※この作品はR-18です。

精子垂らす   作:超絶ゆるふわ乙女

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第4話|激突!!口淫竜フェラチオ!!洞窟最強の吸引力!?

 

「レベル九百九十九!?」

 

俺とモリ夫の声が、綺麗に重なった。

 

洞窟の闇から現れた白銀の巨竜は、青白い鉱石の光を背にしていた。全長は軽く五十メートルを超え、翼をわずかに動かすだけで、天井から小石がぱらぱらと落ちてくる。

 

鱗は月明かりみたいに淡く輝いていた。

 

紫色の瞳は眠たげだった。

 

そして何より、口が異常に大きかった。

 

「口でっか」

 

「そこ!?」

 

モリ夫が俺の横で羽を縮める。

 

「フェ、フェラチオ様! お初にお目にかかりますぅぅぅ!」

 

「誰だ、その小動物」

 

巨竜の声が洞窟を震わせた。

 

「も、モリ夫と申します! こちらは俺の相棒で――」

 

「旦那、な」

 

「今そこ訂正する!?」

 

フェラチオは興味なさそうに、俺へ視線を落とした。

 

「随分と騒がしいスライムだな」

 

「お前も名前がだいぶ騒がしいけどな。フェラチオて」

 

洞窟の空気が止まった。

 

モリ夫の顔から、血の気が引く。

 

「だ、旦那ァ……死にますって……」

 

フェラチオは黙っていた。

 

巨大な口元だけが、ゆっくりと歪む。

 

「……ククッ」

 

「え?」

 

「数百年ぶりだ。余の名へ、そんな雑な感想を寄越した雑魚は」

 

「雑魚って言った?」

 

「事実であろう」

 

ぐうの音も出ない。

 

フェラチオは前脚を組み、潰された岩を顎の下へ寄せた。寝起きのまま、俺達を観察しているらしい。

 

「先ほどから騒がしいと思えば、尻穴の賢者を吹き飛ばしたのは貴様か」

 

「うん。ケツが大きいジジイを」

 

「アナルディウスか。まだ生きていたのだな、あれ」

 

「知ってるの?」

 

「たまに余の寝床の近くで、尻から魔法を撃つ。目障りではあるが、害は少ない」

 

「害しかないだろ」

 

フェラチオの巨大な口が、ゆっくりと開いた。

 

口の奥には、何層にも重なった牙が見える。喉の奥は暗く、見ているだけで身体が引っ張られるような感覚がした。

 

ーーー告、超警告ーーー

 

「何が来る?」

 

「竜技――奈落吸引」

 

フェラチオが、静かに息を吸った。

 

ビュオオオオオオオオオオオオ!!

 

「うわぁぁぁぁぁ!?」

 

洞窟の空気が、一気にフェラチオの口へ流れ込んだ。

 

砕けた岩。

 

ワームの死骸。

 

アナルディウスが置いていった杖の破片。

 

洞窟にあったものが、まとめて吸い寄せられていく。

 

「旦那ァ! 地面に張り付いてください!」

 

「スライムに指があると思うか!?」

 

踏ん張ろうとしても、身体は滑るだけだった。

 

ヌルッ。

 

「あっ」

 

俺は、洞窟の床から剥がれた。

 

「アババババババババ!!」

 

「旦那ァァァァァ!!」

 

白い光景が横を流れ、次の瞬間にはフェラチオの口内へ放り込まれていた。

 

⸻

 

「ぺっ」

 

ベチャッ。

 

地面へ吐き出された俺は、しばらく動けなかった。

 

口の中へ入れられたというより、巨大な嵐の中心を往復した感じだ。身体の表面には唾液と砂が混ざり、目があったなら確実にぐるぐるしている。

 

フェラチオは、心底嫌そうな顔をしていた。

 

「不味い」

 

「ショック」

 

「何だ、貴様。粘液が変な味をしておる」

 

ーーー告、急速なレベル上昇の影響により、身体組成が終わっていますーーー

 

「健康診断みたいに言うな」

 

フェラチオは舌先で口元を拭い、もう一度俺を見た。

 

今度は、少しだけ真面目な目だった。

 

「……なるほど」

 

「何?」

 

「死臭と、成長途中の魔素が混ざっておる」

 

「言い方がキモい」

 

「貴様、何度死んだ?」

 

「数えてない」

 

「復活持ちか」

 

フェラチオは、眠たげだった目をわずかに細めた。

 

「貴様のように、死を恐れず馬鹿みたいに強くなろうとするスライムは、五十年前にもいたな」

 

「俺以外に精子飛ばして戦うスライムが?」

 

「そこは似ておらん。あれはもっと銀色で、もっと静かな馬鹿だった」

 

「急に気になる言い方すんなよ」

 

「余はもう忘れた」

 

絶対忘れていない顔だった。

 

フェラチオは、翼をたたんで洞窟の床へ身体を伏せる。巨体が横たわるだけで、空洞の半分が埋まった。

 

「面白い。少し試してやろう」

 

「何を?」

 

「貴様が、死ぬ以外の方法で強くなれる器かどうかをだ」

 

「嫌な予感しかしない」

 

「余の口は、食らうためだけにあるのではない」

 

フェラチオは大きく口を開き、牙の並ぶ奥を見せた。

 

「口は言葉を交わし、味を知り、相手の器を見極める場所だ。口淫とは、相手を一方的に貪る技ではない」

 

「すごい真面目に言ってるけど、内容が何一つ頭に入ってこない」

 

「そして、吸われる側にも技量がいる」

 

「どんな技量だよ」

 

「修行を始める」

 

「誰が了承した?」

 

モリ夫が青ざめながら、俺の横で震えていた。

 

「旦那……フェラチオ様は昔から、吸引耐久の修行で有名なんです……」

 

「伝説の竜が何でそんな伝統を築いてるんだよ」

 

フェラチオは答えず、もう一度息を吸った。

 

「第一段階。余の吸引を、死なずに越えよ」

 

「それ耐久じゃなくて生存確認だろ!」

 

ビュオオオオオオオオ!!

 

二度目の奈落吸引が始まった。

 

今度は、吸われる直前に身体を岩の隙間へ広げる。粘液を押し込み、なんとか形を保とうとした。

 

それでも身体は少しずつ引き剥がされる。

 

「旦那、頑張れぇぇぇ!」

 

「口で言うだけの応援は軽いんだよォォォォ!」

 

数十秒後。

 

俺はやっぱり吸われた。

 

「ぺっ」

 

ベチャッ。

 

「第二段階。余の舌に触れず、口内を抜けよ」

 

「ルールが聞いたことない競技なんだよ」

 

「口内は繊細な空間だ。無作法に暴れるな」

 

「吸った側が礼儀を説くな」

 

三度目。

 

俺は口の中へ入った瞬間、舌を避け、牙の隙間をすり抜け、喉の奥へ落ちそうになる身体を必死に止めた。

 

フェラチオの舌が、ほんの少し動く。

 

それだけで岩壁へ叩きつけられたみたいな衝撃が走った。

 

「うわっ……!」

 

「そこを越えろ。余の口内で己を見失うな」

 

「口内で人生訓を説くな!」

 

何度か吸われて、吐き出されて、壁へ貼りつき、また吸われた。

 

三十分後には、身体が回転しすぎて洞窟が縦なのか横なのかも分からない。

 

二時間後には、モリ夫の声が遠く聞こえた。

 

「旦那ァ! 目が死んでますぜ!」

 

「死んでない……死ぬのは慣れてるけど……これは別の苦しさだ……」

 

ーーー告、新耐性を獲得しましたーーー

 

『吸引耐性Lv1』

『粘膜耐性Lv3』

『三半規管強化』

『Steamで五百円のゲームのハズレ率が高い』

 

「最後だけ急になんの文句だよ」

 

フェラチオは満足そうに、口を閉じた。

 

「ほう。まだ壊れぬか」

 

「お前の基準では、壊れてからが本番なのか?」

 

「当然だ」

 

「何が当然なんだよ」

 

その時、洞窟の奥で大きな音がした。

 

ドォォォォォン!!

 

岩壁が内側から砕け、大量の魔物がなだれ込んでくる。

 

巨大ムカデ。

 

巨大ヘビ。

 

巨大蜘蛛。

 

どれもが、フェラチオの巨体を見て一度だけ足を止めた。

 

「りゅ、竜だァァァ!!」

 

「でかすぎる! そして臭すぎる!」

 

「待て! 今なら寝起きで弱ってる! 数で押せば――」

 

フェラチオは欠伸をした。

 

「寝起きで弱っているだと?」

 

声には、わずかな苛立ちが混じっていた。

 

「余を、誰だと思っている」

 

巨竜の魔素が膨らむ。

 

洞窟の温度が下がり、魔物達が一斉に後ずさった。

 

だが、その前に俺が一歩出た。

 

「フェラチオ」

 

「何だ、スライム」

 

「寝起きなんだろ。寝てろ」

 

モリ夫が、俺の背後で固まる。

 

「旦那ァ!?」

 

「ここは仲間の俺達でやる」

 

俺は巨大ムカデ達を見据えた。

 

死んで強くなった。吸われて、少しだけ死なない技術も覚えた。

 

それに。

 

「修行をつけてもらった相手を、寝起きだからって集団で襲うのは気に入らねえ」

 

フェラチオの紫の瞳が、わずかに見開かれた。

 

「余を庇うのか。貴様が?」

 

「庇うっていうか、普通にムカつくだろあいつら」

 

「ククッ」

 

フェラチオが笑う。

 

洞窟の奥まで響く、低く愉快な笑いだった。

 

「よい。身の程を知らぬ馬鹿は嫌いではない」

 

巨竜は翼をたたみ、横になった。

 

「見せてみろ、スライム。余の口を越えた者が、どこまでやれるか」

 

「行くぞ、モリ夫」

 

「無視すんなよ」

 

モリ夫は無言で頷いてから、俺の横顔を見た。

 

「……どの面下げて仲間とか旦那とか言ってんすかね」

 

「今言うな」

 

巨大ムカデが、鋭い顎を鳴らして突っ込んでくる。

 

俺は身体を低くし、魔素を集中させた。

 

こうして。

 

スライム。

 

コウモリ。

 

そして口淫竜フェラチオ。

 

洞窟最悪のパーティが、生まれたのである。

 

つづく……

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