1話 凌辱の
1話 凌辱の
砕けるクリスタル。
その音すらも掻き消す程の魂が籠った声がこの青の世界を震わせた。
「綴木みこと氏……助けに来たよ……!!!!!」
「……ぁ」
その言葉を吐き出した瞬間、辺りは白く包まれる。
その後、私は綴木みことの形を模した造魔忍の中に人格を入れる事に成功した。
それにより私は……綴木みことではなく、綴木智樹として新たなる1歩を踏み出した。
ダークファルス・ソウラスの力を一部であるが、それを行使できる戦闘特化の私と、後方支援と諜報活動のスペシャリストである綴木みことの2人の相性が良く、私とみことさんは基本的に同じチームを組むんで、潜入諜報任務を主に与えられ、それらを次々と完遂していった。
そして、今回も2人は任務の場所に降り立った。
私は、とある研究所の近くにいる。
今回の任務。
それは造魔忍を製造しているプラントの製造工程や研究の情報等の奪取、及びそれらの完全破壊。
みことはハッキングが可能な範囲ギリギリの遠い場所に隠れてもらい、万が一何かあれば即時に撤退ができるようにしている。
それは彼女には戦闘能力が皆無に等しいからだ。
ソウラスの力を行使でき、ある程度銃の扱いに長けている私ならともかく、彼女は忍法が発現していない為、中等部の見習い対魔忍にも劣るほどだ。
よって、彼女は遠い場所からの支援となっている。
─智樹センパイ聞こえますか?─
インカムからみことの声が聞こえてくる。
声を出してまずいので、私はインカムに人差し指をコンコンと2回つつくように触れた。
以前からしている「聞こえているよ」の合図だ。
─今から目の前にある扉を開けます。私の合図で潜入してください─
私は再びコンコンと鳴らした。
数秒した後、みことの声が聞こえる。
─センパイ、今です─
彼女の声と共に私は目の前にある扉に音を立てずに走って向かう。
ロックがかかっていると思われる赤いランプが点いているのにも関わらず、その扉がガシャリと開いた。
「(ホンマにみこと凄いな)」
開いた扉を一瞬だけチラリと見てから、改めて彼女のハッキング能力の高さに関心する。
「(さて……!!)」
私はショットガンをリロードし、みことから送れる敵の位置を確認しながら、製造の場所へと向かった。
敵がいないルートを通った為、無駄な戦闘をせずに数分して造魔忍のプラントへと到着することが出来た。
私の目の前にある扉の奥に今回の目標となる物があるのだろう。
私は、近くにある柱の後ろに隠れてからインカム越しにだが、みことに話しかける。
「みこと、そっちは情報の奪取を頼みます。何かあれば直ぐに撤退するようにお願いします……」
私は静かにそう言った。
─分かってます。センパイも、無理は禁物ですよ─
「……もちろん。これ終わったら、最近マエサキに開店したカフェがあるんで、1回行きましょう」
そう小声で言った。
それを聞いたみことは、声からも分かるニコッとした口調で「いいですね、もちろんセンパイの奢りで♪」とインカムから聞こえてきた。
「あー、せめて上限3000円でお願い……」
─はーい♪─
そして、私は扉をゆっくりと開けて、造魔忍のプラントへと入った。
あのヨミハラと同じような培養ポッドの中に白い人形がたゆたっているのが確認できた。
「(いつ見ても不気味だ……)」
私はソウラスデバイスを起動し、ソウラスの力を顕現させた。
「(タイムリミットは5分。余裕で行けるな……!!!)」
私は魔法杖を具現化させて、杖を地面に突き刺した。
「全部叩き潰す……!!!」
杖からキューブ状の波動がプラント全域に広がり、培養ポッドの尽くを粉砕した。
ガラスが割れ、液体が滝のように流れ、中にある白い人形は、糸が切られた操り人形のようにガラガラと床に崩れ落ちた。
その瞬間、侵入者を伝えるアラームがこの研究所内に鳴り響く。
「貴様、対魔忍だな!?」
「だったらなんだ?殺すぞ」
武装をした兵士が銃を構えるも、その瞬間には私は彼らの頭上にキューブゲートを開いており、彼らが引き金を引く時には私はゲートからキューブ状のレーザーを落とし、皆殺しにしていた。
「(あとは、みことが情報を取ってくれるまで、暴れるか……!!!)」
少なくとも彼女なら2、3分もあれば完了するだろう。
私は残ったプラントとやってくる兵士を殲滅するために暴れまわった。
「よし、私も頑張らないと……!!」
研究所からかなり離れたところにいるみことは、情報を奪い取るハッキング作業に入った。
「ここからが私の仕事……智樹センパイが敵を引き付けている5分間、それまでに造魔忍のデータを────」
「お仕事熱心だね、みことちゃん♡」
「……え?」
情報の解析を行おうとした次の瞬間、男性の声が後ろから聞こえ、反射的に振り返った。
だが、みことはその男性の姿を見るよりも先に、視界が真っ暗になった。
「(もう時期、ソウラスのタイムリミットだな)」
敵の猛攻を生み出したキューブの塊で防ぎつつ、心臓や頭を狙い撃ちながら、そろそろ撤退するべきだと心の中で呟いた。
まだ連絡をしていないが、もうみことも目的のデータを取り終えただろう確信があった。
私は持っていた錫杖を大きく振り上げる。
「最後に一発……!!! くたばれぇぇ!!!」
力強く振り下ろす。
巨大なキューブが放たれ、その場にいた兵士たちを赤い肉塊へと変えた。
「よし、このまま撤退だ!」
私は踵を返して出口へと全速力で走った。
「みこと、聞こえるか!? 目標の破壊は完了した! そっちはデータ取れた?」
私は走りながら、インカム越しに彼女に話しかける。
しかし、彼女からは一向に返事がない。
「(通信が悪いのか……?)」
私は一瞬だが嫌な予感を走らせるが、流石にそれは無いだろうと、その予感を消し飛ばして通信が悪いのではと考える。
「みこと? 大丈夫か?」
もう一度、話しかける。
返事は来ない。
「(……え、そんな訳ないよな……)」
彼女からの無音に私は次第に嫌な方向へと予感が舵を切り始める。
「居たぞ!!! 逃がすな!!!」
「チッ……コイツら……!!!」
逃げている方向から敵兵士がウジャウジャとやってくる。
ソウラスデバイスも、あと数秒しか持たない。
「流石にこれで戦うのは悪手か。1度別の場所に逃げよう……!」
私は別の道へと逃げることを選び、踵を返した。
何故か私を撃ってこない事に不思議に感じたが、今は後ろを振り返る暇は無い。
「(みこと、どうした……!? なぜ出ない……!?)」
それよりも彼女からの応答がない事が心配でそれどころではなかった。
「こっちだ!! 追え!!!」
「くっ、しつこい!!」
私は敵のいない方いない方へと逃げた。
そうしている内に、私は完全に行き止まりとなっている部屋へと辿り着いた。
「(嵌められたか……!?)」
私は急いで扉を閉め、どこかへ隠れようと考えたその時だ。
突如としてライトが照らされ、あまりの眩しさに私は腕で目を隠した。
「んぴっぴっぴっぴっ、こんにちは、みことちゃん♡ いや、今は綴木智樹ちゃんだったね♡♡」
ホログラムの巨大なモニターが壁に映し出された。
そこにいる男性の顔を見て、私は顔を強ばらせた。
「お前は……!!」
反射的にショットガンを構えて、その男性……キモオジの方を睨みつける。
「ヒュモモモモモモ、いいねぇその顔……その気迫……犯し甲斐があるよぉぉ♡♡♡」
あいも変わらず、ニチャニチャとした気持ちの悪い話し方で私を見つめるキモオジに私は吐き気がした。
「……でも智樹ちゃん、そんな事をしていいのかなぁ?」
「何が……はよ出てこい。殺すぞ……!!」
「いいのかなぁ? そんな事をして、この子がどうなってもいいのぉ?」
「ッ!!?」
ニチャニチャと鼻の下を伸ばしながら、キモオジは奥のベッドを映し出した。
その高級そうなベッドには、マングリ返しの状態で拘束されてグッタリと意識を失っている綴木みことの姿があった。
「み、みこと!!!」
私は身を乗り出すように叫ぶ。
そして、「お前みことに何した!?」と剣呑な眼差しで問い詰める。
「ん〜〜〜〜、さぁ、僕の友人が何か気絶させたんじゃないかなぁ?」
気持ち悪い笑い声で話すキモオジ。
次の瞬間、後ろの扉が勢いよく開き、兵士たちが乗り込んで私に銃を向ける。
「……っ!」
「モッモッモッモッモッ! ここで抵抗してもいいけど、そうすると、あそこで寝てるみことちゃんの命の保証はないよぉ?」
「……さ、最悪の……〇タ野郎が……!!」
歯を食いしばり睨みつける。
「ンッポュポュポュポュポュ、どうする? 大人しくしてくれたら、みことちゃんには何もしないよ〜♡♡♡」
「くぅ……!!」
キモオジの言葉に私は苦虫をかむ潰したような表情を浮かべる。
選択肢なんて、合って無いようなものだ。
後ろで銃を構えている兵士の数は、予想だが10人ほど、抵抗は無駄に終わり確実に蜂の巣にされる。
それに、いま抵抗なんてしようものなら、みことが殺される。
私の行動によって、大好きな人が殺される……それだけは絶対にあってはならない事だ。
私は迷うことなく返事をした。
「わ、分かった。大人しくする」
そう言って持っていたショットガンをゆっくりと床に起き、両手を頭の上に置いてゆっくりと膝をついた。
その様子を見たキモオジは、今までに聞いた事のないドスの聞いた声を出す。
「よし、じゃあ智樹ちゃんを連れて来るんだ」
そう兵士に命令する。
次の瞬間、首元に何やら電流が走ったような感覚が一瞬だけ感じ、視界が暗転した。
「んっ……んん……ここって……」
「せ、センパイ……」
私はゆっくりと目を開ける。
そこは、先程モニター越しに見た高級のベッドであり、横にはみことが凄い申し訳なさそうな表情で見つめていた。
「ごめんなさい、私の不注意で……センパイまで……」
今にも泣きそうな声で話すみことに、私はマングリ返しの態勢でニコッと微笑んで「そういう時もあるよ。気にしないで」と安心させようとした。
そんな雰囲気をぶち壊す存在が2人、やってきた。
「おっ、2人ともお目覚めだね」
「ンヒュヒュヒュ、あぁ……なんて美しい光景なんだろう……」
毛だらけの脂ぎり、太った気持ちの悪いオジサンが2人が全裸でヨダレを垂らしながら現れる。
1人はキモオジ……もう1人は……コイツ……もしかして……。
私は悟った。
このシチュエーション……綴木みことの回想1である事に……。
これ以上書くと、私の精神が本気で死にそうなので、プロローグはこれで終わりとします。
続きたくは無いが、続く
次の綴木みことの竿役はふうま小太郎でありますように。
次の綴木みことの竿役はふうま小太郎でありますように。