※この作品はR-18です。

精子垂らす   作:超絶ゆるふわ乙女

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第57話|正式停戦!!帰る奴が多すぎてチンポリスが急に静かな件

 

戦争が終わってから数日後。

 

チンポリスの正門前には、アナルナメス王国の紋章を掲げた馬車が止まっていた。

 

馬車から降りてきたのは、王の使者だという年配の男だった。彼は王国兵と魔物達、それから何故か地面から首だけ出しているちんぴらを見回して、一度だけ目を閉じた。

 

見なかったことにしたらしい。

 

使者は巻物を開き、よく通る声で読み上げた。

 

「アナルナメス王国国王の名において、チンポリスとの停戦協定を正式に承認する。両国は今後、互いの領土と民を害さず、今回の戦争に関する調査と賠償については、別途協議を進めるものとする」

 

正門前に集まっていた王国兵達が、静かに息を吐く。

 

戦争はもう終わっていた。

 

けれど、国同士が終わったと認めるのは、また別の話だ。

 

リグルドが、俺の横で頷いた。

 

「これで書類の上でも終戦ですな」

 

「書類の上でまで戦争してたのかよ」

 

「戦争の後は、書類が本番ですぞ」

 

少し離れた場所で、ケツエンドが深く頷いていた。

 

「ようやく分かる者がいた」

 

「意気投合すんな。胃が痛そうな奴が二人に増えた」

 

協定書への署名が終わると、アナルベルトが俺の前まで歩いてきた。

 

白い燕尾服は戦争の時より少しくたびれていたが、その表情はいつもの冷静さを取り戻している。

 

「世話になったな、リムル」

 

「こっちこそ。色々壊したし」

 

「それは主に乳首大公が壊していた」

 

「俺もそう思う」

 

ビーチクが、すぐ近くで眉をひそめた。

 

「我は必要な建築と破壊を行っただけだ」

 

「森と山を消し飛ばしたことを建築の範囲に入れるな」

 

アナルベルトは一度だけ苦笑してから、真面目な目で俺を見た。

 

「魔物の国というものを、俺達は誤解していた」

 

周囲の王国兵達も、黙ってこちらを見ている。

 

「今回の戦争で分かった。人間にも魔物にも、敵意を持つ理由のない者がいる。俺達はそれを、ろくに確かめもせず敵だと思い込んだ」

 

「まあ、こっちも誤解される要素しか出してなかった気はするけどな」

 

俺が横を見る。

 

精液温泉街。

 

未完成の巨大乳首展望台。

 

地面から首だけ出した盗賊。

 

どこからどう説明しても、だいぶ不利だった。

 

アナルベルトも、俺の視線の先を見た。

 

「その辺りは、正直まだ誤解かどうか判断できない」

 

「正しい判断だと思う」

 

フェラチオが得意げに胸を張る。

 

「余の口淫外交も、両国の和平に役立ったな」

 

「役立ってねえよ!どの場面で!?」

 

「王国兵に口淫願望を抑えさせた」

 

「それはお前自身の話だろ!」

 

ビーチクも図面を取り出した。

 

「停戦記念として、王国の使節団にも巨大乳首展望台の完成式典へ招待してやろう」

 

使者の顔が曇った。

 

アナルベルトの顔も曇った。

 

「……やはり、魔物の国というものを理解するには時間がかかりそうだ」

 

「今のは俺もフォローできない」

 

ハインリッヒが、治療所から戻ってきたばかりの手で小さく手を振った。

 

「皆さん、行く準備はできましたか?」

 

後ろには、王国兵達が荷車と荷物をまとめている。数日前まで敵だったオーク達が、重い荷物を一緒に馬車へ積み込んでいた。

 

オーク将軍が最後の木箱を担ぎ上げ、王国兵へ手渡す。

 

「道中で腹が減るだろう。人間の干し肉と、ミンチの保存食を入れておいた」

 

「……なんのミンチですか?」

 

「ふっ、オークジョークだ」

 

「いや笑えないよ将軍!?」

 

「……ありがとうございます」

 

「次に来る時は、武器ではなく土産を持ってこい」

 

「はい……」

 

「持ってこないのはオーク差別ですよね?」

 

「それやめろ」

 

ガマンダがその横から顔を出した。

 

「温泉まんじゅうなんかがいいわよぉ♡あと殿方の愛液も」

 

「絶対後半いらないだろ」

 

V豚オークは荷車の後ろで手を振っている。

 

「次は観光イベントで来た方がいいでふねぇwレイドバトルも待ってるんだよなぁ!?」

 

ナメトの目が光った。

 

「観光イベントは精液温泉込みですか!?」

 

ハインリッヒが、ナメトの襟を掴んだ。

 

「帰りますよ」

 

「まだイベントの話しかしてません!」

 

「顔がもう温泉へ行ってます」

 

「そんなぁ」

 

アナルベルトは、その騒ぎを見て少しだけ肩を落とした。

 

「王へ戻ったら、今回のことを全て報告する」

 

「大変そうだな」

 

「それより問題なのは、師匠に何と言われるかだ」

 

その声だけ、少し低くなった。

 

俺は首を傾げる。

 

「師匠?」

 

「ライク=リフト。俺に剣と魔法を教えた人だ」

 

ナメトが、ハインリッヒに引っ張られながら振り返る。

 

「僕も一度だけ会いましたけど、アナルベルトさんがあんなに姿勢よくなるの初めて見ました」

 

「余計なことを言うな」

 

「どんだけ怖い人なんだよ」

 

アナルベルトは少しだけ黙った。

 

「正直、どの魔物よりもあの人の方が怖い」

 

「は?」

 

「伝説の勇者パーティの剣士だからな」

 

「はぁ!?」

 

伝説の勇者の仲間。

 

急に出てきた肩書きが重すぎる。

 

アナルベルトは俺の反応を見て、少しだけ困ったように笑った。

 

「今度、王国へ来ることがあれば紹介する」

 

「その前に心の準備させてくれ」

 

王国兵達が馬車へ乗り込み始める。

 

カリ・フラワーは荷台の上から、優雅に扇子を振った。

 

「では皆様、ごきげんよう。次にお会いする時は、もっと美しい外交にいたしましょうね」

 

「意外とお前裏で働いてたよな」

 

「当たり前ですわ」

 

カリは微笑む。

 

「美しい者は、去り際まで美しいのです」

 

ケツエンドは、馬車の中で書類束を抱えたまま答えた。

 

「帰ったら王への報告書が三十七通。停戦協議の議事録が二十八通。賠償関係の書類が――」

 

「数えるな! 帰る前から胃が痛くなる!」

 

アナルベルトの声が、馬車の中から聞こえた。

 

最後にハインリッヒが、こちらへ深く頭を下げる。

 

「皆さん、本当にありがとうございました。負傷者の皆様が、これ以上増えないことを祈っています」

 

「そっちもな」

 

「次は精液温泉の効能を――」

 

「ナメトは黙っててください」

 

馬車がゆっくりと動き出した。

 

王国兵達も、その後ろに続く。

 

正門の外へ去っていく彼らの背中を見ながら、俺はようやく長かった戦争が終わったのだと実感した。

 

その時。

 

「達者でなー!」

 

地面から、ちんぴらが大きく手を振った。

 

王国兵達が、なぜか手を振り返す。

 

「なんでてめえが残ってんだよ!!」

 

「俺もこの街の住民になりつつあるからな!」

 

「地面に住んでるだけだろ!」

 

「住所は石畳の下だ!」

 

「最悪の定住方法すぎる」

 

⸻

 

王国の一団を見送った翌朝。

 

正門前には、今度はゴウンとアルベド、それからナザリック=ヘルスの使者らしいアンデッド達が集まっていた。

 

ゴウンは旅支度というより、帰りたくない人間の顔をしていた。

 

「さすがに俺もナザリック=ヘルスを空けすぎて、行政がやばいんだわ」

 

「今更かよ!?」

 

「勝手に戦争へ加担したから、いろんな国から詰められてる」

 

「マジでそれは巻き込んでごめん!」

 

ゴウンは遠い目をした。

 

「骨身に染みた、ぜ」

 

「それうざ」

 

アルベドが、ゴウンの腕へしがみつく。

 

「アインズ様!ようやく我らがナザリック=ヘルスへお戻りに!留守の間に書類が山のように――」

 

「帰りたくなくなってきた」

 

「帰れ!!」

 

俺が叫ぶと、ゴウンはため息をつきながら肩をすくめた。

 

「まあ、なんだ。面白かったよ」

 

「戦争が?」

 

「お前と一緒にいたのが」

 

急にまともなことを言われて、少しだけ返事に困る。

 

「……急にそういうこと言うなよ」

 

「じゃあナザリック撤回する」

 

「撤回すんな!」

 

ゴウンは笑った気がした。

 

骨だから、実際にはよく分からない。

 

「また来いよ。今度は戦争じゃなくて」

 

「ナザリック=ヘルスのユグドラ風俗?」

 

「なにそれ」

 

「ぶくぶくちゃがまんこが作った男の娘専用風ぞ――」

 

「行かない」

 

「至高のショタによる抜きあり――」

 

「行かねえっつうの!!」

 

アルベドが満足そうに頷く。

 

「至高の御方とチンポリスの交流は、これにて健全に終了ですわね!」

 

「今の会話のどこが健全だったんだよ」

 

ゴウン達を乗せた馬車が、今度こそ街を出ていった。

 

見送る面子が続いたせいで、正門前は急に広く感じる。

 

フェラチオが、その静けさを壊すように言った。

 

「では、次はどの魔王を招く?」

 

「誰も招かない。しばらく静かにしたい」

 

⸻

 

役所へ戻ると、ベニマル達が今後の予定を確認していた。

 

戦争の後始末。

 

王国との停戦協議。

 

壊れた街道の修復。

 

巨大乳首展望台の工事停止命令。

 

やることは山ほどある。

 

それでも、俺の頭には一つだけ引っかかっている名前があった。

 

「で、次どうする?」

 

俺が言うと、ベニマルが書類から顔を上げた。

 

「次、と申しますと?」

 

「ユウキ・カグラザカ」

 

パトリシアが、ほんの少しだけ姿勢を正した。

 

「自由組合の総帥ですか」

 

「ああ。日本人っぽい名前だし、一度会ってみたい」

 

ーーー告、対象名『ユウキ・カグラザカ』。日本由来の姓名である可能性が高いと推定されますーーー

 

「やっぱそう思う?」

 

ーーー告、なお確証はありませんーーー

 

「分かってるよ」

 

「この世界へ来た異世界人かもしれませんものね」

 

シュナが静かに頷く。

 

「それに、今回の戦争を仕組んだ者達についても、何か知っている可能性はあります」

 

ベニマルは少し考えた。

 

「イングラシア王国まで向かわれるのですね」

 

「うん。大人数で行く必要はない。話を聞きに行くだけだし」

 

「では、護衛と案内役を選びましょう」

 

「余も行こう」

 

フェラリルが、窓際で朝日を浴びながら言った。

 

「なんで?」

 

「他国の口内グッズを確認する」

 

「残れ」

 

クラウディが、温泉まんじゅうを抱えたまま手を上げる。

 

「妾も行く」

 

「目的は?」

 

「旅行」

 

「残れ」

 

ビーチクは、巨大乳首展望台の図面を持ち上げた。

 

「イングラシアの建築水準を確認する必要がある」

 

「展望台完成させてから言え」

 

「ぐぬぬ」

 

シオンが勢いよく立ち上がった。

 

「リムル様の生まんこを国外でも守るため、私も――」

 

「留守番」

 

「まだ最後まで言ってません!!」

 

「最初でもう駄目だったんだよ」

 

モリ夫が、壁際からそっと手を上げた。

 

「俺も行きますよ旦那ァ!」

 

「なんで?」

 

「……なんでって言われると困りますぜ」

 

「じゃあ残れ」

 

「まだ早いっすよ!」

 

モリ夫は少しだけ考え込んでから、胸を張った。

 

「こう見えて俺、国外経験ありますからね」

 

「どこ行った?」

 

「逃亡先なら何ヶ国か」

 

「旅行歴みたいに言うな!あとお前洞窟暮らしだったろ!」

 

「でも入国審査で怪しまれないルートとか、追手を撒きやすい宿とかは知ってますぜ!」

 

「役に立つのが微妙に嫌だな……」

 

その時。

 

ディア風呂が、珍しく自分から一歩前へ出た。

 

「僭越ながら、私も同行してよろしいでしょうか」

 

「お前から行きたいって言うの、珍しいな」

 

ディア風呂は、いつもの営業スマイルを浮かべている。

 

「イングラシア王国には良質な浴場文化があると聞いております」

 

「やっぱり風呂じゃん」

 

「それだけではありません」

 

声は穏やかなままだった。

 

「異世界人が集まる場所には、時に世界の理から外れた情報も流れ着きます。三千年ほど風呂を営んでおりますと、そういう話に触れる機会もありますので」

 

「急に悪魔らしいこと言うじゃん」

 

「お褒めにあずかり光栄です」

 

パトリシアも、控えめに手を挙げた。

 

「私が同行した方が、イングラシアでの入国手続きや自由組合との接触は円滑かと思います」

 

「確かに、案内役がいると助かる」

 

「ありがとうございます」

 

彼女は丁寧に頭を下げた。

 

ただ、その指先だけが杖を少し強く握っていたことを、俺は見落としていた。

 

「ソウエイはどうする?」

 

ベニマルが訊ねる。

 

俺が返事をするより先に、足元の影がゆっくり揺れた。

 

「既に、イングラシア方面へ先行しております」

 

「早いな!?」

 

影の中から現れたソウエイは、何事もなかったように続ける。

 

「自由組合の周辺と、ユウキ・カグラザカの情報を確認してまいります」

 

「頼む。射精はしなくていいからな」

 

「承知しました」

 

一拍。

 

「必要であれば」

 

「必要になる場面ある!?」

 

結局、イングラシアへ向かうのは、俺、モリ夫、ディア風呂、パトリシア。

 

ソウエイは一足先に現地へ入り、ベニマル達は街に残ることになった。

 

ベニマルが、俺へ小さな革袋を差し出す。

 

「旅費です。問題があれば、すぐに連絡を」

 

「分かった。街の方も頼む」

 

「お任せを」

 

「旅用の装備が必要なら作れるぞ」

 

「おじ丸!助かる」

 

「イングラシア王国へ売り専もできる」

 

「旅立ち前にそれ言う必要あったかなぁ!?」

 

話がまとまり、旅支度を始める頃。

役所の窓からは、工事を再開しようとしてベニマルに止められるビーチクの姿が見えた。

 

温泉街の方では、クラウディが「妾の湯をもっと映せ」と撮影係へ文句を言っている。

 

フェラリルは朝五時の街を撮るという謎の企画を、まだ諦めていない。

 

パトリシアは、その光景を静かに眺めていた。

 

「……本当に、賑やかな国ですね」

 

「今さら気付いた?」

 

「いいえ。改めて思いました」

 

俺は旅支度を整えながら、街の外へ続く道を見る。

 

次の目的地は、イングラシア王国。

 

日本人かもしれない自由組合の総帥、ユウキ・カグラザカ。

 

そして多分。

 

また何か、面倒なことに巻き込まれる。

 

「行くか」

 

モリ夫が荷物を抱え直す。

 

「今度こそ平和な旅行がいいっすね」

 

ディア風呂が、微笑んだ。

 

「旅先で垂らすことのないよう、どうかお気を付けください」

 

「何をだよ!!」

 

つづく……

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