万年底辺冒険者ポンコツ淫魔になる 作:ミスリル加工されたワカメ
「さて、出来たよ」
「おぉ!遂にか!」
光が収まり、店内の明かりが再び灯るとカプラは出来上がった服の下を俺に差し出す。
「要望にお答えして、下はパンツタイプの物にさせて頂いたよ。洗いやすさも欲しいとの事で基本の素材は綿にさせてもらったよ。擦り切れにくい素材だから長持ちするだろうね。どうだい?」
「これは…!」
万年似たような3着1500Gの服を着ていた俺からすればそれは極上の触り心地だ。
ザラザラしている訳でも無く、かといってツルツルもしていない。
しなやかな生地は非常に滑らかだ。
「?この穴は…」
「あぁ、その穴は尻尾を通す穴ですよ。私達みたいな尻尾の生えた種族が履きやすいように空けられてるんです」
アリシアが俺に尻尾を見せるように後ろを向く。
珍しくパンツルックだったアリシアの尻尾が穴から出ているのが確認できる。
「あー、そうなんだよな…普通のズボンって尻尾ですぐずり落ちるんだよな〜」
それで1度ギルド内で俺の尻が晒されかけたのは皆には秘密にしていることだ。
うん。
「さて、次は上の服だよ」
「ほほう。次は…シャツか?首元と…腰部にボタンが着いてるな」
カプラは長袖のシャツの前と後ろを交互に見せる。
見た目は至って普通…いや、俺が着ていた服よりも高い普通の服とほぼ変わらない。
首元のボタンは角が引っかからないようにするものということは分かる。
「このシャツ。なんと!」
「おう」
「洗いやすくてすぐ乾くよ」
「それはありがたい…な?」
「ありがたいですね」
触り心地は非常に心地よく、着心地はいいだろう。
「他にもあるよ」
「ほほう…それはなんだ!」
「なんと!汚れが付きにくいんだ」
「…」
「あと燃えにくい」
「サラッとすごいこと言ったな?」
「バフォメット族にとって魔術って便利な道具くらいの扱いですので…はい…」
「えぇ…」
サラッとすごいことを言っていたがこれはいい事だ。
やらないだろうが野営をするとなると焚き火の火の粉で穴が開くなんて普通に有り得る。
まぁ、そこは縫い合わせればいい事だが。
「まぁ、それは凄いいいことではあるんだが…この腰のボタンはなんだ?」
「それは羽根を出す穴ですね」
「羽根?そんなのあるのか?」
「バフォメット族にはないけどね。それこそ淫魔。ルードクンやアリシアクンとエリカちゃんには有るね」
「…見たことがないな…俺にもあるのか?」
自分の腰やアリシアの腰をマジマジと見る。
なにか生えている訳でも無く、スベスベとした白い肌が見えるだけだ。
「普段は収納されてますからね」
「へぇ〜飛べるのか?」
「大きさにもよりますが淫魔は飛行に適した種族では無いので…短い時間飛ぶのと滑空が関の山ですかねぇ」
「なるほどなぁ…さて、その…今すぐ着てみても?」
正直ワクワクしている。新しい服を着るというのは年明けに新品の下着が云々とは誰の言葉だったか。
それくらい俺はワクワクしている。
「あぁ、もちろん着「ちょっと待ってください」
「?アリシアクンどうかした?」
着ていいというカプラの言葉をアリシアが遮る。
俺はと言うと脱ぎ始めていた服を元に戻す。
「ルードさん。まだ重要な物がありません」
「お、おう?」
アリシアは迫真の眼差しで俺に向き直り、カプラは不思議そうにアリシアを見ている。
「それは下着です」
「…あ、すっかり忘れていた…」
「なるほど…だからそれほどに揺れていたんだね。眼福だったよ」
「夜を共にはしないからな?」
「それは残念だ」
そうだ。俺にとって2つ目の問題。
それは下着問題だった。
今俺の服の下はほぼ全裸。このままでは俺は痴女まっしぐらだ。
「既にサイズは測ってあるからパッパと選んでくるよ」
「その…俺も一緒にいいか?どんなのかはその…自分で見てみたくてな…」
「なるほど。わかったよ。アリシアクンはここで待っておくかい?」
「そうさせていただきます。いってらっしゃーい」
広い店内でアリシアは小さく手を振る。
衣服の壁と壁の間をカプラの後を着いていく形で奥へ奥へと進んでいき、女性下着のコーナーへたどり着く。
「こ、これが…」
「そう。これが胸当てだ。どれにするかい?色は様々。君の好みを選ぶといい」
選べ。とは言われたものの何をどう選べばいいのか。
25年男として過ごしてきた俺からすれば何も分からない。
大衆浴場でも似たような事になっていた気がするがこればかりはどうしようも無い。髪と肌のケア?下着?なぁにそれぇ…。
「な、なぁカプラさん」
「カプラでいいよ」
「そうか…じゃあカプラ」
「なんだい?」
意を決したようにルードは口を開く。
「俺みたいなさ。冒険者向けの下着って…無いか?」
何度も言うが25年だ。俺に女の下着の選び方なんて分からない。だからこそ服の専門家に頼むのが1番だろう。
「あぁなるほど。そうだね、まずこれはどうかな?」
「これは…不思議な触り心地だな」
カプラが取りだしたのは薄手の黒い下着。
過度な装飾や露出自体は少なく、非常にシンプルなデザインだ。
「限界まで細くよじった綿を使って作った物だね。胸や陰部を覆う素材は風花綿を使用していてね」
「風花綿?」
「あぁ、通気性の高い綿の1種だね。激しく動いても型崩れせず、なおかつ汗も良く吸う。欠点は乾きにくいって部分だけどまぁそこは誤差の範囲内だね。ささ、着てみてくれ」
「少し窮屈…か?…ほほう、凄いなこれ。ジャンプしても無駄に揺れないな!」
ルードがジャンプしてみせる。
僅かではあるが何も着ていない時に比べルードの胸の揺れは小さくなったように思える。
「…ゴクッ…」
「?」
だが胸の揺れなど関係なく、布1枚の隔たりしかないルードの豊富な胸はプルプルと揺れ、カプラは生唾を飲む。
「さて!これで終わり__」
「おっと、そういう訳には行かないよ」
「へ?まだなにか有るのか?」
「それは壁外とかで使う様に作られたから普段使いには向いていないんよ、という訳で」
「…嫌な予感が…」
その嫌な予感は的中する。
「普段使いできる下着を選ぼうか」
「やっぱりか!」
カプラは迷いなく掛けられた下着を手に取る。
「こ、これは…!」
「うん、まぁ本当に普通の下着だね」
それは黒い胸当てだ。
黒いレースがあしらわれ少しばかりの赤がアクセントになっている。少しばかり扇情的だ。
「う、うーん…」
ルードは迷っていた。
諦めてこの女性的な下着を着けるべきかどうかを。
壁外での行動や依頼以外に必要ないのでは?と。
「まぁまぁ、とりあえず着けてみよう。ね?」
「お、おう?わ、わかった… 」
言われるがまま試着室へルードは通され、着ていたものを全て脱ぐ。
「…」
ふと鏡を覗くとそこに写っているのは俺じゃ無いがやっぱり俺だ。
シミひとつ泣く、産毛すら生えていない。
ハリがある胸や豊富な臀部。眠たげなタレ目の美女だ。
「……はああぁぁぁぁ……さっさと着けるか…」
邪魔にならないよう髪を纏め、渡された胸当てを着ける。
乳首の当たる部分はレースではなく、柔らかな絹でできており胸全体を覆う。
「…おぉ…なんというか…胸が支えられるような……ッ!?」
「すまない!少し隠れさせてくれ!!」
「なっ、あっちょ…ムぐっ!?」
後ろの金具を着けた瞬間、カーテンがバッと開きカプラが現れるとそのまま試着室の狭い空間に声を出そうとしたルードの口を後ろからカプラが塞ぎ、大きな背と角を試着室へねじ込み入ってくる。
ルードは…と言うと下着は上しかつけていないため色々モロ出しである。
「…ップハァ…!な、と、突然何を…!」
「シーッ…アレを見てくれたまえ…」
「アレ?…女が…2人?」
カプラに促されるままカーテンの隙間を除く。
そこには聖職者のようなカッチリとした露出の少ない服を着た女が2人、服の壁の間を歩いて居るのが見えた。
1人は金髪のポニーテールで鋭い目をしており、もう1人は目を閉じた黒髪のショートボブいるようにも見える。
「あ、あれなんだよ」
「異端審問官さ…」
「いた…異端審問官…だと?」
昔の本でしか聞いたことの無い存在に驚愕する。
「み、見つかったら…ご、拷問でもされるのか…?爪とか…角とか引っこ抜かれるのか…!?」
幼少期。育ての親である爺さんが眠気まなこのルードに昔話を色々してもらったのを思い出す。
眠れなくなり漏らしたのは言わずもがなだ。
「シーッ…!今の時代拷問は重罪だ…」
「じゃ、じゃあ何を…」
「___みを言われる…」
「へ?」
「めちゃくちゃねちっこく嫌味に近い説教を受けさせられる…」
カプラの表情は恐怖ではなく。どちらかと言えばとてつもなく面倒臭い物を見て苦虫を噛み潰したような顔だ。
「全く、ここは相変わらずはしたない物が多いですね。そう思いませんか?シャルちゃん」
「シーナちゃーん?私たちは勝手にお邪魔してるだけでは〜?さすがにお店に入り込んで説教だけして帰るのはどうかと思うよ〜?」
「何を言ってるのです!私たち異端審問官の仕事を忘れたのですか?異端者を炙り出し…拷問…は今の時代アウトなので言葉で攻めるんですよ?つまり正当!」
「うーん、それはそれでアウトなのでは〜?」
物騒な事を呟く金髪に、それを窘める糸目。
「せっ、説教って何を…」
「座らせられて5時間くらい小言を言われる」
「別の意味でキツイ拷問だな…って…」
今の状況は非常にまずい。
狭い空間に胸当て以外着けていないルード。そしてナニが生えている側のカプラが密着している。
「む、これは…」
「下着ですね〜。薄いですし普通に透けてますね」
「は、は!はしたない!!しゃ、シャルちゃん!別のとこを探しますよ!!」
「あー、シーナちゃん待ってくださいよ〜」
シーナと呼ばれた少女は顔を赤くすると他の場所を見に行くと言ってそのまま店内の別方向へと歩いていき、シャルと呼ばれた少女は置いていかれないよう慌てて着いて行った。
「一時は出られそうに無いな……む」
背中に何かが当たる感触を感じる。
胸は言わずもがなだが、布越しに固いものを。
「あ。す、すまない…」
「マジか…俺で?」
そう、カプラは勃起していた。
それもそうである。下半身丸出しの淫魔と密着していればこうもなろう。
ズボンの上からでも分かるほどに固く、熱い物が。
「ちょ、ちょっと待てないか!?」
「い、いや大丈夫ではあるんだがね?…その…」
「……」
若干ながら試着室が熱く感じる。
(やべぇよ…やべぇよ…いやてかデケェな!?)
背中に当たるブツをどうするかルードは熟考し、ひとつの結論に至ったのだった。
次。チョメチョメします(本番無し)