【R-18】オバエロ:至高の淫魔がスケベする話 作:口だけの淫魔
帝都のとある宿屋、深夜。
「あっ……くっ、あぁ……っ!」
そこでは、嬌声のような悲鳴が響いていた。
耳を切断された金髪の
覆い被さるように組み伏せて、泣き喚く
「っ、あ……!ひぎっ……」
ただ、苦痛と恥辱を受け入れている。
彼女は男の奴隷であり、抵抗してもより酷い事になるだけだと知っているからだ。
犯している男の名は、エルヤー・ウズルス。
いつも涼しげな顔を浮かべているが……その表情は今、苛立ちに満ちていた。
エルヤーは先日の昼に出会った男を思い出していた。
自身の腕をへし折った、商人。
下等生物である
折られた腕は自身の奴隷に治させた。
だが、折られたプライドは治せない。
「っ、腹立たしい……!」
エルヤーは苛立ちに任せて、金髪の
「っひぁああ……ひぐぅ!?」
金髪の
愛撫目的ではない、嗜虐心による行為。
無遠慮に膣を突かれ、時折、気紛れに暴力を振るわれる。
顔を叩かれ、胸をつねられ、膣を突かれる。
性行為ではない、性暴力。
愛を確かめ合うものではなく、ただ性欲と支配欲を満たす行為。
犯されている金髪の
三人はエルヤーの奴隷である。
それぞれ、冒険に必要な技能を持っている。
赤髪の
青髪の
金髪の
前衛の剣士であるエルヤーを補助する
賃金は払われず、装備も疎かだ。
彼女達はただエルヤーの支配欲、性欲、嗜虐心を満たすためだけの存在である。
金髪の
彼女は……他の二人も含めて、三人はスレイン法国の南方に存在するエルフの村の出身者だった。
エルフの国と戦争をしているスレイン法国によって捉えられ、こうして今、奴隷となっている。
戦争の理由を彼女達は知らない。
いつの間にか始まって、いつの間にか巻き込まれていた。
ただの村娘だって彼女達はスレイン法国に捕らえられ、徹底的に“教育”された。
暴力に次ぐ暴力。
陵辱に次ぐ陵辱。
彼女達の身も心も屈服させられていた。
抵抗する意思はもうない。
穏やかな日々も、尊厳も、自身の名前すら忘れ……ただ辛い現実から目を逸らし、痛みを避けて、這いずるように生きている。
生きる希望はない。
だが、死にたくはない。
それだけだった。
「口を出しなさい」
エルヤーが金髪の
無抵抗に口を突き出せば、エルヤーは口の中に舌を入れてきた。
「んっ……んぅ……!」
好きでもない……寧ろ、憎んでいる男に接吻される。
屈辱だが、それでも金髪の
こうしなければ、後で酷い目に遭うのが分かっているからだ。
快感などない。
あるのは嫌悪感だけだ。
一通り舐められ、エルヤーは口を離した。
「もっと締めなさい!」
そして、
「ひっ、ひぐっ……!」
行為中に何度も叩かれた所為で頬は僅かに赤くなっている。
しかし、エルヤーは気にしない。
痛みによる反射で締まりの良くなった
「んっ、う、うぅ……」
涙を流す
自慰行為の延長線でしかない自分勝手な性行為……それが
エルヤーに抱かれながら、ただただ早く終わって欲しいと願う事しかできない。
逆にエルヤーは満足げに恍惚の表情を浮かべていた。
「
「……は、はい……っ」
奴隷である
エルヤーは一際早く、強くピストンし……そして、膣内に射精した。
「っ……」
エルヤーはこの瞬間が好きだった。
自分より下等で、劣等である女の胎を侵略する行為が、自尊心と嗜虐心を満たしてくれるからだ。
「……あ、ぁ……」
……
法国による“教育”の一環で、奴隷達は妊娠機能を失っている。
それだけが、彼女達にとって不幸中の幸いだった。
「ふぅ……後は片付けておきなさい」
エルヤーがそう言って、服を手に部屋を出た。
身体を洗い流しに行ったのだ。
二日に一度、エルヤーは
彼女達は皆、自分の事で精一杯だ。
仲間を思いやる余裕はない。
それでも──
「……<
青髪の神官
エルヤーにバレれば折檻は免れない行為だ。
だとしても、使わずにはいられなかった。
「…………」
金髪の
言葉を口にすればエルヤーに聞こえるかも知れないからだ。
他の誰かがエルヤーに殺されそうだとしても、助けには行かないだろう。
だが、助ける事にリスクがないのであれば……こうして、辛い環境に身を寄せている同志として小さな助け合いはしていた。
中程で切断された耳のように、僅かに本来の優しさが残っていた。
ふと、赤髪の
自身を庇ってくれた男の姿を。
……彼の所為でエルヤーは苛立ち、八つ当たりをされたが……結局、何もなくとも暴力は日常的に振るわれている。
そこは恨んでいない。
寧ろ、赤髪の
強い剣士であるエルヤーが無様な姿を晒す事は少ない。
ああして腕を折られて、のたうち回るエルヤーを見れて気分が良かった。
他の
それは間違いない。
だから、感謝しかなかった。
庇われた事に対してではなく、エルヤーを痛めつけてくれた事に。
しかし、それでも、出来るのであれば──
(……殺してくれたら、良かったのに)
この日々を彼に終わらせて欲しかった。
高望みだと分かってはいるが、それだけが彼女達の望みだった。
◇◆◇
早朝、伯爵の敷地にて幾人もの
“フォーサイト”、“ヘビースマッシャー”、“
彼等は皆、伯爵の依頼によって遺跡の探索を行う者達だ。
今日は出発日であり、
そして、
その中に、アダマンタイト級の冒険者“漆黒”のモモンも居た。
そんな、周りの冒険者や、
「何故、遺跡に向かう。冒険者と違い、しがらみのない
その言葉に、
返答に多少の差はあれど、皆、『金のためだ』と口にした。
その返答に、漆黒の
「それが『お前』達の判断か……『本当にくだらない』質問をした。許してくれ」
兜の下でどんな表情を浮かべているのか、
もっとも、その兜の下は……ただの白骨なのだが──
(クズどもめ)
その内心は、友と作った地であるナザリックに、土足で、あまつさえ金銭目的で入ろうとする者達への不快感で満ちていた。
そうして数日、
深夜、彼等は最低限の荷物を背負い、遺跡へと足を踏み入れる。
それを“漆黒”のモモンは見送った。
「……やっと行ったか」
腕を組んで、野営地である丘の上からナザリックへと侵入する愚か者達を見下した。
ふと、冒険者の一人がモモンの側まで寄ってきた。
「無事に戻ってくれば良いのですが……モモンさんはどう思われますか?」
「……全員、死ぬだろ」
「え?」
漏らした失言に、冒険者が呆気に取られた顔をした。
モモンは内心で急つつも、首を横に振った。
「……いや、そういう心持ちで居ろ、という話だ。楽観主義より悲観主義の方が長生きできる」
「なるほど……」
適当な言い訳だったが、アダマンタイト級という箔が冒険者を納得させた。
「私はここで一度天幕に戻らせて貰う。失礼」
このままではボロがでる。
そう思ったモモンは踵を返して、自身の天幕へと向かった。
そこには黒髪の美女が座っていた。
その前で、モモンは自身の兜を外し……骸骨の素顔を晒した。
「ナーベ、ここは任せる。私は一度、ナザリックに帰還するが……後でパンドラズ・アクターを派遣しておこう」
「畏まりました、アインズ様」
「何かあれば、即座に連絡を頼むぞ」
魔法で作った鎧も消失させ、
そこに居たのは冒険者である“漆黒”のモモンではなく、ナザリックの支配者アインズ・ウール・ゴウンだった。
<上位転移(グレーター・テレポーテーション>を発動させたアインズは、ナザリック地下大墳墓の第十階層である玉座の間へと移動した。
そこには、アインズの見知った顔が二つあった。
一つは絶世の美貌を持つ美女……階層守護者統括のアルベドだ。
もう一つは、自身の友人にしてナザリックで唯一対等な存在である『べり❤︎ある』……ベリアルだ。
二人は何やら会話を……というか、アルベドの方が羽をパタパタさせて興奮していた。
(この二人、仲が良いんだよなー)
アインズは内心でそんな事を考えた。
なんでも、ベリアルがアルベドの恋の相談を受けているとか、何とか。
部下の恋愛事情に顔を突っ込むのはどうなのか、と思いアインズは詳しくは聞いていない。
そもそも聞かなくても相手は分かるが。
そんなアルベドが、アインズが玉座に戻った事に気付き満面の笑みを浮かべた。
「ぉお帰りなさいませっ!アインズ様!」
「あ、あぁ……うむ、ただいま」
飛び回るハートマークの幻覚が見える。
アインズの事が好きだ!という態度だ。
転移する前に、アインズがNPCの設定を『モモンガを愛している。』と書き換えてしまった事が原因だ。
その好意は嬉しいが、創造主のタブラ・スマラグディナへの罪悪感が勝る。
想いに応えるのは難しい。
そもそも、アンデッドであるアインズには性欲など存在しない。
そのため、恋愛関係についても他人事なのだ。
(そう考えると、ベリアルさんが羨ましいよ。可愛い女の子を侍らせちゃってさー……男の夢って奴だよなぁ……はぁ)
アインズは内心でため息を吐いて、二人に目を向ける。
「計画通り、侵入者がナザリックに来る。歓迎の準備は出来ているか?」
「はい!万全でございます……お客様が満足するものをご用意できているかと」
ホームパーティに誘うような言葉だが、実際は違う。
侵入者には絶望が待ち受けている。
あの程度の侵入者を迎撃するだけなら容易い。
だが、アインズは侵入者達を利用してナザリックの防衛システムの点検を行う事にしたのだ。
ゲームから現実に転移した事もあり、不測の事態が起きないか……その確認だ。
防災訓練、ならぬ防衛訓練を行うつもりなのだ。
アインズが玉座に腰を下ろすと、宙に映像が浮かんだ。
ナザリック内部の情報を表示するモニターのようなものだ。
そこには侵入した
入り口付近で、棺に入った金貨を漁っているようだ。
(チッ、コソ泥どもが)
あの金貨は釣り餌に過ぎない。
貴重な
だが、ただのユグドラシル産……というのは、この世界の金貨とは全く価値が異なる。
混ざり物のない純金が、統一された加工で幾つも並んでいる……それだけで、この世界では凄まじい財となるだろう。
苛立ちながら、指で玉座を叩き……そして、ふと、ベリアルが静かなことに気付いた。
「どうかしまし……ごほんっ、どうかしたか?ベリアルさん」
普段のように気安く話しかけそうになったが、この場にはアルベドがいる。
アインズというナザリックの管理者としての役割を意識しつつ、話しかけた。
「いいや、何も?」
ベリアルは普段の笑みではなく、どこか無表情に近い顔をしていた。
自身と同じく、侵入者を不快に感じているのか……と、アインズは思ったが、首を横に振る。
また別の何か、理由があるのだろうと。
そして、ナザリックに侵入した
“フォーサイト”の
「ベリアルさん。気になる者がいれば、捕虜にしても構わないが」
ベリアルはその
アインズがアンデッドの特性により、生者の死に無関心になってしまったように、その精神に対する変容はどうしようもないものだ。
故に、その性欲の吐口として何人か『壊してもいい』女を用意する事に協力したいとアインズも思っていた。
だからこそ、提案したのだが……ベリアルは首を横に振った。
「いや、彼等は俺達のナザリックに金目当てで入ってきた……誰かを特別扱いになんてしないさ」
その発言はどこか、自分に言い聞かせているようだとアインズは思った。
しかし、その理由は分からず、アインズには口出しもできなかった。
「そうか……なら、全員、実験用のモルモットにして構わないか?」
そう問いかけると、ベリアルは宙に浮かぶモニターに目を向けて……一つを注視した。
「……あー、いや。あの三人の
「
「あぁ、彼女達は自らの意思でナザリックに入ってきた訳じゃない。殺すのは可哀想だろ?」
「ふむ……」
アインズは『可哀想だ』とは思えなかった。
部屋に虫が入ってきた時に、鬱陶しいからと殺すような感覚に近い。
悪意をもった虫けらも、悪意をもたぬ虫けらも……どちらも鬱陶しい虫けらに等しい。
同情する事はない。
だが、ベリアルの言葉には頷いた。
「分かった。では、あの
この友人と価値観が異なる事を、アインズは認めている。
それは互いの精神の変容が原因である。
だが、譲れない事ならば話し合えば良く、今回のようにどうでも良い事ならば譲歩すればいい。
アインズの言葉に、ベリアルは力なく笑った。
「助かるよ。なら、彼等が衝突予定の場所を教えてくれないか?」
「いいだろう。<
アインズが<
そうして玉座にはアインズと、アルベドしか居なくなった。
パタパタと羽を動かし、上機嫌なアルベドを横目にモニターに目を戻す。
霊廟を抜けて、ナザリックの内部へ
仲間達と共に作り上げたナザリックに、土足で入り込むなど──
「……生かして返すものか」
苛立ちの中、先程のベリアルの様子を思い出した。
そして、視線をアルベドに向けた。
「アルベド、少し良いか」
「はい!如何しましたか?アインズ様」
「ベリアルさんの直属の部下……ラズロは何処に居る?」
アインズの言葉に、アルベドは少し悩ましそうな顔をした。
「ベリアル様の指示により、現在は帝都に居るかと……」
「呼び戻せるか?」
「可能ではありますが……」
「呼び戻してくれ」
アルベドは困惑しているように見えた。
アインズから見て、先程のベリアルは様子が少しおかしかった。
かと言って自分では踏み込めない。
だが、配下であれば踏み込める場所もある。
ベリアルは自身の子であるラズロと気安い関係を築いている。
彼女に悩みでも聞いて解決してほしい……と考え、アインズは指示を出したのだ。
「さて……」
そして、アインズはモニターに指を触れた。
画面が遷移し、別の視点から冒険者が映る。
「一つチームをベリアルさんに預けたからな。練習相手も変えた方が良いか……」
どうすればナザリックの最大の利益になるか。
そう考えながら、アインズはモニターを操作した。
◇◆◇
赤髪の
他の
というのも、集団行動では財宝を取り合ってしまうからだ。
幸い、この遺跡内部にいるモンスターはどれも低級のアンデッドだ。
個別に行動しても問題はない、という認識だった。
エルヤーのチーム“天武”も手柄を求めて、遺跡の奥へと足早に向かっているのだが──
「チッ!ノロマが。早く進みなさい」
「は、はい……」
背後から聞こえたエルヤーの舌打ちに、赤髪の
警戒するならば周りの状況を把握しつつ歩くべきだと、
それでもしかし、主の命令は絶対だ。
幸い、今まで運良く罠を踏んでいないが……罠を踏めば、先頭を歩いている
赤髪の
作られてからかなりの時間が経過しているのに、過度な汚れがない。
誰かが整備していると考えていい。
罠が設置されそうな箇所にある僅かな違和感……罠がないのではなく、罠はあるが起動していない……という認識。
それが彼女の足取りを重くさせた。
そんな
勿論、リスクについては認識済みだ。
罠が起動すれば赤髪の
だが、それでも良かった。
死んでも良かった。
理由は単純だ。
エルヤーは飽きたのだ、この赤髪の
(今度はもう少し胸のある女がいい。強く握り締めて悲鳴をあげさせるのは楽しいですからね)
エルヤーは脳裏に次の
この遺跡探索での報酬があれば、お釣りもでるだろうと……。
そんな中、赤髪の
「何を足を止めている。歩きなさい」
「ひっ、あ……あの、音が聞こえます……あちらから……」
「音ですか……私には聞こえませんが」
エルヤーは背後にいる青髪と金髪の
人間であるエルヤーには聞こえない音も聞こえるのだろう。
「では、その音の方へ向かいます」
「……はい」
エルヤーは赤髪の
やがてエルヤーの耳にも音が聞こえてきた。
金属がぶつかる音が。
「チッ、どうやら他のチームと出くわしたようですね」
エルヤーは落胆した。
金属の武器での戦闘ならば、間違いなく別の
個人主義であり、自身の力に絶対の自信を持つエルヤーからすれば、他チームとの共闘などあり得ない。
恩を売るのならば良いが、他チームの手助けなどは全くの不要だ。
そのまま音の聞こえる方へ足を進めて……エルヤーは違和感を感じた。
この物音は、戦闘音にしては変だと。
一定の間隔で起きている金属音はまるで……そう、訓練のようだ。
道を進み、角を越え……その音の発生源を見た瞬間、エルヤーの疑惑は氷解した。
「これは……」
そこには、
エルヤーが驚愕したと同時に、彼等は武器を振るうのを止めた。
そして、エルヤーは訓練していた亜人や魔獣の中に……人間がいる事に気付いた。
露出度の高いビキニアーマーを着た、金髪の剣士だ。
あんな女、
そもそも、
そんな中、
その間から、一人の……見覚えのある男が現れた。
「貴様は……」
「先日ぶりだな、エルヤー」
自身の腕を折った、黒髪の男だ。
エルヤーは後日、店主や警らから男の情報を得ていた。
商人であり、名をベリルというと。
随分と裕福らしく、この遺跡の探索が終わった後、賠償をふっかけようとしていた相手だ。
そんな男が何故か、この遺跡の中で
「……なるほど。人類の敵だった、という事ですね」
「人類の敵か……まぁ、あながち間違いではないな」
エルヤーは納得した。
商人でありながら、あの腕力は異常だと思っていた。
恐らく、この人間の姿も偽物だ。
正体は悪魔か、何かだろう。
そんなモンスターが帝国に潜伏していたとは……と、普通の人間なら考えるだろう。
しかし、エルヤーは歓喜した。
腹立たしい相手を、この手で斬れる事に。
「いいでしょう、貴様はこのエルヤー・ウズルスの剣の錆にしてくれる」
そう口にすると、
それに若干の苛立ちを覚えつつ、エルヤーは剣を抜いた。
「先日、痛い目に遭ったというのに随分と自信家だな」
「あれは卑怯な不意打ちが原因です。剣を抜いて良いのであれば、貴様が私に勝てる道理はない」
「……なるほど。ここまで現実を見れていなければ、逆に勇敢だと評価したくなるな」
エルヤーは眉間に皺を寄せた。
今すぐにでも切り掛かってやりたい。
だが、エルヤーは戦闘においては天才的なセンスをもっていた。
自身の感情を切り離し、最も勝算のある選択を取れるのだ。
<能力向上>
<能力超向上>
武技を黙って発動する。
本来であれば、<能力超向上>はエルヤーのレベルでは取得できない武技。
それをエルヤーの剣士としての優れた才覚が、習得を可能にさせた。
準備を整えるエルヤーに対して、男はまだ気楽な顔を浮かべている。
「安心するといい。
<縮地改>
会話の途中、エルヤーは素早く地面を滑り、男の間合いに踏み込んだ。
戦場で油断するとは愚かな奴だ、とエルヤーはほくそ笑んだ。
「油断したな!馬鹿め!」
そして剣を振り下ろし──
「うぎゃあっ!?」
エルヤーは吹っ飛ばされた。
石壁にぶつかり、流血する。
「な、はっ!?」
何をされたか、分からなかった。
無様に攻撃を受けて、自身が床に転がされた……その事実に怒りつつ、エルヤーは顔を上げた。
「貴様ぁっ!」
「不意打ちか。まぁ、正々堂々とPVPをしている訳でもないからな」
男の手には赤い半透明の剣が握られていた。
あれで斬られたのか……だとすれば、鈍だ。
エルヤーは身体に鈍い痛みがあったとしても、斬撃による切り傷はなかった。
しかし、身体に怪我があるのは事実だ。
額が切れて流血しているのも鬱陶しい。
苛立ちつつ、エルヤーは
「お前ら、何をぼうっとしている!治癒魔法と強化魔法を寄越せ!」
「は、はいっ」
エルヤーの言葉に
治癒、身体強化、皮膚の硬質化、反応速度の上昇……神官と
無数の強化魔法が行使される中、ベリルは呆れた様子で見ていた。
そんな顔に苛立ちが再燃する。
「ちっ!ノロマめ!」
エルヤーは苛立ちつつ、側まで来ていた赤髪の
赤髪の
「ご、ごめんなさい……っ、ごめんなさい」
謝罪の言葉を繰り返す
「…………」
……しかし、先程までの気楽な表情は消え、険しい表情を浮かべていた。
「フッ、どうやら私を相手するのに、本気にならねばならない事に気付いたようですね」
先程の痴態はもう、エルヤーの頭にはなかった。
幾多の強化魔法と、武技による身体強化で自信に満ち溢れていた。
故に、この男も気楽な態度は取っていられないのだろう。
そうエルヤーは思った。
「……お前はどうして、そうも無抵抗の女を殴れるんだ」
ベリルの言葉に、エルヤーは片眉を上げた。
「愚かな事を聞きますね。自分の所有物をどうしようと、人の勝手でしょう。強い者は弱い者を虐げても良い……自然の摂理ですよ」
天才剣士であるエルヤーは、他人を侮って良い。
劣った下等な種族である
そうエルヤーは考えていた。
その考えを口にしただけだ。
しかし、ベリルは目を細めた。
「……なるほど。その意見は同意しよう。強者は弱者を、好き勝手に扱って良いんだな?」
そして、赤い剣を持ち上げた。
その瞬間、エルヤーは<縮地改>を発動し、ベリルの側面へと高速で移動した。
正面からの衝突は不利だと悟ったからだ。
そして、明らかな間合いの外で、剣を振るった。
「<
斬撃が空を切り裂き、ベリルの元へと飛ぶ。
それをベリルは手元の剣で防いだ。
それはエルヤーも想定済みだった。
<空斬>を放った直後、エルヤーは既に<縮地改>を発動してベリルの背後へと回っていた。
「貰ったぁぁあッ!」
怒号と共に全力で剣を振り下ろす。
速度も威力も十分……ベリルに防ぐ事は出来ない。
そう、エルヤーは確信して──
ガチン!
と鈍い音がして、剣が止まった。
「は?」
エルヤーは目の前の光景を信じられなかった。
ベリルは剣を持っていた手……それとは逆の手で、エルヤーの剣身を受け止めていた。
素手で、刃を握り締め……完全に受け止めていたのだ。
「しまったな……」
「っ……!?」
ベリルが口にした言葉の意味を理解するより早く、エルヤーは数歩下がった。
距離を取らなければならないと思ったからだ。
幸いにも、ベリルが剣を握ったままだが……エルヤーは下がる事ができた。
エルヤーも剣の柄を離さなかったが……下がる事が出来てしまったのだ。
剣の身はベリルの手が握っている。
剣の柄はエルヤーの手が握っている。
それでも、身体は後退する事が出来た。
自身の手と、身体が、あり得ない距離が拡がっていた。
「まぁ、剣士として戦ってやるつもりだったが。加減は難しいな」
そして、ようやくエルヤーは気付いた。
剣の柄を握っているのは……切断された、己の両腕だという事に。
その事実を認識した瞬間、エルヤーは現実を把握し……激痛が走った。
「う、うでがぁぁあ!?」
血を撒き散らしながら、エルヤーは尻餅をついた。
剣士の命である腕が、それも両方が切断されていたのだ。
「ち、ちゆ!ちゆをよこせ!はやくしろ!」
エルヤーは喚きながら、
しかし、
それどころか、笑みを浮かべていた。
自身を虐げていた者の無様な姿に……そして、願いが叶った事に。
「う、うでをなおせ!おまえらも死ぬんだぞ!?」
エルヤーは喚く。
モンスターが跋扈する遺跡の中で前衛を失えば、
それが分からぬほど愚かなのかと。
そんな事は
それでも援護をしない。
「う、うで、うでを!はやく!」
滝のように流れる血と共に、意識も遠のく。
全身に寒気がして、身体も重くなる。
そんなエルヤーを見ても、
「無様過ぎて、可哀想になってきたな。同情はしないが」
「ひっ」
振り返れば、ベリルが側に居た。
エルヤーの腕が、剣を握ったまま地面に転がった。
「殺しはしないが……安心はしない方がいい」
エルヤーの髪を、ベリルが掴んだ。
そのまま引っ張られ、エルヤーは痛みを感じながら背筋を伸ばした。
「ナザリックにおいて死とは、これ以上の苦痛がないという慈悲だ。だが、お前には死すら与えられない」
その言葉の意味の大半が理解できない。
理解したくない。
「や、やめてくれっ」
エルヤーは恐怖に顔を歪ませた。
これから起こる何もかもが不安になった。
「たのむっ!たすけてくれ!」
最悪の想定を幾つもして、その最悪の想定を現実が上回る予感がした。
そんなエルヤーを見て、男は無表情だった。
「さっきお前が言っただろう。強い者は弱い者を虐げても良い。自然の摂理だ……だったか?」
「あ……」
だが、手に持つ剣さえあれば苦難を乗り越えられるという自負があった。
「情けを求める声を無視してきたお前に、俺が情けを掛けると思うか?」
「あぁあ……」
その剣はない。
その剣を握る腕もない。
その剣を振るう心も折れた。
「うぁあぁああぁあっ!?」
耐え難い恐怖は現実を否定して、エルヤーは……失禁しながら、意識を失った。
◇◆◇
石畳に受け身も取らず転がったエルヤーを、俺は物のように持ち上げた。
「ルプスレギナ、来てくれるか」
「はいっす!」
名前を呼ぶと、褐色のメイドが
プレアデスの一人、ルプスレギナ・ベータだ。
砕けた口調だが、これは俺が許可を出した為だ。
本来、俺やモモンガさんには畏まった口調で話していたが……もっとフランクに話しかけて欲しいとお願いしたのだ。
そんなルプスレギナに、泡を吹いて気を失ったエルヤーを受け渡した。
「こいつを死なないように治療して……あー、『真実の部屋』にでも連れていってくれ」
「了解っす!治癒の加減はどうするっすか?腕は治さない方が良いっすよね?」
「治さないでいい……いや、治してからもう一度折った方が良いか?そこはニューロニストに伺ってくれ」
有効活用する前に、心はへし折った方がいい。
使い方は……そうだな……デミウルゴスにでも任せるか?
まぁ、少なくとも死ぬより辛い目に遭うのは間違いないな。
寧ろ、死ねたらラッキーぐらいだな。
ルプスレギナがエルヤーを連れて行ったのを確認し、ちら、と顔をハムスケへと向けた。
ハムスケは冒険者活動中のモモンガさんが連れ帰ってきた現地のモンスターだ。
クソでかいハムスターだから、ハムスケだ。
ちなみにメスだ。
「悪かったな、ハムスケ。仕事を奪ってしまって」
「い、いえ!某に異論はないでござるよ!寧ろ、素晴らしい戦いを見れて満足でござる!」
「素晴らしい戦い……戦いか?」
「……た、戦いでござるよ!」
一方的にボコボコにしてしまった気がする。
元々、
そんな中に俺が突っ込んで行ってしまったので、罪悪感がすごい。
お手本っぽく剣士やら戦士っぽく戦おうと思っていたが、それも無理だったし。
あれじゃレベル差によるステータスの暴力だ。
得る物はないだろ。
「今度、俺と模擬戦をやろう。実力を見れるしな」
「え、遠慮するでござるよ!某の模擬戦相手はクレマンティーヌ殿で間に合ってるでござるよ〜っ!」
「そ、そうか……」
想像以上に悲痛な声を出したハムスケに苦笑しつつ、俺は
床に座り込んで、泣いている。
「…………」
あれは恐怖からの涙……ではなさそうだな。
どれだけ嫌われてたんだ、エルヤー。
「ベリちゃん。あの娘達どうすんのー?」
クレマンティーヌに声を掛けられる。
「取り敢えず、治療はしよう。身も心も。ペストーニャに耳も治して貰うか」
俺は顎に手を置き、犬の顔をしたメイド長を思い出した。
ゲヘナ後に赤ん坊やらの助命を懇願した結果、今現在、謹慎中だったか?
これを手柄にして、謹慎を解いても良いだろう。
元々、あの謹慎はアインズさんの面目を保つための対外的な物だし。
そう考えていると、クレマンティーヌが少し複雑そうな顔で俺を見ていた。
「……なんだ?クレマンティーヌ」
「いやー、また側室が増えちゃうなーって」
「……いや、あの
性的な目的で助けた訳ではない。
まぁ、確かに全然ストライクゾーンだし可愛いしムラムラはするが、断じて違う。
違うったら違う。
女を物みたいに扱う男……という俺の同族が、こう、あんな下衆な真似をしているのを見せられると、俺もあぁ見えてるんだろうなっていう……なぁ、苛立ちがヤバいんだよな。
まぁ、俺は自分の庇護下にある女は殴らないが。
「……そういや、アルシェちゃんの元・同僚はどうすんのー?フォーサイト、だっけ?」
「ん?何もしないが」
「……それマジで言ってんの?」
クレマンティーヌがちょっと驚いたような顔で俺を見た。
口を開こうとして……周りに、ナザリック直属のNPCが居ない事を確認して、クレマンティーヌへ目線を戻した。
「マジもマジだ。彼等は金銭目的でこのナザリックに侵入してきた。他の
「……でもさー」
「線引きは重要だ。彼等を俺の私情で助けるのなら、他の奴らも助けるべきだろう?だが、それはナザリックの利益にはならないし、モモンガさ……アインズの方針とも異なる。無理なんだよ」
ナザリックへの侵入は、敵対行為だ。
自らの意思でナザリックへ侵入した者達を、モモンガさんは決して許しはしない。
まぁ、その気持ちは俺にも分かる。
ナザリックの情報を持ち帰られても困るしな。
やめるように言ったのに、ここに侵入してきたのは彼等の選択だ。
選択には責任が、責任には代償が伴う。
彼等は命懸けでナザリックに侵入した。
だから命を失う。
それだけだ。
「……ま、ベリちゃんがいいなら、いいけどー」
クレマンティーヌはどこか達観したような顔をしていた。
アルベドの恋愛相談とは「如何にしてアインズ様にチンポを生やすか」の相談会です。
イミーナは
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身体を犯されるが、ヘッケランの元に帰る
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ベリアルに完全に寝取られる
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