【R-18】オバエロ:至高の淫魔がスケベする話 作:口だけの淫魔
メイド長であるペストーニャ・S・ワンコから、
帝国では未だ亜人の奴隷制もある所為で働き辛いため、消去法的に魔導国の俺の屋敷で働くこととなった。
ペストーニャに──
「でも、
と言ってみたが──
「あの娘達が望んで立候補したものです。あ、わん」
と返された。
本当か?
前に見に行った時、三人は仲良く談笑していたのに、俺の顔を見た瞬間に黙りこくってたぞ。
クーデリカとウレイリカを迎えに行っただけなのに、何だか俺も申し訳なく思ってたらぐらいだ。
いやでも、面識が薄い俺の持ってる印象なんかより、日頃から教育係として接して来たペストーニャの方が信用できるか。
じゃあ、ペストーニャの方が正しいんだろうな……うーむ。
まぁ、考えても仕方ないか。
そんな三人の元奴隷
長い間、虐待されて来たからか、自己防衛の為らしい。
よって、各々が名前を思い出せなくなっていたため、個別の名称がなかった訳だが……ペストーニャがそれでは可哀想だし、仕事にも差し支えるからと名付けてくれた。
赤髪で髪が短い
青髪の少し癖毛な神官適性がある娘は、ルニー。
金髪のミドルヘアーな
古代の
……それ、黒い犬に「クロ」って付けて、三毛猫に「ミケ」って名付けるようなものじゃないか?
いや、犬の顔しているペストーニャ・S・「ワンコ」には言わないけど。
そんな
「よく来てくれたな。……えーっと、カリン、ルニー、マレン」
「は、はい」
ちょっとまだ名前が怪しい。
だが、もし間違えられたら彼女達はショックを受けるだろうし……間違えないようにしなければ。
俺はそんな情けない事を考えつつも、視線を
切断された耳はペストーニャの治癒で治っている。
エルヤーの奴隷時代に手入れが行き届いておらず、髪質が悪くなっていた髪も良くなっている。
十分に食事を食べ、十分な睡眠を得られた結果、奴隷だった頃に比べて遥かに綺麗になっているた。
うん、可愛い。
そんな彼女達は魔導国のメイド服を着ている。
……帝国のメイドが着ているメイド服と同じ奴だ。
ナザリック産ではないが、品質は良い。
顔は緊張しているようで強張っている。
……まぁ、長い間、エルヤーとかいうカスに虐待されていたのだから、男性不審になっても仕方ないだろう。
その程度で目くじらを立てるつもりはない。
寧ろ、同情するぐらいだ。
「今日からここでメイドとして働いて貰う訳だが、何か俺に訊きたい事はあるか?」
「……あ、あの……」
おずおず、と赤髪の
「ん?なんだ?」
「えっと……ここのメイドの方達は、ベリアル様のことを『旦那様』と呼ばれていますが……」
「……あー、そうだな?」
ナザリック内では俺のことを旦那様と呼ぶメイドは居ない。
メイドが仕える相手は、俺だけではなく至高の四十二人なのだから、特定の誰かを旦那様と呼ぶことはない。
ややこしいからな。
旦那様、ではモモンガさんなのか俺なのか分からないし、名前で呼ぶという訳だ。
対して、帝国から引き連れて来たメイド達は、俺に仕えるメイドだ。
主人は俺一人。
だから、旦那様と呼んでいる。
「私達も『旦那様』とお呼びした方が、その、よろしいですか?」
「……いや?好きに呼んでくれ。今まで通りでも構わないぞ?」
「は、はい。かしこまりました」
俺の返答に、カリンはぺこぺこと頭を下げた。
借りて来た猫みたいな反応だ。
そんなに怯えなくても良いんだが……。
「そう緊張しなくていい。例え何かミスがあったとしても、俺は幻滅しないし、評価を下げる事もない。安心してくれ」
「……はい」
三人は神妙な顔で頷いた。
少しは分かってくれたと思いたい。
まぁ、エルヤーの奴が長い間、虐待していたからな……。
少しずつで良いから、今の居場所が安全なのだと知って欲しい。
「それで……メイドの仕事に関して、先達から教えて貰って欲しいが──
一般メイドに頼もうと思っていたが、流石に拙いか。
一般のメイド達は帝国出身だからな、
その辺りの視線に関して、実害がなくても当人が傷付く可能性もある。
俺は背後の、壁際に立っているシクススに視線を向けた。
「シクスス。悪いが、頼めるか?」
「はい、畏まりました。ベリアル様」
まぁ、これで何とかなるだろう。
シクスス、ここのメイド達ともある程度は仲良くやってるみたいだし。
寧ろ、ナザリック内に居る
上手くやってくれると思いたい。
俺は視線を
「後は、そうだな……休みの日は自由だ。賃金も与えるから、それで好きに買い物してくれていい」
「……え?お金が貰える、のですか?」
金髪の
失言だと思っているのだろう。
「あぁ、もちろん。正当な労働には正当な対価があってしかるべきだ」
「あ、ありがとう、ございます」
また、ぺこぺこと頭を下げられた。
感謝されるような事じゃないんだけど。
労働には正当な報酬が与えられるのは、労働者にとって当然の権利だ。
「……あぁ、あと、ナザリックに帰りたい時があれば言ってくれ。仕事としては、この屋敷に住み込みでやって貰うが、休日は戻ってくれても構わないからな」
そう口にすると、
ぼそぼそ、と小声で短く何か言った。
……まぁ、ステータスの力で地獄耳になっている俺には聞こえていたが。
彼女達は──
「ピザ?」
「ピザ……」
「メロンソーダ」
と言っていた。
……なるほど。
ナザリック内での食事が忘れられないのだろう。
しかし、この屋敷内の食事はナザリック内の食事よりは劣る。
ピザは出せなくもないが、メロンソーダは出せない。
「……あ、ごめんなさい」
三人は俺の視線に気付き、自分達が上司の前でボソボソと話してしまった事に気付き、申し訳なさそうな顔をした。
……いや、別に構わないぞ?
落ち込まれる前に声を掛けるべきかと、口を開く。
「いや、気にしないとも。だが、そうだな……給金を支払えば、ナザリックの食事が屋敷で受け取れる仕組みを作っておこう。それでどうだ?」
ナザリックの食堂にはデリバリーサービスがある。
保存可能な魔法の容器に食事を入れて、ナザリック内の私室やら、外の拠点までお届けするサービスだ。
それをこの屋敷でも受け取れるように、調整する。
だが、毎食、無料でナザリックのデリバリー飯を食わせるのは、費用がかかる。
特別扱いをして、帝国から連れて来た他のメイド達から疎まれても拙い。
全てのメイドが使えるようにしつつ、偶に贅沢で買えるようにする。
そんな仕組みを作る必要がある。
公平でなくても構わないが、公平にする努力はすべきだからな。
デリバリーは、会社で頼む弁当システムみたいな感じにしよう。
一気にまとめて注文して、まとめて持って来て貰う方が手間もかからないだろうし。
そんな案について俺が説明すると、
「「「ありがとうございますっ」」」
うーん、食い気だ。
あんなに緊張していたのに、今は凄く嬉しそうだ。
「何か他にも困った事やら、して欲しい事、欲しい物があったら気楽に言ってくれ。別に不敬とか、そんなことを考えなくていいからな」
「は、はいっ」
来た時よりも元気に
それから二週間ほど、俺は帝国に行ったり、魔導国に戻って来たり、ナザリックに帰ったり、冒険者としての身分を更新したり、女を抱いたり、うろうろとしながら過ごした。
仕事が……仕事が多い……!
そんな合間を縫って、
まぁ、メイドとしての経歴が浅いから仕方ない。
最初から完璧は求めていない。
それに、仕事が出来ない訳ではない。
立ち振る舞いが洗練されていないだけで、よく働いてくれている。
元々、エルヤーの下とはいえ冒険者チームで活動していたからな。
魔法も使えるし、手先も器用だ。
単純に経験不足なだけだ。
屋敷内のメイド達も、
俺の懸念していた差別的な意識もなさそうだ。
うんうん、仲良き事はいいことだ。
屋敷内には宣言通り、ナザリックの食堂と繋がる<
これは二枚一組の
これを使って、ナザリック内から料理や菓子、化粧品や雑貨等を購入できるようにした。
これには屋敷で働いているメイド達も大喜びだった。
最近の流行りはクッキーと紅茶らしい。
リーズナブルな値段だからな。
ちょっとした茶会をするのに向いているのだろう。
楽しそう。
まぁ、それだけ喜んでくれているのなら用意した甲斐があったな。
今後も色々と労働環境は改善していこう。
◇◆◇
夜も更けて来た頃。
魔導国、ベリアルの屋敷にて。
三人の
先頭で歩いている赤髪の
屋敷も寝静まった頃だが、屋敷内の戸締りなど異常がないか確認を行なっているのだ。
「窓は……?」
「大丈夫」
小声で確認をしながら、廊下を進んでいく。
戸締りの確認、ランタンの消し漏れがないかの確認、など。
それらを確認している中、先頭を歩いていたカリンは声が聞こえる事に気付いた。
「……二人とも。声が聞こえない?」
そうして、確かに声が聞こえる事に気付いた。
「……確かに。何だろ、これ」
「話し声、ではなさそう」
二人の言葉にカリンは頷いた。
「確認しにいかないと」
「……うん」
ランタンの取手を強く締めて、音の聞こえる方へと向かう。
「……ここ?」
少し歩けば……普段、使われていない空き部屋だった。
以前、入った時、空き部屋にしては埃がないなとは思っていたが……用途不明の部屋だ。
そこから、声が聞こえる。
「なんだろう……」
しかし、どこかくぐもったような声だ。
まるで、魔法で押さえつけているかのような、声。
「…………確認、してみる」
何か事件なのか。
幸い、この部屋は扉の他に木製の小窓がある。
そちらはスライド式で静かに開ければ音も鳴らない。
三人は互いに頷き、ゆっくりと木製の小窓を開けて──
どちゅっ♡♡どちゅんっ♡♡♡♡
「あっ♡♡旦那様っ♡♡♡あぅっ♡♡♡」
そこでベリアルに犯されている、メイドを見た。
壁際に二人、服をはだけさせたメイドが居て……残りの一人は、ベッドの上で男に羽交締めにされて犯されている。
「……え」
「あ……」
「ひっ」
それでも、視線は小窓の奥に見える景色に釘付けになっていた。
ぬっぢゅ♡ぬっぢゅ♡♡
「だんなさまっ♡♡すき♡すきですっ♡♡」
メイドは犯されながらも、気持ち良さそうに好意を伝えている。
ぬぢゅっ♡♡♡ぬぢゅぅっ♡♡♡♡
「あ♡イク♡イきますっ♡♡イクイク♡♡イグっ♡♡♡」
ぷしっ♡♡♡
カリンには犯されているメイドに覚えがあった。
パナシス・エネックス・リリエル・グラン……という、名前の長い先輩だ。
彼女は普段、メイドとして相応しい振る舞いをしている。
どちゅどちゅどちゅ♡♡♡♡
「だんなさまっ♡お情けくださいっ♡♡いっぱい、
あんな、気持ち良さそうによがっている顔と、昼間見る顔が同じだとは信じがたい。
びゅるるるるるるッ♡♡♡♡♡♡
「あ゛♡♡♡イ゛……っ、くッ♡♡♡♡」
ぶしぃっ♡♡♡♡♡
パナシスは霧吹きのように勢いよく潮を噴き、絶頂した。
ぬぽ……♡♡♡♡
「ん゛っ……♡はぁ……♡♡は、ふ♡♡♡」
男が陰茎を抜けば、パナシスの膣口から精液が漏れた。
ドロリと粘性のある精液がポタポタと垂れている。
だが、そんな事よりも
(……なに、あれ)
(大きい……あんなので突かれたら、死んじゃう……)
(エルヤーのやつと全然、違う……)
そして、同時に息を呑んだ。
自分達が知っている陰茎とは、エルヤーの物だ。
性欲の捌け口として乱暴に抱かれている時に、何度も見たエルヤーの
それとは全く違う、男の陰茎。
太く、長く、大きく、そそり立っている。
「旦那様……♡♡キス、していただけますか……♡」
そうして
ちゅっ♡れろれろ♡♡ちゅぅ♡♡
「んっ♡はぁ……♡♡お慕い、んっ♡しております……♡♡」
あまりにも幸せそうな姿に、三人は顔を赤くしながら、その景色を眺めていた。
彼女達は
自分達を“教育”と称して辱めた法国の人間も、性欲と嗜虐心を満たすために辱めたエルヤーも。
その、どれもが憎く、辛く、怖い。
対して、あのメイドはどうか。
あんなにも幸せそうに、主人に抱かれている。
「……すごい」
「……うん」
「…………」
ベリアルには助けて貰った恩がある。
自分達を虐げるエルヤーを打ちのめし、地獄のような日常から連れ出してくれて、こうして幸せな日々を過ごしている。
優れた容姿、地位、能力……そして、恩義。
好意を抱くには充分だった。
しかし、三人は弁えていた。
保護されているという身分。
汚された身である過去。
比べるまでもなく、ベリアルとの距離は遠い。
好意を伝える事は出来ない……そもそも好意を抱く事すら不敬なのではないか、そう思えるほど。
だから、諦めていた。
その筈なのに。
三人は下腹部が熱くなっているのを感じた。
そして胸を締め付けるような感触は、きっと……。
「……ん?誰か居るのか?」
メイドとの
そして、そのまま扉の方へと──
「っ……」
三人は慌てて、小窓を閉めて逃げ出した。
◇◆◇
やばい。
メイドとエッチしてるのを、
昨晩、メイド達との日課のコミュニケーション(スケベも含む)をしている最中に、物音が聞こえた。
物音の方へ向かったら……慌てた様子で逃げ出す
血の気が引いた。
彼女達は過去に、主人であるエルヤーから無理矢理犯されていた経歴がある。
ペストーニャも「あれはトラウマになってます、わん」と言っていた。
そんな彼女達が見た、俺の姿は?
メイドをメチャクチャに犯している主人の姿だ。
ダメじゃん。
間違いなく幻滅された。
好感度も地の底に堕ちただろう。
俺が嫌われるのはいい。
だが、彼女達が恐怖を感じてしまうのはダメだ。
自身の主人に恐怖を抱いて、不安を感じる生活をさせたくはない。
拾った頃は、ただ可哀想だからと保護していただけだった。
だが、今……ウレイリカやクーデリカの面倒を見て貰ったり、メイドとして仕事をして貰ったりと……その積み重ねによって、俺は彼女達を大切に思えるようになった。
だから、彼女達には幸せになって貰いたい。
……言い訳をしなければならない。
アレは同意の上だったのだと、言わなければならない。
いや、実際に同意の上なのだが。
言い訳、というより釈明か?
取り敢えず、三人とは一度、話さなければならない。
翌日、俺は三人を執務室に呼び寄せた。
自分から会いに行こうとしたのだが、突然会いに行くよりは心の準備が出来て、恐怖も減るだろうと呼び寄せた訳だ。
そんな三者三様、緊張した面持ちだ。
あ、俺も含める。
「……よく来てくれたな、三人とも」
「は、はい……」
怯えるような、許しを乞うような目を俺に向けている。
早く弁明しよう。
「昨晩の事なのだが──
「も、申し訳ありませんでした!」
俺の言葉を遮り、
俺に呼び出された時点で、覗いてしまった事がバレたのだと察していたのか。
「い、いや、謝らなくていい」
慌てて謝罪しなくていいのだと、伝えようとしたが──
「ど、どうか、この屋敷から追い出す事だけは、お許しくださいっ」
「どんな事でも、しますから……」
「ひぐっ、ごめんなさい……」
三人は涙を浮かべながら頭を下げてきた。
必死な様子に俺は息を呑みつつ、頬を引き攣らせた。
この状況を作り出しているのが自分だと考えると、胸糞が悪くなる。
「いや、追い出さない。追い出さないから。安心して、まずは話を聞いて欲しい……いいか?」
俺がそう口にすると、三人は顔を上げた。
「……は、はい」
そして、少し怯えた様子ながらも、頷いた。
よし、一歩前進だ。
「三人は昨晩のメイド達との情事を、見てしまったようだが」
「も、申し訳ありません……」
俺の発言、全てに謝罪が割り込んで来そうだ。
それだけ怯えているという事だ。
「昨晩の……アレはだな。同意の上だ。決して、無理矢理という話ではなく……その、金銭を握らせた訳でもない。乱暴もしていないんだが……分かってくれるか?」
俺はそう情けなく言い訳をしつつ、
納得してくれているだろうか。
……三人とも、きょとんとした顔をしていた。
ん?あれ?
何か、思っていた反応と違う感じがする。
信じて貰えず怯えられるか、信じて貰えて安堵するか、そのどちらかではないのか?
何でそんな、何言ってんだコイツ?みたいな顔になるんだ。
少しの間、気まずい空気が流れて……青髪のルニーがおずおずと手を小さく上げた。
「それは、その……知っている、のですが……」
「……ん?」
俺が目線を金髪のマレンに目を向けると、彼女も頷いた。
残りのカリンも同様に、頷いた。
え?
あ、同意の上だってのは分かってたってこと?
じゃあ、何で怯えているんだ?
「あの……」
不思議に思っている俺に対して、顔から感情が見えていたのか赤髪のカリンが手を挙げた。
「……なんだ?」
「ベリアル様は、情事を盗み見た私達に怒っているのではないのですか?」
「……え?いや、違うけど?」
思わず、素で驚いた声が出てしまった。
何か、どこか、致命的なほどすれ違っている気がする。
「…………あ」
そうか。
俺は彼女達に本心を明かしていない。
彼女達をどう思っていて、どうなって欲しいのか。
それすらも話せていない。
……それは、不安になるだろう。
「この件について怒るつもりはない。そもそも、屋敷から追い出すなんて事もしない」
「……あ、ありがとうございます」
「感謝も、別にしなくていいんだ。俺はただ、三人には幸せに生きていて欲しいだけだ」
気恥ずかしいが、俺が本心を語らない事で不安になるぐらいなら……話そう。
話さなければ、想いは伝わらない。
「最初はただ保護した責任を果たすだけのつもりだった。しかし、今は……ペストーニャの下で真面目に働き、ここで俺のために働いてくれている。だから、俺は大切に思っている」
「…………」
「たとえ何があっても、見捨てようとは思わない。難しいかも知れないが……安心してくれると嬉しい」
「……はい」
俺の言葉に、
「それに……盗み見た、と言ったが、アレは事故だろう?いや、そもそも、自分の屋敷だからと防音をサボった俺が悪いんだが」
そう。
誰が悪い?という話になれば、明確に一つ、俺が失態を犯している部分がある。
現在、俺の屋敷には盗視、盗聴対策用の魔法が掛けられている。
これにより、屋敷の外から内部は見えないし聞こえない。
間諜対策だ。
だから、屋敷内の一室でわざわざ盗聴盗視対策などしていないのだ。
それが裏目になった訳だが。
「とにかく、三人は悪くない。悪いのは俺だ……悪かった」
そう俺が頭を下げると、
「ベリアル様が謝る必要は、あ、ありません……っ」
「そう、ですよ!」
わたわたとした様子からは、ここに来た時の怯えはなくなっていた。
俺は安堵の息を吐いた。
「……なら、事故だったという事にしよう。俺も謝らないが、お前達も謝らない。それでいいか?」
頬を緩めながら、そう口にする。
「は、はい」
「わかりました……」
三人は少し悩みながらも、頷く。
「良かった……なら、俺の用事は終わったが……呼び出して悪かったな。菓子でも食べるか?」
急に呼び出して、俺の話だけして終了……なんて、申し訳ないからな。
そう考えて、俺は虚空に手を突っ込み、アイテムボックスからクッキー缶を取り出した。
今度、魔導国内で販売されるらしい、現地の食材で作ったナザリック産のクッキーだ。
そのクッキー缶を見て、三人は顔を突き合わせて……少し迷っているようだった。
まぁ、まだ俺に対して緊張しているのだろう。
猛獣が怖くないよ、安全だよ、と言っても心の底からは信用できないからな。
信用しようとしてくれているだけで、ありがたい話だ。
「い、いただきます」
そう考えていると、青髪のルニーがおずおずと頷いた。
そうして残りの二人も頷き、俺が促すまま椅子に座った。
机に置かれたクッキー缶から、遠慮がちながらも
他のメイドに淹れて貰ったコーヒーを飲みながら、俺はその様子を見ていた。
……小動物みたいで可愛いな。
ハムスケが可愛くない訳ではないが、ハムスケよりも断然、小動物っぽい。
ちびちびとクッキーを食べていた金髪のマレンが、ふと俺の視線に気付いて硬直した。
しまった……そりゃ気まずいか。
「あ、悪いな。つい見ていた……気にせず食べてくれ」
俺は意図的に視線を逸らして、窓の方へと向けた。
太陽光が照り付けている。
いい天気だなー。
「あ、あの、ベリアル様?」
なんて現実逃避をしていると、青髪のルニーから声を掛けられた。
「ん?どうした?」
視線を戻すと、ルニーは緊張した面持ちで……残りの二人は、ルニーの方へ視線を向けていた。
急に口を開いたので、驚いているのだろう。
「あの……質問、させて欲しいのですが」
質問?
まぁ、気になる事があるのか?
「あぁ、いいぞ?何でも聞いてくれ」
何を聞かれるか分からないが、俺が質問に返答する事で少しでも彼女達が安心できるなら──
「私、たちも、将来……ベリアル様の、夜伽をするべき、なのでしょうか?」
手に持っていたマグカップを落としそうになった。
何でそういう話になるんだ。
視線を
容姿は良い。
性格も好ましい。
可愛いのは確かで、食指が動くのは確かだ。
抱きたいかと聞かれれば、抱きたいと思う。
だが、しかし──
「いや、無理にそんな事はしなくていい。普通に働いているだけで良いんだ」
いや、強姦野郎が何を言ってるんだという話かも知れないが。
大切な物は愛でるタイプなんだ、俺は。
とにかく。
俺は我慢が出来る男だ。
「……そう、ですか」
「…………」
「…………」
え?
何で、そんな反応になるんだ?
どういう事だ?
何故、俺が
……いや、流石に分かった。
俺は鈍感系ラブコメ主人公ではない。
俺は視線を
「もし、の話だが──
俺の声に、
「夜伽をしていい、と。そう思うのなら、今晩……俺の寝室に来てくれないか?勿論、来なかったとしても、立場が悪くなる事はないと約束しよう」
「は、はい……」
「わ、わかりました」
俺の言葉に
……やっぱり、俺の勘違いだったかも。
俺の事を異性として好きなのかも知れないと思っていたが、自惚れだったかも知れない。
そもそも好かれる要素がないからな。
あーくそ、恥ずかしい。
穴があったら挿れ……入りたい。
そうして、三人はクッキーを食べ終えて、仕事に戻った。
その後、俺だけが執務室に残った。
「…………」
今晩は彼女達が来ようと、来まいと、寝室で待たなければならない。
側室だったり、他のメイドを呼んで性行為は出来ないな。
……脳裏に、一人ベッドの上で、夜が明けるまで座り続ける自分の姿を予見した。
まぁ、自分の発言には責任を持とう。
例え、彼女達が来なくても責めはしない。
「……はぁ」
部屋の中で一人、コーヒーを啜る。
いつもより苦い気がした。
その日の夜。
「お、お願い、します」
「お願いします……」
「…………」
三人とも、寝室にやってきた。
なんで?
口から疑問の声が出そうになるのを堪えて、俺は頷いた。
女心……マジで全然分からない。
なんなんだ、いったい。
誰か教えてくれ。