※この作品はR-18です。

輪廻の輪の転生ゼウス~前世知識に基づいてギリシア神話で穏便生存(?)ルートを目指したら…~   作:oosima

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今回は、前回にて名前が分かったハルピュイアの子のアマゾン国での活躍の始まりが中心になっており、大人向け要素は大分薄めになっています(無いとは言ってない)。


042 新天地でこそ気付けるものもあるし…

 ○神代 黒海某沿岸 アマゾン国王都 王宮○

 

「それだったらポダルゲ姫、ここアマゾン国へ当分住まうのはいかがでしょうか?」

 

 女性しかいない戦士種族アマゾネス達が暮らすアマゾン国の王宮で、神族の逃亡少年神ゼウスを正体とする同国の客将魔術師ユピタが、先日に退治されたヒュドラの襲撃で故郷を追われたハルピュイア族の王女ポダルゲにそう問いかけた。

 

「……え?」

「「「「「……………………」」」」」

 

 そのユピタの問いにポダルゲは戸惑い、アマゾンの女王アウラや魔術師筆頭メディアはこの問答を通して彼女を更に知って推し量るべく静かに見守り始めた。

 

「…何か不都合でも?」

「…!? い! いいえ! 私のような亡国の流れ者を受け入れてくれるなど何と寛大深い! ですが…私のような種族が違うものを一人受け入れてもあなた達には大した恩恵はないのになぜ…!?」

 

 そうした周囲の観察を察したユピタの念押しに、ポダルゲは謝意を示しつつも当然の疑問を口から出す。

 

「逆です。今のこの国にとってポダルゲ様とそれを慕ってこれから集まってくるだろうハルピュイアの皆様は大きく恵みを及ぼしてくださる人々です」

「…ほえ?」

「「「「「………………」」」」」

 

 それに対してユピタが口にした反論はポダルゲの目を丸くさせ、周囲のアマゾネス達の注視をより強めていく。

 

「ポダルゲ様、貴女から見てこの国はどのように見えますか?」

「この国の様子ですか…? それは…種族柄から女性しかいないという珍しくも近(・)し(・)く(・)思える特徴はありますが…、あの豊かな恵みをもたらす“畑”なる手入れの良くされた広い土地や、竹という色々な使える木々、塩も作り出すという浜辺…そこで働くアマゾネスの皆さんは忙しそうですけど同時に明るくて…“豊かな国”に思えます…」

「…ええ、ですがそのおかげでこの国はケンタウロスなど、その豊かさを狙う者達が多いのも実情です…」

「「「「「………………」」」」」

 

 それからユピタの深まっていく説明は現実の問題にも触れて、周囲のアマゾネス達の注視に懸念や憂いの色も混じり始めていく。

 

「ポダルゲ様、貴女がたハルピュイアの方々はその背から生えている翼が示している通り、空は飛べますよね?」

「ええ、私達はこれで空を飛ぶことで、遠方の地にある魚や動植物を獲って生活していますが…?」

「そうです。我が国の豊かさを狙う者達から我が国を守るためには、その空を飛べる貴女がたの力が有益なのです。空高くから怪しい輩を見張ってその動きを飛んでいくことで素早く報せられる…それはこの国にとって極めて有益です」

「…あ!」

「「「「「!!!!!!!!」」」」」

 

 そうした現状も踏まえてユピタが説いたハルピュイア族の特性や有益さに、ポダルゲはハッとした表情になり、女王アウラを始めとしてその場に集うアマゾネス達は金棒を見つけた鬼のように喜ばしい驚きを見せる。

 

「貴女様も無意味にこの地を過ごすなど心苦しいでしょう。我々はこの地で貴方が職務以外は平和に暮らせるように段取りし、職務も十分にこなせられるようにお助けをするおつもりです。この国では皆が上下に関係なく働くのが普通です(…というか、存在する口が利ける種族のほとんどが原始社会みたいなこの時代だと王国といっても数千人規模の大きな村程度で王族でも普通に肉体労働とかするのが普通だから失礼じゃないし…)。それに、貴女達のその機動力の高さを考慮すれば、あのヒュドラに本拠地を襲撃されたとしてもご同胞の方々も多くは散り散りになりつつも今は再起を図って各地に向かわれているのはわかります。貴女様が我が国で勇名を広められれば、それを目印に貴方様の元へ戻られていくご同胞も出てくるかと…。無論、貴女様がよろしければのお話ですが…?」

「「「「「………………」」」」」

 

 周囲の好意的な注目が強くなったところで、後押しとして続けられたユピタの説明はアマゾネスとハルピュイア双方に、拒否という選択を無言で彼女達から消滅させた。

 

 

 

 

 

 ○神代 黒海某沿岸 アマゾン国 辺境農園地帯○

 

「くそぉ! に、逃げろぉ!」

「ちくしょう! 食い物に近づくこともままならねぇ!」

「襲いやすい女に近づくことも出来ねえじゃねえか!」

「どうしてこんなことにぃ!?」

 

 アマゾン国王都での同国女王たちとハルピュイア王女の接触から数日後、久方ぶりに同国を襲撃してきたケンタウロス達は、何も得られない代わりに切り傷や矢などを全身に負わされた状態で逃げていっていた。

 

「あ! 今度は東の川の大岩が多い川岸を北に向けて逃げていってます!」

「ちくしょう! 空からまたあの鳥と人間を混ぜたようなバケモンだ!」

「くそったれぇ! 人間っぽい顔と体の部分は可愛くて色気があるのによぉ!」

 

 その理由は、彼らの上空を飛び回ってその動きをアマゾネス達に報せているポダルゲの存在にあり、ケンタウロス達もその事に気付いて罵り声を上げる。

 

(…凄い! あのユピタ殿が言われた通り…私達の飛行能力にこのような使い道があったなんて!)

 

 そうして自分へ罵り声と指を向けるケンタウロス達の思いとは逆に、ポダルゲは新鮮味を覚えていた。

 今まで、彼女達にとってこの飛行能力はせいぜいが安全な寝床か食料、もしくは“次代を繋げるための相手”を探すためのものくらいしか使い道はなかったのに、こうして同じ場所で安全な寝床と美味しい食事などを得て、その対価としてそれを生み出す土地を守る手伝いをするという発想などはこれまでなかったのだ。

 

「よっしゃあ! ケンタウロスの糞男共を発見!」

「ポダルゲさんありがとう!」

 

 そして、今も自身の言葉を切っ掛けに今の自分の居場所を守るために戦いの場へ駆けつけるアマゾネス達からの感謝が、ポダルゲにはすごく新鮮だった。

 

「いいえ! 自分は大したことはしていないで―――!」

「くそぉ! 死ねぇ! このくそ雌鳥擬きぃ!!」

「―――えッ痛ぁ!?」

 

 だが、その感情を起こさせてくれるアマゾネス達に気を取られていたポダルゲの頭に、ケンタウロスが蹴り飛ばした石が打ち据え、彼女の身は落ちかけた意識に引きずられるように重力で地上に引かれ、茂みに引っかかったおかげで重傷は負わずに済んだが地に勢いを残した状態で落ちて直ぐには立ち上がれない痛みと衝撃を覚えた。

 

「くひひひ! むかつく雌鳥だが結構可愛いじゃねーか!」

「ああ! アマゾン女ですっきりできなかった分はこの女にさせてもらおうぜ!」

 

 地に落ちたポダルゲは白に近い銀色のショートヘアーと金色の大きな瞳でボーイッシュに整った童顔という美貌の持ち主で、鳥系統が混じる姿もあってか引き締められた筋肉で構成されて胸部はそれを下地にしているためか豊かに突き出ており、その双乳及び足の付け根には彼女の背から生えている翼と同じく汚れない白き羽毛がビキニ風に纏わりついており、それが人外の種族が持つ異形の美と合わさってケンタウロス達の劣情に火をつけた。

 

「おい! アマゾネス共も近づいてきてるからさっさとそいつを縛って連れて逃げるぞ!」

「わかってるよぉ! 待ち遠しいけどお楽しみは隠れ家に連れ帰ってからだな…!?」

 

 だが、ポダルゲの痛みで震える身にケンタウロス達の魔の手が触れようとしたその時、彼らの身を大きな人型を基調としつつも昆虫のも混じる異形の影が覆った。

 

「甲斐性無しのくせしてうちの子に無粋な真似をするんじゃないわよぉ!!」

「「「「「ブヒヒイベエエエエエ!!??」」」」」

 

 今ではアマゾン国で暮らす蟷螂女(エンプーサ)が、その4メートルという巨躯に似合う背中から伸びた蟷螂風大鎌を振るって、ケンタウロス達を叩き飛ばして川の急流に落として遠くへ流していったのだ。

 

「よし! 追い付いた…って、あー、もう終わったかぁ…。まあ、大事にならなくて良かったわぁ。大丈夫ー?」

 

 その十数秒後に騎兵のアマゾネス達が駆けつけてきたが、既に概ね終わっている現場に肩透かしを覚えつつも安堵してまだ落ちた衝撃で身が痛むポダルゲを助けた。

 

「…よし、皆ーありがとう。それでポダルゲと蟷螂女(エンプーサ)は特にありがとう」

 

 数分後、ケンタウロスの襲撃が起きた現場に近い、新たな農地予定地として選ばれたその荒野で作業している別のアマゾネス達に混じる、その開墾計画の発起人であるユピタは戻ってきた皆に感謝を示した。

 

「いいえ、大丈夫です。前回の食べさせてもらえたあのパ…何とかって言うものを多くとれるようにするためのこの地での仕事を邪魔されたくなかったのは同じでしたし…」

「謙虚で且つ真面目なのは良いなー。けれどー…侵入を図る外敵の見張りなんて危険な仕事を思いついた身で言うのもあれだけど、やっぱりー…その軽装過ぎる衣装はー戦いの場では防御力は低すぎるし…。魔術で軽くも出来るから鎧を身に着けたら…?(ケンタウロス達の弁護をするつもりはないけど…、前の世界の中東では“男性を誘惑した罪”で処罰されるだろうし…前世では痴女扱いされるだろう格好だし…)」

 

 その中で新人に当たるポダルゲは人外種族で且つ小さな島のとはいえ王族でありながら親しみやすい性格で礼儀正しいので、今ではユピタもタメグチで話せるまでに信頼を向け合えるようになっていたが、その童顔系美貌と、それと引き立て合うスレンダーグラマーなボディの肌を多く見せる羽毛ビキニ衣装には(血を集め始めていた愚息を作成中の地図で隠しつつも)安全性の理由から苦言を呈していた。

 

「…うーん、ここの皆さんが来ているあの“衣服”というのはおしゃれだし可愛いと思いますけどぉ…、やっぱりこの自(・)前(・)の(・)羽(・)毛(・)の方がその場ですぐに増減の調整がしやすいんです。服もずっと着ていたら違和感を覚えるし…それに動きも鈍る感覚がするし…前のはまだ戦いの場には慣れなかったから捕まりそうになったけど慣れればそうそうまた同じ目には遭わないと思うので様子見はー…」

「今までの方がやりやすいというのはわかるけどー、何かあってからだと遅いしー…ん? 自(・)前(・)の(・)羽(・)毛(・)?」

 

 ポダルゲはその言う事を理解しつつも今までの経験もあって難色を示すが、その問いに交えたある言葉がユピタの雷神同位体(?)ボディを無意識な内に反応させる。

 

「ん? あーこの胸や足の付け根を覆っているのは翼と同じく私達の皮膚を変形させて直に生やしているものです。季節によって面積や厚さは調整できるんですよ」

「…………え? じゃあ君のその…ビキニみたいに見える恰好って…実際は裸?」

「はい、そうですけどそれが何か…?」

「………………!!??」

 

 そして、その反応で思わず口から出た問いにポダルゲが羞恥を覚えずに首をかしげながら出した答えで、ユピタはビキっと固まって無言になった。

 

「…あ、あの~ユピタ殿…? 何を急に黙りこくって…!?」

 

 数秒の沈黙を経て訝しんだポダルゲが呼びかけながら触れようとすると、彼女の顔に彼から勢いよく飛んできた作成中の地図が飛ばされてきた。

 

「…うわ、相変わらず大胆な時は本当に大胆」

「「「「「……………」」」」」

 

 その場にいた美の女神アフロディーテもといアマゾン国客将魔術師の一人ヴィーナが頬を薄朱色にしてジト目を向けた先には、思考が停止したユピタの代わりにその血を集めて奮い立った勢いで地図を打ち飛ばしたのちに、ボトムを突き破りそうな状態になって自己主張してきている男根の姿があり、周囲のアマゾネス達の視線を無言の羞恥と好奇を帯びた状態で集めていた。

 

「…う、昨晩もここで唯一の殿方ということで且つアマゾネスの皆さんの状況もあって…“子作り”もこなしていた場面を夜空から偶々見てしまった時も思いましたけど…やはり大きいですね…」

 

 そして、赤くなった顔を手で覆いつつも指の隙間からチラチラと見ながらうっかり感想を口走ったその様子が示している通り、ポダルゲにもユピタの愚息は既に御拝見され済みのようであった。




次回は、ヒュドラの戦いで活躍した一人である戦女神(の同位体?)が中心になる予定です。
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