【完結後オマケ】お隣の天使様を変態紳士がいつの間にか堕天使にしてしまった件 作:麒麟人間
「……ついこの間、部屋中を片付けたと思ったんですが?」
「悪い、椎名。三日保たなかった」
以前真昼に部屋の掃除をしてもらってから数日後、以前ほどではなくとも、もう既に散らかり始めていた。
「ふぅ、これくらいならすぐに終わりますし、パパっと片付けてしまいましょう」
「いいのか?」
「これっきりですからね。今後はしっかり自分で片付けを習慣付けてください」
「助かる。流石に今回は反省したから、これからは善処する」
「善処ではなくて徹底してください、もう」
拗ねたように頬を膨らませる。こんな真昼は学校では見たことはない。
先日の件で避けられるかと思いきや、次の日からも普通に料理の差し入れが続いていた。
ただ、やたらと部屋の中をうかがう視線が気になったが。
掃除を始めてからも、時折チラチラとクローゼットの方を気にしているようだった。
「——あ、そういえばあの本はどうだった?」
忙しなく片付けをしていた真昼の肩がビクリと跳ね上がる。どうやらその件で合っていたらしい。
「ななな、何のことだかわかりませ——っ!?」
「バカ、危ないっ!」
急に振り向こうとした拍子に、床に落ちていた空きペットボトルを踏んづけてしまい、転げそうになる。
間一髪で腕を引くことに成功したが、勢い余って真昼をクローゼットの扉に押し付けるような形になってしまった。
「いつつ、大丈夫か、椎名」
「は、はい。私は、大丈夫です、けど」
顔を上げると、鼻がくっつきそうなくらいすぐ目の前に真昼の顔があった。
人形のような大きな瞳と整った顔立ち。染み一つない綺麗な肌にシルクのように艶のある長い髪。
学校の奴らが騒ぐのも今なら少し理解できる。まさに『天使様』という呼び名が相応しいほど、真昼は完璧な美少女だった。
「——、っとすまん。すぐどける」
「……いえ」
なんとか体勢を整えて距離を取る。
周とは逆に、真昼は大して動揺していないように見えた。
「……ん? 椎名、それは?」
「え? ……あっ!」
さっきの拍子に何かを足元に落としたらしい。
拾い上げると、見覚えのある成人男性向け漫画、つまり周のエロ本だった。
「これ——」
「ち、違うんです! この間うっかり持って帰ってしまったので返しておこうと……」
「うっかり、ねぇ?」
どう考えてもうっかりで持って帰るわけがない。
そしてこれを今再び持ってきたのは——
「大方、持って帰ったのはいいものの、どうやって返そうか悩んだ挙句、掃除のどさくさに紛れてこっそり元に戻しておこうと思ったってとこか」
「——っ!?」
図星と顔に書いてある。流石に真昼が「はい、お借りしたこの本とてもいいオカズになりましたよ」なんて言いながら笑顔でエロ本持ってくるとは思えないが、こっそり戻そうとしてくるとは。
「別に気にしなくても、ちゃんと返してさえくれれば自由に持っていっていいんだぞ」
「こ、これはうっかりです、うっかり! べ、別に他の本には興味ありません!」
「『他の』ってことは、この本は天使様のお眼鏡に適ったってことか?」
「〜〜〜〜っ!」
またしても図星の表情。動揺しているおかげで、自ら墓穴を掘っていく真昼は見ていて面白い。
それに、学校とは違って赤面したり拗ねたりコロコロと表情が変わる彼女は、いつもよりも可愛く見えた。
「本当は気になってるんじゃないか? 今まで知らなかった世界をもっと知りたいだろ?」
「そ、そんなことは……」
周はクローゼットの中から、おすすめ本をいくつか取り出す。
「たとえばこれなんかどうだ? 濃厚な恋愛がメインで初心者でも読みやすいし、感情移入しやすくてオカズにはもってこいだ」
「っ! み、見せなくていいです」
内容はエロ漫画とは思えないほど優れているのだが、どうしても表紙は過激なイラストになりがちな為、それを見た真昼はヘナヘナと座り込んでしまった。
だが、その視線はしっかりと表紙を見つめているあたり、興味が隠しきれていなかった。
「こういうのもあるぞ」
すかさず更に過激な物も並べる。
タイトルには『露出オナニーアンソロジーvol.11』と書いてあり、その名の通り、夜の路上に全裸で自慰行為に耽る女の子が表紙を飾っていた。
「な、なんでこの人は外で全裸なんですか!?」
顔を背けながらチラチラと見ていた真昼が、とうとう好奇心が羞恥心を超えたのか、その本を凝視する。
「さあ、普段の抑圧からの解放感とかが快感に繋がるんじゃないか? 露出する側の気持ちはわからないが」
読む分には性癖でも、自分が露出する気にはならない。あれはあくまでそういうコンテンツだと思っている。
「信じられません、こんなの、変態です……」
真昼はそう溢しながらも、その視線は離れない。興味を持ちはしても、流石に周の前で読もうとはしないだろう。
「よし、じゃあ俺はまたトイレでオナニーでもしてくるから、椎名も後は好きにしてくれ」
「だ、だから女性に向かって平気でそう言うことを言わないでください。……藤宮さんも変態です」
「男の生理現象なんでな。好きに言ってくれ。じゃあな」
——真昼視点——
周はそう言って別のエッチな本を持ってトイレに入ってしまった。
(ど、どうしましょう)
好きにしてくれと言われたことだし、自分の部屋に戻るのが正しい選択……のはずなのに、視線はついつい先ほどの本に向いてしまう。
「外で露出だなんて……その上、こんなことまで」
いつもは誘惑への自制が効く真昼だが、何故かこの類いの件に関しては自制が効かない。
ついペラペラとページを捲ってしまう。
周は抑圧からの解放感、と言った。確かに、露出行為に励む女の子たちは、普段はむしろ大人しくて自己主張の少ない子が多かった。
その反動でより強い快感を得るのだと。
ならば、真昼は?
家の環境が環境だけに、一般家庭より抑圧は大きいと思う。
なら真昼も、衣服と共に全てを脱ぎ去ってしまえば、大きな快感が得られるのだろうか?
「——はっ!? わ、私は何を考えて……」
頭を振って浮かんだ考えを振り払う。
いや、そもそも何故やる前提で考えてしまっているのか。
顔が物凄く熱を持っているのがわかる。刺激が強すぎてちゃんと頭が回っていない。
「へ、部屋に戻らないと……」
このままここにいたらもっとおかしくなってしまいそうだ。
フラフラした足取りで廊下を通ると、前回のようにトイレの中から周の自慰行為の気配がした。
『ふっ、ふっ、あああっ……』
シュッシュッと何かを擦るような音も聞こえる。
前回はすぐに立ち去ったが、今日は何故か聞き耳を立ててしまった。
(ふ、藤宮さんの自慰行為……そういえば今日はあのお、おな……ほーる? とやらを持っていっていないみたいでしたけど、無くても出来るんでしょうか?)
そもそも、男性器がどういう仕組みになっているのか、真昼にはわからない。
勃起や射精といった仕組みは保健の知識としては知っているけれど、実際にどんな形をしているのか、実物を見たことなんてない。
(音からすると、手で擦っているんでしょうか?)
すぐドアの向こうで自慰行為に耽る周を想像してしまう。
荒い息、汗ばむ肌、そして力強く勃起するおち◯ちん(想像)。
「…………んっ」
自然と股間に手が伸びていた。少し触れただけで濡れているのがわかる。
前回はすぐに逃げ出してしまったが、今日の真昼は壁に背を向けてそのまま指を動かしてしまう。
「あっ、ふっ……んんっ!」
今まで自慰行為なんて碌にしたことがなかった真昼の体は、強い快楽に慣れておらず、思わず声が漏れてしまった。
『椎名? そこにいるのか?』
トイレの中から周の声が聞こえて飛び上がる。
周の自慰行為を盗み聞きしながら、自分を慰めていたなんてバレるわけにはいかない。
「い、今から部屋に戻るところですっ! それでは!」
その場から離れたくて急いで自分の部屋に戻る。
(わ、私は一体何をしようとしていたんでしょう……)
これでは周のことを変態呼ばわりできない。それなのに、今もさっき触れた股間の疼きが収まらない。
(下着が、濡れて気持ち悪いです……)
触らなくてもわかるくらいにグショグショに濡れた下着が不快だ。
履き替える前に、尿意を催したので先に用を足す。
いつものようにウォシュレットの「ビデ」を押すと、当然ながら水が噴射される。
「——ふぁあっ!?」
普段なら何も感じないのに、疼いていた体は、ウォシュレットの刺激にも敏感に反応してしまった。
体制を変えようにも、急な快感で腰が抜けてしまって立ち上がれない。
「あっ、いやぁ! こ、こんな、ダメですっ! と、トイレでなんてっ!」
逃げようと悶えるのが、余計にいろんな場所を刺激することになって快感が高まっていく。
「んんっ、ああんっ、そ、そうです、停止ボタンを押せば……」
ウォシュレットの動作を止めればいいということに気づいてなんとか停止する。
止まってしばらくは息も絶え絶えになってしまった。
「私の体は、どうしてしまったんでしょうか……」
今まで感じたことがないほど敏感になった体に、おかしくなってしまったのではと疑念が湧く。
ひとまず疼いて仕方がない体をこれ以上刺激するのを自制し、フラつきながらトイレから出る。
部屋に戻れば換えの下着があるため、濡れた下着は脱いだまま出てきてしまった。
ふと、玄関が気になった。今誰か来たら、ノーパンの状態で対応しないといけなくなってしまう。
「今、下着を履いていないんですよね……」
さっき見た本の内容が頭から離れない。
外で裸になんてなれないけれど、自分の部屋でなら……?
「……んっ」
つい出来心でスカートをたくし上げてみる。
こんなこと、いつもなら思いつきもしないし、試そうとなんてするはずがないのに、疼きが治らない今の真昼にはこれ以上の自制心はなかった。
「もう少し、あと5センチだけ……」
スカートがおへその辺りまで持ち上がる。
今誰かがドアを開ければ、露わになった真昼の秘部を見られてしまうだろう。
「ああっ、だ、ダメなのにっ!」
トイレで拭いたばかりの秘部から、愛液が止めどなく溢れ出す。
部屋の中で着替えるのとほんの数メートルの違いなのに、もしかしたら急に誰かがドアを開けるかもしれないというリスクがあるだけで、こんなにも快感が増すとは思わなかった。
「こ、こんなところを、もし藤宮さんに見られでもしたら……あっ、ふあぁっ!」
トイレ越しに自慰行為をしていた周を思い浮かべた途端、全身に電流が流れるような快感が走り、立っていられなくなってその場に座り込む。
「はぁっ、はぁ、い、今のは……なんだったんでしょうか」
人生で初めての絶頂の余韻で、しばらくその場から動けなかった真昼だった。
ムッツリ天使様覚醒しました
名前:椎名真昼
絶頂1回
オナニーレベル1(触れただけ)
露出レベル1(玄関でノーパン露出)
性癖:露出