・・・まぁ、そんな感じの子ではないか。
(つづく)
後書き
というわけで二大ヒロインが登場。
次回から話が転がっていきます。
毎週楽しめるような作りにする予定なので、気長にお付き合いくださいませ。
ご感想、評価いただけると幸いです。