※この作品はR-18です。

精子垂らす   作:超絶ゆるふわ乙女

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第32話|激突する美学!!白濁竜の雪と地下室の友情!!

 

巨大な戦斧と白い水刃が激突した。

 

ドゴォォォォォォン!!!!

 

衝撃波が森を駆け抜ける。

 

地面が裂けた。

 

木々が折れた。

 

俺の身体も後方へ吹き飛んだ。

 

「グオオオオオォォォ!!??」

 

俺は地面を三回ほど跳ね、建設途中の公衆便所へ頭から突っ込んだ。

 

バキィッ!!

 

「完成前でよかったな」

 

「よくねぇよ!!」

 

瓦礫から飛び出す。

 

正面ではオーク将軍が巨大な戦斧を肩へ担いでいた。

 

一歩も動いていない。

 

「体幹よすぎるだろお前」

 

オーク将軍は戦斧の刃を指でなぞる。

 

「貴様の攻撃も悪くない」

 

オーク将軍が地面を蹴った。

 

巨体が一瞬で視界から消える。

 

「速っ!」

 

背後から風切り音。

 

俺は身体を横へ液状化して逸らした。

 

戦斧が空を切り、そのまま地面へ叩き込まれる。

 

ドゴォン!!

 

岩盤が沈んだ。

 

「当たったら死ぬだろそれ!」

 

「いやまぁ……戦争だからな……」

 

「ここにきて正論」

 

俺は液状化した身体を伸ばし、オーク将軍の足へ絡みついた。

 

オーク将軍は真顔で俺を見下ろした。

 

「気色悪い」

 

「普通に嫌がるんだそこ」

 

オーク将軍が片腕へ力を込める。

 

嫌な予感。

 

「待て」

 

「さらばだ」

 

「待て待て待て!!」

 

俺の身体が投げ飛ばされる。

 

俺は宙を舞った。

 

⸻

 

数秒後。

 

俺は偶然近くを飛び回っていたフェラリルの背中へ落下した。

 

「助かった……」

 

フェラリルは速度を落とさずブレスケアを食いながらオーク達を蹴散らしていく。

 

「無事か我が主」ポリポリ

 

「なんとかな」

 

「ところで先ほど空中で吹っ飛んでたがあれは新しい舞か?」

 

「いじめだよ」

 

俺はフェラリルの背中から飛び降りる。

 

着地した瞬間、オーク将軍が戦斧を振り下ろしてきた。

 

「着地狩りやめろォォォ!!」

 

俺は水刃を剣に展開し、戦斧を受け止める。

 

ギギギギギッ!!

 

至近距離。

 

オーク将軍の赤い瞳が俺を睨む。

 

「貴様さえ倒せばあとは烏合の衆だ」

 

「え」

 

俺はビーチク、フェラチオ、クラウディを見る。

 

その後オーク将軍に目配せした。

 

「ほんとに?」

 

オーク将軍の表情が曇った。

 

「あれは戦力って言うか災害だ」

 

「言う事聞かないしなあいつら」

 

「やっぱり貴様以外もやばいかも」

 

「意見コロコロ変えるな」

 

戦斧が振り抜かれる。

 

俺は斧の勢いを利用して上空へ跳び、オーク将軍の頭上から水刃を放った。

 

「拡散水刃!!」

 

ドバババババッ!!

 

オーク将軍は戦斧を回転させ、白い刃を弾き飛ばす。

 

一発。

 

二発。

 

十発。

 

防がれた。

 

「マジかよ!お前強くね!?」

 

最後の一発が斧をすり抜け、オーク将軍の頬を浅く切った。

 

血が一筋流れる。

 

オーク将軍は指で血を拭い、その赤を見つめた。

 

「……血とかグロいのナシだろ」

 

「戦争中に何言ってんだお前」

 

オーク将軍は慌てて頬を押さえた。

 

⸻

 

戦場の中央ではオーク達が次々とチンポリスへ押し寄せていた。

 

ゴブリン達が槍を構える。

 

狼族が飛びかかる。

 

鬼人族が武器を振るう。

 

だが。

 

数が多い。

 

倒しても倒しても森の奥から現れる。

 

「囲めェェェ!!」

 

オークナイト数百体が大盾を構えながら進軍する。

 

その進路上。

 

一人だけ。

 

クラウディが座っていた。

 

戦場のど真ん中で膝を抱え、うとうとしている。

 

「……」

 

「すぅ……」

 

オークナイト達が足を止めた。

 

「なんだこいつ」

 

「寝てるぞ」

 

「可愛い」

 

「なんか精液臭いぞ」

 

先頭のオークナイトが槍を突き出す。

 

「白濁竜を討ち取れェェェ!!」

 

大盾の列がクラウディへ押し寄せる。

 

俺はオーク将軍の斧を避けながら叫んだ。

 

「カウパー!!」

 

クラウディは顔を上げない。

 

「早く起きろォォォ!!」

 

薄く目が開く。

 

「……んぁ」

 

「敵目の前まで来てる!!」

 

クラウディは迫るオークナイト達をぼんやり見つめた。

 

「あと12時間」

 

「戦争終わるわ!!」

 

オークナイト達が一斉に武器を振り上げる。

 

「死ねェェェ!!」

 

クラウディは大きく欠伸をした。

 

「ふぁ……」

 

白い髪が風に揺れる。

 

寝ぼけ眼のまま。

 

指を一本だけ空へ向けた。

 

「……精液天蓋槍・雪」

 

空が白く染まった。

 

俺はオーク将軍と一緒に空を見上げる。

 

「え?」

 

「なんだ?」

 

雲が渦を巻く。

 

冷気が戦場を包む。

 

空一面に。

 

巨大な氷槍が現れた。

 

百。

 

千。

 

万。

 

数えることすら馬鹿らしくなるほどの白い槍。

 

オークナイト達が足を止める。

 

「……マジ?」

 

「嘘だろ」

 

クラウディは頬杖をついたまま指を下ろした。

 

「落ちろ」

 

ズドドドドドドドドドドドドド

 

地面が爆発した。

 

氷槍が次々と突き刺さる。

 

大盾。

 

鎧。

 

武器。

 

全てを貫き、凍らせ、粉砕する。

 

オーク数千。

 

一瞬で白い氷の下へ消えた。

 

吹雪が晴れる。

 

そこに残ったのは巨大な氷原。

 

俺は口を開けたまま固まった。

 

オーク将軍も戦斧を構えたまま動かない。

 

「なぁ、あれでも俺以外烏合の衆か…?」

 

「やっぱ無理かもしんない」

 

「諦めるのはええよ」

 

クラウディは再び座り込み、岩へ背中を預けた。

 

「久しぶりに力使うと疲れるのぉ」

 

「いや待て待て待て待て!!」

 

俺は氷原を指差した。

 

「お前これまで何で働かなかったの!?」

 

クラウディは目を閉じた。

 

「めっっっっっっっちゃ疲れるからじゃ」

 

「今ので理由に説得力出すな!!」

 

クラウディは身体を丸める。

 

「妾もう寝る」

 

「キモすぎ」

 

オーク将軍は遠くのクラウディを見つめながら小さく呟く。

 

「どうやって勝てばいいんすかあいつ」

 

「さぁ……」

 

⸻

 

氷原の反対側。

 

ビーチクは黒炎を片手に纏わせながら歩いていた。

 

その進路を巨大な影が塞ぐ。

 

黄金の鎧。

 

豪華な外套。

 

そして頭部に輝く。

 

黄金の金玉。

 

オークキングは胸を張り、金玉王冠を見せつけていた。

 

キラァン……

 

ビーチクは足を止める。

 

「……」

 

オークキングは満足そうに顎を上げた。

 

「見惚れたか我が王冠に」

 

ビーチクは王冠を凝視している。

 

「なるほど中々センスがいい」

 

「貴様にも分かるかこの金のよさが」

 

オークキングは金玉へ金粉を振りかけた。

 

サラサラ……

 

黄金の輝きが増す。

 

「球体」

 

「左右対称」

 

「豊かな膨らみ」

 

「黄金の艶」

 

オークキングは両腕を広げる。

 

「この世で最も完成された美だ」

 

遠くで聞いていた俺はオーク将軍の斧を避けながら叫んだ。

 

「また変な価値観もった変態魔物出たよ」

 

ビーチクは腕を組み、冷たい目をオークキングへ向けた。

 

「だが浅い」

 

「何?」

 

ビーチクは淡々と語り出す。

 

「確かに球体は美しい」

 

「黄金の輝きも悪くない」

 

オークキングの口元が緩む。

 

「ならば――」

 

ビーチクは自らの胸を指差した。

 

「だが乳首には敵わぬ」

 

「何で始まったのこの戦い」

 

オークキングの瞳に怒りが宿る。

 

「乳首だと?」

 

「いいか?オークキング。金玉は二つ」

 

「そして乳首も二つだ」

 

ビーチクは黒炎を纏った指を立てる。

 

「同じ二つならば」

 

「より高い位置にある乳首こそ上位の存在」

 

「位置で格付けすんな!!」

 

オークキングは黄金の大剣を抜く。

 

「愚かな」

 

「金玉は生命を生み出す」

 

「故に乳首は金玉の完全劣化よ」

 

ビーチクも黒炎を両手へ広げる。

 

「馬鹿め」

 

「乳首は母乳を生み出す」

 

「どちらも生命じゃん!!もう仲良くしろよ!!」

 

二人は同時に俺を睨んだ。

 

「「黙れ」」

 

「なんで俺だけ怒られたの!?」

 

オークキングは金玉王冠を磨きながら剣を構えた。

 

「貴様の乳首美学」

 

「我が黄金美学で砕いてくれる」

 

ビーチクは黒炎を燃え上がらせる。

 

「よかろう」

 

「貴様の金玉がどれほどの価値を持つか」

 

「我が乳輪で測ってやる」

 

「測定方法が一切分からん!!」

 

黄金の斬撃。

 

漆黒の炎。

 

二つの美学が正面から激突した。

 

金粉と黒炎が空へ舞い上がる。

 

オークキングは燃え盛る戦場で金玉王冠を押さえた。

 

「王冠へ傷をつければ死罪だぞ!」

 

ビーチクは黒炎の中で腕を組む。

 

「乳首へ触れても死罪だ」

 

「面倒くせえなあいつら」

 

⸻

 

上空。

 

フェラチオはガマンダの棍棒を片手の爪で受け止めていた。

 

ガマンダは歯を食いしばり、棍棒へ力を込める。

 

「さっきから余所見してる場合かしらぁ♡」

 

フェラチオは地上の金玉王冠を眺めていた。

 

「金の玉があるなら金の陰茎はおらぬかと思ってな」

 

「戦いに集中しなさぁい♡」

 

ガマンダが棍棒を振り抜く。

 

フェラチオの巨体が空中で回転した。

 

だが。

 

吹き飛ばない。

 

尻尾が地面へ触れる直前、翼を一度羽ばたかせる。

 

それだけで体勢を立て直した。

 

「ほう」

 

フェラチオは楽しそうに鼻を15回鳴らす。

 

「貴様さてはオーク将軍より強いな」

 

「オーク古参のアタシを舐めないでぇ♡」

 

フェラチオの瞳が細くなる。

 

「舐めてよいのか!?」

 

「言葉のアヤよォォォ!!」

 

ガマンダの棍棒が連続で振るわれる。

 

凄まじい連撃。

 

だがフェラチオは爪と翼だけで全て受け流していく。

 

「なっ……!」

 

ガマンダの表情から笑みが消える。

 

フェラチオは鼻を16回ほど鳴らした。

 

「貴様とはよい運動になる」

 

「運動ですってぇ……?」

 

「余、最近体脂肪が増えて食後は軽く身体を動かすよう医者に言われておる」

 

「舐め腐ってんじゃないわよぉ!?」

 

ガマンダが全身の魔素を棍棒へ集める。

 

紫色の光が空を染めた。

 

「ならこれも受けてみなさぁい♡」

 

「極・我慢汁剛尻撃!!」

 

「尻と汁なのに棍棒なんだ」

 

ガマンダの一撃がフェラチオの頭部へ直撃する。

 

衝撃で雲が割れた。

 

フェラチオの巨体が地面へ落下する。

 

土煙が戦場を覆う。

 

ガマンダは肩で息をしながら笑った。

 

「ウフフ……♡」

 

「死んだってことは無いにしろさすがに効いたでしょぉ♡」

 

土煙の中。

 

巨大な蒼い影が起き上がる。

 

フェラチオは首を左右へ振った。

 

コキッ。

 

コキッ。

 

「うむおかげで陰茎のコリが治った」

 

「マッサージじゃないのよォォォ!!」

 

フェラチオは翼を広げる。

 

巨大な蒼い魔力が背後へ集まる。

 

ガマンダが初めて一歩下がった。

 

「今度は余の番か?」

 

フェラチオの声から笑いが消える。

 

空気が変わった。

 

ガマンダは棍棒を両手で握り直す。

 

「……来なさいよぉ♡」

 

フェラチオは口を開いた。

 

「では」

 

「呪いの舌だ」

 

「技名の使い回しやめろ!!」

 

⸻

 

一方。

 

チンポリス地下避難所。

 

リグルドは毛布を抱えながら住民達を誘導していた。

 

「女子供はこちらへ!」

 

「食料は奥です!」

 

「私は一番安全な所へ!」

 

ゴブリンの一人が眉をひそめる。

 

「村長だけ安全な場所へ行くのですか?」

 

リグルドは真顔で胸を張る。

 

「私は未来の王だぞ」

 

「リムル様が王では?」

 

「今は、な」

 

「少しは野心隠せよ」

 

地下への階段から物音が聞こえた。

 

ゴロゴロゴロゴロ……

 

「ん?」

 

何かが階段を転がり落ちてくる。

 

ドゴォン!!

 

土煙。

 

リグルドが槍を構えた。

 

「敵襲か!?」

 

瓦礫の中からV豚オークが顔を出す。

 

「あのスライムがぁ〜!物理プロテクターなかったら死んでたわぁ……」

 

リグルドは槍を向ける。

 

「オークだ!!」

 

住民達が悲鳴を上げる。

 

V豚オークは慌てて両手を上げた。

 

「待って待って!!」

 

「俺氏戦う意思ないです!」

 

「戦争しに来た侵略者が何を言う!」

 

「俺、攻撃食らって飛んだだけなんですけどぉ!?」

 

リグルドは警戒しながら近付く。

 

「……名前は?」

 

「V豚オークです」

 

「……」

 

リグルドは槍を下ろした。

 

「お主も苦労しているのだな」

 

「名前だけで同情された!?」

 

リグルドはV豚の隣へ座る。

 

「私もな」

 

「上司(リムル)に正当に評価されない日々が続いている」

 

「え、そうなのぉ!?」

 

V豚オークも瓦礫の上へ座った。

 

「俺も古参なのにオーク将軍やガマンダから雑に扱われてるんですよねぇ!」

 

「私も村長なのにリムル殿から戦えと言われる!」

 

「それパワハラですよ!訴えたら勝てますよリグルド氏!」

 

「やはり!?あのスライム見てろよ……」

 

V豚オークは懐から紙を取り出した。

 

「ところで村長さん」

 

「将来この国の王になりたいならセルフブランディング大事ですよ?」

 

「詳しく聞こう」

 

「まず固定ファンを作ります」

 

「うむ」

 

「次に現王へお気持ち表明」

 

「うむ」

 

「最後に炎上させて失脚」

 

リグルドは紙を奪い取った。

 

「今日から先生と呼ばせてくれ」

 

「我が弟子よ〜」

 

「国終わるぞ!!」

 

地下のゴブリン達が一斉に叫んだ。

 

V豚オークは周囲へ笑顔を向ける。

 

「というわけで今からリグルド王即位記念配信を――」

 

リグルドはV豚の肩を掴んだ。

 

「待て」

 

「何?」

 

「今はまだ時期が悪い。戦争中にやるのは心象が悪くなる」

 

「意外と冷静なんだそこ」

 

リグルドは声を潜める。

 

「まずは戦争が終わるまでリムル殿を極限まで働かせる」

 

「その後、疲弊した所を狙う」

 

「ガチのクーデター計画じゃん」

 

二人は固く握手した。

 

地下避難所に。

 

最悪の友情が生まれていた。

 

⸻

 

戦場。

 

俺はオーク将軍の斧を水刃で受け流し、その懐へ潜り込んだ。

 

「もらった!」

 

身体を回転させ剣で独楽のように切る。

 

「スライム螺旋水刃切り!」

 

「?どういう宴会芸?」

 

「雰囲気で新技って分かれよ!!」

 

俺の剣がオーク将軍の腹へ直撃した。

 

オーク将軍が数歩下がる。

 

初めて明確に体勢が崩れた。

 

「よし!」

 

だがオーク将軍は戦斧の柄を地面へ突き立て、倒れる寸前で身体を支えた。

 

「ハエが…舐めるな」

 

オーク将軍は戦斧を両手で握り直す。

 

呼吸が変わった。

 

全身の筋肉が膨れ上がる。

 

地面へ亀裂が走った。

 

「ここからは将軍としてではない」

 

「一人の戦士として貴様を討つ」

 

俺も魔素を全身へ巡らせる。

 

「いいぜ」

 

「役職じゃない名前を先に教えてほしいけどな」

 

オーク将軍は一瞬だけ黙った。

 

「……ない」

 

「本当にオーク将軍が本名なの!?」

 

「まぁV豚やガマンダよりはマシかなって……」

 

戦場全体が騒がしい。

 

だが。

 

その奥。

 

オークロードだけは動いていなかった。

 

倒れたオーク達。

 

凍りついた地面。

 

焼けた肉。

 

砕けた武器。

 

全てを静かに見つめている。

 

オークロードは足元に落ちていた焦げた肉片を拾った。

 

指で摘まむ。

 

匂いを嗅ぐ。

 

そして。

 

口へ入れた。

 

「……残飯処理も王の役目」

 

咀嚼。

 

誰も近寄れない。

 

オークロードはゆっくり首を横へ振った。

 

「でもこれ火加減甘いね」

 

「そこ!?」

 

俺はオーク将軍の斧を避けながら叫んだ。

 

オークロードは黒焦げになったオーク達を見渡す。

 

「焼きすぎて硬い」

 

「この処理をしたやつは料理二流」

 

ビーチクは黒炎を放ちながら眉をひそめた。

 

「我の黒炎へ文句があるのか」

 

オークロードは真顔で答える。

 

「下味もない」

 

「戦争に下味求めんな!!」

 

オークロードはクラウディが作り出した氷原へ視線を向ける。

 

凍ったオークを一体引き抜き、表面を指で撫でる。

 

「冷凍庫みたい」

 

クラウディは眠ったままの体勢で中指を立てた。

 

「あいつ狸寝入りだろ絶対」

 

オークロードは凍ったオークを肩へ担ぐ。

 

「後で解凍して食べる」

 

オーク将軍が戦斧を構えたまま顔をしかめる。

 

「陛下、それ味方です」

 

オークロードは将軍を見る。

 

「食材を粗末にするな」

 

「だから味方です」

 

「命は全て食材だ」

 

「あいつも話通じないタイプの変態魔物か」

 

オークロードは俺へ視線を向けた。

 

その瞳には殺気ではなく。

 

純粋な食欲だけがあった。

 

「スライム」

 

「何だよ」

 

「お前は」

 

「何味だ」

 

「料理番組かよ」

 

オークロードは一歩踏み出した。

 

地面が沈む。

 

オーク将軍が戦斧を下ろし、道を開けた。

 

ビーチクも黒炎を止める。

 

ガマンダが棍棒を肩へ戻す。

 

フェラチオは空中で鼻を17回鳴らした。

 

クラウディも薄く目を開ける。

 

オークロードは俺だけを見ていた。

 

「多分ソーダ味のスライム」

 

「雑すぎるだろ!!」

 

俺は身体中の魔素を集中させる。

 

目の前のオーク将軍。

 

そして。

 

その先から歩いてくるオークロード。

 

二体。

 

同時。

 

「クンニ君」

 

ーーー告、かなり詰んでますーーー

 

「だよなぁ!!」

 

オーク将軍が戦斧を構える。

 

オークロードは空腹を満たすように腹を押さえる。

 

グゥゥゥゥゥ……

 

地鳴りのような音が戦場へ響いた。

 

「……ご飯ない?」

 

「ねえよ!!!!」

 

二人の強敵が。

 

同時に地面を蹴った。

 

つづく……

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