「止まれ」
ドワルゴン兵が槍を向ける。
「魔物の入国は許可制だ」
「僕は悪いスライムじゃないよ!」
「……?」
兵士達が真顔だった。
「通じねぇ!!」
モリ夫も真顔だった。
「そりゃそうだろ」
「所属名を名乗れ」
「んー株式会社スライム」
「きもすぎ」ガラガラ
門が締まり始めた。待て待て待て!!!
フェラリルは退屈そうに欠伸した。
「俺なら一瞬でカタがつくぞ」
「やめろ」
兵士達の視線がさらに険しくなる。
「狼までいるぞ」
「しかもデカい。しかも毛並みがもふもふしてる」
「というかかわいい。後で毛並み触らせてくれないかな」
ソウエイが小声で呟く。
「主君」
「このままでは戦闘になります」
「だよなぁ」
どうする。
その時。
おじ丸から事前に貰っていた刀を思い出した。
「これを見ろ!!」
兵士達が目を細める。
「いや、お前のちんぽには異常はないが……」
「ちげーよバカ!!刀を見ろっつんだよ!!」
「……その刀」
「おじ丸作か?」
「知ってんの!?」
「知るも何も」
「ドワルゴン売り専ランキング3年連続1位だぞ」
「何のランキングだよ」
「鍛冶部門では7位だ」
「鍛冶の方が副業かよ」
どうやらおじ丸の売り専技術と鍛冶技術はかなり有名らしい。
さらに。
ソウエイが冷静に話を続けた。
「我々は技術協力を求めて来た」
「敵対意思はない」
兵士達は顔を見合わせる。
「……少し待て」
「どうする?処す?」
「殺人衝動漏れてるぞ兄弟、また今度にしとけ」
「うっす」
数十分後。
なんやかんや通れた。
「入れたァァァ!!」
モリ夫が泣いていた。
武装国家ドワルゴン。
中は凄まじかった。
石畳。
巨大鍛冶場。
蒸気。
巨大鍛冶場
巨大兵器
巨大鍛冶場
巨大ドワーフ
巨大ドワーフの銅像
巨大ドワーフの銅像の銅像
巨大ドワーフの鍛冶場の銅像の鍛冶場
「自己顕示欲の悪魔?」
さらに。
あちこちから金属音。
俺の金も鳴り響くってもんよ。
「あれそういえば旦那って生殖器ないんじゃ」
「黙れ」
完全に工業国家である。
「すげぇ……」
俺は普通に感動していた。
フェラリルは屋台を見ている。
「肉、酒、ブレスケア。この世全ての物が集ってるな」
「この世舐めすぎだろお前」
「舐めてま〜す」ペロペロ
「あ?」
その後。
俺達は街で情報収集を始めた。
焼き串。
スープ。
鉄板焼き。
デーモンの召喚。
食べ歩きである。
「うっま!?」
「ドワーフ料理最高だな!?」
モリ夫は口いっぱいにデーモンの召喚の魔降雷をくらっていた。
フェラリルはブレスケアを噛んでいる。
「肉の後はケアが重要。それすなわち王の嗜み也」
「マジで徹底してんな」
ソウエイは周囲を警戒していた。
「視線があります」
確かに。
街の住民達はこちらを見ていた。
「魔物だ」
「きもきもきもきも」
「……危険じゃないのか?」
完全にアウェー。
だが。
その中で、
街人達からよく聞く名前があった。
「ガゼル王」
「流石はガゼル王だ」
「野獣先輩だ」
「この国をここまで発展させた」
「野獣先輩はハッテン場にいる」
「なんかカスみたいな情報混ざってない?」
どうやら。
武装国家ドワルゴンを統治しているのは、
ガゼル王という人物らしい。
「会えるかな」
「難しいでしょう」
ソウエイが冷静に言う。
「一国の王です」
「だよなぁ」
その時だった。
カンッ
どこか遠くで、
金属音が響いた。
「?」
妙に、
嫌な予感がした。
何故なら既にソウエイが索敵と射精を行っていたからである。はよ捕まれ。
一方その頃。スライム達がドワルゴンに着く少し前の話。
⸻
森の奥。
黒指のアジト。
イルゼがギャラクシースプラッシュで吹き飛ばされて帰還していた。
アジト名は『同人だお』。闇の組織にピッタリの名前である。
「くそがっ……」
「なんでこのアジトの入口毎回48択やらされるんだよ……」
中へ入ると真っ先に現れる男。
眼鏡。
長髪。
本を抱えている。
知的そう。
だが精液と童貞臭い。
「情けないですねイルゼ」
「グラビオ……」
男は鼻で笑う。
「だから言ったでしょう」
「下ネタ作品に真正面から挑むのは愚策です」
「敵を知り己を知れば百戦危うからずです」
「お前絶対ネット評論家だろ」
「スライム」
「変態」
「ギャグ」
「アンチヘイト」
「タグが連結してる」
「乳首」
「射精」
「オーバードーズ」
「グリフィンドール」
「なるほど」
「作者は深く考えていないですね」
イルゼも同調せざるを得ない。
「考えてないと思う」
「しかしあのスライムのなんて低俗なことか」
「私は高尚な作品しか読まない」
「例えば」
「異世界転生して奴隷少女300人と結婚し子供を万単位で産ませる作品」
「それ高尚か?」
「主人公が最強で女の子全員に愛され敵が全員一撃死」
「それ高尚か?」
「もちろん」
「なぜなら文章量が多いから」
「基準終わってる」
グラビオが本を閉じる。
「そもそもですね。下ネタギャグ作品というものは逃げです」
「努力がいらない。考察も伏線もない」
「乳首と射精で笑わせてるだけにすぎない」
「それはちょっとおもろいだろ」
グラビオは満足そうに微笑んだ。
「私は違います」
「こんな浅い作品ではなく真に深い作品を愛している」
そう言ってグラビオは本を差し出した。
そのタイトル。
『転生したら感度3000倍の俺が虎となりてラブコメブレイカーを使い乳デカ違法建築を作ってカミキヒカルアナザールートを築いて最強になる話』
「愛読書がこれなの終わってるよお前」
「黙れ!!R18作品しか読まぬ愚か者の癖に!R15作品の微エロこそ至高!!」
「いやグラビオもR18作品読みふけってね……?」
「この作品はとにかく主人公が最強で女の子にモテてハーレムを築いて微エロ展開があったり敵がすぐ負けたりするふかーーーーーい小説なんですよ」
「いや浅くね?」
グラビオが激怒した。
「浅くない!!!!!全190話以上もあるんですよ!!!!!」
「長さで深さを決めるな」
「じゃあスライムのが私の愛読書より優れてるって証拠もあるんですかぁ?」
「いや僕もスライム評価星0派閥なんだけど」
「奴らのギャグなんて二流もいい所です」
「チクビ大公ビーチク・バフォメット」
「口淫竜フェラチオ」
「射精」
「精子垂らす」
「これで笑えるのは中学生までです」
イルゼは深く頷いた。
「たしかに」
「あと11話の乳首爆散してゴブリン全員死亡オチは正直つまらなかったですね」
「そんなシーンあったっけ?」
コホン、とグラビオは咳払いをした。
「奴らは今ドワルゴンに向かってると情報がありました」
「武装国家の!狙いは王との同盟か?」
「国家間交渉を行うでしょう。高度な外交戦ですね。あと3時間後には風俗街いる絶対風俗街」
「偏見と読みが凄まじい」
「奴らに2度と物語が進められないようにこの私、グラビオがトラウマを植え付けてあげますよ」
「あんたが出てくれるなら僕の出番はないね」
パチン
指を鳴らした瞬間、
イルゼのズボンがずり落ちた。
剥き出しになる。包茎。
「なんで?意味がわからない。論理性がない。理解できない」
「怖いよママァァァァァァァ!!!!!!!」
つづく……