※この作品はR-18です。

【R-18】オバエロ:至高の淫魔がスケベする話   作:口だけの淫魔

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#25 自慰 アルシェ(1)

メイドのラズロが紅茶とクッキーを持ってきた。

運ばれた紅茶からは非常に良い匂いが漂っている。

 

だが、目の前には目上の人間がいる。

家主より先に口にする事は許されない。

 

そんなアルシェの様子を見て、男はクッキーを一つ口に入れ……紅茶を口にした。

気遣いに感謝しつつ、アルシェはクッキーを口にした。

 

 

「……おいしい」

 

 

香辛料が入った高級品の味がした。

請負人(ワーカー)として活動し、家にお金を入れている中、こんな贅沢品を口にする機会はなかった。

幼い

頃に食べた記憶があるが……それよりもずっと美味しいと感じた。

 

気付けばクッキーはなくなっていた。

 

 

「気に入ってくれたようで、何よりだ」

 

 

目の前の家主、ベリルの言葉でアルシェは目を見開いた。

 

 

「も、申し訳ありません……はしたない真似を」

 

「いやいや、いいとも」

 

 

そう気を遣いつつ、男が紅茶を口にした。

それに合わせて、アルシェも紅茶を口にする。

……これも良い茶葉を使っているのだろうと感じた。

 

頭の中でぐるぐると回る情報を整理し、意を決して口にする。

 

 

「ベリル様。何故、私を身請けしようと思ったのですか?」

 

 

アルシェはずっと疑問に思っていた。

大量の金を支払い、請負人(ワーカー)である自分を身請けする価値などない。

メイド達の容姿を見れば、自身より遥かに美しく、この男が女に困っていない事も分かる。

なのに、何故か。

 

 

「あぁ、色々とやって貰いたい事があるんだ」

 

 

やって貰いたい事……つまり、そういう事か。

アルシェは息を呑む。

メイドには試せないような常軌を逸した行為で、辱めるつもりなのだと悟った。

 

 

「そ、それはつまり、私の──

 

「バハルス帝国について教えて欲しいんだ。俺は最近、来たばかりだからな」

 

「……え?」

 

 

思わず、アルシェは呆けた声を出してしまった。

 

 

「元々貴族として帝国式の礼儀作法を学んでいて、請負人(ワーカー)として帝国の裏も知っている。そういう人材が欲しかったんだ」

 

「え、あ……そ、そうなのですか?」

 

「ああ……何か変な事を言っているか?」

 

「いいえ……ご期待に添えるよう努力します」

 

 

アルシェは頭を下げた。

この人は思ったより、“まとも”らしい。

堅実で真面目で、硬派な商人なのだろう。

変態商人とか脳内で勝手にイメージしていて、申し訳ない気持ちになった。

 

 

「あ、でも、いえ……それでも金貨四百枚は多いと思う……思います。私のどこにそのような価値を?」

 

 

莫大な借金を返済し、それでも余るような金。

決して少ない金ではない。

元貴族としての知識とか、帝国の知識程度では、四百枚の価値などない。

それなら情報屋に金を握らせた方が正確で、安く済むはずだ。

 

 

「そんなに謙遜しなくても良い。君は優れた生まれながらの異能(タレント)魔法詠唱者(マジックキャスター)としての力量を持ち合わせている……価値のある物には相応の値段をつけるべきだろう?」

 

「……知っているのですか?」

 

 

男の言葉にアルシェは目を瞬いた。

アルシェは生まれながらの異能(タレント)を持っている。

魔法詠唱者(マジックキャスター)が持つ力量を看破する魔眼を持っている。

同様の生まれながらの異能(タレント)を持つ人間を、アルシェは一人しか知らない。

その一人も帝国最強の魔法詠唱者(マジックキャスター)、フールーダ・パラダインだけだ。

 

貴重な能力である。

特別、隠していた訳でもないが、請負人(ワーカー)でもない商人が知っているのは意外だったのだ。

 

 

「あぁ、興味が湧いてな。少し調べさせて貰って……家の事情もその際に。勝手に調べて悪かったとは思っている」

 

「いえ……その……あっ、だから金貨四百枚、なのですか?」

 

 

家の事情を知っているからこそ、借金も知っていた。

余裕を持って返せるように、金貨を四百枚も支払ったのか。

そうアルシェは勘繰った。

 

 

「さて、どうだろうな」

 

 

男が誤魔化すような笑みを浮かべた。

間違いなくそうなのだと、アルシェは確信した。

 

 

(この人は、家の事情も配慮してくれた。優しくてお人好し……悪い人ではない)

 

 

アルシェは本心から胸を撫で下ろした。

変態商人に嫁がされると思っていたのが一転、優しく賢い商人の元に迎えられたのだから。

 

 

「……ありがとうざいます。ベリル様」

 

「感謝されるような事をしたつもりはないんだがな」

 

 

ベリルが紅茶を口にした。

アルシェも手に取り、口にする。

暖かさが胸の中に染み渡るようだった。

 

 

「それで、この屋敷で私の立ち位置はどうなりますか?」

 

「ん?側室だな」

 

 

思わずティーカップを握る手が強張った。

 

 

「それはつまり、私が子供を産──

 

「あぁ、いやいや。そういう話じゃない。対外的には側室、って話だ」

 

「え?」

 

「ここに住み込みで働いて貰うが、その際に身分は必要だろう?迎え入れるには、これが一番良かったからな」

 

 

少し疑問に思いながら、アルシェは頷いた。

しかし、同時に納得もする。

痩せぎすな身体に、あまり高くない身長……胸も大きくない。

請負人(ワーカー)業に勤しんでいた所為で、身体に筋肉もついており、硬い。

 

 

(この屋敷には見目麗しいメイドが沢山いる。私のような女を抱く理由はないか)

 

 

アルシェは目を細めた。

安堵すべき事なのだろうが、少し落ち込む。

自身の女としての魅力のなさを突き付けられているような気がしたからだ。

 

そんなアルシェに、男は目線を向けた。

 

 

「そう落ち込まなくて良い。君は十分に可愛い」

 

「落ち込んではいません……ですが、その、お気遣い感謝します」

 

「いいや、気遣いなんかじゃないさ。君さえ望むのであれば、本当の側室にしたいぐらいだ」

 

「えっ」

 

 

その言葉にアルシェは息を呑む。

励まし、にしては真に迫っていたからだ。

やっぱりこの人は、変態商人……と言わずとも、女好きの商人なのかも知れない。

 

それでも認められたような気がして、悪い気分ではなかった。

そんなアルシェに男は笑みを浮かべた。

 

 

「まぁ、無理矢理に関係を迫るような真似はしない。安心してくれていい」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

まだ会って一日目だ。

側室になるとか、ならないとか……少なくとも身体を許したいとは思わなかった。

巷の請負人(ワーカー)なら玉の輿だと飛び付くだろうが……アルシェは金銭よりも愛を重視していた。

貴族として生まれ、幼い頃から吟遊詩人の歌を聞いてきた所為だろう。

 

決して彼が嫌という話ではない。

嫌ではないが、よくも知らないのに身体を許したくないだけだ。

迫られたら、恩もあるので抱かれても構わないが……自分から迫る事はないだろう。

 

アルシェはそう、確信していた。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

これは売って良いやつで、これは……現地民にしたらオーパーツすぎるか?

俺は手元の、書物にしか見えない魔法道具(マジックアイテム)を弄る。

 

こんなに面倒ならば、帝国に行くと言わなければ良かった。

そう少し後悔しつつ、俺は記憶を遡る。

 

 

 

二週間ほど前、俺はバハルス帝国に行く事に決めた。

王国でイビルアイやラキュースとヤってるのも最高だったが、そろそろ原作的に帝国でイベントがあるので出張ろうという訳だ。

 

メインの目的としては……まぁ、請負人(ワーカー)チーム、フォーサイトの救済だ。

バハルス帝国によるナザリック大墳墓の調査……その任務を受けた請負人(ワーカー)達はナザリックに侵入して、死よりも辛い目に遭う。

 

今の俺からすれば、金目的で墳墓に足を踏み入れたのだから、どうなっても仕方ない事だと思うが……。

フォーサイト、特に魔法詠唱者(マジックキャスター)のアルシェは事情が事情だ。

流石に可哀想だと思う情が俺にもある。

 

まぁ、死んだら死んだでしょうがないかー、ぐらいの情だが。

その辺りの情を捨ててしまえば、きっと俺は心まで異形になってしまう。

元・人間のアイデンティティーに縋りたい俺としては、少しでも可哀想だと思うなら助けるべきだと思っている。

まぁ、それは自己満足なのだと自覚はしているが。

 

……あと、ついでに抱けるなら抱きたい。

可愛いし。

幸薄そうな、というか幸薄い美少女は唆る。

 

……だめだ。

やっぱり俺、心の底から淫魔(インキュバス)だ……人間じゃない。

チンポに脳を支配されてる気がする。

 

兎にも角にも、俺は帝国に乗り込み色々と動き回ろうと思った訳だ。

そして、デミウルゴスに「俺は帝国に行く」と言えば──

 

 

「なるほど!つまり、そういう事ですか?」

 

 

と言われた。

どういう事だよ。

 

適当に頷いてたら、商人としての地位を偽装されて、俺は帝国に入国させられていた。

衛兵やら色々に<支配(ドミネート)>やら<人間種魅了(チャームパーソン)>でちょちょいと弄った訳だ。

 

当分の間は、この国の皇帝ジルクニフにも気付かれないだろう。

 

 

そうして今、俺は商人をしている。

しているのだが……ハッキリ言って、俺に商人の才能はない。

 

やっている事は、王国でラズロにやって貰っていた事と同じだ。

ガチャ産のハズレ魔法道具(マジックアイテム)を売っているだけ。

現地人に持たせても大丈夫そうで、かつ騒ぎにならない程度の便利アイテムを売っている。

 

だから、仕入れ先なんて物はないし、商人としての才能も必要ない訳だ。

 

ちなみに、これはモモンガさんからの提案でやってる。

ナザリック内の財政を良くするために、帝国金貨も集めておきたいという話だ。

……まぁ、その内の四百枚は、俺が私用で使っちゃったけど。

 

 

 

という訳で、俺は皇帝ジルクニフの大粛清の所為で空き家になった屋敷を購入し、大商人みたいな顔をしている。

やってる事は倉庫の要らない物を売ってるフリマ感覚だけど。

 

屋敷を運用するにあたって、人員が必要という事になり、まずラズロを連れて来た。

まぁ、当然だな。

 

でも屋敷の大きさに比べてメイドが足りないと指摘されかねないため、増やす必要があった。

じゃあ現地のやつを雇うか……とはならない訳で。

 

ナザリックの一般メイドを連れてくる事になったのだが……ラズロ曰く、どうにも彼女達の人間蔑視がキツいらしい。

商人のフリをしていれば人間を迎える事もある。

というか、そもそもアルシェを保護するつもりだし……人間に対して友好的な態度を取れるメイドが望ましい訳だ。

 

そこで思い出したのが、クレマンティーヌとのデート中に会った三人だ。

シクスス、フォアイル、リュミエール……彼女達はクレマンティーヌを敬っていた。

ならば大丈夫だろうと連れてきたのだが──

 

 

どうやら、俺の正妻……と彼女達が思ってる、クレマンティーヌは特別扱いだっただけで、普通の人間相手には蔑視を向けていた。

まぁ、口にはしないし、態度にも出さないよう気をつけてるようだから良いが……それを感じ取る人間が居ないとも限らない。

 

故に、人間と関わる際はラズロに任せている。

……働かせ過ぎかもしれん。

何か欲しい物はないか、また聞いて用意してやろう。

 

 

そんな訳で現在、ベリル商会のベリル邸は──

淫魔(インキュバス)が一人。

二重の影(ドッペルゲンガー)が一人。

人造人間(ホムンクルス)が三人。

のモンスターハウスと化している。

 

あぁ、ここに人間が一人追加だな。

 

 

 

アルシェを迎え入れてから、既に数日が経過している。

彼女には帝国式の礼儀作法や、請負人(ワーカー)として得た貴族達の情報を教えて貰っている。

また、貴族として学校に通っていた経歴があるため、事務仕事もある程度は任せている。

 

ナザリックの面々とは違うので、働かせ過ぎないように注意しなければならない。

 

 

側室としては……まだ、俺は手を出してない。

金貨四百枚を盾に無理矢理、性行為する事は可能だが……こう……可哀想が勝つ。

痩せぎすな身体に、表情に乏しい顔……苦労人で、妹想いの善人。

 

そんな女の子を強姦するのは俺の倫理観に反す……うん、反する。

いや、まぁ今更な話ではあるが。

何度も女を強姦している俺が言える事ではないが、善人を強姦するのは気が引けるのだ。

いや、今更な話なのは自分でも分かってるが。

分かってはいるが、気が進まないのだから仕方ない。

 

なので、自ら身体を捧げたくなるように誘導している。

優しく振る舞いながら、淫魔(インキュバス)としての身体の魅力で少しずつ誘導する。

それが俺の計画だ。

長い計画になるだろうが、時間を掛けてもいいと思ってる。

 

まぁ、数ヶ月は掛かるだろう。

ガードは硬そうだし、長い目で見よう。

 

 

……という訳で、今はまだアルシェに手を出していないのだが。

 

 

結果として俺は禁欲生活をする羽目になっており、もう二日も性行為(セックス)していない。

陰茎がバキバキに勃起している。

 

アルシェと穏やかな表情で会話している時も、バキバキに勃起している。

俺の股間にある脳みそが『はやく、この女を犯せ!』と叫んでいる。

 

このままでは我慢できず、めちゃくちゃに強姦してしまう。

それは俺の望む事ではない。

 

 

性欲を発散しなければならない。

限界を迎えつつある俺は<伝言(メッセージ)>を送った。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

ベリル邸での仕事が始まった。

といっても、貴族のマナーであったり、帝国の事情について話すだけだ。

世間話のような物であり、茶菓子も付いてくる。

これを仕事と言えば、フォーサイトの仲間達に叱られてしまうだろう。

 

そう、アルシェは考えつつも、命の危険もない仕事に安堵していた。

 

アルシェとしては金貨四百枚の借りを返したいと働いているのだが、給料として月に金貨十枚を渡すと伝えられた。

要らないと言ったが、自分に欲しい物を買うべきだと無理矢理、説得されてしまった。

 

 

こっそりと、妹達の将来のために貯金しようとアルシェは決心した。

 

 

一般メイドの三人からは少し避けられている気はするが、彼女達が仕事をサボるような事はなかった。

ただ、世間話などが出来ないだけだ。

 

 

恵まれた日々だと、アルシェは感じていた。

借金取りに怯える事もなく、命の危機を感じる事もない。

美味しい食事を食べて、清潔な服を着て……。

 

そう、幸せだ。

幸せ過ぎる……故に、アルシェは罪悪感を感じていた。

 

家に残してきた妹達。

私だけが、こんなにも幸せになって良いのか。

 

甘い菓子を食べる度に、妹達に分け与えたいような気持ちが芽生える。

綺麗な服を貰う度に、妹達に着させてあげたい欲が生まれる。

 

幸せと、幸せに対する罪悪感。

二つを抱きながら、仕事をしている。

 

 

 

 

 

そんな、ある日。

ベリル邸の前に馬車が来た。

 

仕事関連の客かとアルシェは思い、対応しに向かうラズロの後ろからこっそりと覗き込んだ。

 

赤いドレスを着た、金髪のボブカット……綺麗な女性だった。

そんな女性はラズロと親しげに会話して、そのままベリルの居る寝室へと案内されていた。

 

親しい仲なのだろうか。

そう思っていると、部屋からラズロが出てきた。

 

アルシェは思わず、彼女の元へと足を進めた。

 

 

「ラズロ様」

 

「あら?見ていらしたのですか?」

 

「え、ええ、はい……申し訳ありません」

 

「いえいえ、見ても大丈夫ですよ。隠し事でもありませんし」

 

 

ラズロがにこやかに笑った。

 

 

「では……その、先程の女性はどなたなのでしょうか?」

 

「ベリル様の側室、クレマンティーヌ様ですよ」

 

「そ、側室……ですか」

 

 

それは自分と似た境遇、立場なのだろうか。

それとも……本当の意味で側室なのだろうか。

少しモヤモヤとしながらも、アルシェは頷いた。

 

 

クレマンティーヌは他のメイド三人とも親しげだった。

家主であるベリルとも親しげであり、気軽に触れ合っていた。

 

……その様子を見て、彼女は自分より立場が上なのだとアルシェは理解した。

そして、初めて……ほんの少し、僅かに嫉妬心を抱いた。

 

 

 

 

その日の深夜、アルシェは寝付けずにいた。

自分という側室を迎え入れながら、別の側室を呼んだ意味……それはつまり、自分では力不足だったのだろうか。

アルシェの脳はネガティヴな考えに支配されていた。

 

もし、金貨四百枚の返金を願われたら、返す事が出来ない。

そして、アルシェ自身もこの生活を捨てたくはない。

 

ようやく見えて来た希望なのだ。

請負人(ワーカー)という仕事ではいつか崩壊していた、夢。

妹達が大人になるまで幸せに生きられるよう、金銭を稼ぐ事。

 

それが、この商会ならば叶うかも知れない。

側室という立場ならば、叶える事ができる。

 

この立場を失いたくない。

男の役に立たなければならない。

でも、何をどうすれば良いのか分からない。

 

漠然とした不安は、幸せに対する罪悪感と結び付き、アルシェの心を蝕んでいた。

 

 

(……少し、水が飲みたい)

 

 

喉を渇かせたアルシェはベッドの側にある水差しを手に取り、口に含んだ。

そして、水差しの中身が空になった事に気づいた。

……もう喉は潤ったが、補充はしておきたい。

 

アルシェは寝巻きのまま、スリッパを履いてベッドを立った。

割り当てられた自室から出て、代えの水差しが置いてあるキッチンまで向かう。

 

廊下を歩き、広間を抜ければすぐだ。

そう思い、足を進めていると……声が聞こえた。

 

 

(……こんな夜、遅くに?)

 

 

声がするのは、家主であるベリルの自室からだ。

……聞き耳を立てるつもりはないが、キッチンへ向かうのに前を通る必要がある。

 

アルシェは自分に言い訳をしながら、ベリルの部屋の前へと向かい──

 

 

「んっ♡あ゛ッ♡♡」

 

 

その声の正体が、情事による嬌声なのだと気づいた。

 

 

「…………っ」

 

 

アルシェの中で羞恥心が膨れ上がる。

 

そして、慌てて部屋の前を通り過ぎようとしたが……ドアの小窓が開いている事に気付いた。

そこから部屋の中を覗き見る事が出来るだろう。

部屋の中で何が起きているのか、知る事が出来る。

 

 

「…………」

 

 

アルシェは吸い寄せられるように、小窓へと向かう。

 

 

(……何を考えてるんだ、私。こんな事、バレたら屋敷から追い出されてしまうのに)

 

 

内心から湧き出る咎めるような言葉を無視して、アルシェは恐る恐る小窓から部屋を覗き込んだ。

 

 

 

 

そこでは、全裸になったクレマンティーヌとベリルがベッドの上でまぐわっていた。

予想通りだったが、それでもアルシェは目を見開いた。

 

四つん這いになったクレマンティーヌの腕を男が掴み、何度も膣を突いていた。

 

 

ぱちゅんっ♡どちゅん♡

 

「ちょっ♡ベリちゃん♡今日、激しすぎだって♡♡」

 

 

突かれる度にクレマンティーヌの胸が揺れている。

獣のような激しい性行為だと、アルシェは息を呑んだ。

 

 

ぱちゅん♡ぱちゅんっ♡♡

 

「ん゛っ♡奥っ♡深っ……い゛ッ♡♡」

 

 

汗や愛液で濡れたクレマンティーヌの尻と、男の鼠径部がぶつかる度に淫美な音が響く。

その様子を、アルシェは食い入る様に見ていた。

 

 

どちゅっ♡どちゅどちゅどちゅ♡♡♡

 

「ん゛ッ♡あ゛ッ♡激しっ♡イクっ♡イク゛ッ♡♡」

 

 

こんな覗き見はやめて、今すぐ自室に帰るべきだと、己の中の冷静な部分が騒いでいる。

しかし、目を逸らせない。

 

性行為を見るのは初めてではない。

請負人(ワーカー)という仕事をしていれば娼館の護衛などで、目に入れる事もあった。

だが、こんな激しい性行為(セックス)は見た事がなかった。

 

 

どちゅどちゅどちゅどちゅ♡♡♡

 

「あ゛ぁッ♡♡イク♡イクイク゛イク゛ッ♡♡♡」

 

 

心臓が早鐘のようになる。

見てはいけない物を見ているのに、もっと見たいと欲が湧き出る。

 

 

びゅるるるる♡

 

「ん゛ぉ♡イク゛……ッ♡♡♡」

 

ぷしぃっ♡♡

 

 

クレマンティーヌが愛液をベッドに撒き散らし、絶頂した。

痙攣するクレマンティーヌを男は抱きしめて、とびきり深い挿入をしている。

結合していた部分から白濁とした精液が溢れている。

 

そして、ベッドに突っ伏したクレマンティーヌから、男が陰茎を抜いた。

 

 

(……な、なに、あれ?)

 

 

それは、大きく、太く、長い、凶悪な男性器(ちんぽ)だった。

あんな物がクレマンティーヌに入っていたのか、とアルシェは驚愕した。

 

 

「…………っ」

 

 

それと同時に、自分が何をしているのか気付く。

即座に小窓から離れて、請負人(ワーカー)として培った忍び足で部屋前を後にした。

 

アルシェの脳内は、水差しの事などとうに忘れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に帰って来たアルシェは、ベッドの中に逃げ込んだ。

うつ伏せで枕に顔を埋めた。

 

 

(凄い光景だった……アレが本来の側室の仕事なんだ……)

 

 

脳内では先程の光景が何度も反芻している。

気持ちよさそうに喘ぐ女、抱きしめながら射精する男。

肌と肌がぶつかる音、淫美な身体。

男の陰茎。

 

 

「…………」

 

 

アルシェは無意識のうちに手が自身の股間へ伸びていくのを自覚した。

だが、その本能を妨げる事はなく……下着の上から、女性器(おまんこ)に指で触れた。

 

 

すり……♡すり♡

 

「……っ♡」

 

 

既に膣内は濡れていた。

優しく外側を撫でれば、快楽が身体を通り過ぎた。

 

 

くち♡くち♡

 

「ん……♡」

 

 

布越しに浅い感触を感じ……指を止めた。

 

 

「…………」

 

 

アルシェは下着を脱いだ。

そして、顕になった自身の陰唇に指で触れた。

 

 

くちゅ♡くちゅ♡

 

「んっ……♡ふっ♡」

 

 

腰を浮かせて、陰核(クリトリス)の周りを優しく撫でる。

身体の感覚が下腹部に集中していくのを感じる。

 

 

ぬち♡ぬち♡

 

「んっ♡んぅ……♡」

 

 

枕に顔を埋めたまま、自身の秘部を弄る。

目を閉じて、先程の景色を思い出しながら自慰に耽る。

 

 

くちくち♡♡

 

「ん……♡んっ♡」

 

 

陰核(クリトリス)を指で押したり、離したり……そうすれば、身体の中から快楽が滲み出る。

 

 

くち♡くち♡くち♡

 

「ん゛♡ん、ぅっ♡♡」

 

 

もう片方の手で膣口に人差し指を入れる。

膣の内側の浅い部分を擦りつつ、陰核(クリトリス)を愛撫する。

 

アルシェはいつもそうやって、自慰をしてきた。

いつも通りの自慰。

だが、今日はいつもより気持ち良かった。

 

 

くちくちくち♡♡

 

「ん゛……♡ぁ……♡♡」

 

 

先程の景色を何度も脳内に浮かべる。

男の陰茎を思い出しながら、気持ちいい所(Gスポット)を弄る。

 

 

ぬぢ♡ぬぢ♡

 

「ぅ……♡ぁ、ん……っ♡♡」

 

 

男と性行為(セックス)していた女を、自分に置き換えて想像する。

 

 

くちくちくちゅくちゅ♡♡

 

「はっ♡はぁっ♡」

 

 

腕を掴まれ、何度も膣を突かれる。

膣の奥までガンガン突かれて、組み伏せられる。

そうして、たっぷりと射精されるのだ。

 

 

(だめっ、こんな妄想したら……だめなのに)

 

 

自然と自慰の勢いも増していく。

 

 

くちゅくちゅくちゅくちゅ♡♡♡

 

「はっ♡はぁ♡あっ♡んッ♡♡」

 

 

枕に顔を埋めて、必死に自分の喘ぎ声を消そうとする。

 

 

くちっ♡ぬぢっ♡ぬぢぬぢ♡♡

 

「んッ♡あ゛ッ♡ぁ♡んぁっ♡♡」

 

 

しかし、消せない。

ベッドの上で腰を浮かせて、へこへことしながら自慰を続ける。

 

そうしていれば、身体に熱い感覚が走り──

 

 

「いっ、く………♡♡」

 

ぷしっ♡♡

 

 

アルシェは絶頂し、ベッドに潮を噴いた。

痙攣しながら、枕に顔を埋め、呼吸を整える。

 

 

「はぁ……♡はぁ……♡♡」

 

 

そして、アルシェは現状を把握した。

 

 

「…………あ」

 

 

恩人の性行為を盗み見て、恩人の家で自慰に耽る自分を。

 

 

「……何してるんだろ、私」

 

 

途端に湧き出たのは罪悪感だ。

僅かに濡れたベッドの染みを拭き取り、濡れた股間部を拭く。

 

後に気付かれないよう証拠隠滅をして、アルシェはベッドで横になった。

自慰をしても解消されない悶々とした気持ちと、罪悪感を感じながら眠りについた。

 

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