【R18】冴えないエロゲの作り方(イラスト付き) 作:きりぼー
夏の時は加藤を登場させない事で平穏でしたが、加藤が登場するとやっぱり不穏な感じになりますね。宿命的に。
「付き合うってこと?」
加藤が言った。何の抑揚も、感情も付けずに。辛うじて語尾をあげて疑問符がついていることがわかる。
ラフマニノフがどこの誰かもわからない俺は、静かに流れるロマンティックな音楽が耳を通り過ぎていくのを感じた。
その時、俺は脳内でゲームの分岐が浮かび上がった。
①「そう。俺・・・加藤に一目惚れしてしまったみたいで、よければ俺と付き合ってください!」
②「いや、そういう意味でなくって、ただ英梨々・・・澤村とのゲーム作りのパートナーとしてメインヒロインをやって欲しいだけだ。勘違いしないでくれ」
いやいや、なんだよこの二択は?
まるで時間が止まったようだ。音楽が終り、どこかでスプーンが白磁の茶器に当たって高い音が鳴った。
ずっと沈黙でいるわけにもいかない。
①の選択はまさに俺が曖昧にしておきたい感情をそのままストレートに伝える言葉だ。加藤に振られるとか、その先がどうなるとか考えていない。俺はあの坂で出逢って加藤に一目惚れをしたのだ。だが、今このタイミングで言うべき言葉か?
しかし、②はもっとひどい。なぜ英梨々の名前が出てくる? 確かに建前としては事実だ。加藤にはゲーム作りのためにメインヒロインをやって欲しい・・・でも、それは・・・加藤に近づくためという本心を隠していないか?
百歩譲ってこっちを選択肢して今の気持ちを誤魔化そうとしても最期の一言が余計だ。
『勘違いしないでくれ』なんて言葉が加藤を傷つけるのは明らかだ。失礼すぎる。
だとすると・・・俺が選べる選択肢は①だということになる。俺は勇気をもってこの高校二年の青春1ページを前に進むのだ。
「そう。俺・・・」
言いかけた時、俺のケータイに着信音が鳴り響いた。今放送している深夜アニメのノリのいい曲だ。シカがリズミカルに歌っている。振り付けも覚えた。だが、今は踊っている場合じゃない。
『澤村・スペンサー・英梨々』と律儀にもフルネームで登録された名前が表示されている。『エリリンギ』や『ポンコツ』などと書き換えても直されるのは、英梨々が俺のケータイの暗証番号を知っているからだ。
加藤が静かな目線で俺のケータイ画面を見つめていた。誰から電話がかかってきたかバレたと思う。
俺は迷ったがケータイを手に持ち電話に出た。
「倫也、あんたどこにいるのよ?」
英梨々の少し怒ったような声がした。あいつは部活の時間でまだ美術部にいるはずだ。
※ 『LOST!』 ※
俺の頭の中に言葉が響いた。『LOST』?失った。失敗した。迷った。そんなような意味だ。
俺は一体何を失ったんだ?
「ああ?帰り道だが」
「なんで嘘つくのよ、怪しいわね」
「べ・・・べつに怪しくなんかないぞ・・・?」
英梨々にしては勘が鋭い。別に怪しくはないが。たぶん。
「その場所って、例の喫茶店よね?」
「・・・ふむ」
「何してんよ、そんなところで」
「小倉トーストを喰いたくなってだな」
「ふーん・・・で、誰といるの?」
英梨々が妙に追及してくる。
というかだ・・・こいつ、また位置情報アプリを勝手に俺ノケータイにいれてやがる・・・しかもご丁寧に隠しアプリにしているあたりが業が深い。
「どうした?何か用か?」
俺は質問に答えず、質問に質問で返す。英梨々の声は少し呼吸が荒い。通話状況が悪いのかもしれない。
「なによ?用がないと電話しちゃいけないわけ?」
「ということは、俺の声が聞きたくなったんだな?」
「はぁ?んなぁわけあるかぁ~!・・・はぁ・・・はぁ」
「大丈夫か?なんか息が荒いみたいだが?」
「べ・・・べつになんでもないわよ・・・はぁ・・・はぁ」
オナニーでもしながら電話してきているんだろうか? 英梨々は変態マンガは描くが本人はそんなに変態的なことはしないはずだが。
ふと加藤を見ると、こちらの会話には興味ないそぶりで、トーストの残りにクリームをつけて食べていた。可愛い口元は英梨々よりも少し厚い唇にみえる。
俺としては英梨々からの追及をのらりくらりとかわすだけで、こちらから話す事は特にない。
「と・・・とにかく、あんたそこにいなさいよ!」
「ん?どういうこと?」
「・・・ツゥー・・・ツゥー・・・ツゥー」
電話が切れた。電話といってもSNS系の電話で料金はかからない。
「いや、ごめんな加藤」
「ううん」
俺はケータイをテーブルの上に置いた。
加藤が何かを聞いてくると思ったが無言のままだ。少し気まずい空気が流れる。またロンマンチックな音楽が流れている。どこかで聞いたことのあるピアノ曲だ。
「えっと・・・」
「ううん。もういい」
「・・・ごめん」
大事なところで俺は逃げてしまった。ベストあるいはワーストタイミングの着信音だった。加藤は少し怒っているのかもしれない。表情にはでないけど、さっきよりも雰囲気がずっと固い。
少し冷静に考えるとかなり脈ありだった気がする。女子から恋バナを振ってくるなんて普通はないだろう。のこのこと喫茶店までついてきているし・・・いや、それは普通か・・・
俺が単に信用されているか、眼中にないだけかもしれないしな・・・
さっきまで時間が経つのを忘れるぐらい会話が自然と弾んでいたのに、何を話していいかわからなくなってしまった。
ここからまた『メインヒロイン』について話題にするのもおかしい。逃げたなら逃げ続けるべきかもしれない。
「こ・・・この今流れている曲は?どこかで聴いた感じだが」
加藤はすぐに答えず、目線も合わせてくれない。紅茶をポットから注いだが空になっていた。
「何か追加しようか?」
「いい」
「もしかして、加藤・・・怒ってる?」
「怒ってない」
「そっか」
「ノクターン」
「ん?ノクたん?何のキャラだ?」
「この曲。ショパンのノクターン。有名なんじゃないかな」
「へぇ・・・加藤詳しいな」
「そう」
「アニソンならわかるんだけどな」
「ふーん」
怒ってはいるようだが、相槌は打ってくれる。
加藤が食べ終わって飲み終わって、俺が話題を戻せない以上はタイムアップか。加藤から切り出される前に俺が伝票をもって支払いに行くか・・・
窓の外をみると、金髪の長い髪が視界に入った。走ってこちらに向かっている。ツインテールの長い髪が風になびいている。あんな奴はそうそういない。
窓の前で立ち止まった。そしてホラーさながらに両手を広げてガラスに張り付き、こちらを見ている。
加藤も気が付いたようで目を少し見開いたが表情は崩さない。まじで表情筋がないのかもしれない。感情がないということはないだろうけど・・・
俺は英梨々がここに到着したことを知って、入口の方へ迎えに行った。
ドアを開けると、英梨々は息を切らしてペタンとしゃがみこみ、上気した顔でこちらを睨んでいる。
【画像04】座り込む英梨々
「大丈夫か?走ってきたのか?」
「た・・・たまたま通りかかっただけよ、勘違いしないでよねっ!」
「そ・・・そっか」
俺は今にもペタリと座り込みそうな英梨々に手を差し伸べた。
英梨々は少し迷ってからその手をにぎって立ち上がった。それから手を離す。
店に入ると、ウエイトレスのおばちゃんがびっくりした表情で見ている。英梨々が美人だから驚いたのか、他の女の子も来たから驚いているのか・・・
「すみません、ペリエを1つお願いします」
俺は英梨々がいつも飲んでいる炭酸水をオーダーした。以前もここで飲んでいたのでメニューにあるのは知っている。
テーブルまで案内すると、加藤が鞄を持って立っていた。
「あら・・・加藤さんじゃないの」
英梨々が息を整えてから声をかけた。加藤はぺこりと頭を軽くさげて会釈した。
「知り合い?」
「あんたね・・・知り合いも何も同じクラスメートでしょうが」
「いや、まぁそうなんだが・・・交流が何かあるのかと・・・」
「特にないわね」
「じゃ、安芸くんわたしはこれで・・・」
「ああ・・・うん」
「って、待ちなさいよ加藤さん。話があるわ」
「わたしに?」
「ええ、あなたに」
英梨々が4人掛けの奥に座った。加藤も座り直す。俺は加藤の隣に座るわけにもいかず、元の席・・・英梨々隣に座った。
「おまちどうさまです」
すぐにおばちゃんがペリエと氷の入ったグラスを持ってきた。それからいそいそと有線放送をいじって元のJPOPに戻していた。
小さいな気遣い、大きなお世話とはまさにこのことだ。
英梨々はペリエをグラスに移さずにそのまま口をつけて一口飲んだ。それからメニューをみている。
「倫也、桜あんはどうだった?」
「うまかったぞ」
「そりゃそうでしょうよ。加藤さんは何食べたのかしら?」
「わたしは桜あんトースト」
「ふーん。じゃ、2人とも同じもの頼んだのね」
「いや、俺は小倉トーストだけどな、半分にしてもらったんだよ」
「・・・ふーん、ずいぶん仲良いわね」
英梨々はメニューをぱたりと閉じて、「すみませーん」とおばちゃんを呼んだ。
「小倉トーストと、桜あんトースト。加藤さん何か飲むかしら?遠慮はいらないわよ」
「うーん」
「アイスコーヒーでいいわね?、あとアイスコーヒー3つ追加で」
「かしこまりました」
「あのなぁ・・・」
こいつ絶対に俺に支払わせるつもりだ。そんなに高い金額でないといっても、それなりの額に到達するぞ・・・
とはいえ俺は余計な波風を立てたくない。
英梨々が何もしゃべらずに無言でペリエを飲んでいるし、加藤もどうしていいかわからないまま無表情で何もしていないし、コミュ症の英梨々が会話を回せるわけないし、しょうがないので俺がもう一度会話を組み立てる。
「英梨々、部活は?」
「抜けて来たわよ」
「もう戻らないのか?」
「はぁ?あんた来たそうそうあたしに帰ってほしいわけ?」
「いや、そうじゃないけど」
「荷物も学校に置いてあるし、食べたら戻るわよ」
「大変だな・・・」
「何よ、バカ。誰のせいだと思ってんのよ」
因果な性格の英梨々自身のせいじゃないだろうか?
俺はコミュ症ではないが、3人での会話をどう回せばいいかよくわからない。英梨々とばかり話しているわけにもいかないし、かといって加藤との会話も途切れていたところだ。
かくして気まずい沈黙が流れる
「お待たせしました」
アイスコーヒー3つが先にきた。これで少し間がもつ。俺はもうアイスカフェオレを飲んだ後なので、何もいれずにブラックのまま口にする。加藤も英梨々も何もいれていない。
「で、倫也」
「はい」
「なんで、あんたが加藤さんと『2人きり』でここにいるのよ?」
「ふむ・・・」
「ここはあたしとの秘密の場所って約束したわよね」
「してないよな。平然と嘘つくな」
「何よ。自分が知っている中で一番いいところに女連れこんで」
「人聞きの悪い・・・」
「ほら、さっさと説明しなさいよ」
「ふむ」
さて、どこから説明したらいいんだろうか?
「136億年前にこの観測している宇宙が誕生してだな」
「長いわよ。せめてシアノバクテリアぐらいからにしなさいよ」
「ふむ・・・それでいくつもの進化を経てだな・・・」
「はしょりすぎね」
「まぁ落ち着け英梨々。こうして運命的に同じクラスで3人そろったわけだし」
「運命ねぇ・・・あんた、しゃべる気ないでしょ?」
「いや・・・どう説明したらいいかわからなくてな」
「心に疚しいことを抱えているからよ」
「・・・そんなことはないぞ・・・」
「ならいいわ、加藤さんに聞くから」
「いや、まて・・・」
「加藤さん、倫也とはどういう関係かしら?もう事後かしら?」
「質問の仕方おかしいよねぇ!?」
「うーん、ただのクラスメートかな」
「それ以外の何者でもないよなっ」
「じゃあ、なんで2人でここにいるのかしら?」
「安芸くんに言われて小倉トーストの魅力に負けたから・・・?」
「そうだったのか・・・」
「なら、しょがないわね」
「納得なのかよっ!」
その噂の小倉トーストがテーブルに届いた。シェアしやすいように今度は斜めに四等分されていた。
英梨々は生クリームをスプーンですくって小倉トーストに全部のせた。
「まるで何も聞かずにからあげにレモンかける奴みたいだな」
「何よ。細かいわね。加藤さんもまだ食べられるかしら?」
「えっと・・・夕食もあるから」
「ダイエット中?」
「うん。まぁ・・・いつもだけどね」
「女の子は大変よね」
そういいながら英梨々が生クリームののった小倉トーストを手でつかんで豪快に食べた。
「俺も一つもらおうかな」
「はぁ?あんたは我慢しなさいよ。加藤さんが我慢しているんだから」
「どんな理屈だよ。だいたいお前二つの食べられるのかよ」
「バカね、残ったら倫也が食べればいいでしょ」
「こういうのは焼きたてが美味いんだぞ」
「そんなの知ってるわよ。何言ってんのよ?」
しょうがないので、俺は桜あんトーストの方にも生クリームを全部かけて、それから1つとった。英梨々も本気で言ってるわけないから別に二度も怒らない。
「加藤もどうだ?」
「う~~~ん」
眉間に皺をよせて迷っている。あんだけ無表情だった加藤もずいぶんと迷っているらしい。
「じゃあ、1つ」
そして、甘い誘惑にあっさり負けたようだ。
「むしゃ・・・ほら、倫也・・・むしゃ、もぐ。さっさと説明しなさいよっ」
「んぐっ・・・しゃべりながら喰うなよ」
英梨々はどうやら追及するらしい。
アイスコーヒーで口をさっぱりさせて、俺は観念してすべて話すことにした。
「今日な、加藤と2人で話す時がたまたまあってな。そこで加藤にお礼を言われたんだよ」
「ふーん、なんの?」
「えっと・・・春休みの・・・」
「何?あんた達春休みにも会ってたわけ?」
「なんか誤解しているようだが、まぁそうなるのか。一度だけ会ってたみたいだ」
「何よ、そんな歯切れの悪い言い方が。どういうことよ」
「話しただろ。こいつ・・・じゃない、加藤が『桜坂の上にいた女の子』だったんだよ」
英梨々が桜あんトーストの方も食べようと大きく口を開けたところで固まった。それからしばし考えて、口に咥えた。
「んはふぁふぁんはんがそうふぇふぁけ?」
「せめて口にいれてしゃべれ」
「そう、じゃあ加藤さんが運命の相手だったわけね?」
「いや・・・そんな・・・」
「ねぇねぇ加藤さん。倫也が春先に一目惚れしたってはしゃいでいたのよ」
「わぁああああああああ!!!言ってねぇ!!加藤、言ってないからな?」
加藤は大きく目を見開いて俺を見ている。それから無表情をキープしようとしていたが、耳が真っ赤になっていた。
こんな形で告白されるとは思わなかった。英梨々デリカシーなさすぎだろ。
「じゃあ、まさに倫也が告白しようとしていたところに、あたしが邪魔しにきているわけね?」
「・・・そんなことはないぞ・・・」
「何よ、あんた。こんなところまで好きな子を呼んでおいて告白を後回しにする気?」
「ちょっとまて・・・なぜ、俺が加藤を・・・好き・・・だってことになってんだよ」
「違うのかしら?」
「ちょっとまて・・・」
音楽はJPOPのままだ。他の客も来店していて忙しいらしい。会話を盗み聞きされ、その都度有線放送を変えられてもたまらないし、ありがたい話だ。
加藤は下を向いて顔を赤らめている。こういう儚げな一歩引いた感じが奥ゆかしくて可愛い。もうだめ、胸がキュンキュンする。
そして俺の顔もたぶん真っ赤だ。
「そう・・・この子がねぇ・・・」
英梨々のセリフは余裕ぶっているが、さっきから目つきは悪く睨むように加藤を見ている。
「あのな英梨々。加藤は俺にとっての・・・」
加藤はなんだ?ただのクラスメートから『メインヒロイン』になってもらうんじゃなかったか。なんか曖昧になってしまったが。
「あんたのメインヒロインなんでしょ」
「・・・まだ未定だ」
「何?まだ言ってないわけ?」
「言った・・・」
「ふーんそれで、返事は?」
「そのあたりで英梨々から電話があってだな」
「あら、悪かったわね。じゃあ倫也の告白に対して、加藤さんがどう答えるかってところなわけね?」
「どうだろ・・・」
俺は二杯目のコーヒーを飲むとお腹が冷えてしまって、トイレに行きたくなった。あるいは逃げ込みたくなった。
「ねぇ加藤さん・・・あまり友達とは言えない関係だと思うけど。同じクラスメートとして忠告しておくわ。倫也はやめておくことね」
「その前置きいらなくね?」
「あんたは黙ってなさいよ。あたしは大事なクラスメートをあんたから救う使命があるのよ」
「どんな使命だよ・・・」
「加藤さん、あなたがどこをどう間違って倫也とここまで来てしまったかはわからないわ。でも、一緒にトーストシェアして食べているってことは、少なからず倫也に好意を抱いている部分もあるのよね」
「そんなには・・・」
「加藤もずっと黙ってたのに、そこだけ否定する!?」
「だってぇ・・・」
「こいつね・・・加藤さんをおかずにするつもりなのよ」
「はぁ!?お前何言ってんだよ!?」
「何よ。あんたが加藤さんに言いよってエロゲのメインヒロインを名目に、あんなことやこんなことをしようしてたのを、あたしは知っているのよ?」
「って、それお前が言いだした企画~~~!!」
「どういうこと?安芸くん?」
「どういうことも何もないわよ加藤さん。あたしと倫也は一緒にエロゲーを作るのよ。そのメインヒロイン、いわば倫也のオナペットにあなたが選ばれたわけ」
「オナペット?」
「わーわー、加藤はそんな言葉を聞き返さなくていいから」
「オナペットっていうのは、男性のマスターベーションのお気に入りの相手ってことよ」
「・・・ああ・・・うん・・・」
「納得しないでねぇ!?」
「倫也もやかましいわね。こういうのは嘘つくと後が面倒でしょ。ちゃんと了承を得た上でオナペットになってもらいないよ」
「無茶いうな!」
オワッタ。俺の人生カナダの首都になったよ。
ああ、加藤と過ごした時間は短かったけど、健全な高校生らしい時間だったなぁ・・・
「ねぇ安芸くん」
加藤の澄んだ少し高い声。別に怒っている様子はないようだ。呆れているかもしれないが。
「はい」
「その話はいったん横に置いといていいかな」
「なんならドブにでも捨てて忘れてください」
「うーん。なんか誤解みたいのもあるようだし・・・」
「おおっ、加藤わかってくれるか~」
「ないわよ。ないない。こいつの頭の中なんて煩悩100%なんだから、きっと加藤さんのレオタード姿でも想像してたに違いないわよ」
「レオタード?」
「ああ、英梨々の言うことはあまり気にしないでくれ」
なんで俺の妄想がピンポイントでわかるんだよ・・・こいつ。
「うん。そう、それだよ安芸くん」
「どれだい?」
「どうして、安芸くんは澤村さんのことを英梨々って名前で呼ぶのかな?それに、さっきから2人とも名前で呼び合って親しいみたいだし、学校じゃぜんぜん一緒にいないよね?」
「ああ、そういうことか・・・」
「どうしてよ、倫也?」
「お前まで聞くのかよ!?」
加藤が深く息を吐き出した。溜息とは違うようだ。
「もしかして、安芸くんと澤村さんは付き合ってるのかな?」
加藤がとんでもないことを言いだした。そして俺の脳裏には二つの選択肢が浮かんだ。
① いや、英梨々は近所に住むただの幼馴染だ。腐れ縁で妹みたいなもんだ。
② まぁだいたいそんなもんだ。はっきりとはさせてないけどな。
いやいや、まて。なんだよこの選択肢は!
(続く)
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