輪廻の輪の転生ゼウス~前世知識に基づいてギリシア神話で穏便生存(?)ルートを目指したら…~ 作:oosima
○神代 黒海某沿岸 アマゾン国南部 海岸地帯 海岸新迷宮○
「…お、お前はいつも逞しいな…❤️」
アマゾン国の新たな迷宮で巨大スライムに捕まってしまったアテナは、その自分を救うべく迷宮内の別拠点から駆けつけてきた、神族の逃亡少年ゼウスを正体とする同国の客将少年魔術師ユピタの姿に、安堵と信頼に加えて羞恥と情欲を覚えさせられた。
「…う…いやー…このグッドモロニング状態はー…あまりの緊急時代から大急ぎで来たら服を着替えるのも忘れちゃって―――」
「ジュルううううぅ!!」
「―――えってぬおおお!?」
つい先ほどまでポダルゲとドッキング寸前だった状況もあって、好色雷神同位体ボディがギンギン状態なままなのを思い出したユピタは顔がカーっと赤くなるが、そこで巨大スライムの粘液触手による攻撃が迫ったのを見てギリギリで避けるが、衝突した岩が強酸に当てられたようにジュワッとした音を立てながら融解し煙と悪臭を上げだした。
「…おい、捕まえた女の子と敵対交戦中してるからって男に対するこの対応の…違い…男女差別じゃない?」
「ジュルゥウウウゥウ!!」
「…聞いてくれませんよねちっくしょー!」
それにユピタは今の超縛りプレイ状態ボディもあって危険さと理不尽さを覚えるが、そんな言葉など知らんとばかりに巨大スライムは触手粘液攻撃を連発してくる。
(…攻撃事態は今の僕でも反応スピードが上だから普通に避け続けられるけど…あまり時間をかけるとあの巨大スライムがいら立って捕まえたアテナ達にどんなことをするかわからない。それにー…海に近いこの迷宮であんまりこんな融解液攻撃で岩壁を破壊され続けると、どんな崩落が起きるかわからない。神としての力を発揮すればいいだろうけど…いくらここがあの遺跡みたいにあの盗み見てくるような力が弱まってるか遮られてるからって何処までならばれないかってまだ不明な部分があるし…。それでも早めに決着を付けないと…けれどスライムである以上は物理攻撃あまり効きそうにないしー…。あ、待てよ…こいつの身体は見た目からしてほとんどが液体だ。融解性の方は魔力で刀の方を強化してしばらくは耐えられるようにすればー…それと時おり吐いてくる毒ガスみたいなのはしばし中和して無効化できるように回復魔術を大気へ微弱電波を触媒代わりに浸透させてー…)
その攻撃の危険性などを避けながら倒す方法を考えるユピタは、巨大スライムが膨大且つ粘性が高いながら液体で出来ていることに気付き、手に持つ刀を融解されないよう魔術で強化しながら高熱を宿らせ、体内の神経に自身の稲妻を通して反応スピードを強化させていく。
「ジュウううううるううううう!!」
「熱刀!!」
そして、新たに触手攻撃の一本がユピタに迫ろうとした時、彼がその高熱で赤く焼けている刀を振るうと、その触手は焼けた悪臭を撒きながらブチャッと重い水音を鳴らしつつ地に落ちた。
「ジュああァアアアア!?」
すると、ユピタの雷のレーザーで卵管状触手を撃ちぬかれた時のような悲鳴を巨大スライムが上げ、すぐ繋ぎ直されるはずの触手は焼けた断面以外の表面がビチビチとのた打ち回る。
「!!」
ユピタはのた打ち回る本体に構わず焼き切り落した触手に刀を突き立て、刀に宿った高熱を強めた。
すると、触手の大半を構成していた水分は蒸散し、それを失った触手だった小さなスポンジ状のものだけが残された。
「(…この前でのヒュドラ戦の経験が生きたな。高い再生力を持ってても傷の断面を焼き潰せばそれは大きく阻害される…。それにスライムである以上はその身の大半を構成する液体を失えば…)それじゃー、一気に畳みかけるか!」
それから自身の考えた攻略法の有効性を確かめたユピタは、魔術で速度強化された身で巨大スライムに切りかかった。
「ジュルあああああアアァ!?」
巨大スライムはそれに無数の触手を伸ばして防ごうとするも、如何せん速さが違いすぎるので次々とユピタに切り飛ばされて水分を蒸発させられていき、その身は急速に小さくなっていて、鳴き声に恐れの色が強まっていく。
(よし! 後はこの体積が少なくなって間隔が短くなったアテナ達を抜き出して、残りを一気に水分蒸発させれば―――!)
「キャア!?」
「―――っ!?」
そのまま小さくなり続けていく巨大スライムを見てユピタは勝利が近いのを感じるが、そこで刀をまた振り下ろそうとしたところで掴まった女性の一人に当たりそうになって即座に引っ込めて距離を取った。
「…ジュルゥウウウゥウ!」
「ううう!?」
「く…卑劣な…」
それに気づいた巨大スライムは我が身で捕まえていた女性達を盾のように突き出した。
(…こういう魔物がこういう咄嗟の悪知恵に長けているのは現実でも同じなんだなぁ。あの子達がいる状態で高熱水分蒸発なんてしたらアテナ達が火傷するだろうし…どうしたら―――)
「す、すみませーん。ご飯をお持ちしましたー…ってキャアアア!?」
「―――あってぬおお!?」
ユピタがそれに難しそうな表情になると、その背後から大きな悲鳴が響いてきて驚かされた。
「…だ、誰だー…ってヘラか。あー、確か今日の弁当当番にいたっけ―――」
「ジュルううううぅぅウゥ!」
その戦闘慣れしていないのが丸わかりな声の少女をユピタが見やると、それを隙有りと見たのか巨大スライムが再び触手攻撃を今度はそのヘラ目がけて勢いよく突き出した。
「―――あ! しまった…!?」
「キャ! いやぁ!」
それにユピタが気づいたのはもう触手がヘラに触れる寸前で手遅れ感を覚えさせるが、ヘラが驚いて手をかざすとそれに触れた触手はパンっと四散して無数の破片スライムが飛び散った。
「…え? 何が起きて―――!?」
「ジュルああァアアアア!!??」
「キャア!?」
「うわぁ!?」
「―――え…!?」
更に、四散して飛び散っていく触手を伝っていく形で、巨大スライム本体も四散してしまい、それに巻き込まれる形でアテナ達も解放され、ユピタは戸惑いを覚えた。
「ヘラ、今さっきのは魔術だけど…君は確か攻撃系の魔術はまだ習っては―――?」
「…う…ううううぅ…」
「―――あ、それどころじゃないか…」
ユピタはその原因だろう人物に意識が傾きかけるが、そこでアテナ達の消耗した声を聴いて彼女達を思い出す。
「…大丈夫ですかアテナ!?」
「声が聞こえるなら返事を!」
「…う、その声は…ユピタに…ヘラ姉上…か…」
数分後、四散していたスライムが復活されないように魔術で蒸発させられ、その身に付いていたその破片も清められたアテナ達が回復魔術の効果もあって目を覚ました。
「…良かったー。体力は酷く消耗しているけど毒になりそうなものは撃ち込まれてはいなさそうだね。とりあえず応援も着いたから今日の探索はもう終わりとしよう…?」
そのアテナ達の状態が予想よりも良かったことでユピタ達は安堵するが、そこで彼の脳天が何かによって濡らされてしまう。
「…え? これは…味からして…海水…!?」
ユピタがそれに嫌な予感を覚えて頭上を見上げたその直後、岸壁が崩壊してその内側から突き破って現れた海水の激流が視界を覆いつくした。
○神代 黒海某海底 ???○
「…む? この揺れは…何処か近くの海底の洞窟が崩れたのか?」
ユピタ達にまた新たな災難が降りかかった頃、そこと近い黒海の海底にあるそこである一人の男性が異変を感じとった。
「オピオン様ー、何か感じられましたかー?」
「…どうやらあそこの土煙が起きている箇所で、二人くらい迷い込んできてしまったものがいるようだな。助けて上げなさい」
周囲に侍っているお仕えのものに恭しくされているそのオピオンという男は、見た目は美しい男の姿をしているが片側の頬などに蛇の鱗のようなものが見えるなど、異形さも感じさせる風貌をしていた。
「…オピオン様ー! 男の子と女の子が一人ずついましたー!」
「…おお、そうかー…む? 何だこの子達は…? 私がまだ地上にいた頃に争っていた
「…う、ううう…」
「…きゅうぅウゥ…」
その数分後、オピオンの前にそば仕えの者達によって救助されて連れてこられたその二人は、全身が濡れて且つ頭にたん瘤が出来た状態で意識を失っていたユピタとアテナであった。
「…まー、その辺りのことは今どうでもいいか。とりあえずこの二人はこのままにしておけんから町に連れて帰って治療でもして話を聞くか」
オピオンはその二人の顔立ちなどに何処か見覚えのある表情を浮かべるが、すぐにその身を助けるべく視線を変えた。
視線の先には、海底にあるにもかかわらず水面が空のように上へ敷き詰められて魚が飛んでいるように見える状態で泳ぎ、大勢の人々が暮らす街の存在があった。
「うわー、この女の子って肌の艶からして若いけど凄い女体してるー」
「男の子は小さいけどすっごく鍛えてるのが丸わかりで男の象徴はうちの彼氏のより凄いわー!」
その街に向けて運ばれ始めたアテナとユピタの身は、オピオンの傍仕えの者達の眼を楽しませたりもした。
果たして、今回の最後に出てきたオピオンの正体は果たして…?
そして、ユピタとアテナが迷い込んだ地はいったい…?
次回にて、今回までは薄かった大人向け要素が帰ってくる予定です。