輪廻の輪の転生ゼウス~前世知識に基づいてギリシア神話で穏便生存(?)ルートを目指したら…~ 作:oosima
それらに尺が取られて大人向けシーンはないです。
○神代 黒海某沿岸 アマゾン国 王都 城下町付近地下遺跡新工房区画○
「…はぁぁぁぁ…」
ポダルゲのファンタジックで露出度高めだが一応ビキニ程度は着ているだろうと思っていた姿が、実は実質全裸状態なのを知ってから数日後、神族の逃亡少年ゼウスを正体とするアマゾン国客将魔術師ユピタはその事を思い返してため息を起こしつつも新たな作業をしていた。
(…ファンタジックな人外系種族美女で王族であるポダルゲと仲良くなれたばかりの直後に…まさか愚息が荒ぶるなんて…元気すぎだろうこの雷神ボディ―――)
「ユピタ様ー! そろそろまた時間になったので来てください―!」
「―――い…ああー、ごめーん。すぐ行くよー!」
我が身とそれに宿る浅ましさで、せっかくアマゾン国に来てくれた新たな人材との関係にさっそく暗雲が立ちそうだと憂鬱な考えに陥っていたユピタだが、そこで同じ現場で作業していたアマゾネスの一人に呼ばれた。
今現在のユピタ達は
「…な、何なんですかねぇ…? この地下遺跡で見つかったぁ…ユピタさんが“煉瓦”と言っている角ばって且つ形も重さも固さも似たような石で出来た…階段みたいなこの竃って…?」
「さっきから炭焼き工房で作られている木炭や、この迷宮で見つかった血みたいな味がする赤い破片が大量に運び込まれて…?」
「うわぁ、地上に繋がる大穴へ伸び出ている“煙突”って大きくて高い筒から…もくもくと黒い煙が…」
アマゾネス達がその自分達で取り囲んでいる、階段状に石材が積まれて内部を木炭と炎に満たされて煙を上げている竃に興味と不安を見せている中、その竈で一番下の段に付けられていた石製の小さな扉が開かれると、その中から赤くほのかに発光した液体がジュウジュウとした音や煙を上げながら流れ出て、扉の前に用意されていた溝を流れていき、その終りにある石に開いた穴に注がれていく。
「よし! 皆で事前に言っておいた余計なものを魔術で除きながら徐々に圧縮して癒していくんだ!」
「あ、ああ!」
「了解ですよー!」
「わかった!
赤い液体が石の穴へ注ぎ込まれ終えると、ユピタの号令を切っ掛けにアテナやヘスティアにメディアといった魔術師達はその穴に向けて魔力を流し込み、立ち上る煙に混じって強い光が生じ始めた。
十数分後、その光と煙が収まって冷えていくと、分厚い手袋や衣装を身に着けているユピタ達がその穴が開いている大石に撒きつけられた縄を解いた。
「…よし、これでどうだ? 一応は触れる温度まで下がっているが…?」
「間違っても素手で触ろうとしないでよ。君に色々作ってもらった間に危険性は色々教えたつもりだけど…よし、
「あ、ああ…」
それにアテナが不安と自分でも言い表せない懐かしさに近い興奮の高まりを感じつつも、ユピタに促されてその大石に手を掛けると、大石は中心から綺麗な線が縦に入ってそこからパカッと二つに割れ、内部から鈍い銀色に包まれた大きな槌がゴトって出てきた。
「…こ、これがユピタ様がこの迷宮で見つけた新たな素材で作られた
「何か木製の槌と比べて色が違うし…触った感じがツルツルするけど…?」
「初めにユピタ様が地面に書いた図案は小さくてこっちじゃまだ無理だったから、大きくなったけど…お、重いわねぇ…同じ大きさの木槌に比べても…」
「これぇ…本当にユピタさんが言った通りの効果があるのかなぁ…?」
「これ、アテナさんやヘラクシアさんみたいに大きくて力持ちの人じゃないと…」
その鈍い銀色に輝く長柄の大きな槌に周囲のアマゾネス達は不信や期待を綯い交ぜにした反応をひそひそと見せ合う中、一人が行動に移る。
「…よし、俺が使ってみよう。初めにユピタから今回の話を聞かされて興味がわいて色々手伝ったのは俺だ」
アテナがその筋肉質なスポーティーと女性らしい凹凸が調和した長躯ボディ相応以上の膂力で、その鈍い銀色の槌を手に取って地上に向かった。
「…ぜえぜえ! あ、あの時はくそでか女に邪魔されて酷い目に遭ったが…!」
「だ、だが! 今度は上手く連中の中へ忍び込めたぜ! 今度こそアマゾン女を分捕ってやるぜー…!?」
一方その頃の地上では、数日前にハルピュイアの王女でアマゾン国の客人になっているポダルゲに手を出そうとするも、先に帰順していた
「…ん!? あの蟷螂ほどじゃねえけどデカい女はやけに強い投石で俺達に痛い目を見せやがった白髪クソデカ女じゃねえか!」
「ちょうどいい所だ! あの女も拉致って根城でたっぷり可愛がってやろうぜ!」
自分達の姿を茂みの中から見てケンタウロス達が恨みと狂喜を浮かべているなど露知らず、アテナはその茂みの近くにある使い道はなくて邪魔だが大きくて今まで動かせずにいた大岩の前で止まった。
「…よし、それでは行くけど…良いんだな?」
「思いっきりやっていいよ。周囲から人は遠のけているし」
「そうか…では…………すうううぅぅ……ふん!!」
そして、ユピタの許可を得てアテナがその手に持つ槌を高く構え、深呼吸した後にカッと大きく双眸を見開かせてその槌を大岩に振り下ろすと、一人を除いて周囲の予想を大きく超える現象が起きた。
「「「「「キャアァアアアアぁ!!??」」」」」
「のわぁ!?」
「ッシ!!」
アテナが振り下ろした槌が衝突した箇所より大岩は一瞬で全体に大きな罅を走らせていって粉砕され、周囲のアマゾネス達はその光景に驚き、アテナ自身もギョッとした表情となり、一人だけユピタはしめたという表情で拳を握った。
「………凄いな。木槌や石鎚なら半日はかかっていたこれくらいの大岩が…一撃で粉々になるなんて…凄いなこの“鉄”というのは」
「いや、前の木製の槌で半日の内に砕けるなんて出来るのはあんただけよ」
「正確には鉄の強化版である“
大岩の破壊で生じた砂煙が収まると、アテナはその手にした槌とその素材に息をのんだ表情を向けつつも周囲のアマゾネスから突っ込まれ、ユピタが素材について補足した。
今回、ユピタ達はあの地下遺跡迷宮で錆びた状態ながらも大量に見つかった“鉄”を用いて、“鉄製品”と“製鉄技術”の実用化に取り組んでいたのである。
(…あの迷宮で大量に見つかった時はまさかと思ったけど、本当に鉄でよかったなぁ。いつ頃にどんな目的のため作られたのかわからないまでに年月が経ってボロボロの状態だったけど…。耐熱性に優れた煉瓦も多く同時に見つかって…初歩的だけど高炉まで作れたし、今の所は鉄製道具の不足や技術不足もあるから、不純物を抜くのは魔術頼みだったり、それも説明するのは難しくて何度も失敗したけど…、鉄や鋼の生産が軌道に乗れば農業や他の産業も大きく進む―――)
「ん? おい、あそこの茂みからケンタウロス連中の臭いがするぞ!」
「え!? 本当!?」
「いや! 確かにするわよ!」
「―――うぅ?」
だが、それが思ったよりも早く成功への兆しを見せていたことにユピタが色々と将来設計をまた始めようとした時、周囲のアマゾネス達が部外者の存在に気付く。
「…数日前にあれだけこっぴどく追っ払ったのに懲りない連中だ。今度はきつく締め上げてやるか…!?」
アテナはその臭いのする茂みに近づいてイラついた表情で茂みを鉄の槌を振るって退かすが、その中身を見ると彼女の表情はハッとしたものに変わって固まる。
「…何々? アテナどうしたのー…ってうわ、これは酷い…」
それを訝しんだ他のアマゾネス達が取り払われた茂みの跡地に付くと、そこには先ほどのアテナによる大岩破砕で出た石の雨を浴びて、顔がつぶれたり、骨がひしゃげて血を吐いているなど無残な姿で絶命しているケンタウロス達の屍があった。
「…あー、茂みに隠れていた所を巻き添えでやられたんだな…。放っておくと疫病の元にもなるしー…皆ー、町から離れた森の中で埋めるよー」
「「「「「はーい」」」」」
「…え!? あ! ちょっと待ってくれ! そんな死人が出てあっさりと…!?」
ユピタはそれを見て少し眉をひそめた表情になるがさっさと対策を出し、周囲もアマゾネス達は屍を見ても特に表情を変えることなく動き始めるが、それがアテナには不安と困惑を呼び起こさせ、その身に震えが生じた。
「そういえばアテナは遠くから矢や投げ槍で攻撃して傷を負わせつつ追い払ってたのが中心だったから、実際にこの手で敵を明確に殺したり、その屍を間近で見るのは初めてだったね。だったらなおさら死体に片付けを早く済ませよう。それともう見てしまった以上は、どうせ後でいやでも思い出すからもう見なくていい」
その理由を察したユピタはアテナに気遣う言葉を架けつつも、それ以上は逆効果と言わんばかりのそっけない様子で仕事を促す。
「…え? な、何でだ…!?」
「…どうせ明日の朝にでも、次の夜中の途中でも、忘れた頃の朝でも…その死に顔で目を覚ますようになるからさ…」
「「「「「………………」」」」」
「……………」
ケンタウロスの屍を担いで紡がれていくユピタの言葉と、それで何かを思い出したように何処か遠くを見ているような表情を浮かべたアマゾネスである仲間たちの姿は、困惑が収まり切れないアテナには重く感じられていた。
今回は紀元前神代(?)でも有数の技術チートが出ましたが、それでアテナが甘くない経験をしましたね…。
次回、今回の経験で心境に変化が出たアテナの背を押す大人向けイベントが起きます。