【R-18】オバエロ:至高の淫魔がスケベする話 作:口だけの淫魔
『蒼の薔薇』の面々には、少し遠出の依頼を熟すと言い王都を離れる旨を伝えた。
『蒼の薔薇』は王都を悪魔の残党から守るため、そして王都内の後片付けもあり、離れられないそうだ。
まぁ、俺は薄情なので王都から離れるが。
『漆黒の英雄』モモン……というかモモンガさんとナーベラルも、エ・ランテルへ帰還する事となった。
あ、ついでに『銀翼』もアダマンタイト級に昇格した。
多くの悪魔相手に戦った事とか、色々な所を評価されてね。
なんだかゲームでレベルがカンストした時の気分だ。
嬉しいけど、目的がなくなって寂しい感じ。
あぁ、そうそう。
王都を離れるって『蒼の薔薇』に伝えた時、イビルアイにめちゃくちゃ引き留められた。
ラキュースは他のメンバーからの視線を気にしてか、あまり強く引き留めなかったけれど……イビルアイは駄々を捏ねていた。
初めて会った時はもっとこう、大人びた感じをしていたのに……今は何というか、見た目通りの子供っぽさが出ている。
ガガーランに首の後ろを掴まれて、ようやく大人しくなったが、何というか猫みたいだった。
まぁ、今生の別れじゃない。
というか、結構な頻度で帰るし、そんな引き留めなくても、と思ったが……。
彼女達は冒険者だ。
俺達も冒険者だ。
命懸けの仕事であり、次に会えるかすら分からない。
再会した時には片方が死んでいたっておかしくはない。
だからこそ、離れたがらなかったのだろう。
それでも、俺は王都に残る事は出来ない。
やるべき事が沢山あるからだ。
俺は『蒼の薔薇』の面々に別れを告げた。
クレマンティーヌも別れの場でブレインとクライムと言葉を交わしていた。
……随分と仲良くなったんだな。
そう思いながらも、俺達は王都を後にした。
そして、今……俺とクレマンティーヌ、ラズロは第九階層の一室に集まっていた。
クレマンティーヌの部屋だ……一応。
定義上は俺の『側室』部屋であり複数人用の大部屋らしく、中に小部屋も沢山あるのだが……まぁ、今はクレマンティーヌしか居ない。
ベッドがある空き部屋の一つは、俺も時々使ってるけど。
睡眠目的以外で。
とにもかくにも、複数人で集まるなら持ってこいなのだ、この部屋は。
「という訳で、今日から『銀翼』は三日間休みだ」
大机の向かい側に座るクレマンティーヌへ視線を向けた。
「いえーい」
気怠そうに、クレマンティーヌが反応した。
「休暇期間中、クレマンティーヌは俺を独占できる権利を持つ……まぁ、最近忙しかったしな、それの褒美だな」
「独占……ベリちゃん、独占ってさー。具体的に何出来んの?」
「何でもだ」
俺はラズロが淹れてくれたコーヒーを口に入れる。
うげ、にがい。
壺から砂糖を取り出して、いくつか入れる。
「何でもー?」
「あぁ、あそこに行きたいとか……あれを食べたいとか……そういった願いを俺が極力叶えよう」
「へー……」
幸いにもナザリックには、それを可能にする財力と武力がある。
何でも出来る訳じゃないが、大抵の事は出来る。
「そうだな……もし、俺にして欲しい事があれば、それでもいい」
「えー……?そう言われると困っちゃうんだけどー」
俺が指を立てると、クレマンティーヌは腕を組んで目を細めた。
悩んでいるような表情だ。
「別に今すぐ考えなくてもいい……三日あるしな。やりたい事とかないのか?」
「……うーん」
机に置かれたフィナンシェを口に運ぶ。
……やっぱりナザリック内の食事は何もかも美味しいな。
転移前の世界では重加工食品のインスタントばかりだったからな……普通に、ナザリックの外で食べる焼いた肉やら蒸した芋が贅沢品に見えるぐらいだ。
それに比べても、やはりナザリックの食事が一番美味いが。
「じゃあさー、逆にベリちゃんのやりたい事とかないのー?」
「俺か?別に、今回はクレマンティーヌへの褒美なのだから関係ないだろ」
「私はベリちゃんのやりたい事を、一緒にやりたいなーって思ってるけど?」
「む……?」
視界の端でラズロがニコニコと笑みを浮かべている。
何だその、微笑ましそうな顔は。
「俺のやりたい事か………………………………エロい事とか?」
「はー?散々悩んでそれ?ベリちゃん、私のこと三日間抱き潰すつもりー?変態エロすけべ」
「変態なのも、エロいのも、すけべなのも否定はしないが……いや、そうだな。それは流石に身体を壊すな」
「……出来ないとは言わないんだー、へー」
クレマンティーヌよ。
俺……というか、
三日どころか一ヶ月は女を抱き続けられるぞ、この身体は。
丸一日何も食わなかった後の食欲のように、常に性欲が暴走しているのだから。
今は大丈夫だけど。
昨日の間にナザリックに召集されていた、八本指のヒルマと、六腕のエドストレームを抱き潰したからな。
性奴隷として洗脳した彼女達は、復興中の王都で頑張っていることだろう。
「てゆーかさー、エロい事がどうこうって
「まぁ、そうだな。俺の願望も少しは入っているが」
転移前、こんな
だから、全部が全部、
「じゃあさー、
「……む」
自分の顎に手を当てる。
この世界に転移してから、ナザリックのために働き、性欲に負けて、ちょっとだけ人助けをして……それぐらいしかしていない。
あれ?
俺……の、趣味ってなんだっけ?
あぁ、そうだ。
ゲームだ。
俺の趣味はゲームをする事だった。
だけど……この世界にゲーム……<ユグドラシル>は存在しない。
「……思い、つかないな」
「ベリちゃん枯れ過ぎでしょ……それならさー」
クレマンティーヌは机の上に手をついた。
「一緒に探さない?やりたい事」
「……ん?」
「趣味とかさー、あった方がいいし。一緒にさ、ナザリックの中回ろうよー」
……確かに。
まぁ、それも悪くないな。
やりたい事を探す……というのは、別に必要性を感じないが、ナザリック内をクレマンティーヌと回るのは悪くない。
そうして、俺とクレマンティーヌはナザリック内を見て回る事にした。
ついでにラズロもだ。
正直俺も、ナザリック内の施設全てを覚えている訳じゃないし、彼女の協力は必須だったのだ。
という訳で、第九階層。
ここには何でもある。
スパリゾート、ショットバー、畳部屋、フローリング、プラネタリウム、ブティック、冠婚葬祭まで……ギルドメンバーの悪ふざけや拘りで作られた部屋がいっぱいだ。
そしてここは、その一室、ダーツバーだ。
そこでダーツでもして遊ぼうと、クレマンティーヌを誘った訳だが──
「……クレマンティーヌ、これ楽しいか?」
「えー?私は楽しいけど」
俺もクレマンティーヌも高レベルの戦士だ。
それもちょっとレンジャーよりの。
故に投擲スキルは高レベルで習得しており、2mやら3m程度では的から外しようがないのだ。
ミスをしないため、ずっと同点だ。
だから、俺としては『つまらない』のだが──
「まぁ、楽しいなら良いか」
クレマンティーヌのために来たからな。
当人が楽しいなら、それで良いか。
「…………」
なんて思っていると、クレマンティーヌがダーツを机の上に置いた。
「やーめた。ベリちゃん、次の所に行こー?」
「ん?良いのか?」
「飽きたもん。いいの、いいのー」
少し困惑しつつ、頷いた。
そして、ここはダーツバー……カウンターに座っているラズロに目を向けた。
「ラズロ、次の所に行くぞ」
「え?父上、まだ私、飲みかけなんですけど?」
「真昼間から酒を飲むな。そもそも……その格好で飲むなよ」
ラズロは今、外向けの妙齢メイド姿ではなく、小学生ぐらいの少女メイドスタイルになっている。
その姿でグラスに入った酒をチビチビと飲んでいたのだ。
「酔わないから良いんですよ。『酔い』のバッドステータスはレジストしてますし」
そう言いつつ、ラズロがグラスから飲み干した。
ほら、見ろ……ダーツバー担当NPCのデーモンがちょっと引いてるぞ。
俺はため息を吐いて、ダーツの片付けを始めた。
……すぐにNPC達に止められ、代わりに片付けられたが。
で、次はシアタールームだ。
誰が作ったか忘れたが、古い映画が幾つか置いてある部屋だ。
映画、というものを初めて見る事となるクレマンティーヌだが……あれだな、転移前の世界が出てくる映画だとちょっとまずいな……ファンタジー路線の映画にしよう。
管理者に色々と指示をして、映画を用意して貰い、広すぎる部屋の大きな銀幕で映画を見る事となった。
いつの間にかラズロがポップコーンとジュースを三つずつ持ってきていた。
あるんだ、ナザリックに映画館の売店……。
そんなポップコーンを初めて食べたクレマンティーヌだったが、気に入ってしまったのか上映前にバリバリと食べまくった。
その結果、映画が始まる前に空になっていた。
……俺は自分のポップコーンを半分、クレマンティーヌに分けてやった。
映画は普遍的な冒険譚であり、剣と魔法のファンタジーだった。
悪のドラゴンに連れ去られた姫を、騎士が助けに行く話だな。
王道だ、王道。
クレマンティーヌは食い入るように見ていた。
初めて見る映画……というか、映像作品か。
現地人には刺激が強過ぎただろうか。
エンドクレジットが流れ切った後、俺はクレマンティーヌの方へ視線を向けた。
「初めての映画だったが……どうだった?クレマンティーヌ」
「え?あー……いやー?良かったんじゃない?」
ちょっと誤魔化したような顔をしているが、少しニヤけているのが隠せていない。
「まぁ、また映画にも来よう。他にも映画はあるしな」
「え?他にもあるの?」
「ああ、あるぞ。本当に何でも、色々とな」
俺の言葉にクレマンティーヌは目を瞬き、頬を緩めた。
「ならさー、いっぱい人が死ぬ映画とかない?こう、血がいっぱいでて、人が苦しむ奴とか」
……うん。
クレマンティーヌらしいな。
「……あ、あー、あると思うぞ?」
というか、そっちの方が多い。
ホラー、サスペンス、スリラー……ギルドメンバーのタブラさんが好きだったからな。
あの人が置いていったらしき、転移前世界では発禁モノの激ヤバ映画がある。
次に来た時はそれらを見る約束をして、俺達はシアタールームを出た。
……いつの間にか、ラズロがチュロスを口に含みつつ、両手に持っていたのは目を瞑ろう。
クレマンティーヌに一本渡していたし、大目に見てやる。
というかラズロ、姿形を変えても知能が上がったり下がったりしない筈だが、妙齢メイド姿に比べて挙動が幼くないか?
我儘が目立つと言うか……いや、不快ではないが……。
こそっとクレマンティーヌに聞いたら「父親の前だから甘えてるんじゃないの?」と言われた。
そうかな……そうかも?
まぁ、それも愛嬌か。
お次は、第九階層の雑貨屋だ。
元々、ナザリックの雰囲気作りとして作られた意味のない売店ではあるが、この世界に転移してからはちゃんと活用できるようになっている。
メイド達はモモンガさんから振り込まれる給料を手に、ここで嗜好品の買い物をしているそうだ。
……ちなみに商品の補充は、生産職の配下達が行なっている。
つまり、ナザリックで支払われる貨幣は、ナザリック内で消費され、消費された貨幣は他の配下の給料となっているのだ。
小さなコミュニティ内で経済が回っているのだ。
貨幣は別に、ナザリックの外でも使えるが、ほぼ全ての配下がナザリック内で使用している。
殆どの配下は外に出ないし、ナザリック内で使用した方が、良いサービスを受けられるので外で使うつもりもないらしい。
雑貨店の中を、外から覗き込む。
化粧品やら美容系の何やら、リップクリーム、ネイル用の道具、梱包された菓子類、女性向けのアクセサリーやら、小物、可愛らしい鞄……。
初めて来たが、思ったよりファンシーな物が多いな。
……あー、そうか、メイド達が主な客だからか。
ナザリック内で最も余裕があるのは一般メイド達だ。
力仕事を行う防衛系の配下と違い、第九階層で仕事をしているのだから通いやすいのだろう。
モモンガさんと俺によるナザリック業務改革により、週休一日制となったのも後押ししているな。
……ちなみに、モモンガさんも俺も完全週休二日制にしたかったのだが、メイド達からの『仕事を奪わないで!』という懇願で折れてしまった。
そんな一般メイド達が店内にいる。
メイドが三人で集まり歓談しているのだ。
「あーあ、早くお休みが終われば良いのにー」
「フォアイル、あまりそういう事は言わないの」
フォアイル、と呼ばれた活発そうなメイドが笑った。
「シクススはいいなー、今日は夜からお仕事あるんだよね?ずるいよ、ずる」
頭の痛くなりそうな会話をしている。
一般メイドである彼女達は、レベル一の
戦闘力はない……が、身体能力は一般人よりも高いため、疲労知らずでもある。
高カロリーの食事をばくばくと食べるが、食べれば食べた分だけ動けるのだ。
「リュミエールは?明日、確か、アインズ様当番だったよね?」
フォアイルとは対照的に、メガネをかけた長髪のメイドが笑顔を浮かべた。
「ええ、はい。そうですよ。ですので今日の夜にはしっかりと休養を取る予定です」
「うん、そうした方がいいよね。あと食い溜めしておかないと」
「幾つか携帯食料を持って行きますので、暇があれば食べれたら、と──
そこでミドルヘアの……胸がちょっと大きいメイドのシクススが待ったをかけた。
「甘いよ、リュミエール。アインズ様当番は初めてなんだろうけど、一日絶食が普通だよ?だってさ、アインズ様なんだよ?隠れて食べる暇があると思う?」
「……なるほど。それは盲点でした。不敬でしたね、シクスス。ご指摘、ありがとうございます」
……モモンガさんには、メイド達が食事できる様にちょっと休憩取らせるよう伝えておくか。
メイド達の歓談を見て、俺は雑貨店の前で盗み聞きを始めていた。
クレマンティーヌも面白そうって顔で一緒に聞いている。
ラズロは……ちょっと呆れ顔だが、笑顔を浮かべていた。
「でもさー、アインズ様当番はあるのに、何でベリアル様当番はないの?」
短髪メイドのフォアイルの言葉に、俺はちょっと顔を出しそうになった。
俺のいない所で俺の話をしている……気になるだろう。
一般メイド達から嫌われて……は、いないだろうが、どう思われてるかは心配だからな。
「正式な担当メイドであるラズロ様が居るし、正妻のクレマンティーヌ様も居るし……私達に入り込む隙がないの。仕方ない事だよ、フォアイル」
巨乳メイドのシクススの発言に、クレマンティーヌがピクッと反応した。
『正妻』か……クレマンティーヌ、メイド達にそんな目で見られていたのか。
知らなかった。
まぁ、ナザリック内……というかナザリックに組み込んだ人員の中で、正式に俺と肉体関係があるのはクレマンティーヌぐらいだ。
メイドやら守護者やら、配下には手を出してないし。
そう考えれば、メイド達から見れば『正妻』という扱いになってもおかしくはないか。
……まぁ、それも悪い話ではない。
クレマンティーヌに対して一定の尊敬の念を持って貰わないと、トラブルになりかねないからな。
嫌われたり見下されたりするよりは、敬われた方が良いだろう。
「でも羨ましいなー、クレマンティーヌ様。人間なのに正妻って……あーあ、私も側室に迎え入れてくれないかなぁ」
ん……?
「フォアイル、それは不敬な発言ですよ。慎みなさい」
「でも、リュミエールだってさ……なれるなら側室になって、ご寵愛を受けたいよね?」
「……それは勿論、そうですが」
……なんか、話の雲行きが怪しくなって来たな。
「私もフォアイルの気持ちは分かるけど……側室とは言わなくても、一回ぐらいはお情けを頂きたいな……って」
「シクススまで……しかし、そうですね。それは同意しますが……一般メイドである私達がベリアル様のお情けを頂こうと思えば、どれほどの功績が必要なのでしょうか」
「そう、問題はそれなんだよねー……プレアデスの方々ですらお情けを貰えていないし、そう考えると──
俺、この話、聞かない方が良いんじゃないか?
ちょっと気まずくなって顔を逸らすと、ラズロと目があった。
俺の言いたい事が分かったようで、何度か頷いて……妙齢のメイド姿に変身した。
そして、雑貨店の中へと入っていった。
なるほど、先に雑貨店に入る事で話題を強制終了させ、俺は聞いてないフリをすれば良いと言う事か。
やはり、ラズロは頼りにな──
「貴女達!メイドとしての自覚がないのではないですか!?」
「ラ、ラズロ様……!?」
「ナザリックのメイドたるもの、いつ如何なる時も至高の御方の耳に入るのではないかと、そう考えるべきではないですか?そんな事では、メイドとしての資格に欠けるとしか思えません!」
あ、だめだ。
メチャクチャ説教してる。
俺、別にそういうつもりじゃなかったんだけど。
気まずい会話だったけど、別に俺の悪口でもないし、世間話としては問題のない範疇だったと思っている。
休みの日ぐらい、一般メイド達にも好き勝手な会話をさせてあげたい。
ここは転移前のディストピアとは違うし…そう思いたい。
だから、俺は許容しているのだが、ラズロは俺がキレてると思ったのか。
「も、申し訳ありません、ラズロ様……」
「すみません……」
「ごめんなさい……」
うわっ、ここからでも分かるぐらい顔を青ざめてる。
メチャクチャ可哀想だ。
思わず、俺は雑貨店の中に入った。
「待て待て、ラズロ。それは言い過ぎだ」
「ベリアル様。しかし、ですね──
「彼女達は休みだろう。休みの日ぐらい、好きな話をさせて良いじゃないか」
そう言いながら、一般メイド達に目を向ける。
……あれ?
さっきより顔色悪くない?
血の気がめちゃくちゃ引いて、比喩じゃなくて真っ白になってるけど。
「き、き、ききき、聞かれちゃった……あ、あわわわ」
シクススが文字通り目を回し……そして、即座に土下座した。
フォアイルとリュミエールも同様に、だ。
「「「「申し訳ありません!この失態は、死んでお詫び致します!」」」
あ、そうか。
ここで俺が出て来たら、先ほどの会話は全て聞いていたというものじゃないか。
そうなると……あぁ、まぁ、こうなるか。
ラズロの方を一瞥する。
……死んで当然、みたいな顔をしてる。
いやいや、いやいやいや、そんな訳ないだろ。
助けが期待できない以上、この場は俺が何とかするしかないか。
態とらしく咳払いを一つ。
「顔を上げてくれ。シクスス、フォアイル、リュミエール」
「「「は、はい!」」」
俺の言葉に三人が顔を上げた。
……上げただけで土下座のままだな。
「……あ、いや立ってくれ。すまないな」
「も、申し訳ありません!」
「ただちに!」
すぐさま立ち上がり、畏まった姿勢になる。
……全員、怯えて震えている。
シクススにいたっては目に涙を浮かべていた。
「俺はお前達がそうして、メイドではなく個人としては楽しんでいる事を否定するつもりはない。寧ろ、そうして楽しくやっている方が俺は嬉しい」
「っ、も、勿体なきお言葉です……」
「だから罰するつもりはない。今後も萎縮する必要もない。……まぁ、猥談とかそういう噂話は、どこかの個室でして欲しいが」
「寛大な慈悲に感謝いたします、ベリアル様……!」
「あ、うん……」
またラズロを一瞥する。
神妙な顔で頷いていた。
……コイツ、落とし所を用意するために、敢えて最初にキレてかかったな?
ため息を吐いて、メイド達に顔を向ける。
「会話の内容を規制するつもりはないし、願望だってナザリック内で話したっていい。誰かを傷付けない限りは自由だからな……だから、そもそも罪じゃないから、罰するつもりはない」
「「「ベリアル様……」」」
良かった、彼女達の顔に笑顔が戻っ……あれ?
なんで恍惚とした表情で俺を見てるんだ?
何を顔を赤らめてるんだ?
「……あー、まぁ、罪悪感があるなら、頼みたい事があるから、それを受けてくれないか?」
「は、はい!このシクスス、必ずや望みを答えて見せます!」
「ベリアル様、私もです!」
食い付きヤバ。
鯉がいる池に餌を投げ込んだ時の気分になるわ。
「クレマンティーヌに対して、各々、何を買ってやれば良いかオススメの商品を持って来てくれないか?女物の雑貨に関して、おれは、疎いんだ」
「「「承知しました!この命に代えても必ず!」」」
いや、命に代えるような事じゃないんだけど。
そこそこ広い雑貨店の店内へ移動し始めたメイド達を見て、俺はため息を吐いた。
直後、背後から肩を叩かれた。
「よ、色男。ベリちゃん、優しいねー」
クレマンティーヌだ。
「……優しい?優しいか?俺」
「うん、優しいよー。そういう所、私は好きだし」
「…………」
腕を組んで、俺は首を傾げた。
今までやって来た事……そして、これから行う事。
どれもこれも非人道的だ。
強姦魔の殺人鬼の詐欺師だからな。
そんな俺を捕まえて優しい……なんて。
「いや、ないだろ。俺は別に優しくはない」
「素直じゃないなー、ベリちゃんは」
クレマンティーヌがニタリと笑ったが、俺は顔を顰めた。
そんな俺達の様子を、ラズロは微笑ましそうな顔で見ていた。
そうして、三人のメイドが戻って来た。
シクススは化粧品セット。
フォアイルは砂糖菓子。
リュミエールはアクセサリーだった。
取り敢えず、全て購入してクレマンティーヌに買い与えた。
そこそこ嬉しそうにしていたので、選択は間違ってなかったのだろう。
……何かしらの褒美をメイド達に与えたいが、今回の件は罰のようなものだ。
彼女達の罪悪感を和らげるためのもの。
礼は言っておいたが、何も与えずに俺達は雑貨店を後にした。
しかし、時間も良い頃合いになってきたな。
ラズロに予約して貰った、個室のレストランに行くとするか。
ナザリックのメイドの話
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いる
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いらない
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