※この作品はR-18です。

精子垂らす   作:超絶ゆるふわ乙女

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第54話|戦後処理!!魔王達が温泉と乳首とおまんこヘルスで外交してるんだが!?

 

戦争が終わった翌日。

 

チンポリスの中央通りでは、王国兵と魔物達が同じ道で瓦礫を運び、負傷者へ水を配り、壊れた柵を直していた。昨日まで殺し合いかけていた連中が、今は一緒に復旧作業をしている。

 

見た目だけなら、かなり平和だ。

 

「停戦協議と負傷者の経過観察が必要だ」

 

アナルベルトが腕を組む。

 

「しばらく滞在させてもらう」

 

「分かった。今すぐ帰って王国側だけで話が進んでも困るしな」

 

「助かる」

 

その横で、ナメトだけがすごく良い笑顔をしていた。

 

「では、その間に精液温泉の評価4.9を確認できますね!!」

 

「お前は何しに残るんだよ!!」

 

「経過観察です!」

 

「何の!?」

 

ハインリッヒが淡々と答える。

 

「ナメトの精液温泉への適応状況」

 

「聖女まで乗るんじゃねえ!!」

 

ケツエンドは既に書類を抱えていた。

 

「停戦協議。負傷者名簿。修繕費。王国兵の宿泊手配。賠償問題」

 

紙を一枚めくる。

 

「あと精液温泉への公務利用申請」

 

「却下ァ!!」

 

「もう書いた」

 

「書く前に聞けよ!!」

 

⸻

 

王国側の宿泊場所として使われることになったのは、温泉街で一番大きな宿だった。

 

門前には、双頭のサンダードラゴンが当然のように立っている。

 

右の頭が言った。

 

「宿泊費」

 

左の頭も言った。

 

「通行料」

 

アナルベルトが止まる。

 

「ここは宿だぞ」

 

右頭が頷く。

 

「宿の中を通る」

 

左頭も頷く。

 

「つまり、通行料」

 

「出入口しかねえだろ」

 

「宿泊費は一泊一人金貨三枚」

 

「高いな」

 

「通行料は一回金貨四枚」

 

「宿泊費より高い理由を説明しろ」

 

「大型車扱いだから」

 

「人間しかいないぞ」

 

双頭竜の二つの顔が、同時にゴウンを見た。

 

「骨」

 

「大型」

 

「俺、骨格標本じゃねえんだけど」

 

ゴウンが胸を張る。

 

「魔王なんだけど?」

 

右頭が答える。

 

「魔王料金」

 

左頭も答える。

 

「追加金貨五枚」

 

「アンデッド差別じゃん」

 

アナルベルトが額を押さえた。

 

「……この国は、宿に入るだけで交渉が必要なのか」

 

「俺も昨日知った」

 

「お前国のトップだろ」

 

「施設の料金設定まで把握してるトップがどれだけいるんだよ!」

 

そこへ、アルベドが宿の二階窓から勢いよく飛び出してきた。

 

「アインズ様のおまんこぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「アインだっての」

 

ゴウンが即座に訂正する。

 

アルベドは王国の一行と、後ろに並ぶ兵士達を見渡した。

 

「至高のおまんこヘルスで、ついに他国と交友しておられるのですね!?」

 

「意味わかんねーしなんでお前二階から来たんだよ」

 

「あと、俺の国の正式名称はナザリック=ヘルスだから」

 

ゴウンが補足する。

 

アナルベルトは静かにゴウンを見た。

 

「……お前の国、何という名だ」

 

「ナザリック=ヘルス」

 

「今の説明を聞いた後だと最悪だな」

 

「俺もそう思う」

 

ナメトが遠慮がちに手を上げる。

 

「ナザリック=ヘルスにも温泉はありますか?」

 

「ないよ」

 

ゴウンが答えた。

 

「アンデッドエステならある。男性専用」

 

「いらねえ」

 

「初回割引あるよ。抜きあり」

 

「いらねぇぇえええええ!!」

 

ゴウンは俺の肩へ骨の手を置いた。

 

「至高のゾンビが相手してくれるから」

 

「どこが至高なんだよ!!」

 

「腐れ手コキなどの技術が」

 

「聞いてねえよ!!」

 

アルベドが誇らしげに胸を張る。

 

「アインズ様の御自慢ですものね!!」

 

「俺自慢した覚えねぇんだけど!?」

 

アナルベルトは、ほんの少しだけ俺から離れた。

 

「お前達、本当に魔王なのか」

 

「いやアインに比べたら俺は割と普通だろ!?」

 

「比較対象が悪すぎて判断できん」

 

⸻

 

宿の大広間では、本来なら停戦協議が始まる予定だった。

 

ところが、椅子に座るより早くフェラチオが俺の前へ降りてきた。

 

「おいリムル!余も戦場で活躍したぞ!」

 

「お、おう」

 

「敵兵へ一発も当てずに森を消し飛ばし、進軍を止めた上に口淫願望も抑えた」

 

「それは活躍というか脅迫だろ」

 

「戦争を止めた」

 

「言い方だけ聞けばそうだな」

 

「余は賢い」

 

温泉上がりの髪を拭きながら、クラウディが横から入ってくる。

 

「それを言うなら妾もじゃ」

 

「お前何したの?」

 

「戦の最中でも妾の湯を守った」

 

「うんそうだね」

 

「兵が温泉へ近づくたび、眠らせて湯船へ沈めた」

 

「それは普通に危ないだろ!」

 

「湯温は適温じゃ」

 

「そこじゃねえよ!!」

 

フェラチオがクラウディを見る。

 

「余の方が活躍した」

 

「妾の方が静かに戦を終わらせた」

 

「余のクレーターの方が大きい」

 

「妾の湯船の方が深い」

 

「張り合う場所が終わってる」

 

二人の後ろで、ディア風呂がいつもの営業スマイルを浮かべていた。

 

「この戦争……何者かの垂らすの意思を感じますね」

 

「何が!?どこに!?」

 

「人間と魔物。憎しみと疑念。偽りの死体。そして本物の血」

 

ディア風呂は静かに頷く。

 

「全てが、何かを垂らすために――」

 

「戦争を精液みたいに語るな!!」

 

アナルベルトが俺を見る。

 

「お前の国では、まともな奴ほど少ないのか」

 

「まともな奴はいる!」

 

「誰だ」

 

「ベニマル」

 

「一人だけか」

 

「シュナもいる!」

 

「前に陰核退場と言っていたが」

 

「……なんでその記憶あるんだよ」

 

⸻

 

役所の会議室では、リグルドとケツエンドが大量の書類を前に向かい合っていた。

 

ケツエンドは死んだ目で報告書を読み上げる。

 

「王国側の負傷者三十四。魔物側の負傷者二十七。建造物の損壊は――」

 

「ちょっと待て」

 

リグルドが紙束の一枚を持ち上げた。

 

「巨大乳首展望台予定地の防衛壁、という項目は何だ」

 

「損壊建造物だ」

 

「まだ建造されていない」

 

「では未完成建造物」

 

「更地だぞ」

 

「しかし防衛壁はあった」

 

「ビーチクの野郎が勝手に生やしただけだろ!!」

 

ケツエンドが真顔で答える。

 

「書類上では、存在したものが壊れたら損害だ」

 

「事務官こわ」

 

「戦争の後を思うと胃が痛い」

 

「分かる……だがこれも次期国王の為」

 

ケツエンドは、リグルドを無視して次々と書類を差し出した。

 

「停戦協議の議事録」

 

「書こう」

 

「王国兵の宿泊名簿」

 

「書きますぞ」

 

「二国間の謝罪文案」

 

「……まぁ書くか」

 

最後に精液温泉の公務利用申請が出てくる。

 

「破る」

 

⸻

 

街の外れでは、ビーチクが戦争で壊れた街道や民家には目もくれず、更地の前に立っていた。

 

「工事を再開する」

 

「待て」

 

ベニマルが即座に止める。

 

「優先順位を考えろ。戦争で壊れた箇所が先だ」

 

ビーチクは図面を広げた。

 

「我の優先順位は明確だ。巨大乳首展望台。その周辺景観。そして戦争で壊れた箇所」

 

「優先度低っ!!」

 

「少なくとも三位には入っている」

 

「そこ誇るな!!」

 

俺は少し離れた場所から、そのやり取りを眺めていた。

 

ビーチクは相変わらず、俺を見ようとしない。戦争中はあれだけ殴り合ったのに。

 

「お前」

 

俺が声をかける。

 

「何だ、下劣スライム」

 

「俺に不満があるなら言えよ〜?」

 

ビーチクの眉が動いた。

 

「……何?」

 

「我慢してたのか〜?最初から俺の仲間になったつもりはないのに、街に住んで、建築して、展望台まで作って」

 

「フン」

 

ビーチクは腕を組む。

 

「最初から貴様の仲間になったつもりはない」

 

「でも乳首展望台は完成させる?」

 

「完成させる絶対完成させる絶対」

 

「『俺』の街で?」

 

「工事期間中だけだ」

 

「何年?」

 

「百年」

 

「住民じゃねえか!!」

 

ビーチクは露骨に嫌そうな顔をした。

 

「貴様は本当にうるさいな」

 

「だって昨日、俺の捕食に仲間になる能力ないって分かったじゃん」

 

「それが何だ」

 

「お前が自分の意思で残ってたなら、俺ちょっと嬉しいし」

 

ビーチクは何も言わず、図面を見下ろしていた。ベニマルも口を挟まず、二人の様子を見ている。

 

やがてビーチクは、そっぽを向いたまま口を開いた。

 

「相変わらず貴様は下劣でカススライム……だが、多少は貴様のことを認めてやってもいい」

 

俺は瞬いた。

 

「え?」

 

「リムル」

 

一瞬だけ、空気が止まった。

 

「お前今、俺の名前呼ばなかった!?」

 

「……」

 

「え!? 初めてじゃない!?」

 

「知らん」

 

「え、待って。もう一回言って」

 

「殺すぞ、下劣スライム」

 

「おい戻すなよ!! せっかく良い空気だっただろ!!」

 

「貴様が台無しにした」

 

「俺!?」

 

ベニマルは小さく息を吐いた。

 

「主殿。とりあえず、工事再開は止めます」

 

「何で俺に言うの!?」

 

ビーチクが図面を抱え直す。

 

「止められるものなら止めてみろ」

 

「戦後初日に内戦始めるな!!」

 

⸻

 

夕方になり、ようやく停戦協議らしい話が始まりかけた頃だった。

 

ハインリッヒはシュナと並び、王国兵と魔物の負傷者へ治癒魔法をかけている。

 

「傷の深い方からこちらへ」

 

シュナが穏やかに案内し、ハインリッヒは薬草を取り出した。

 

「この薬は、食事の後に飲んで」

 

「料理も出るんですか?」

 

「ええ。陰核女王のシュナ様が作ってくださるそうよ」

 

「様はやめてください」

 

「でも、綺麗な服も作れて料理もできて結界も張れる方でしょう?」

 

「……ありがとうございます」

 

二人は、いつの間にか服の話を始めていた。

 

「その髪飾り、素敵ですね」

 

「ハインリッヒ様の装飾も。今度、似た形で作ってみましょうか」

 

「本当に?」

 

「ええ、陰核縫製で」

 

横で治療を受けていたナメトが、小声で呟く。

 

「女性同士、仲良くなるの早いな……」

 

ハインリッヒが振り返った。

 

「ナメト」

 

「はい」

 

「温泉へ行くのは治療が終わってからよ」

 

「まだ何も言ってませんよ!?」

 

「顔に出てる」

 

「そんなぁ」

 

その時、街の門から悲鳴が聞こえた。

 

「盗賊だ!!」

 

「観光客を襲ってるぞ!!」

 

俺達が駆けつけると、門前では武器を持った盗賊らしき男達が数人、馬車を囲んでいた。人間の商人と魔物の旅人、昨日までの不穏な空気を知らない観光客達が怯えている。

 

「金目の物を出せ!」

 

「戦争の直後なら兵も手薄だ!」

 

「この街は魔物が治安を守ってるんだろ!? なら迂闊に人間には手を出せねえ!」

 

「最低の読み合いすんな!!」

 

俺が叫ぶと、盗賊の一人が振り返った。

 

「何だお前」

 

「魔王だよ」

 

「え?」

 

「だから魔王」

 

盗賊達が固まる。

 

「……逃げ――」

 

「ご安心ください」

 

静かな声が、門の外から聞こえた。

 

全員が振り返る。

 

そこにいたのは、大きな魔女帽子を被った白銀の髪の女だった。青と黒を基調にした服から長い耳が覗き、どこか気弱そうな赤い瞳が盗賊達を見ている。手には装飾の多い杖。

 

女はおそるおそる、俺達の前へ出た。

 

「殺さず、穏便に解決いたします……」

 

「おお」

 

俺は思わず頷いた。

 

「珍しく話が分かる人だ」

 

女は杖を両手で握りしめる。

 

「まず、両脚を砕いて逃走手段を奪います」

 

「俺の知ってる穏便と違う」

 

盗賊達が慌てて武器を構えた。

 

「何だこの女!?」

 

女は少しだけ怯えたように肩を震わせる。

 

「すみません……すぐ終わらせますので」

 

杖が光った。

 

「『強制平伏(ニード・ダウン)』」

 

次の瞬間、盗賊達の身体がまとめて地面へ叩きつけられた。

 

ドゴン!!

 

石畳が沈み、盗賊達の武器が砕ける。

 

「足がァァァァ!!」

 

「ご安心ください」

 

女は優しく言った。

 

「致命傷ではありません」

 

「骨折はしてるだろ!!」

 

「逃げられないので、これで交渉できます」

 

「交渉前に交渉材料を粉砕するな!!」

 

女は俺の方を見た。

 

「……治安維持のお仕事を募集していると聞いたのですが」

 

「今、ちょうど治安乱してるよ君が」

 

俺は地面に埋まった盗賊達を見る。

 

動けない。

 

でも、生きている。

 

確かに、ものすごく治安は維持されている。

 

「名前は?」

 

女は深く頭を下げた。

 

「パトリシア=パイズリッドと申します。元傭兵団の制圧術師です」

 

「すげえ名前」

 

俺はベニマルを見る。

 

ベニマルも俺を見る。

 

その後ろで、ガマンダがパトリシアの顔を覗き込んでいた。

 

「あらぁ……顔は綺麗なのに発想が物騒すぎるわねぇ♡」

 

クラウディも、眠たそうに頷く。

 

「騒ぐ者を静かにするなら、妾の湯にも向いておる」

 

ディア風呂が、完璧な笑顔で手を叩いた。

 

「素晴らしい。風呂の治安が、より垂らせますね」

 

「風呂の治安は垂らすな!!」

 

パトリシアは首を傾げた。

 

「……採用、でしょうか?」

 

昨日まで戦争だった。

 

今日は停戦協議だった。

 

そして明日からは、多分この女が観光客を地面へ埋める。

 

俺は頭を抱えた。

 

「とりあえず、面接からな」

 

「はい。よろしくお願いいたします」

 

パトリシアは、ほっとしたように微笑んだ。

 

地面に埋まった盗賊達は、まだ泣いていた。

 

つづく……

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