※この作品はR-18です。

【R18】冴えないエロゲの作り方(イラスト付き)   作:きりぼー

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早いもので今年もあと少しですね
一年が年々早く感じます・・・


08 小悪魔美智留のいざない

 闇。

 

 霧の立ち込める暗くて深い森のような薄気味悪さが広がっていた。ただならぬ気配に俺は不安な気持ちになった。

 

「やっほー、トモ」

 

 場違いに明るい声が響いた。

 

 闇の奥から美智留が現れた。頭には二本の角、背中には大きな蝙蝠のような翼、胸元の強調された衣装を着ていた。

 

 

【画像08 小悪魔美智留】

 

【挿絵表示】

 

 

 

「なんだその格好は・・・」

 

 緊張していた俺は美智留だとわかりほっとする。

 

「これはね~、小悪魔風コスプレ~、じゃないや、えっと、小悪魔美智留様だよ~」

「ほう・・・」

 

 自分でコスプレというあたり、美智留は美智留でしかない。

 

「で、何してんだ?」

「ああうん。えっと、倫也を殺しにきた」

「はっ?」

「ゲームオーバーだから」

「いや、意味がわからん」

「だって、いちいち澤村ちゃんが泣く描写いれても心が削れるよ~?」

「ああ、それはそうだな・・・」

 

 英梨々がマイナス3になった。どうやらマイナス3は失敗らしい。単純なフラグ管理だな。

 

「そういうわけで、死神の鎌でバッサリいこうかとおもったけど、せっかくだからヒュプノス的に終わらせた方がいいと思うんだけど、どう?」

「どうって俺に聞かれてもな。サキュバスじゃないんだな」

「何、サキュバスって?」

「・・・いや、なんでもない」

「というわけで、トモ・・・」

 

 ドンッ!!

 

 突然、美智留が壁ドンをした。俺はドキッとしてしまう。こいつは妙にイケメンなところがある。倫子モードになってしまうわ(赤面)

 

「トモ。目をつぶって」

「・・・」

 

 俺は言われるがままドキドキしながら目をつぶった。

 

 顎をクイッと片手で持ち上げられた。

 

 

 チュッ

 

 

 それは軽いキスだった。美智留の厚めの唇が俺に触れたかと思うと、すぐに離れた。

 

「はい、終り」

「なんだ?」

 

 俺のファーストキスがこんなよくわからない悪夢みたいな状態で奪われるなんて・・・

 

「トモはあんまり澤村ちゃんを泣かすような事はしちゃダメだよー」

「そんなつもりはないんだがな・・・うっ・・・」

「じゃ、トモ。次は間違えずにがんばって」

「・・・はぁ・・・はぁ」

 

 息が苦しい・・・俺はそのままうずくまって・・・気を失った。

 

 

※  ※  ※

 

 

 ガタンッ・・・と立ち上がった。

 

「・・・はっ」

 

 意識が戻った。あたりを見回す。ここは・・・いつもの喫茶店だ。

 

「どうしたのよ倫也。突然立ち上がって」

 

 隣には英梨々が制服姿で座っている。窓から差す光が英梨々の綺麗なブロンドヘアーを輝かせていた。

 

 そして、目の前には加藤が座ってこちらを見上げている。テーブルの上には食べかけの小倉トーストがのっていた。

 

 俺は慌ててケータイを見る。

 

 日付が・・・遡っていた。この日は加藤を初めて喫茶店に誘った日だ。

 

「死に戻りなのか・・・?」

 

 俺は困惑して呟いた。

 

「はぁ?あんたバカなの?死ぬの?」

「・・・そうだったみたいだな・・・」

「はぁ?」

 

 英梨々が呆れた顔で俺を見上げている。

 

「・・・ふぅ・・・」

 

 落ち着け。俺。白昼夢をみていたのだろうか。長く鮮明な時間だった気がするが、思い返せば夢のような気もする。過去とは不思議なものだ。

 

「で、倫也。誤魔化すのもいい加減にして答えなさいよ」

「えっ?何を」

「あんた加藤さんの話、聞いてなかったの?」

「ごめん。加藤・・・もう一度言ってくれるか?」

「うん・・・」

 

 どうやら会話の途中だったらしい。あの日は何があったっけ・・・俺は思い出そうとした。

 

 

「安芸くん。澤村さんとずいぶんと仲が良いみたいだから付き合っているのかな~って」

 

 

 思い出した。そうだ、この質問で脳内に選択肢が現れたんだ。質問の仕方が微妙に違うのは俺がいらぬ会話をはさんでしまったからだろうか。

 

 

① 英梨々は俺の大事な幼馴染だけど、別に付き合ってないぞ

 

② 俺は英梨々が彼女になってくれたらと思ってるんだが、こいつは誰とも付き合いたくないらしいんだ。

 

 

 二択の内容が変ったな・・・

 

 時間制限は特にないのだろうか。俺はここで熟慮する必要がある。

 

 

 この二択はどちらかがプラスされ、もう片方がマイナスになるはずだ。①は事実であるが英梨々の心証が悪かった。今回は『大事な』と補足されているから大丈夫だろうか?

 

 だいたい②はおかしい。確かに英梨々はモテるし、たくさんの男子をふっている。もはや定期イベント並みに軽い告白になっているのが現状だ。

 

 何しろ男子は英梨々と付き合えるなどと思っていないし、本命に告白する前に英梨々で練習するとか、英梨々に振られると本命との恋が成就するとかいう噂すらある。いわば度胸試しみたいなものになっている。

 

 だが俺が英梨々と付き合いたいと思っている?付き合うってなんだ?

 

 英梨々とはお互いの部屋に行き来するような仲だが、2人きりになっても何も起こらない。兄妹みたいなところがある・・・

 

 いまさら英梨々と付き合うと言われても・・・

 

 フラグ管理的には②が正解なのか?加藤との関係はどうなる?ここはどっちを選んでも大丈夫なはずだ。英梨々ルートと加藤ルートがあるとして、最初の選択肢で決まるわけじゃないだろう。

 

 よし。今回も①だ。

 

 

「英梨々は俺の大事な幼馴染だけど、別に付き合ってないぞ」

 

 言った後に英梨々を見ると、目からハイライトがなくなって、少し泣きそうな表情で俺から目線をはずした。

 

 そうだ。こっちの選択だと何故だか英梨々が哀しそうな顔をするんだった。

 

「そう、付き合ってないんだ」

 

 加藤が念を押すように確認する。

 

「・・・なっ?英梨々」

「・・・」

 

 英梨々は無言で答えなかった。

 

「じゃあ、そういうことなら安芸くん。よろしくね」

「ああ、うん・・・」

「ごちそうさま。今回は約束通り奢ってもらおうかな」

「ああ、大丈夫だ気にするな」

「お礼に今度お弁当でも作ってみるね」

「弁当?」

「メインヒロインってそういうことするんじゃないかな」

「あっ、いや、ありがたく・・・いただきます」

 

 英梨々はじっと前を向いたまま泣くのを我慢しているような表情をしている。

 

「じゃ、またね」

 

 加藤はヒラヒラと手を振って表情も変えずに店から出ていった。何を考えているのかよくわからないミステリアスな部分がある。

 

 何はともあれ、加藤とのフラグは立ったみたいだ。

 

 次は英梨々を全力でフォローだ。なんかやってることが下衆な気がするのは気のせいか?

 

「なぁ、英梨々」

「・・・」

「大事な幼馴染っていう紹介の仕方は別に悪くないだろ」

「ふん。何よデレデレしちゃって」

「いやぁ・・どうしてこうなったんだ?」

「知らないわよ!だいたいなんなのよあのぽっと出の女は。なんでエロゲーのメインヒロイン役を引き受けるのよ。頭おかしいんじゃないかしら?」

「そこはあんまり関係なさそうだったけどな」

「関係ないわけないでしょ」

「う~ん・・・もしかして、俺に気があるとか・・・」

「・・・あんた、加藤さんを脅迫してないでしょうね」

「してねぇーよ!」

「じゃあどういう接点があるのよ」

「だから、春休みに偶然帽子拾ったぐらいだって」

「ふーん・・・倫也はその出会いに運命を感じて恋に落ちたのよね」

「いや、それはわからんが・・・」

「認めなさいよバカ」

「いやいや・・・仮にそうだったとしても、それが加藤だって俺は知らなかったからな?」

「バカね。もしかしたら加藤さんも同じだったかもしれないじゃない」

「ん?どういうことだ?」

「同じタイミングで恋に・・・ないか」

「ないだろなー。どこに新聞配達中の奴に帽子拾ってもらっただけで恋に落ちるんだよ・・・」

「そうね・・・しかも倫也だものね」

「一言多いな。だがチョロインの可能性も微レ存?」

「いくらなんでもチョロすぎでしょ。メインヒロインに必要な資質とはいえ、帽子もらっただけで恋に落ちるなら、人生間違うわよ?」

「だよなー」

 

 結局のところ加藤がなぜOKしてくれたのかは謎のままだ。何かしら俺に対して好意を抱いているとは思うが真相はわからない。

 

 この後2人でアイスコーヒーを飲みながら考え、それから学校に荷物を取りに戻ってから一緒に帰った。

 

 

※ ※ ※

 

 

 眠る前にベッドの上で寝ころぶと、『恵+1 英梨々-1』と頭に浮かんだ。やはり英梨々がマイナスになっている。大事な幼馴染という関係ではダメなんだろうか・・・

 

 今日のことを思い浮かべる。白昼夢だったとは思えない。俺は死に戻りをしたか、意識を別世界に飛ばされたか、はたまた何らかの事情でやり直しを行っている。

 

 この後は詩羽先輩と出海ちゃんとのイベントが待っているはずだ。どうすればいいかシミュレートしておく必要があるかもしれない。

 

 加藤のことを思い浮かべる。フラットな表情はミステリアスで何を考えているかわからないところがある。ただの天然かもしれない。

 

 はにかむように笑うととてもかわいい。

 

 加藤のことを考えていたら、俺は知らない間に勃起していた。別にエロいことを考えていたわけでもないのに。

 

(続く)




そういうわけで今回は分岐を戻る形で迷走してみます

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