※この作品はR-18です。

輪廻の輪の転生ゼウス~前世知識に基づいてギリシア神話で穏便生存(?)ルートを目指したら…~   作:oosima

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今回、前回の火とは逆なイメージの場所が舞台になりますが、原典では生まれた時よりお堅さで有名なあのキャラが大胆な行動をとったりもします。


036 冷静さとストレートは重なることがあるし…

 ○神代 黒海某沿岸 アマゾン国南部 海岸地帯○

 

「うわー! こんなにも魚がたくさんー!」

「釣り竿で一匹ずつ釣るのと全然違うわー!」

 

 神族の逃亡少年もといアマゾン国の少年魔術師客将ユピタが愚息絡みで祖父のような災難に出くわしてから数日後、同国の南部にある黒海に面した海岸部でアマゾネス達が喝采を上げていた。

 

「すごいわねー! この籠で魚を取るってやり方―!」

 

 彼女達は何隻もの筏に乗り込んで海に沈めた縄を引き上げていっていたが、それで現れたのは大量の魚が入ってビチビチとした音を奏でる籠であった。

 籠は竹と網を細かく編んで作られたもので、内部には錘となる石と釣り針付きの餌が幾つも括り付けられ、出入り口は内側に進むほど狭くなって返しが付いており、餌に釣られて中に入った魚は一度中に入れば出にくくなるようになっている。

 その上で蓋に付いていてそれの留め具を外して開けると、一気に大量の魚がドバって砂浜へ打ち上げられ、アマゾネス達はそれを喜び勇んで次々と籠へ入れていく。

 

「あー、そう言えばこの方法を教えてくださったあの方はどうしてるのー?」

「あの人達なら隣の岩礁で魔術師達と共にあ(・)れ(・)を作りに行ってるー」

 

 その魚とりの新たな方法を教えた本人であるユピタは、彼女達が魚を取っているグループの作業場の隣りにある漁礁である作業をしていた。

 

「…よし、干潮になってこの辺りの岩礁にある水溜まりに海水が溜まったなー」

 

 その岩礁による天然プールの一つを囲む形で、ユピタ及びメディアを含めたアマゾン国の魔術師とヘスティアの姿があった。

 

「ユピタ様ー! 本当に出来たよー!」

 

 岩礁区域にはいくつもの土器で作られた竃で湯気を立てている土器があるが、湯気が収まると土器の底にはいくらかの白い粉が出来ていた。

 

「…えーーっと、本当にこれがあれかなー…ってしょっぱ!?」

 

 アマゾネスの一人がその土器の一つの底にある白い粉を一つまみして口持ちに運ぶと、その塩辛さに驚喜した。

 

「すごーい。本当に海水を煮詰めただけで”塩”が出来ちゃったー」

「今までは遠方の行商が持ってくる石みたいに固まってるのを交換して手に入れるしかなかったのにー」

「本当に塩が出来ちゃったねー」

「向こうのと比べると味が薄いけどすごいよー」

 

 周囲のアマゾネス達が喜んで口にした内容が示した通り、ユピタ達はアマゾン国の海岸地帯で“製塩”を試していたのである。

 

「皆ー、そのままでも使えるけどもっといいやり方があるんだー。集めて出来た塩を全部この水溜まりの中に全て入れてー」

「えー、せっかくできたのに入れるのー!?」

「すこし手間が係るけどこの方が良いんだ」

 

 そうしてアマゾン国で初めての製塩で出来た塩を、ユピタは不満を上げられつつも囲んでいる岩礁の天然プールの中にすべて投じさせた。

 

「よし、皆ー今度はこの中の海水をまた土器に移してまた煮詰めてー」

「何でこうするのかなー」

「でもさー、あの人の言うことってよくわかんないけど役に立つことばかりだし」

「そうそう、炭作りもあの人の言うようにあの窯って言うのを作ってそれでしたらたくさんいいのが出来るようになったし。あれでわざわざ土で埋めたり掘ったりの手間が省けたしー…」

 

 そうしたユピタの言うことを不思議がったりしつつもアマゾネス達は新たな塩を作っていく。

 

「…うま! さっきの味が薄いのとは違ってしっかりと濃い塩気がある!」

 

 だが、その不評は濃度の高まった塩が出来ると喜びに変わった。

 

「…あまりこれをすると薪や炭をめっちゃ使うからしたくないんだけどねー。外部の行商が持ってくる岩塩よりかは安そうだし、竹の導入と魔術の工夫で燃料はどうにかなりそうだし…」

 

 女性の切り替えの早さだけでなく、ユピタは彼女達の働く姿やその今の格好に視線が向いてしまう。

 

「…んー、それにしてもこのユピタ様が思いついた水着って不思議だけど慣れたら悪くないな」

「ああ、以前は海に潜る時は古いのかもしくは裸で潜っていたが…」

「今じゃなんか裸で入ると視線が気になるというか…」

 

 今現在、この海辺の地に暮らして働くアマゾネス達が着ているのは、ユピタ達が来る前に主流であった羊毛や獣毛に皮革を用いたものではなく、ユピタが持ち込んだ麻や木綿を用いたビキニ水着であった。

 更に、メディアたち魔術師の協力もあって量産され始めたとはいえまだそこまで多くは作れないので、一人当たりに使える布面積は自然と少なかった。

 

(…ウゥ、この地で見つかった温泉による蒸気と改良した魔術を利用して木綿とかも前の世界では雪国ウクライナに当たるだろうここでも栽培できるようにして、今回は使わせて便利さを早く教えるために魔術で成長を早めて織ったりしたけど…、如何せん量が量だから今ここで働く皆に着せられた水着はー、前世で言うマイクロビキニくらいの面積しかないから、初めて見た時の素っ裸の時とは違う過激さが…。ここの皆が程度や細かい違いはあれど美人なのも合わさって…上の胸はサラシを撒いてるのに対して…下の方は前が逆三角形ハイレグで後ろが縄でTバック状になった褌で…う、また愚息がぁ…!?)

 

 ユピタは塩づくりに何とか集中してゼウス同位体肉体由来(?)の性欲が鎮まるのを待って隠そうとするが、そこで岩礁に近い海面から大きな水柱が二本生じた。

 

「きゃあ!?」

「な、何だぁ!?」

 

 その水柱とそれが浴びせてくる轟音や水飛沫にアマゾネス達は驚くが、収まるとその水面から二人の女性が何か大きなものを担いだ様子で現れた。

 

「すまない。大きな獲物で且つ動きが速かったから捕まえるのに時間がかかった」

「ごめんねー。凄く大きくて重たい子だったからー。けれどすごく脂がのった身が詰まってるわよー」

 

 そう言いながら水面から岩礁に上がってきたのは、アマゾネス達と同じ格好をしつつ、その手に持つ大きな銛で巨大なカジキマグロを突き刺して担ぎ上げているアテナと、子供一人は入りそうな巨大なオオシャコガイを網に入れた状態で背負ったアフロディーテであった。

 

「うわー! 凄く大きな獲物-!」

「ふ、二人とも凄い美人なだけじゃなく力や泳ぎも凄いわね…」

 

 その巨大な獲物とそれを捕まえてきた二人にアマゾネス達は称賛の声を上げるが、ユピタはその勇姿に驚きつつも彼女達以上に、二人に男と雄の両方の一員として魅了されてしまう。

 

(…ゥウゥ…アマゾネス達の着ている和風(?)マイクロビキニと合わさって、俺っ娘のアテナの銀髪銀瞳クールビューティー及び筋肉でスレンダーに引き締まりつつも女性らしくもスポーティーさも感じさせる曲線美があの2メートル近い長躯と合わさって…う…何か見てるだけで色々と自分の小ささが惨めに…。それでアフロディーテはー彼女ほどじゃないけど高い背丈に見合うそれ以上の艶ある曲線美で絢爛豪華が人の皮を被ったような金色が似合う美貌…美人は三日で飽きるというけど、中身を知ってても飽きる気配がしない…愚息の方は…)

 

 海から戻ってきたばかりの二人のナイスバディな肢体は海水が滴っており、その露出度の高い水着衣装と合わさってユピタの丹田から下を大いに責め立て、ユピタはそれを隠すべく塩づくり用の土器の後ろに隠れて前かがみになって足の付け根に両手を回し始めた。

 幸いにもアマゾネス達はアテナとアフロディーテの獲物に夢中となっており、二人もそれでいい気になっていたのでユピタの愚息が前世で発覚すればセクハラ騒ぎになるだろうサイズまで膨張していたことに気付かなかったが、彼にとって本当の意味での救世主は別に現れた。

 

「ユピタさーん、頼まれていた炊き立てご飯をお持ちいたしましたよー」

「ッ!? ひいいいいイイぃぃぃ!?」

 

 湯気を上げる白ご飯で満載になったお釜風土器を抱えた状態でヘスティアが背後に現れると、彼女に火炎を吐かれたトラウマでユピタは瞬く間に愚息が縮まって逆に悲鳴が立ち上った。

 

「…? ど、どうした? 魔物との戦いでも全然臆する様子を見せなかったお前が世界の滅亡を目にしたような叫びを…?」

「…あ…いやー大丈夫ー、昔の最悪な思い出を思い出しただけだからー…それよりもご飯にしようかー…」

「まあ、そうだな…色々働いた後だし…」

 

 それに周囲は驚いてアテナはそれを代弁するが、ユピタの話題逸らしに身を酷使していた後なのもあって食欲に従った。

 

「…うー! 塩味とこのお米って豆粒の相性がいいー!」

「あー、ユピタさんが見つけてきた山菜のピリ辛とした種で味付けした羊肉を中に入れた方の“おにぎり”も美味しいねー」

「いや、さっき私が釣ってきた魚の塩焼きの魚肉を包んだのも美味しいぞ」

「大抵の食材と相性がいいなこの米って豆粒はー…」

 

 数分後、女性達はユピタが持ち込んだ恐らくこの世界で初めての“おにぎり”に夢中となっていた。

 

(…よし、上手くごまかした…。この時代って僕の前世に比べて本当に食生活が貧相すぎるから…ああいうので上手く意識を逸らせるから助かる…)

 

 そして、ユピタはその様子を岩陰から眺めつつ、海岸に注ぎ込む小川に浸かって数日前にヘスティアによって燃やされた自身の愚息を見やる。

 

(…火を消した後であの盗み見られている気配が少ないかしない地下遺跡空間で、神族としての特性を一部解放して治癒力を強めてどうにか再生出来たけど…やっぱり真新しさが目立つなこれ…)

 

 水面を揺れる真新しい皮膚が目立つ男根を通して、ユピタは今の自分の身体のハイスペックさに半ば呆れ混じりの感動を覚えた。

 

(…そう言えばー、シャコガイって確か熱帯や亜熱帯とかもっと南方の海で生きる貝じゃなかったっけ…? いや、そもそもこの時代のお米もまだこの頃は品種改良とかされていた前世と違って白米はまだで主に赤米や黒米だったんじゃ…? サトウカエデがこの地にも有ったりとか…僕が神族特性を普通に使えてた修業時代にあちこち回った時期にも同じような現象は何度かあったけど…? あの頃は未知な世界を回るのに夢中でそんなに気にしなかったのに今なら…というかあんなオオシャコガイに負けないサイズを誇るカジキマグロを銛で捕まえてきたアテナ含めて五人姉妹って何者なんだろ? 確か名前は何処かで聞いたような覚えがー…それにしても五人ともー…特に今この場ではあのアテナってクールビューティースポーティー長身俺っ娘って属性色々盛り過ぎというかー…あ)

 

 それに絡めてユピタは我が身を真水で清めたり癒したりしつつも思考を広げたり深めたりもするが、そこで何処からともなく現れた正体不明の五人姉妹、特に今この場の近くにいるアテナに及ぶとちゃぽんと目前の水面から何かが突き出てきた。

 

「…のど元過ぎれば何とやらというけど…相変わらず節操無しだな我が身は…。今は皆が色々と疲れているから…!?」

 

 その潜望鏡のように水面から突き出てきた男根にユピタはジト目を向けつつ、大人しくさせるべく己が手で掴もうとしたが、その手は今さっき自分が強く思い浮かべた女性の手で掴み取られた。

 

「おい、ユピタよ何をしようとしていた?」

「!?」

 

 ユピタがその上から降り注がれた声に釣られてギョッとした顔で見上げると、その手を伸ばしてきた当人であるアテナが上の岩場からジト目をドアップで近づけている姿があった。

 

「…あ、いやー…何日か前に下半身で火傷を負ったからさー。今は治癒魔術で治したけど後だけど…痕が目立つからその様子を見ててー…」

「それもあるけどそれよりも自分の手でそれを慰めようとしていたのが大きいんじゃないか?」

「!? ななな何で君の口からそれが!?」

 

 いきり立つ愚息を隠そうとするも上から両手で自身の腕を抑えて広げさせるアテナの口から出たその問い詰めに、ユピタはドギッとして動揺を隠せなくなる。

 何せ、ユピタの知る限りアテナはまだ男を知らない処女で、彼女に盗み見られたような覚えもなかったためだ。

 

「ああ、お前にいろいろ教わりながらその合間でここに住まう女としての最大の仕事を魔術師達に習ったんだ。特にメディア様の傍にいた時はあの方が持つ魔法の器に満たされた水鏡を通した遠視の魔術で、この国の他の女性達と後継ぎを増やすための仕事に取り組んでいたお前の姿を見ながらな。まー何度か魔術なのかよくわからな白色か黒色や灰色のモヤみたいなのがかかって見えないことがあったが…」

「!? あの盗み見てくるような視線の正体はメディアさんが…い、いやー何かこの国に張る前から薄いけど何度かあったしー…!?」

 

 その理由をアテナに明かされるとユピタにある答えとさらなる疑惑が生じるが、その彼の混乱はアテナが勢いよく降りて彼の身に乗りかかったことで止まってしまう。

 

「メディア様も言っていたがお前は皆が忙しいと判断した時は、この男の象徴が勇ましくなっても自分の手で慰めて鎮めようという妙な気遣いをすることが多いからな。実際に俺もあの人の魔術の水鏡で何度か見たし…ユピタ、今のこれを立たせている中身を無駄遣いするくらいなら俺に使わせてくれ」

「はいぃ!?」

 

 アテナは頬に薄い朱色こそ浮かべているが動揺を見せない真顔でユピタに鼻先が触れる距離まで顔を近づけ、片手でその雄々しき男根をギュッと掴み取った。

 

「…いやいや! 出会ってからそう日日が経ってないこんな見た目は子供な男との間に子供を作ろうだなんて話が飛躍し過ぎでしょ!?」

「? 元々他所から縁も所縁もない身でこの国に客将として迎えられ、何十という女たちに種を求められて既にいくらか仕込み終えて、今も求められている男が何を言うのだ?」

「…そ、それはそうだけど…?」

 

 自身の男根を女性の手で掴まれつつも、目前の人間離れした美女に求められている気恥ずかしさからユピタは前世倫理が何故か蘇らされるが、アテナはその勢いよく振られる彼の頭を頬から掴んで固定すると顔を近づけ直し始めた。

 

「だったら、ここの人達みたいに俺にも種を分けてくれても別に不思議ではないだろう」

「い、いやあ…ここの人達は男が産まれない種族だからぁ…そこでケンタウロスの襲撃で前の男達が全滅したってところで僕は偶々流れ着いただけなのが大きいし…、いずれは移民とかで他にも男手を呼ぶ予定だし…」

「だったら俺とてお前と同じく他所から来た男を産めるだろう体だろうから、早くお前と子を作らないといけないだろう」

「そ、それはー…」

「それに、アウラ女王様も言っていたぞ。男に我が身を抱かせてその血を継いだ子を産むのは、普通は女が男にしてやれる最大のお礼にして愛を示す方法だと。何も知らないこの身に生きるための技や知恵を教えてくれて危機を何度も救ってくれた男であるお前に、そのお礼をしたいのはいけないことなのか? 嫌ならはっきりと言葉と行動で示してくれ」

「………………い、いやじゃないけど…君と僕は確か色々違っている原典でも…肉し…処女し…ん? ぼ、僕は何を言ってぇ…?」

 

 この国の現状に即した理詰めと本能を絡めて逃げ場を防いで徐々に顔を近づけてくるアテナに、ユピタはまるで人間の肉親から向けられる禁断の情愛に対する拒否感と、それを優に凌ぐ根源を占める神族のより強い力との交わりを求める原初の太陽の如き熱の上昇を同時に覚え、身は震えつつも少しずつアテナにその手が伸ばされ始めていく。

 

「ユピタさーん! 大変ですよー!」

「!? どうしたの!?」

「ッあ!?」

 

 そこで近くからヘスティアの助けを求める声が響いてきて、ユピタはハッとした表情で現実に戻って跳ね上がり、それに飛ばされる形でアテナは無理やり引き離されてしまう。

 

「何か今さっきお空から何か見たことない姿の怪我人が落ちてきたんですよー!」

「? 何を言って…!?」

 

 そう言ってユピタが小川の岩場を飛び出して海岸に戻ってその現場に到着すると、そこには彼がこの世界の肉眼では初めて目にする姿のものがいた。

 

「…あ、う…くう…」

 

 ユピタが目にしたその怪我人は、背中から大きな鳥を思わせる双翼を生やして臀部からは同種を思わせる尻尾を生やし、薄着な軽量の衣服を身に纏い、細く引き締まった四肢の爪は長く鋭くなっている異形だが美しい少女であった。

 異形の少女は双翼の片方に何か強い力で叩き飛ばされたような骨折があり、それは付けられてからすぐのもののようであった。

 

「…この子は…まさかハルピュイア…!?」

 

 ユピタは前世知識にある神話情報とその姿形から少女の正体についての推測を口にするが、そこで新たで且つ危険で大いなる気配が猛烈な速度で近づきつつあるのを覚えた。

 

「「「「「「「「「キシャアアアアアアアアァアアアァアア!!!!!!!!!」」」」」」」」」

 

 その直後、ユピタ達がいる海岸の一角に九つの頭を持った巨大なウミヘビを思わせる怪物が海面を突き破って現れた。




クール系だけどその分に冷静ドストレート且つ正直だったこの世界のアテナですが、最後の所でまた新たな厄介ごとが邪魔してきました。
果たして、最後に姿を現したこの怪物の正体はいったい?
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