※この作品はR-18です。

【R-18】オバエロ:至高の淫魔がスケベする話   作:口だけの淫魔

61 / 111
#61 ドナドナ

ビーストマンに支配された都市、全ての奪還に成功した。

といっても、使役した悪魔でビーストマンを駆除しただけだが。

駆除後にはデスナイトを配備する事で、ビーストマンが再度来ることを防止しておいた。

 

アフターケアもばっちりである。

 

そんな俺は王城、玉座の間で、再びドラウディロンと顔を合わせている訳だが──

 

 

「よ、よく帰って来たな、ベリアル殿っ。す、素晴らしい戦果だと聞いているぞ」

 

 

何だか、顔色が悪い。

王というのは激務だからか、血の気が引いているように見えるが。

 

うーん、ビーストマンから都市を奪還したのだから、もっと喜んでくれても良いと思うんだが。

 

 

「いえいえ、ドラウディロン殿から与えられた兵の活躍のお陰です」

 

 

まぁ、仕方ないか。

彼女はこんな状況でよく頑張っている。

疲労が溜まっているなら労いたいぐらいだ。

 

 

「も、もし欲しいものがあるのならば、私がどんなものでも用意しよう。魔法道具(マジックアイテム)などはどうだ?私の曽祖父が残した物が幾つかあってな──

 

「いえ、それには及びません。当初の予定通り、魔導王陛下と顔を合わせていただければ」

 

 

確かに、真なる竜王の遺した魔法道具(マジックアイテム)は気になる。

気にはなるが……俺の目的はドラウディロンを惚れさせる事だ。

今は欲張らず、彼女との接点を増やし、親しくなる機会を増やさなければならない。

 

ちらり、とドラウディロンの顔を見る。

 

真っ青だ。

黒鱗という異名から、青鱗に変えた方が良いんじゃないか?ってぐらいに。

 

 

「それに関してなのだが……国防の都合上、あまり長く離れる事は出来なくてな?こちらから大使を送るので、そこでやり取りをして頂きたいのだが」

 

 

ふむ。

確かに、それもそうだ。

有事は去ったとはいえ、予断を許さぬ状況。

女王である彼女が玉座を離れすぎるのはリスクのある事だ。

 

しかし、ドラウディロンには魔導国に来てもらう必要がある。

 

まず第一に、魔導国に相手の国主を招くことで、国王同士は対等でなく魔導国が上なのだと示す事。

これは面子の問題であり、まぁ俺は気にしてはいないが……ナザリックの配下達が気にしている。

今後、魔導国側から竜王国と関わるにあたって、デミウルゴスなど守護者達からの印象を良くしておく必要がある。

 

次に、モモンガさんに対して良印象を植え付けること。

ドラウディロンは現実(リアル)にいるクソみたいな権力者ではないのだと、モモンガさんに印象付ける。

ドラウディロンならば、大丈夫だろう。

これも重要だ。

 

そして、印象良くなった所で、竜王国に継続的な支援を送るようにモモンガさんを説得する。

 

確かに領地内に居るビーストマンは皆殺しにしたが、ビーストマンの国を滅ぼしたわけではない。

これからも隣国のビーストマン達から攻撃は続く。

故に、竜王国には支援が必要だ。

その支援……竜王国が防衛費としている金の半分ほどを魔導国へ支払う事で、アンデッド兵を派遣するという方法を想定している。

これならば、魔導国は慢性的に不足している外交に使える金を得る事が出来て、竜王国は国庫を逼迫している防衛費を節約しつつビーストマンに怯える心配もなくなる。

 

 

つまり、要約すると──

モモンガさんや、守護者達の印象を良くしつつ、魔導国から竜王国への支援を確約する。

その為に、ドラウディロンを魔導国へ連れて行きたい。

──という訳だ。

 

 

……あと、ドラウディロンを俺に惚れさせる為にも、もっと接触する時間を増やしたいというのもある。

ぐだぐだと考えてはいたが、どっちかというとこれが本題な気がする。

 

 

しかし、ドラウディロンは玉座から長く離れたくはないという。

でも来て貰わないと拙いしなぁ。

 

 

「ドラウディロン殿。転移の魔法によって来られてはいかがでしょうか?私は一度、魔導国に帰りますので、後日、転移によって来られてはいかがでしょうか?」

 

 

転移を使えば移動時間は実質ゼロ。

これならば、滞在日数=玉座から離れる日数となるので大丈夫な筈だ。

 

まぁ、俺が転移を使えるって情報を漏らしたくはないが。

 

この情報の開示は、必要経費だ。

仕方ない。

 

さて、ドラウディロンはどうでる?

これで玉座から離れる心配も薄まったと思うが──

 

 

「そ、そうかー……なら、行く、しかないか?」

 

 

ドラウディロンは小刻みに震えながら、宰相へと顔を向けた。

宰相は無言で頷いていた。

 

 

……もしかして、魔導国に来たくないのか?

いや、それもそうか。

今、自国が大変な事になっているのだから、国から出たくないと思ってもおかしくない。

 

流石はドラウディロン。

国主の鑑だ。

 

俺は内心で、ドラウディロンの評価に加点した。

 

 

「では後日、日程決めなどの手紙を送ります。私の方は魔導国に帰還させて頂きますが、アンデッド兵に関しては当分、都市部の護衛として配置させていただきます。よろしいですか?」

 

「う、うむ。有り難い限りだ。感謝するぞ」

 

 

ドラウディロンは玩具のように何度も首を縦に振った。

 

良かった。

後はドラウディロンをどうやって惚れさせるか……デートプランやらを考えなければならないな。

その辺りはナザリックに帰ってからクレマンティーヌ……いや、魔導国に出向してるメイド辺りに聞くか。

 

よし、そうしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやだー!行きたくない!」

 

 

ドラウディロンは庶務室の、ソファの上でのたうち回っていた。

見た目通りに幼児退行してしまったその姿に、宰相は憐れみの目を向けた。

 

魔導国のベリアルが帰還した後、ドラウディロンと宰相は秘密裏に会議を行う事にしたのだ。

ずばり、魔導国とどう付き合うか、だ。

 

 

「何をそんなに怖がっているのですか。悪魔とは聞いていましたが、ベリアル様も好青年だったではありませんか」

 

「そ、それはそうかも知れんが……魔導王はアンデッドだぞ!?しかも、もしかしたら……いや、おそらく、私の曽祖父をも殺せる神に等しい力を持っているかもしれん奴だぞ!?」

 

「それはあの魔導国の兵からも分かりますが……ですから、親交を深めて、これから竜王国を支援して頂くようにしなければならないのでしょう?」

 

「ぐ、ぐぅの音も出ない」

 

 

ドラウディロンは両手で頭をガシガシと掻いた。

 

確かに、魔導国から来ていたベリアルという男は、人間らしい立ち振る舞いをしており、意思疎通も可能に見えた。

礼儀も弁えており、女王である自分に敬意を持って接してくれていた。

 

だが、その主人である魔導王が同様かは分からない。

 

 

「そういえば、陛下。彼と共に行動していた兵達からの聞き取りが終わったそうですよ」

 

「むっ……面会していた間にか。資料があるなら寄越せ」

 

 

宰相が取り出した未開封の封筒を受け取り、開く。

ベリアルへの歓待が先となっており、兵達からの事情聴取は後回しにしていた。

現実逃避しつつ、その報告資料に目を通す──

 

 

「……ん?」

 

 

そこには信じ難い情報が書かれていた。

 

ドラウディロンは都市奪還の立役者をアンデッド兵だと思っていた。

しかし、実際はベリアルが見た事もない程に大規模な召喚魔法を行使し、召喚した悪魔のみで都市を奪還したというのだ。

 

しかも、三つの都市を、たった一度の召喚魔法で。

 

 

「がーっ!あいつもバケモノではないか!」

 

 

ドラウディロンは資料を床に叩き落とした。

もう怒りやら混乱やらで、自暴自棄になっていた。

 

そんな彼女が落とした資料を、宰相は拾い上げ手に取った。

そうして目を通して、渋い顔をした。

 

 

「陛下。これが事実ならば──

 

「なんだ!?」

 

「先程のような態度は拙かったのでは?」

 

「……あ」

 

 

ドラウディロンは先程の、玉座の上で偉そうな態度で喋っている自分を思い出した。

真なる竜王すら殺せそうな強者を相手に、えらぶっている自分の態度を。

 

 

「っ……ぎ」

 

「ぎ?」

 

「ぎゃー!?」

 

 

ドラウディロンは痙攣しながら、跳ね上がった。

釣り上げられた直後の魚みたいに、震えている。

 

 

「へ、陛下!?」

 

「もうだめだ!あの男の印象は最悪!魔導王にもこの事は伝わる!私は調理されてしまうんだ!」

 

「ちょ、調理ですか?」

 

「間違いなく、私を煮込んでドラゴンスープにするつもりだ!この身体に竜の血など八分の一しか入ってないというのに!」

 

 

ドラウディロンの言葉に、宰相は頬を引き攣らせた。

 

 

「それは流石に考え過ぎでは……?」

 

「いーや、絶対にそうだ!私も、竜王国もおしまいだ……!」

 

 

竜王国はドラウディロンのカリスマ……というか、ドラウディロンに対する兵や戦士の保護欲やら何やらで、何とか成り立っている。

多額の防衛を賄う税金や、命を掛けたビーストマンとの戦争も、国主が少女ながら頑張っているという根底があって何とか成り立っているのだ。

 

そんなドラウディロンが死ねばどうなるのか?

考えるまでもない話である。

 

 

「うう、うっ、私の代で滅びるのか……?そんなに何か悪い事したか?保管庫の干し肉を酒のつまみとして定期的にくすねてたぐらいだぞ?なのに、どうしてこんな目に……」

 

 

先祖に託され、この国を何とか守ってきた。

民のためだと、こんなロリっ娘形態にもなり、羞恥に耐え、頑張ってきた。

だというのに、神は何故、こんな仕打ちをするのか。

 

ドラウディロンは顔を覆い、鼻水を啜る。

 

庶務室に沈痛な空気が満ちる。

 

打つ手なし。

退路なし。

希望なし。

 

しかも、時間は何も解決しない。

着実に魔導国に“出荷”される日は近付いている。

 

絶望。

それがドラウディロンの胸を占めて──

 

 

「陛下、良い案がございます」

 

「……なに?」

 

 

宰相の言葉に、ドラウディロンは頭を上げた。

この滅ぶ寸前、地雷原を歩かされているような国を延命してきた男。

その男の“良い案”。

期待できぬ筈がない。

 

 

「いっそのこと、ベリアル様を懐柔してみてはいかがでしょうか」

 

「……ふむ?それはどういう意味だ」

 

 

ドラウディロンは腕を組みながら、座り直した。

 

 

「この報告資料通りの力量があるならば、魔導王も一目置いている筈です。そんな彼と個人的に親しくなれば、竜王国へ支援して貰える……そして、陛下の悩みである危機からも遠ざけて貰えると思いませんか?」

 

「うーむ。なるほど、確かに」

 

 

頷きながら、目を瞑る。

確かに、都市を大魔法一つで奪還できる男を邪険に出来る筈もない。

そんな魔導国の戦力となり得る男と友人関係になれば、いくらアンデッドの王だろうと手を出せまい。

 

アンデッドの王とコミュニケーションを取れる気はしないが、ベリアルとコミュニケーションは取れる。

ドラウディロンは納得していた。

 

 

「して、どうやってベリアル殿と親しくなる?」

 

 

その問いかけに、宰相は頷いた。

何か秘策があるのかと、ドラウディロンは目を細めて──

 

 

「男女の関係にでもなるしかありませんね」

 

 

椅子から転げ落ちた。

 

 

「な、何を言っているんだ?お前バカなのか!?」

 

「もうそれぐらいしかありませんよ。国力で負けて、戦力で負けて。財や宝物にも興味を示していませんし」

 

「それは、そうだが……」

 

「金と名誉が満たされているのならば、残りは女だけですから」

 

「ぐぬぬ」

 

 

歯を食いしばりながら、ドラウディロンは拳を握った。

 

いや、まぁ、確かに。

ベリアルの容姿は悪くない。

寧ろ、良い。

性格も悪くなさそうで、力量も、権力もある。

 

嫌ではない。

優良物件だ。

 

だが、彼は悪魔である。

その一点が凄まじいマイナスポイントだ。

 

 

「良いじゃないですか。物理的に食われるよりは」

 

「それもそうだが……性的に食われろというのか?」

 

「はい」

 

「はいじゃないが」

 

 

ビーストマンに食われるか、魔導王に魔法道具(マジックアイテム)へ加工されるか、ベリアルに抱かれるか。

三番目の選択肢は、他二つに比べればかなり良いものとなる。

死なないだけマシだ。

 

 

「それに、ベリアル様は陛下に友好的だったではありませんか。力の差があるにも関わらず、敬ってくれているのは好意の証だと思いませんか?」

 

「……そうか?」

 

「そうです」

 

「適当に上手い事を言って、私をのせようとしていないか?」

 

「はい。そうしなければ、国が滅びるかも知れませんので」

 

「正直に言えば良いという訳ではないぞ」

 

 

ドラウディロンは頭に手を当てながら、ため息を吐いた。

馬鹿な掛け合いではあったが、幾分か気分はマシになった。

 

そうして、魔導国に対する打ち合わせから、どうやってベリアルに惚れされるかという打ち合わせに切り替わった。

 

 

「んー、やはり、胸の大きい姿の方が良いんじゃないか?男は大きい方が好きだろう」

 

「いえ、やめておきましょう。ベリアル様はこちらの幼い姿で面会していますから……あっちの形態を見せれば、騙されたと思うかも知れません」

 

「……あっちの形態言うな」

 

「それと、魔導王からのウケも良いでしょうし」

 

「……アンデッドが女子供に容赦があるとは思えないが」

 

「そこは祈りましょう」

 

 

そうして幾つか打ち合わせ、来るべき日に備えてドラウディロンは幾つかの準備を行う事にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が竜王国から魔導国に帰還し、十日程が経過した。

手紙でのやり取りの結果、ドラウディロンの滞在期間は五日間となった。

 

玉座をなるべく開けたくないという話だったが、魔導国の視察も兼ねたいそうだ。

そういう事ならば俺が案内しようと提案した訳だ。

 

親交を深めるチャンスだ。

ありがたい。

 

という訳で今日がその当日。

俺は転移魔法で竜王国内に一人で来た訳だが──

 

 

「よ、よく来たな、ベリアル殿」

 

 

玉座の間で、ドラウディロンは先日とは違う服装で待っていた。

素足もろ出しの薄着の子供っぽい服装ではなく、ちゃんとしたドレスっぽい。

可愛いより綺麗な感じだが、容姿も相まって背伸びしてる感じに見えて可愛いな。

 

 

「……ベリアル殿?」

 

 

しまった。

黙って見惚れてしまっていた。

 

 

「いえ、以前と装いが随分と異なっていたので驚いてしまいました。申し訳ない」

 

 

誤魔化しきれないし、世辞も交えて返しておこう。

世辞、というより本音だが。

 

 

「そ、そうか?似合っていなかったか?」

 

「いえ、似合っていますよ。竜王国の女王に相応しい装いかと」

 

「それは良かった……」

 

 

そう答えると、ドラウディロンはホッとしたような顔をした。

……心配だったのだろうか?

 

 

「では、ドラウディロン殿。転移を──

 

「その前に、なのだが……ベリアル殿、少しお願いした事がある」

 

「お願い、ですか?」

 

 

何だろう。

支援やら何たらなら、俺に権限はないんだよな。

……いや、俺が竜王国を支援したい!と言えば、ナザリックの面々が気を効かしてくれるか?

でも魔導国の国主はアインズ・ウール・ゴウン……モモンガさんだからな。

勝手に俺が方針を決めたら、面子も立たないだろうし。

 

そんな事を考えていると、ドラウディロンは少しぎこちない笑みを浮かべた。

 

 

「その、敬うような言葉遣いをやめて欲しいのだが」

 

「……よろしいので?」

 

 

それは願ったり叶ったりではある。

ドラウディロンとの距離を縮めるためにも、もっと関係を対等にしたいと思っていたのだ。

 

心の距離を近付けるにはまず態度から、だ。

 

しかし、ドラウディロンの意図が分からない。

 

 

「これからベリアル殿の住む国に行く訳だからな。他国の王とはいえ、高官であるベリアル殿を傅かせる偉そうな奴と思われたくない」

 

「なるほど、それは確かに……」

 

 

流石はドラウディロンだ。

発想が柔軟かつ、思慮深い──

 

 

「それに、個人的にベリアル殿とは親しくしたいと思っていてな……その、嫌なら構わないのだが」

 

 

え、可愛い。

なんだこの可愛い生き物は。

びっくりした。

 

 

「分かりまし……分かった。構わないとも。ドラウディロン殿とはわた……俺も親しくしたいと思っている」

 

 

うーん、急に切り替えるのは慣れないな。

 

でも確かに、俺が魔導国内でドラウディロンに敬語とか使っていたら、ナザリックの面々がブチギレそうだし、これを機にフランクに接するべきなのかも知れない。

 

 

「それで、ベリアル殿。転移についてなのだが……転移魔法を使用する魔法詠唱者(マジックキャスター)はどちらに?」

 

「あぁ。いや、俺が使う予定だが」

 

 

そう口にすると、ドラウディロンの顔に汗が流れた……ように見えた。

 

 

「そ、そうか。ベリアル殿は多才だな。都市長と聞いていたが、本職は魔法詠唱者(マジックキャスター)なのか?」

 

「魔法詠唱者(マジックキャスター)でもあるが、本職は魔獣使い(テイマー)だな」

 

 

片手間で魔法詠唱者(マジックキャスター)のスキルを習得しているから、モモンガさんに比べて使える魔法の種類も少ないんだよな。

必要最低限しか修めていないし、これで魔法詠唱者(マジックキャスター)を名乗るのは気が引ける。

 

 

「そ、そうなのか?しかし、転移魔法も修めているとは魔法詠唱者(マジックキャスター)としても、随分と優秀なのだな」

 

 

随分と褒めてくれるな。

もしかして俺に気があるのか?

……なんて勘違いをしてしまいそうだ。

 

少し会話しただけで、こう、守りたくなるよな、尽くしたくなる感じ……これが王の素養という事か。

すごい。

 

まぁ、でも謙遜はしておこう。

 

 

「それ程でもない。俺なんかより、魔導王陛下の方が優れた魔法詠唱者(マジックキャスター)だからな」

 

 

というか、一国の女王相手にタメ口叩くの、何だか恥ずかしいな。

……いや、今更か。

ラナーや、ジルクニフにもタメ口叩いてるし。

 

なんて思いながらドラウディロンを見たら──

 

 

「そ、そーなのか……そうか、そうか」

 

 

頬が痙攣している。

何やらショックを受けているようだ。

顔もちょっと青い。

 

ちらちらと、視線を宰相を向けているが……当人はドラウディロンを、出荷寸前の家畜を見るような目で見ている。

 

……ドラウディロン、モモンガさんが怖いのか?

あ、いや、そうか。

アンデッドって情報だけが入ってるのか。

そりゃ怖いか。

 

まぁ、モモンガさんも話せば怖くないんだけどな。

ただちょっとアンデッド化した影響で他人の命を何とも思っていないのと、魔王ロールしてる所為で威圧感あるだけで。

 

……いや、やっぱり怖いかも。

 

 

「では、ドラウディロン殿。転移魔法でこれから魔導国へ向かおうと思うのだが。準備は大丈夫か?」

 

「う、うむ。大丈夫だ。大丈夫、ダイジョブ……」

 

 

首を何度も縦に振るドラウディロンを見て、俺は転移魔法を発動させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが魔導国……ベリアル殿の屋敷か?」

 

「そうだな。普段はここで庶務やら、色々とこなしている」

 

 

最小限の荷物を持ったドラウディロンを連れて、俺は魔導国にある俺の屋敷まで転移してきた。

 

ちなみにドラウディロン一人である。

実はもっと人数を連れて来る事は可能なのだが、黙っておいた。

ドラウディロンを籠絡するならば、他の人間は居ないほうが良いと判断したからだ。

 

 

「…………竜王国の宮殿より豪華だな」

 

 

ぼそっと小声で呟いたドラウディロンの独り言については、聞かなかった事にしておく。

まぁ、魔導国の屋敷にはナザリックの家財が幾つか持ち込まれているからな。

この世界の基準で考えれば、王が持つよりも高品質なのだ。

 

 

「屋敷内を案内しよう。ラズロ、荷物を頼めるか?」

 

「かしこまりました」

 

 

俺が声をかけると、ドラウディロンの後ろから妙齢モードのラズロが顔を出した。

 

 

「みゃっ!?」

 

 

ドラウディロンは驚いて声を……みゃ?

今、みゃって言った?

 

 

「客間にまで持っていってくれ」

 

 

驚いたドラウディロンから荷物を預かり、そのままラズロは部屋を出ていった。

 

俺は、呆けているドラウディロンに視線を戻した。

 

 

「すまない、驚かせてしまったな」

 

「い、いや、構わん。構わんが……気配をまるで感じなかったぞ?」

 

「一流のメイドだからな」

 

「一流のメイドとはああいう物なのか……足捌きで音も立てないとは」

 

 

嘘だ。

いや、ラズロがメイドとして一流なのは本当だが、一流のメイドが皆、ああいう気配を消すのに長けているとは思えない。

あれは単純に、ラズロが忍者のジョブを持っているからに過ぎない。

 

何とか言いくるめたドラウディロンを連れて、屋敷の中を歩く。

ドラウディロンはちらちらと廊下やらに飾られてるよく分からん絵やら、豪華そうな魔法光のシャンデリアやら、絨毯やらを見ている。

 

そうして、歩いている間に森妖精(エルフ)のメイドがちょうど部屋から出てきた。

 

 

「あ、お帰りなさいませ。ベリアル様」

 

「お帰りなさい、です」

 

 

ぺこぺこと頭を下げる森妖精(エルフ)のメイド達を、俺とドラウディロンは横切った。

……ドラウディロンはちら、と後ろを振り返り何度か森妖精(エルフ)達を見ていたが。

 

 

「……ベリアル殿。魔導国には森妖精(エルフ)も住んでいるのか?」

 

「ん?あぁ、いや、彼女達は例外だな。行き場がなかったから引き取って、メイドをして貰ってるだけだ」

 

 

そう答えると、ドラウディロンは目を何度か瞬いた。

 

 

「なるほど……ベリアル殿は優しいのだな」

 

 

……優しい?

 

 

「いいや、彼女達を憐んで仕事を与えている訳じゃあない……メイドとして頑張ってくれているし、俺も助けられている訳だ」

 

「そ、そうか。すまない、知った顔をして失礼な事を言ってしまったようだ」

 

 

ドラウディロンはしょんぼりとした顔をした。

……あ、そうか。

竜王国は少し前まで、法国から支援を受けていたな。

法国は人間至上主義で、森妖精(エルフ)の国と戦争していた。

森妖精(エルフ)を捉えて奴隷にしているのも、法国だ。

 

そんな法国だが、支援して貰っている以上、竜王国としては強く出られない。

森妖精(エルフ)は可哀想な生き物だという感覚が、ドラウディロンにあっても仕方ない。

 

……寧ろ、攻撃的な差別をする訳ではないのは、ドラウディロンの偉い所なのかも知れない。

 

 

「ドラウディロン殿、価値観の違いは仕方ない話だ。気にする事はない」

 

「……すまない、感謝する」

 

 

緊張を感じる笑みを受けながら、俺は頷いた。

 

そうして屋敷の中をある程度、案内し──

 

 

「ここが客間だ。今日から五日間、ドラウディロン殿にはここで過ごして貰う」

 

「ほぉ……ず、随分と……豪華な部屋だな」

 

 

俺もそう思う。

最近、慣れてきたけど、この屋敷、どう考えても変だよな。

ナザリックの支配者に相応しい家財を……なんて、張り切って模様替えしたメイド達の所為なんだが。

 

豪華な美術品に囲まれたようなものだ。

ドラウディロンの腰が引けている。

 

 

「ここにある物はどう使ってくれても構わない。例えば……そこの花瓶を叩き割っても大丈夫だ」

 

「お、恐ろしい事を言わないでくれ」

 

 

びくびくしてる。

 

でも、ドラウディロンも王族で普段から豪華な部屋に住んでいる筈だろうに。

……いや、というか王族だからこそ、なのか?

目が肥えているから、真に価値のある物が分かるという訳か。

 

俺はそういう目がないからな。

豪華と、凄い豪華と、あり得ないぐらい豪華の差が分からないんだよな。

 

でも、こうして落ち着かないなら部屋としては落第点か。

ストレスも溜まるだろうし──

 

 

「……落ち着かないのなら、メイドと同様の部屋にしようか?そちらなら、少し格も落ちるからな」

 

「………………頼む」

 

 

かなり悩んだ末に、ドラウディロンが頷いた。

王としての面子から悩んだのだろうが、それでもこの部屋で寝泊まりするよりはマシだと思ったのだろう。

 

という訳で、本館内にある使われていないメイド用の部屋まで、ドラウディロンを案内した。

使われていないとはいえ、手入れは行き届いている。

メイド達が日頃から清掃してくれているからだな。

 

そんな部屋を見渡して、ドラウディロンは頬を引き攣らせた。

 

 

「……ここ、本当に使用人の部屋か?」

 

「ん?そうだが?」

 

 

実際、家具の質も落ちている。

帝国で商人から購入して、持ってきた家具だ。

 

 

「…………」

 

 

ドラウディロンはドレッサーを撫でた。

……複雑そうな顔をしているのが、鏡に反射して見えてるんだが。

 

俺はそれを見なかった事にして、虚空に手を突っ込む。

そして、アイテムボックスからベルの形をした魔法道具(マジックアイテム)を取り出した。

 

 

「ドラウディロン殿。これは魔法のベルで……何か入り用となった際、これを鳴らしてくれ。メイドが来てくれるから」

 

「か、感謝する……」

 

 

ドラウディロンは恐る恐るといった様子でベルを受け取った。

……離れた位置にある対になるベルが鳴るだけの魔法道具(マジックアイテム)で、簡単に作れる安物のアイテムなんだが。

 

借りてきた猫みたいに緊張しているドラウディロンを見て、庇護欲をくすぐられていた。

 




次回、魔導国観光

ドラウディロン、どっちで?

  • ロリ形態とえっち
  • 巨乳形態とえっち
  • どっちともえっち
  • ※結果のみ確認する
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。