翌朝。
宴会場。ゴブリン達が騒ぐ。
「優勝おめでとー!!」
「わぁぁぁぁ!!」
「伝説だ!!」
「何が凄いんだ?」
「二連覇おめでとうございます!!」
俺は頭を抱えた。
「……」
カバルが隣で聞く。
「昨日何があったんだ?」
モリ夫が遠い目をする。
「陰茎フェスティバルですぜ」
「普通の?」
「普通じゃないだろどうみても」
フェラリルが頷く。
「昨夜のフェスティバルは武勇を称える宴だった」
「陰茎フェスティバルだぞ陰茎フェスティバル」
「優勝はフェラチオだった」
「本人参加したのかよ」
フェラチオが胸を張る。
「貴様らはやはりまだ口淫に対する理解が甘い」
「主催者が出たら趣旨壊れるだろ」
⸻
そして昼間。
大広間。
長机を囲み、街の主要メンバーが勢揃いしていた。
ベニマルが前へ出る。
「それでは会議を始めます」
シュナは机の端で紙を広げる。
「議事録の準備、できています」
カバルが小声で聞いた。
「……なぁ」
「俺達いていいのか?」
リグルドが即答した。
「駄目に決まってるだろ、人間」
「厳しすぎるにょ」
俺は立ち上がる。
「さて、今日は大事な話だ」
全員が静かになる。
「街……いや」
「この国の名前を決めよう」
「おぉーー!!」
拍手。
その瞬間。
フェラリルが立ち上がる。
「その前に」
全員へ小袋を配り始めた。
「ブレスケア?」
「国名を決めるならまず口臭管理は当然であろう」
「何その儀式」
「国家とは口内環境が九割」
「どこ情報だよ」
シュナがお茶を配る。
「どうぞ」
ビーチクが一口飲み、眉をひそめた。
「……乳首昆布茶じゃない」
「え?」
「もう少し乳輪の様な工夫できぬものか」
フェラチオも飲む。
「陰茎ミネラルが無いとはお里が知れる」
「お前らのダメ出し酷すぎだろ」
クラウディは黙って飲み干した。
「お主らワガママじゃのぉ」
「クラウディさん、どうでしょうか?」
「泥水よりは少し美味い」
「お前が一番失礼なんだよ!」
⸻
「では」
ベニマルが手を挙げる。
「国名案のある者は挙手してください」
一斉に手が上がった。
「早いな!」
まずはフェラリル。
「ブレスケア王国」
「却下」
「理由は?」
「説明いる?」
続いてビーチク。
「乳首神聖帝国」
「却下」
「乳輪連邦」
「却下」
「乳頭自治区」
「全部同じじゃねぇか!」
ビーチクは真顔だった。
「国旗は乳頭の左右対称絵だ」
「何が?」
「国家予算の八割は乳輪整備に使う」
「まともかと思ったら違った」
「街並みとは芸術だ」
「観光地とするなら否定できないの悔しい」
更にフェラチオ。
「舌の都」ペロ
「却下」
「今のは冗談だ」
「ディープスロート共和国」
「もっと酷いんだけど」
「各国の舌自慢を集める国だ」
「結局私物化じゃねぇか」
すかさずクラウディ。
「世界精液大全」
「国名じゃなくて本になっとるがな」
「では、六大竜歴史白濁博物館」
「だから国じゃなくて施設名だっつの」
「妾の案だけ扱いが雑ではないか?」
「国名って理解出来てんのかこいつ」
まさかのリグルド。
「リグルドパーク」
静寂。
俺が口を開く。
「最近お前、自我出すぎじゃね?」
「村長にも夢くらいあってもいいだろう」
半分呆れながらのモリ夫。
「もう魔物の国マーモノとかでいんじゃないですかい」
沈黙。
全員。
「却下」
「なんでだよ!!」
「乳首に比べ語感が弱い」
「陰茎がない為センスもない」
「ダサい」
「退職代行モームリかよ」
「あっしだけ理不尽すぎる!」
カバル達は顔を見合わせた。
「……」
「俺もっとこう世界征服とか侵略とか」
「そういう会議だと思ってた」
エレンが頷く。
「街づくりって大変なのね」
ギドが呟く。
「リムルの苦労がわかるにょ」
俺は立ち上がる。
「……遊びはそこまでだ」
空気が変わる。
全員が俺を見る。
「この国は」
「魔物も」
「人間も」
「笑って暮らせる国にしたい」
静かだった。
「だから」
「名前は――」
全員が息を呑む。
俺はニヤッと笑った。
「魔物の国」
『チンポリス』
「「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」」
沈黙。
「異論はありますか?」
シュナが聞く。
フェラリル。
「覚えやすい」
ビーチク。
「下劣だが、悪くない」
クラウディ。
「妾の精液大全くんが…」
モリ夫。
「いいんじゃないですかほんとにマジで」
フェラチオ。
「陰茎があるのが気に入った」
カバル。
「……まじか」
エレン。
「ポリスってことは警察がいるんですね」
俺。
「え?」
(しまった)
(全然冗談で言ったのに)
シュナが議事録を開く。
「では正式名称は」
カリカリカリ……
『魔物の国 チンポリス』
「書くの早ぇぇぇぇ!!」
ベニマルが腕を組む。
「異論がないなら決定でよいのでは」
「待て待て待て!」
「みんなもっと考えよう!」
「ほら!例えばジュラ・テンペスト連邦国とかは!?」
「なにそれ」
その時だった。
背後から声がする。
「既に役所へ射精と同時に提出済みです」
「うわぁぁぁ!!」
ソウエイだった。
「2つの意味で早すぎる!」
「仕事ですので」
「グォォォォォォォ!!!!」
こうして。
魔物達の国は――
『チンポリス』に決まったのであった。
つづく……