※この作品はR-18です。

精子垂らす   作:超絶ゆるふわ乙女

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第2話|真の仲間襲来!その名はコウモリのモリ夫!!

 

「旦那〜」

 

洞窟の天井近くで、黒いコウモリが羽ばたいていた。

 

「旦那ぁ〜」

 

俺が無視すると、今度は目の前まで降りてくる。

 

「旦那ってば〜」

 

「うるせぇ」

 

昨日、俺が水刃で真っ二つにしたはずのコウモリだった。

 

死体は確かに捕食した。おかげで俺は『引っ掻き』という、名前からして使い道のなさそうなスキルまで手に入れた。

 

なのにこいつは、何事もなかった顔で俺の前を飛んでいる。

 

「いや、なんで生きてんの」

 

「助けてもらった恩を返しに来たんですぜ!」

 

「助けた覚えはない。食っただけだ」

 

コウモリは少しだけ目を逸らした。

 

「細かいことは置いといて、今日から俺を旦那の従者にしてください!」

 

ーーー告、対象は瀕死の状態で捕食されましたが、死亡前に再構成されていますーーー

 

「再構成?」

 

ーーー告、正確には、対象が勝手にあなたの体内魔素へ適応し、生存しただけですーーー

 

「そんな生存方法ある?」

 

「俺、そういうの得意なんで」

 

得意げに言われたが、普通は誇るところではない。

 

「まあいいや。名前は?」

 

「ありません!」

 

「じゃあモリ夫」

 

一瞬、羽音が止まった。

 

「……」

 

「どうした」

 

「ダサっ」

 

「お前が言うな」

 

モリ夫は洞窟の奥へ目を向け、聞こえるように呟いた。

 

「いつか殺してやる……クキキキキ……」

 

「今の聞こえてるからな?」

 

「聞かせてます」

 

「従者の態度じゃねえな」

 

それでも、洞窟を一人で進むよりは多少ましだった。多少だけ。

 

モリ夫は飛びながら、この洞窟について知っていることを得意げに話し始める。

 

「この先には竜と変態がいるって噂ですぜ」

 

「竜?」

 

変態の方には、あえて触れなかった。

 

「口淫竜フェラチオ。世界の四大竜の一角です」

 

「帰るわ」

 

「いや、四大竜ですぜ!?」

 

「口淫竜って情報が強すぎて、残りが入ってこない」

 

「フェラチオ様に不敬な態度を取ったら、命はないと思った方がいいですぜ」

 

「種付けドラゴンの方が親しみを持てる気がする」

 

「ざけんなバカ!!」

 

モリ夫が怒鳴った直後、洞穴の奥から湿った音が響いた。

 

岩を擦るような、ぬるりとした足音だった。

 

「旦那、新顔です!」

 

薄暗い通路から、巨大なミミズのような化け物が現れる。ぬめった赤茶色の身体には、ところどころ人の腕くらいある節が浮いていた。

 

「ヒャッパッパーーー!! 俺っちはワームのワーさんだぁ!!」

 

「ネーミングセンス皆無」

 

「俺っちに種付けされたくなかったら、大人しく死にな!」

 

「種付けか死ぬかの二択って、実質一択じゃねえか」

 

「旦那! ここは新入りの俺に任せてください!」

 

モリ夫が俺の前へ飛び出した。

 

「死ねぇぇぇぇぇ!! 引っ掻き!!」

 

小さな爪が、ワームの表皮へ当たる。

 

キンッ。

 

弾かれた。

 

「え」

 

モリ夫は、そのまま頭からワームに飲み込まれた。

 

「ゲゥプ……腹の足しにもならねえなぁ」

 

ワーさんが口元を拭うように蠢く。

 

「諦めて、俺っちの性処理道具になるしかねえよなぁ?」

 

「どうしてそうなるんだ?」

 

巨大ワームの肉便器スライムとか、死んでも嫌だった。

 

「いただきまんこおおおおおおおお!!!!」

 

「させるか! 水刃!」

 

ペッ。

 

圧縮した精子の刃が、ワームの胴体へぶつかる。

 

しかし、表皮は少しも裂けなかった。

 

「効くかボケェ! 無効じゃ!」

 

「え」

 

次の瞬間、俺はワームの口へ吸い込まれていた。

 

ーーー告、復活を使用しますーーー

 

目を開けると、視界は真っ赤だった。

 

粘ついた胃液が周囲を満たし、身体の端が少しずつ溶けている。復活した場所がワームの腹の中なら、どうやっても詰んでいる気がした。

 

「っは!? 体内で復活できたのはいいけど、どうすんだここから」

 

ーーー告、対象ワームの方が、あなたよりレベルが高いためですーーー

 

「レベルとかあんの?」

 

試しに目を閉じ、ゲームみたいなステータス画面を思い浮かべてみた。

 

見えたのは、飛蚊症だけだった。

 

「死ねばいいのに」

 

ーーー告、ステータス画面がある訳ないですーーー

 

「ある世界の口ぶりだっただろ今」

 

胃液が表面へ触れるたび、身体が少しずつ薄くなる。

 

「参考までに、俺とこいつのレベルを教えて」

 

ーーー告、自身のレベルは五。対象ワームのレベルは十ですーーー

 

俺は少し考えた。

 

コウモリへ殺され、復活するたびに水刃の威力が上がった。さっきのワームに効かなかったのは、単純にレベル差があったから。

 

そして、この胃の中には俺を殺してくれる酸が大量にある。

 

「……なるほど」

 

俺は、ぐつぐつと泡立つ胃液を見た。

 

「俺が胃酸に飛び込んで死ぬ」

 

ーーー告、推奨しませんーーー

 

「復活して、また胃酸に飛び込む」

 

ーーー告、推奨しませんーーー

 

「永久機関のレベル上げが完成しちまったなぁ!!!」

 

ーーー告、ノーベル賞の受賞条件を満たしていませんーーー

 

「そこは否定するんだ」

 

数十分後。

 

ワーさんは洞窟の奥をのんびり進んでいた。

 

「けっ。腹の足しにもなりゃしなかったな、あのコウモリとスライム」

 

その腹の中で、何かが蠢いた。

 

「ん? なんか腹の中が――」

 

「拡散水刃・スパームスプラッシュ」

 

バシュッッッッッ!!

 

無数の白い刃が、ワームの腹を内側から貫いた。

 

「グギャァァァァァァ!! 腹の中からスライムがァ!!」

 

ワーさんの身体が大きくのけぞり、洞窟の床へ倒れ込む。

 

裂け目から外へ出た俺は、粘液まみれのまま振り返った。

 

「よぉ。久しぶり」

 

不思議と心は穏やかだった。パオズ山の清流みたいに穏やかだ。

 

何十回死んだかは、もう数えたくない。

 

だが、そのぶん俺のレベルは上がり、新しい技も手に入った。従来の水刃を散弾状に圧縮して放つ、拡散水刃・スパームスプラッシュ。

 

燃費は最悪だが、威力は十分だった。

 

「クンニ君。今の俺のレベルは?」

 

死にかけたワーさんが、最後の力で口を開く。

 

「てめぇぇぇ……いい気になりやがって……!」

 

「拡散水刃」

 

プシュッ。

 

「グギャァァァンオオオオオオオオ!!」

 

ーーー告、現在のレベルは二十ですーーー

 

「勝ったぁぁぁ!!」

 

俺は洞窟に響く声で叫んだ。

 

この世界でなら、俺は本当に最強になれるかもしれない。

 

その時、ワームの死骸が小さく動いた。

 

裂けた腹の奥から、ぼろぼろのコウモリが這い出してくる。

 

「旦那ぁ……」

 

「あ」

 

「忘れてた」

 

モリ夫は片方の羽を引きずりながら、俺を睨んだ。

 

「普通、助けに来ません?」

 

「ごめん」

 

「いつか殺してやる……クキキキ」

 

「やっぱこいつ反省してねえ」

 

こうして俺とモリ夫は、さらに洞窟の奥へ進むことになった。

 

その先に、四大竜と呼ばれる、もっとヤバい変態が待っていることも知らずに。

 

つづく……

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