西方。
巨大国家。
アナルナメス王国。
ドワルゴンと対をなす交易国家。
人口三百万。
巨大商業都市マラス。
東西交易の要。
長年。
イングラシア王国と西方評議会の主導権を争ってきた大国だった。
だが。
最近。
ある報告書が王の机へ届く。
『新興国家』
『魔物の国 チンポリス』
王は紙を見つめる。
「……」
「誰だ」
「この国名を考えた奴は」
貴族が咳払いする。
「問題はそこではありません」
「そこも問題だろ」
「やっぱりそれも問題です」
「認めるな」
(いやアナルナメスも相当やばいのでは…?)
会議室が静まり返る。
一人の文官が口を開く。
「魔物国家」
「そしてドワルゴンと同盟」
「鬼人族」
「狼族」
「口淫竜フェラチオ」
「白濁竜クラウディ」
「乳首大公ビーチク・バフォメット」
王は頭を抱えた。
「最後ら辺のラッシュなに?」
神官も頷く。
「ですが全て事実です」
「嫌な事実だ」
さらに資料が置かれる。
『交易開始予定』
『建国済』
『急速な都市開発の発展』
『ハッテン場』
貴族が険しい顔になる。
「もし魔物国家が交易に成功すれば」
「東西交易は変わる」
「我が国の利益も」
「評議会での立場も」
王は静かに言う。
「芽は」
「小さい内に摘め」
その時。
奥の扉が開く。
黒装束の女。
長い黒髪。
冷たい瞳。
「お呼びでしょうか」
貴族でありながら直属暗部。
対魔物特殊工作部隊。
『カリ・フラワー』
王は静かに命じる。
「チンポリスを調査しろ」
「必要なら……」
「潰せ」
女は微笑む。
「あら」
「ワタクシにカリを作ってしまいますわね」
沈黙。
王が呟く。
「お前も大概だな……」
⸻
一方その頃。
チンポリス。
「そこ柱一本右ァ!!」
「そっちは風呂場ァ!!」
「そっちゴミ捨て場ァ!」
「温泉完成目前だぞォ!!」
街中がお祭りだった。
ドワーフ達が木材を運ぶ。
ゴブリン達が壁を塗る。
狼族が荷物を運ぶ。
鬼人族が指示を出す。
俺は完成途中の街を見渡した。
「かなり国っぽくなってきたな」
ビーチクが腕を組む。
「当然だ」
「余が8割方設計したからな」
「嫌な予感しかしねぇ」
案の定。
看板。
『性感温泉区画』
「なんだこれ」
「温泉」
「これで観光客来ると思ってんのか」
「効能を書いただけだ」
「効能じゃねぇ」
フェラチオが湯船を見て目を輝かせる。
「口淫専用風呂か?」
「ある訳ないだろ」
「なら興味ない」
「帰るな」
クラウディは岩陰で寝ていた。
「妾のおかげでやっとここまで来たのぉ」
「一番働いてねぇ奴が言うな」
リグルドが走ってくる。
「リムル殿!!」
「どうした?」
「温泉区画から精液が溢れてきております!」
「は?」
「妾の精液温泉じゃ」
「風営法違反だろ普通に」
遠くでカイジンが叫んでいた。
「誰だ!!」
「温泉の蛇口から全部ブレスケア出すようにした奴ァ!!」
フェラリルが手を挙げる。
「余で〜す」ポリポリ
「普通のお湯出せ!!」
街は今日も平和だった。ほんとにそうか?
⸻
昼過ぎ。
街の入口。
「それじゃ」
「俺達はここで」
カバル達が荷物を背負って立っていた。
「色々世話になったな」
俺はカバルと握手する。
「いやこっちも助かったよありがとう」
エレンは出来上がった街を見回す。
「次来る時にはもっと大きくなってそうですね」
「その頃にはさすがに国名変えてるかもな」
「チンポリスⅡですか?」
「ゲームじゃねぇんだよ」
ギドが笑う。
「温泉楽しみにしてるにょ」
ビーチクが近寄る。
「安心しろ」
「男女混浴乳首専用風呂」
「ケツ穴洗浄施設」
「全部ある」
「いらなすぎる」
フェラチオが割り込む。
「口淫専用ジャグジー今から作ろうね」
「一生できねえよ?」
クラウディが欠伸する。
「帰るなら土産持っていけ」
「何?」
資格本を渡した。
『最上級ケツ穴管理士試験対策』
「何お前しれっとガゼル王から貰ってんだよ」
カバル達3人は口を揃えた。
「「「いらないです」」」
皆で笑う。
それから程なくしてカバル達3人はブルムンド王国に帰っていった。
⸻
夕方。
温泉区画。
完成。
湯気が立ち上る。
住民達の歓声。
「完成だァァァ!!」
「やったァァァ!!」
「祝いの舌だ」ペロッ
「あぶねえよ!!!!」
「ちゃんと乳首にも効く温泉だぞ」
「乳がんにでも効くんか?これは」
俺は空を見上げる。
「……」
「いい街になったな」
その瞬間。
ゴゴゴゴゴ……
地面が揺れた。
「?」
ソウエイが真っ先に振り返る。
森。
木々が。
一斉に倒れていく。
ズシン。
ズシン。
ズシン。
ベニマルが刀へ手をかける。
「……まさかあいつらは」
森の奥。
黒い影。
一つ。
二つ。
十。
百。
千。
万。
全て。
豚。
オーク。
オーク。
オーク。
森を埋め尽くすほどの大軍勢。
その先頭。
巨大な戦斧を担ぐ。
オーク将軍。
「鬱陶しい」
その隣。
「いや〜〜〜〜〜!!??」
「結局さぁ!!戦争って”文脈”なんだよねぇ!!??」
V豚オーク。
さらに。
「ウフフ♡」
「また遊びましょうねぇ♡」
ガマンダ。
そして。
通常のオークよりも強い。
数百体のオークナイト。
その奥。
玉座に座る。
オークキング。
その黄金色に輝く王冠は――
何故か金玉だった。きらきらしている。
「王冠じゃねぇのかよ」
だが。
誰もが息を呑んだ。
さらに。
その遥か後方。
山のような巨体。
空気そのものを震わせる圧倒的な魔素。
豚頭帝。
オークロード。
ベニマルが静かに呟く。
「……まずい」
ビーチクも腕を組んで呟く。
「最近鈍っていたからちょうどいい」
フェラチオも鼻を鳴らしまくっている。
「何本咥えてもいいのか」
俺は笑みを消した。
「やっと」
「ボスのお出ましか」
巨大な豚の軍勢が。
ゆっくりと。
チンポリスへ向けて進軍を開始した。
つづく……