※この作品はR-18です。

【R-18】オバエロ:至高の淫魔がスケベする話   作:口だけの淫魔

18 / 111
#18 ゲヘナの炎

王都の北東周辺、その一帯を円に描くような炎の柱。

その正体を俺は知っている。

ゲヘナの炎……デミウルゴスのスキルによって生み出した炎だ。

まぁ、見掛け倒しで実際はダメージも発生しない盛り上げスキルなのだが。

 

イビルアイと俺は<飛行(フライ)>を使用し、その幻惑の炎を突っ切って王城まで帰還した。

 

あ、ついでにイビルアイの着替えも回収しておいた。

汗とか体液とかでぐちゃぐちゃだったし、仮面も割れてたからな。

アンデッドってバレると間違いなく大問題になるからな。

緊急事態であり仕方ない話だ。

 

という訳で深夜、王城前……武装している『蒼の薔薇』を見つけて、イビルアイが降下した。

それに気付いたガガーランが驚いた顔をした。

 

 

「イビルアイ!生きてたか!」

 

「あぁ……連絡出来なくてすまなかったな」

 

 

その表情には安堵の表情が浮かんでいた。

詳しくは知らないが、ガガーランとティアは魔皇バアル……ラズロの変身した俺にボコボコにされて逃走していたらしい。

イビルアイが何とか逃した訳だが……彼女達からすれば、イビルアイが心配で堪らなかったのだろう。

 

俺は壁に背を向けて、存在感を消していた。

だって感動の再会なんだろ?

水を差すつもりはない。

 

イビルアイは『蒼の薔薇』の面々にばしばしと叩かれていた。

仲良き事は良き事かな。

 

そうやってスキンシップをしている中、忍者姉妹の一人、ティアがイビルアイに抱きついた。

 

「うん、心配した」

 

「あぁ、悪かっ……待て。お前、どこ触ってるんだ?」

 

「お尻だけど……ヴッ」

 

 

ティアが反撃されていたが……ま、まぁ、見なかった事にしよう。

 

そうして一通り、無事を祝って……ラキュースがイビルアイの手を握った。

 

 

「それで、でも……どうやって生還したの?魔皇バアルと遭遇したんでしょ?」

 

「いや、確かに私も勝てなかったが……助けが来て、な。何とか迎撃する事に成功したんだ」

 

 

そして、イビルアイが俺を一瞥した。

……無反応ってのも態度として悪いか。

片手を上げて、手を振ると……イビルアイがこちらに寄ってきた。

 

 

「何故そんな所にいるんだ、ベリル。こっちに来てくれ」

 

「女の集まりに割り込んでいく男ほど、嫌われる奴は居ないだろ」

 

「お、お前は例外だ。私が許してやる」

 

 

引っ張られて、『蒼の薔薇』の面々の前に立たされる。

面識はあるが、それほど踏み込んだ仲じゃない。

変な質問をされるとボロが出るから嫌なんだ。

 

ガガーランが俺の顔を見て、片眉をあげた。

 

 

「何だよ、お前そんなに強かったのか?」

 

「あー……いや、そこそこだ。そこそこ」

 

 

適当に誤魔化そうと視線を逸らすが、イビルアイは首を横に振った。

 

 

「いや、凄かったぞ!魔皇バアルの召喚した強力なモンスターも難なく撃退した……魔法なら私以上、剣でも英雄級なんじゃないか?」

 

 

余計な事を言わないでくれ、イビルアイ。

 

 

「ヤベェな、マジかよ……」

 

 

ほら、ガガーランにバケモノを見るような目で見られた。

ティナとティアもちょっと引いてる。

目を輝かせてるのはラキュースぐらいだ。

……まぁ、ラキュースは夢物語の冒険譚とか好きだもんな。

 

そんなラキュースが思い出したかのように、イビルアイへ目線を向けた。

 

 

「イビルアイ……私達が襲撃した『八本指』の拠点にも、悪魔は居たわ」

 

「……なに?それは本当か、ラキュース」

 

「ええ……本人は魔皇バアルの配下『魔将ヤルダバオト』と名乗っていたわ」

 

 

俺は目を瞬く。

魔将ヤルダバオト……あ、デミウルゴスか。

詳しい作戦は聞いていなかったが、アイツ、そんな事をしていたのか。

 

俺はラキュースに視線を向けた。

 

 

「よく無事だったな、ラキュース。その悪魔も強かったんじゃないか?」

 

「ええ、私達では悔しい事に……手も足も出なかったけど──

 

 

そう言って、ラキュースが王城の方へと目を向けた。

 

 

「エ・ランテルのアダマンタイト級冒険者『漆黒の英雄 モモン』の助力によって、撃退する事が出来たの」

 

 

……あ、そっちにモモンガさんが行ったのか。

こっちでは俺とラズロがマッチポンプ、あっちではモモンガさんとデミウルゴスがマッチポンプって感じだな。

王都内で茶番が起きすぎている。

 

いや、付き合わされる現地人にとっては、堪ったものじゃないだろうが。

 

ふと、イビルアイが俺を見上げた。

 

 

「ベリル……というか『銀翼』もエ・ランテルの冒険者だったな?どうなんだ、その、モモンは?」

 

「強いよ、俺よりもな」

 

 

そう言うと、仮面越しでも驚愕したのが分かった。

対して、ラキュース達は頷いていた……よっぽど暴れたんだろうな、モモンガさん。

 

対してイビルアイは見ていないからか、訝しげな目をしている。

でも、イビルアイ……嘘じゃないんだよ。

俺よりモモンガさんの方が強いんだ。

 

まぁ、<完璧なる戦士(パーフェクト・ウォリアー)>を発動した英雄モモンより、テイマースキルを使用しない縛りをした俺の方が強いけど……実際に『何でもあり』の戦いになれば、俺は勝てない。

モモンガさんはPvPが上手いんだよな……ブラフの張り方とか、スキルに対する理解度とか、魔法道具(マジックアイテム)の使い方とか、俺より上手いんだよ。

 

 

「モ、モモンは強いのか?本当か?ベリルよりも?」

 

「そうだって言ってるだろう、イビルアイ」

 

 

俺が念を押すと、イビルアイはわなわなと震えた。

小声でボソボソと「ど、どんなバケモノなんだ。そのモモンとやらは……やはり、神人……?いや、ぷれいやーか?」とか言っていた。

まぁ、聞かなかった事にしよう。

 

神人やら『ぷれいやー』関係の話がもし、モモンガさんの耳に入れば……イビルアイは間違いなく、情報源として拉致されて脳みそ開かれるからな。

秘密に関してはちゃんと黙っていてくれよ、本当に……俺が庇うにも限界があるからな。

 

そうして疑っているイビルアイに、ラキュースやティナがモモンの活躍ぶりを語った。

デカい剣でズバズバと召喚された悪魔を倒したとか、強者である魔将ヤルダバオトを追い詰めていたとか……あと、『漆黒の美姫』ナーベの魔法も凄かったとか。

 

そんな話を聞いていると、イビルアイが俺を一瞥した。

 

 

「そういえば、ベリルの仲間の戦士の……ええと──

 

「クレアか?」

 

 

クレマンティーヌね、クレマンティーヌ。

 

 

「そうだ、クレアは今どうしている?というか何故、ベリルは一人で来たんだ」

 

 

そういう質問をされるのは想定済みだ。

ちゃーんとラズロと相談して作った設定リストにも書いてある。

 

 

「最近、きな臭い感じがしていたからな。俺とクレアは手分けして王都を回っていたんだが……偶々、俺は魔法の撃ち合いを目撃して、その場に駆けつけただけだよ」

 

「む……そうか」

 

「ああ。街中で<竜雷(ドラゴン・ライトニング)>を撃ち合ってたら、そりゃ目立つだろ」

 

「それもそうだな」

 

 

イビルアイは納得して頷いた。

本当は襲撃場所も知ってたから、ラズロの<伝言(メッセージ)>を貰ってから駆けつけただけなんだけどね。

 

 

「クレアに関しては、さっき<伝言(メッセージ)>で確認したが、既に王城の中へ来ているそうだ……そろそろ、俺達も中に入らないか?」

 

 

俺がリーダーであるラキュースに視線を向けると、顔を赤らめながら頷いた。

何で赤らめてるんだ?

 

 

「そ、それもそうね。一旦、中に入って今後について話し合いましょ?」

 

 

そうして、王城の中へ俺達は足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

真夜中だっていうのに、魔法道具(マジックアイテム)で照らされた部屋には、冒険者が集まっていた。

王都の異変から集められた、冒険者達だ。

上はアダマンタイト級の『蒼の薔薇』、下は鉄や銅の奴らまでいる。

 

ちら、と漆黒の鎧を纏った大男と目があった。

あ、モモンガさん、お疲れ様です。

ナーベラルもお疲れ様だ。

あの娘は人間のことをゴミだと思っている節がある……こうして囲まれて、話しかけられているだけでも、相当のストレスだろう。

 

俺が視線を向けると、ナーベラル……今はナーベか……ナーベの顔が緩んだ。

ああやって普段から穏やかなら可愛いんだが。

一般現地人に『ウジ虫』とか『ガガンボ』など罵倒暴言をぶっ放し、人間蔑視がエグ過ぎるからな……プレアデスの中でも、ちょっとヤバい寄りだ。

 

実際今も、俺とナーベラルの間に人が通ると、邪魔だと言わんばかりに睨んでいた。

怖いって。

 

そんなナーベラルから目線を逸らして、冒険者の中から……あ、居た。

ローブを着た女が部屋の隅で腕を組んで立っていた。

 

……やべ、あれ怒ってるな。

慌てて『蒼の薔薇』達から離れて、ローブの女……クレマンティーヌの元へ向かった。

 

 

「遅いよー、ベリちゃん」

 

「すまない。色々と外で話し込んでしまってな」

 

「いいよ、怒ってないし」

 

 

いや、怒ってるだろ……って、いや、不機嫌になってる自覚がないのか。

何故だ?

不機嫌な原因、不機嫌な原因、不機嫌な原因……わ、分からん。

 

 

「そうか……ならいいが。そっちはどうだった?」

 

「別にー。セバスさんと合流して、色々と戦ったけどさー……六腕とかさ、全員雑魚だったよ」

 

 

クレマンティーヌには、ツアレ奪還の手伝いをして貰った。

あまりツアレと彼女を会わせたくなかったが人手が足りなかったので仕方がない。

……そっちの方で何か嫌なことでもあったのだろうか。

 

だが、やっぱり分からん。

ええい、こういう時は──

 

 

「それは、ご苦労だったな。これが終わったら、ナザ……ギルド側から褒美を出すよう言っておく。何か欲しい物はあるか?」

 

 

物で釣るに限る。

ほら、クレマンティーヌの表情が少し明るくなった。

 

 

「ベリちゃん太っ腹ー……ご褒美ってさ、物じゃなくてもいいの?」

 

「俺に出来る事ならな。無理な事は無理だと言うし、言うだけならタダだ。言ってみろ」

 

「じゃあさー……」

 

 

クレマンティーヌが俺の胸元に手を置いた。

 

 

「ベリちゃんをさ、三日間……ううん、一日でいいからさー、独占できる権利が欲しいんだけど」

 

 

そう、上目遣いで言ってきた。

……そして、俺は不機嫌な理由を悟った。

単純に寂しかったのだろう。

最近、構ってやれていない自覚がある。

少し前までは、ほぼ毎日、夜も一緒に寝ていたが……三日に一回ほどに減っているし。

 

それが不機嫌の原因と言うのなら……本当に可愛いな、クレマンティーヌ。

 

 

「分かった。だが、それは褒美の内容じゃなくていい……別途、何でも用意するから考えておいてくれ」

 

「え……ダメなの?」

 

「ダメじゃない。この騒動が終わったら、三日間の休養を取る。その時は……まぁ、一緒に何かやりたい事でもしよう。旅行でもデートでも」

 

 

そう言えば、クレマンティーヌは、ニタァ……と笑った。

邪悪な笑みだが、これは普通に嬉しかった時にする笑みだ。

俺は選択肢を間違えなかったらしい。

 

 

「そう言ってくれるなら、この仕事も頑張っちゃおうかなー」

 

「ああ、面倒ごとで悪いが頼む」

 

「全然?いいよ、気にしてないしー」

 

 

そんな会話をして……最後に軽くキスだけして別れた。

 

『蒼の薔薇』の面々とも会話しなければならないから……って、戻ってきたら、イビルアイが呆然としてた。

仮面越しで表情は読めないが、虚空を見て固まっている。

 

 

「イビルアイ……?どうかしたのか?」

 

「……え?あ、あぁ……な、なんだ?うむ」

 

 

肩を叩いたら再起動した。

壊れかけのオンボロPCみたいな挙動だな。

 

そして再起動したてのイビルアイが、俺を見上げた。

 

 

「随分と仲が良いんだな……その、クレアと」

 

 

……会話が軽く認識阻害をかけていたから聞こえなかった筈だろうが、キスした所は見れたみたいだな。

 

 

「まぁな」

 

「……ふ、二人は恋人なのか?」

 

 

イビルアイの声は震えていた。

……答え辛い質問だな。

 

付き合ってるか、付き合っていないかで言えば……いや、俺に付き合ってるつもりは……いや、いやいや……ううん?

恋人ではない……とは思うが、恋人に近い関係ではあるな。

 

 

「まぁ、似たような関係だな」

 

「似たような……?」

 

 

イビルアイの耳元に口を近付ける。

他の奴らに聞かせたくないからだ。

 

 

「キーノ」

 

「ひゃっ、ひゃい」

 

 

……なんか挙動がおかしいが、無視して俺は口を開く。

 

 

「俺は節操がない男だからな。特定の誰かを恋人にする事はないが……いや、そうだな、恋人が沢山いると思ってくれて良い」

 

「……そ、そうなのか?」

 

「そうだ。幻滅したか?」

 

 

俺が耳元から遠ざかると、イビルアイは自身の耳元を手で弄り始めた。

指をその金髪でくるんで弄りながら、俺から目線を逸らした。

 

 

「い、いや……別に、構わない。そういう関係性を持ってる奴も……多くはないが、知っている」

 

「そうか……すまないな。こんな男と『させて』しまって」

 

「あ、謝らなくていいっ……私から頼んだ事だし、後悔などしていないからな。う、うん」

 

 

しおらしい態度のイビルアイに「思ったよりチョロいなコイツ」って感想を抱きつつ、口には出さなかった。

チョロい女過ぎるイビルアイだが、まぁ、そういう所も可愛い。

 

少し離れた所で、ラキュースが俺とイビルアイを見て挙動不審になってる。

 

……なんだ、俺の周りにいる女、可愛過ぎないか?

 

ちょっとニヤけながら、『蒼の薔薇』から離れて、『漆黒』の……鎧姿のモモンガさん達の方へ向かった。

面識があるって、他の冒険者達にアピールしておかないとな。

 

 

「やぁ、モモンさん」

 

 

そう馴れ馴れしく挨拶をしたら──

 

 

「ベリア──さん、いつか刺されても俺、助けないですからね」

 

 

なんて忠告をされてしまった。

 

あ、はい。

すみません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、第三王女のラナーから、状況の説明があった。

低位の悪魔が暴れてるとか、何とか。

魔将ヤルダバオト……というかデミウルゴスが情報操作をしていたそうで、何か、今回の襲撃理由は『王都にある重要な魔法道具(マジックアイテム)』を回収する!とラナー側にも伝わっていた。

 

多分、裏でこそこそとデミウルゴスから情報を流されて、それを信頼できる情報として内部に流通させていたのだろう。

凄い手間だな。

 

一般冒険者達は魔皇バアル、及び魔将ヤルダバオトの討伐……は無理なので、低位の悪魔から王都を守る任務に就くそうだ。

 

魔皇バアルと、魔将ヤルダバオトの対処は漆黒の英雄モモンに託された……らしい。

俺は何もしなくて良いの?……あ、王都内に侵攻してくる悪魔の対処ね、はい了解。

 

 

という訳で、英雄モモン誕生の為に茶番が始まった訳だ。

 

 

 

俺は王都の端っこで雑魚狩りをしていた。

『蒼の薔薇』の面々と一緒にだ。

 

ちなみに、クレマンティーヌに至っては、悪魔討伐の仕事をしていない。

何でも、ツアレ奪還の際に知り合ったブレインや、クライムと共に悪魔から生存者を助ける仕事をするそうだ。

何だか変な所で交流できてるな。

まぁ、いいけど。

 

 

「<上位幻像創造(クリエイト・グレーター・テンポラリー)>」

 

 

魔法で生み出した武器を、低位の悪魔に向かって投擲する。

接触した瞬間に悪魔は弾け飛び、霧散する。

 

その度に背後から驚嘆の声が聞こえる。

大して上手いプレイをしていないのに、知らない奴からゲームで褒められた気分だ。

……いや、そのままか。

ユグドラシルってゲームと考えれば。

 

 

「貴方、そんなに強かったのね……知らなかったわ」

 

 

やめろ、ラキュース。

あんまり褒めないでくれ……ズルして俺ツエーしてるだけだから、恥ずかしいんだよ。

 

 

「流石はベリルだ。このまま前線へ押し込めないか?」

 

 

こんな感じで、イビルアイも「よいしょ」してくる。

俺の羞恥心は限界に達しかけている。

 

こいつら実は俺のことが嫌いなんじゃないか?って一瞬、思ったぐらいだ。

まぁ、そんな事はないだろうけど。

 

低位の中でも、そこそこ強めの悪魔を優先的に排除して、冒険者達を助ける。

そうすれば、感謝の言葉を貰うわけで……あーくそ、複雑な気分だ。

 

そもそも、この悪魔襲撃はナザリックの仕組んだ事だ。

引き金が八本指や、王国の腐敗にあるとはいえ、諸悪の根源は俺達にあると言ってもいい。

 

それをどうこう対処した程度で褒められると、流石の俺も気まずいんだが。

 

 

なんて、ポップした悪魔達を討伐していると──

 

 

「な、なんだぁ……!?」

 

「ひ、ひぃっ」

 

 

凄まじい威圧感が空気を包み込んだ。

……あ、<絶望のオーラ>だな、これ。

 

周りの一般冒険者達は震え出し、アダマンタイト級冒険者の『蒼の薔薇』も顔を険しくした。

 

演出過多だろ……ラズロ、やり過ぎだ。

 

 

『平伏せよ、人間共。この魔皇バアルの足元へな!』

 

 

という訳で、俺の淫魔(インキュバス)獣化形態を模したラズロが飛んできた。

仰々しい言葉遣いと、仰々しい態度、あと何か咆哮。

あれ、俺ってそんな風に見えてるの?

ちゃんと真似できてる?

 

ちょっとバカっぽくない?

 

 

「バカな……な、なぜ、魔皇バアルがここに!?」

 

 

でも、イビルアイとかはちゃんとビビってた。

なら良いか……良いのか?

今後、俺があの姿で活動する時、あんな感じでロールプレイしないといけないんだぞ?

 

 

『報酬は前払いだ……いけ!<魔法最強化(マキシマイズマジック)>・<淫魔の軍勢(インキュバス・アーミー)>!』

 

 

宙を飛びながら、ラズ……ん゛んっ、魔皇バアルが魔法を行使した。

第七位階魔法<淫魔の軍勢(インキュバス・アーミー)>、その効果は中位相当の淫魔(インキュバス)を大量に召喚する呪文だ。

 

地面から毒々しい色をしたクソデカいカエルが召喚される。

……淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)だな。

催淫作用のある毒ガスを口から吐く、キモい蛙だ。

 

 

『ははは!これで貴様らも終わりだ!』

 

 

淫魔を召喚した魔皇バアルは、そのまま高笑いで帰った。

何してるんだ、ラズロ……。

 

……いや、そうか。

今回の作戦の目的は、英雄モモンの誕生。

ついでに、俺の冒険者としての箔付けだ。

モモンは魔皇バアルを倒したという実績を手にして、俺は強力なモンスターを倒したという実績を得る。

これで俺を無理矢理にアダマンタイト級に押し上げようって訳か……。

 

 

そう考えると低位の悪魔じゃ役者不足だったから、態々ここまで来て、中位の淫魔を召喚したのか。

 

 

取り敢えず俺は目の前の、淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)の頭部に剣を突き立てた。

ぶじゅっ、と青紫色の体液が飛び出して俺にかかった……う、うわ、キモ。

 

こいつ体液にも催淫効果があるんだよな。

俺とレベル差があり過ぎて効かないが……ユグドラシル時代、近接攻撃で倒したプレイヤー相手にデバフを撒くから、めちゃくちゃキモがられたのを思い出すよ。

 

そうして、淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)を一体倒している間に、他の淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)が冒険者達へと襲いかかった。

まぁ、こいつら、デバフ能力と耐久性はあるが直接攻撃の火力は低いし、そう簡単に冒険者も死にはしないだろう。

 

焦る事なく剣を作り出すと──

 

 

「ここは私が!」

 

 

ラキュースが低級冒険者を守るべく前に躍り出た。

魔力が魔剣キリネイラムに満ち、刀身が輝き巨大になる。

 

 

「超技!暗黒刃超弩級衝撃波(ダークブレードメガインパクト)!」

 

 

瞬間、そのまま漆黒の爆発が巻き起こり、淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)に直撃した。

あれ別に武技でもスキルでもないし、叫ぶ必要は皆無なんだが……ま、まぁ、本人がカッコいいと思ってるんだから、ヨシ。

 

で、暗黒刃超弩級衝撃波(ダークブレードメガインパクト)が直撃した淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)はというと──

 

 

「なっ、無傷ですって!?」

 

 

淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)は中位の淫魔。

普通の中位淫魔ならラキュースでも倒せる範囲だが……淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)は物理攻撃以外に強い耐性を持っている。

故に、ラキュースの魔法攻撃を受け切れたのだ。

 

 

『グワァ』

 

 

腹の底から震えるような鈍い鳴き声と共に、淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)が口を開いた。

 

その瞬間、イビルアイが反応した。

 

 

「下がれ!ラキュース!」

 

「えっ──

 

 

そして、反応するより速く……蛙の舌が伸びて、ラキュースの身体に巻き付いた。

そのまま、引き寄せられて──

 

 

ばくんっ。

 

 

と、食べられてしまった。

 

 

瞬間、一瞬……辺りが静かになった気がした。

一番最初に我に返ったのはイビルアイだった。

 

 

「ラ、ラキュース〜っ!?」

 

 

叫び声に反応して、ガガーランが淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)へと飛び掛かる。

 

 

「くそっ!リーダーを返しやがれ!」

 

 

切羽詰まった顔だ。

そりゃそうだ、目の前で仲間が捕食されたんだから。

 

いや、まぁ、俺は……焦る必要はないって知ってるんだが。

淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)の捕食は、体内の体液に接触させる事で大量のデバフを付与する効果だ。

マジで食われる訳じゃないし、消化される訳でもない。

 

だから、そんなに命の危機って顔はしなくてもいいんだが……呑気にしていると疑われかねない。

焦ったフリでもするか。

 

 

「下がってくれ、ガガーラン。<上位幻像創造(クリエイト・グレーター・テンポラリー)>」

 

 

剣を作って地面を蹴る。

ガガーランが退避した事を確認し、俺は剣を淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)の頭部に突き刺して……口元まで引き裂いた。

 

そして、絶命した淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)の口の中にラキュースを見つけ、引き摺り出す。

 

 

「大丈夫か、ラキュース」

 

「ん、え、ええ……大丈夫よ」

 

 

涎、そして淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)の体液塗れになり、顔を顰めるラキュースの手を引っ張り、死骸から助け出す。

力が込められないようなので、腰に手を巻いて抱き上げようと──

 

 

「ん゛っ♡♡♡♡」

 

 

……淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)には催淫効果がある。

淫魔って大概そうだしな。

うん。

 

仕方ない。

 

周りの冒険者も淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)の相手で手一杯になってるから、気付いてないだろう。

 

俺も気付いてないフリをしながら、ラキュースを地面へ下ろした。

 

 

「少しここで休憩しておいてくれ。他の淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)も対処してくる」

 

「え、ええ……ぁっ♡」

 

 

僅かに呻いたラキュースを無視して、視線を他の淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)へ向ける。

……そして、ふと、ガガーランの隣に居た筈のイビルアイが居ない事に気付いた。

 

 

「ガガーラン、イビルアイは?」

 

「……あ?確かに居なくなってやがる!イビルアイ!どこ行った!?」

 

 

ガガーランが叫びながら振り返り、俺もそちらに目を向けると──

 

 

『……ゲコ』

 

 

淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)の口元から、見覚えのある赤いローブの端が見えた。

俺に見られて、罰の悪そうな顔をした淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)は、そのローブの端を飲み込み──

 

 

「イ、イビルアイっ!?」

 

 

俺とガガーランは慌てて、イビルアイを救出すべく、淫魔獣蛙(ヴァイオレーション・トード)へ駆け寄った。

 

 

助け出したイビルアイは、ちょっと涙目になりながら蛙の体液塗れになっていた。

 

 




ペロロンチーノ「丸呑みってエッチじゃないですか?」

クレマンティーヌ

  • オイルマッサージ
  • 淫魔獣化エッチ
  • お風呂エッチ
  • 普通にエッチ
  • ※結果だけ確認する
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。