オーバーちんぽ 作:鈴木聡
拝啓、アインズ・ウール・ゴウンの皆さま。
お久しぶりです。モモンガです。
皆さまはどうお過ごしでしょうか? お元気にしているでしょうか?
本来であれば直接口頭でお伝えするべきだったのですが、お恥ずかしながら、私は皆さまのリアルでの連絡先を知らないためお電話もできませんでした。
私にだけ教えてくれなかった気もしますがそれも過去のこと。そんな小さなことは水に流して、また皆様と楽しく語らいたいと切望しています。
私の元にもアインズ・ウール・ゴウン主催の『ユグドラシル友の会』の同窓会案内が届きました。開催場所の住所をネットで調べたらヤクザの総本山でした。送り主の住所も調べてみたのですがアコムの窓口でした。また私に金を借りさせて課金アイテムを譲渡しろという事なのでしょうか。
この手紙が届くころ、ちょうど宴会は始まっているのでしょう。
きっと皆さまはあの頃のように楽しく笑いあっているのでしょうね。
とても残念なことに何かの手違いで同窓会案内の住所が誤っていたため私は参加できずじまいですが、もし仮に住所が正しかったとしても…………、
「うひょおおおおおおおおおおおおおお!!!! おちんちんシュッシュッシュ!!!! 街中で全裸オナニー気持ちェッッッ!!!!」
ごめんなさい、同窓会には行けません。いま、ユグドラシルにいます。
このナザリックを縦断する大墳墓を作っています。……本当はあの頃が恋しいけれど、でも今はもう少しだけ、法律を知らないふりをします。
私の作るこの
「射精我慢大会ゲーム! やる人このチンポにとーまれっ! あれれー? 参加者はぼく一人ぃ? それじゃあ仕方ない。不戦勝により優勝の俺様のウイニングオナニーライブを今から24時間全国放送でお送りするぜ!? ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!! シコココココココココ」
誰一人としていなくなったVRMMO『ユグドラシル』。俺はそこで白熱の一人オナニーショーに耽っていた。
今までこの世界のシコい美女キャラたちを前に一切抜くことを許されなかった屈辱を今ここで晴らす時が来たのだ。
もはやどこにもこの俺を止める事などデキヌゥ!!(ブロリー)
2分後
「……むなしい」
賢者モードにリージョンフォームした俺は大の字になって空を見上げていた。
あと23時間58分もシコるとか無理。チンコが五劫の擦り切れ海砂利水魚しちゃう。
アンデッドなのにチンチンまでデッドしたら笑えない。
晴れてユグドラシルはサービス終了となった。正しくはもう間もなくだが。
かつてトップランカーエロギルドとして名をはせたアインズ・ウール・ゴウンのメンバーも今は俺一人を除きとっくに引退してしまった。
そんな俺も最近はエロデモンズとのエロセックス(エア)に忙殺されていたのでこんなクソゲーの事なんて忘れてたんだが、ヤフーニュースでサ終の報せを目にしそんなのもあったなーとログインしてみたのだ。
遠き日に想いを馳せてみる。
あの頃は本当に楽し――いや楽しくはなかったかもしれない。
俺一人をガイコツキモすぎとかイカ臭いとかワキガとか言ってのけ者にし、息が精子臭いとか言って俺の机の上にリステリン(紫)と消臭力(トイレ用)とか置いてたり、消費者金融で金借りさせてメンバー全員に課金アイテム配布させられたりと散々だった。
確かに俺はギルドメンバー(女)に筆おろししてほしいとか「見抜きいいっすか」とか言ったけど全部未遂で終わったし、透明化魔法で息を殺して三日三晩女風呂盗撮し続けたりしたけど、そのくらいでこの仕打ちは本当に酷いと思う。
「モモンガくんって障碍者手帳持ってる?」とか聞いてきたのマジで許さねーからな?
ククク、だが今の俺はこの世界の神と言っても過言ではない存在!
俺たちのギルド本拠地であるこのナザリック大墳墓。そこには俺含めたギルメンがキャラメイクしたキャラクターたちがおり、その中にはエロい見た目をしたキャラクター達も多く存在する!!
ほかのギルメンも数か月ログインしていないせいかギルド管理権限は久しぶりにログインした俺に譲渡された。これでいくらでもキャラクター達の設定を俺の好きなように書き換えることが出来る。
後悔してももう遅い!!!! 女キャラクターの設定を書き換えまくり、どいつもこいつも俺に欲情するエロエロエルニーニョにしてやる!!!!!れ!!!!
「さてと、どれにしようかな……っと」
さっそくナザリックへ赴きキャラクターのリストを確認してみる。どいつもこいつも製作者の性癖の思うがままに作られており、淫魔やらのじゃロリ(?)やら男装ロリ&ショタっ娘やらクソみてーな変態だらけだった。
どいつもこいつも気持ち悪い設定のオンパレードだ。いい歳した大人たちが真面目にこんな設定をだらだら書き綴りやがって。恥ずかしくないのだろうか。分をわきまえた方がいいと思う。
ここはひとつ、理想的な成人男性の価値観を持つこの俺様が彼らのキャラクターを導いてやらねばなるまい。
まずはこの「アルベド」からだ。
……設定の文章が冗長過ぎて吐き気を催してきた。要約すると「エロい」「強い」「エロい」の三拍子ってところだな。
ここに塩をひとつまみ……(ニチャア)。『モモンガの事が大大大大大好きな100人の彼女のひとり。モモンガを見ると発狂発情し襲い掛かってくる変態クソ土方』……っと。
これで俺の姿を見るなり股から激流葬を放ってくるトラップカードとして活躍してくれることだろう。エグゾディアも真っ青だぜ。
お次はシャルティアだ。
何だこのシャトレーゼみてーな名前は。設定を見ると語尾に「ありんす」とか付けるらしい。ふざけたヤローだぜ。
今日からお前の名前は「ありんす」だ。分かったら返事をするありんすねぇ!?
口調も分かりやすく一人称は「わし」語尾は「のじゃ」にしてやるとしよう。これでお前は名実ともにのじゃロリだ。天国に旅立ったペロペロチンポくんも泣いて喜んでいることだろう。
そしてこの双子……えーと、姉が「アウラ」で弟が「マーレ」ね。
いかにも女が考えそうな設定だな。製作者はぶくぶくガチャまんこか。卑猥な名前だよなホント。運営は仕事しろ。
こいつ俺が筆おろし頼んだ時に運営に通報しようとしやがったんだよな。思い出したらむかついてきた。こいつの子供達とも言えるクソガキ二匹には親の責任を取ってもらうとしよう。
そうだな……姉の方は「おしりかじり虫(朋子)」弟の方は「去勢されたキンタマドラゴン」でいいか。
ほかには男のキャラも結構いたな。
なになに、「デミウルゴス」「コキュートス」「セバスちゃん」とな。駄目じゃないかキンケドゥ、もっと凝った名前にしてやらなきゃ。
デミウルゴスは名前からして似てるから「デミグラスソース」。コキュートスは見た目がザリガニだから「エビちゃん」。「セバスちゃん」は……「チャンカワイ」でいいか。
設定は……男はどうでもいいなぁ、チンコのサイズでも書き加えとくか。
「さてと、結構疲れたな……。はぁ、何やってんだろ俺」
賢者モードのせいかますます空しくなってきた。なんでサ終を迎えたゲームにログインしてわざわざこんなしょうもないことしてるんだろ。AVでも見てる方が有意義だったかもしれない。
でもギルメンの黒歴史たちをいじくりまわしてネタキャラにしてやったことで少し溜飲が下がった気がする。あいつらマジで人間のクズだったからな。俺が総理大臣だったら皆殺しにしてるくらいに。
そして運営からの自動アナウンスが流れ始めた。カウントダウン後、ログイン中のユーザーは全員強制ログアウトされいよいよ以ってユグドラシルのサービスが終了するらしい。
無課金者お断りの札束で殴り合うクソゲーではあったが、こうしてまたひとつ歴史の幕が降りるのはセンチメンタルな気持ちにさせられる。
カウントが「5」を切った。
一つの世界が終わりを告げようとしている。
「あばよクソッタレな世界!! 大嫌いだったぜ!!!!」
「0」。中華性ワイヤレスイヤホンの充電切れみたいな声と共に世界が真っ白に包まれていく。
俺は目の前が真っ暗になった。
(真っ白から真っ暗とかこれもうわかんねぇな)
(……あれ? 俺いつ目を閉じてたっけ??)
閉じた目をゆっくりと開ける。
しかしそこにはまだ先ほどまでと同じ風景が映っており、座ったまま足をピン立ちでチンコを握っている姿勢もそのままであった。
まさか最後の最後まであのクソ運営がやらかしたのだろうか。もしそうだとしたらとんでもねぇ無能たちだな。サ終したのも頷ける。
「最後の最後までマジでクソな運営だな……。カウントダウンも止まったし」
これではいつ強制ログアウトするかもわからない。ユグドラシルの運営は過去にも似たような事故をやらかしており、その際は緊急メンテにより2時間ほどログインできなくなっていた。この様子ではいつログアウトするかも完全に不明だろう。
(まぁいいか。他にも色々見てないところもあったし飽きたら勝手にログアウトしよう)
よっこらセックス……とやおら勃ち上がると同時にノックが部屋へ飛び込んでくる。
俺は猛烈な勢いで脱ぎ捨ててあった黒いローブを羽織り直した。
「どどどどちら様でありんすか!? 今わたしとてもお忙しいですのよ!?」
「あら、モモンガ様がいらっしゃると思っていたのだけど……違ったかしら?」
「え? この声って……」
若く艶めかしい女性の声。これは確かアルベドというキャラのはずだ。
妙だ。NPCはプレイヤーが話しかけない限り喋ったりしないはずだが……後のアップデートで喋れるようになったのだろうか?
「いや、間違ってない。私はモモンガだ。用があるのだろう? 入るがいい」
「ご多忙のところ恐れ入ります。失礼いたします」
ローブを完全に着直した俺はアルベドを中に招き入れた。
ボディラインが浮き出た白いドレス……うーん、ちんちんが疼いてきた! 今日のおかずは君に決めた!(松本梨香)
「お久しぶりにございます、いとしのモモンガ様。ああ、いつ見てもその御姿、凛々しく美しく力強く――」
「ワハハ、よせやい。って言うかお前キャラ変わった? なんか顔赤いし……」
こいつ気持ち悪いくらいべた褒めしてくるやん。おかしいな、さっき設定見た時はもっとプライド高そうな感じだと思ってたんだけど。そもそも昔プレイしてたときもこんな媚びへつらう感じじゃなかったしなぁ。
「――黒々しく硬くて太そうな雄チンポ。まさに至高の御方の中でも最高峰! モモンガ様のイチモツはワールドアイテム級で……」
「え? お前さっきから何を……」
「ウ……ウォォォォオオオオオオオオオオ!!!!!!」
「はぁ?」
なにこれ怖い。アルベドが卑猥な事言い始めたと思ったら突然筋肉モリモリのマッチョメンになって発狂し始めた。
ケンシロウみたいに服がビリビリに破けたと思ったらブラはしっかり付けたままだ。仮につけてなかったとしても筋肉ダルマの牝ゴリラとなったこの姿では色気を感じるのは不可能だ。
「アインズ様のオマンコオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!??????」
アルベドにタックルされるや否や、俺の身体はナザリックの壁を突き抜け250メートルくらい吹っ飛ばされた。全身の骨が折れるかと思った。
「い、いってえええなぁ!!!何だてめえ!!!!!!!」
「ふしゅるるるる……アインズゥゥゥゥゥ」
アルベドが闇の冷気を纏ったエロデモンズのような形相で一歩、また一歩と俺に近づいてくる。
既に美しい顔は跡形もなく変形しており範馬勇次郎のようになっている。多分俺はこれから蹂躙されるんだと思う。鈴木聡は悟りました、ここがゴールであると。
「アインズオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」
「イヤァァァァ!!ラメェェカルメェェ!!!!!」
「な、何事なのじゃ!? どうしたというんじゃアルベド!」
アルベド――いや勇次郎が俺に馬乗りになって服を脱がそうとしているとのじゃのじゃ言ってるロリータファッションの幼女が慌てて飛び込んできた。
「なな、何してるんじゃアルベド!! 正気に戻るのじゃ!」
「貴様ッッ!! 漢のまぐわいにチンポではなく水を差す気かッッ!!」
「なに言ってんだお前!?」
語尾を忘れてツッコむ幼女。あれはシャルティアで間違いなさそうだ。しかし何故かのじゃロリになってる……まさか俺が設定を書き換えたからだろうか?
(まさかとは思うが、アルベドがブロリーみたいになってるのは俺が設定を書き換えたからか?)
シャルティアがゴリラと押し相撲をしている隙に安全圏へと非難する。そしてゲームシステムの一つであるキャラクターリストを開いてみる。
……が、一向に開く気配がない。どういう事?
「一体何事ですか!? アルベド! ありんす! 何を暴れているのです!?」
「暴れんなよ! 暴れんなよ!」
「デミウルゴス! アルベドを止めるのを手伝ってほしいのじゃ!!」
「愚か者どもがああああ!!! 皆殺しだああああああ!!!!」
「お止めなさいアルベド! モモンガ様の御前なのですよ!!」
そこら中からわらわらと人が集まってくる。どれも見た事のある顔ぶれだ。間違いない、彼らはナザリックのNPCたちだ。
しかし誰もが生きた人間の様に振る舞い会話を繰り広げている。
一体ユグドラシルに何が起きているのか? そして俺には何が起きているのか。
ふとちんこをまさぐってみる。恐怖と驚きからか俺の息子は矮小に縮こまってしまっていた。