輪廻の輪の転生ゼウス~前世知識に基づいてギリシア神話で穏便生存(?)ルートを目指したら…~ 作:oosima
まあ、それだけとは限りませんけど…。
○神代 黒海某沿岸地帯上空 魔術式熱気球型飛行船○
「…ど、どうにか…あの竜巻から脱出出来て…その勢いのおかげで予定よりも早く目的地に着きそうだね…」
自分の母が見守っているとは知らず、神族の逃亡少年ゼウスを正体とするアマゾン国の客将魔術師少年ユピタは、どうにか脱出に成功して遠ざかっていく竜巻の姿に安堵の息を漏らした。
「…え、えぇ…そうね…ありがとう…あんた、本当に…やるときはかっこいいのね…」
そのユピタが魔力で生み出した雷を機械的な形にまとめたような弓を共に支えているアルテミスは、自身の背を預けているユピタに疲れつつもほのかな朱色を浮かべた穏やかな微笑みを自然と寄せていた。
「…あ、アルテミス…もうそろそろ…離れたいから…足の力を緩めてくれないかな…?」
だが、互いの唇が無意識のうちに触れあおうとしたその時、ユピタの方から気まずそうに視線を逸らして身を離そうとしてきた。
「…え? 何で急に…?」
「…だ、だって…君の足に僕のあれが挟み込まれたままで…それで抜けなくなってるからー…」
「…は…どういう意味そ………れ!?」
急にそっけなさそうなっているように見えてきたユピタにアルテミスは何故か不安が生じ始めるが、自身の足の付け根付近で熱く硬く大きな棒のようでいてビクビクと震える何かを感じ取り、ユピタの羞恥と寒気を帯びた視線がチラチラとそこへ向けられているのに気づいて視線を自身の下半身に下ろす。
「…いやあああああ! 何をやってんのよこのヤリチビいいぃいい!!」
「ほどぅあーーーーーーー!?」
そこでようやく自身の淫列にショーツのクロッチ越しながらユピタの男根が触れていることを思い出したアルテミスは、数秒かけて顔が茹蛸の如く真っ赤になると即座にユピタから離れ、彼をその股間から蹴り飛ばしてどこかの改造人間船大工のような悲鳴と共に船から蹴り飛ばした。
「あー!? ちょっと何をやってるんですかー!?」
そのままの勢いで飛行船の進行方向先により速い速度で飛んで行ったユピタにヘスティアは驚いてアルテミスに怒る。
「…あ!? しまった! どうし…つかあいつあたしたちが乗ってるこの船よりも先に目的地の山の麓に飛んで行ってるんだけど!?」
「いや! お前が蹴り飛ばしたからだろ! だがユピタとこの船ってどうやれば止められるんだ!?」
「ま、まずいわよアテナ! 私たちはさっき竜巻から逃げるのでもう
そうしてますます悪化していく状況を一番わかっている、美の女神アフロディーテもとい女魔術師ヴィーナが本気で慌てだすが、そこで彼女は小さくなってく愛する者が自分たちをしっかりと見ていることに気付く。
『…大丈夫…どうにか…ここは…何とかする!!』
「「「「「!!!????」」」」」
そう頭の中へ直接響いてくるユピタの声に鼓膜を震わされたその瞬間、彼の身を中心に巨大な雲の塊が噴き出て、それにぶち当たった飛行船を伝ってきた鈍くも重い衝撃波を最後に、女性たちの意識は遠のいて闇に沈んでいった。
「…な、何か…レア様やメティス様から…アフロディーテが友達を連れてやってくるって聞いたから…来てみたけど…な、何だったの…あれ?」
「船が空を飛んできたり、それに乗るまだ若い子が魔術の弓矢であんな巨大な竜巻を射抜いたり…」
「…信じられないけど…とりあえず全員が生きてるっぽい気配してるから…助けに行きましょうか…?」
ちなみに、それを見下ろせる山の麓より、山や森林でとれる物産を用いた衣装や装備で身を固める冒険者風衣装の美女達がポカンとした表情で見下ろしつつ、救助作業に取り掛かった。
○神代 黒海某沿岸地帯 山岳密林地域 某所○
「…あ…く…ここは…?」
飛行船が目的地に不時着して数時間後、アルテミスが意識を取り戻したのは巨大な樹木の内部に生じた空洞を用いて建てられた住居のベッドの上であった。
「そうだ! 皆は無事…いてて…! 体が…でもあれだけのことにあっててこれくらいだなんて…」
視界がはっきりとしだすとアルテミスはすぐに他のメンバーの安否が気にかかってベッドから身を起こそうとするが、そこで何か所か自然の葉や麻の糸を利用した包帯を巻かれている我が身に痛みで気づき、同時にあれだけの事故にしては軽傷で済んでいることに驚く。
「…あ、目を覚ましたのね。先に起きてたア…ヴィーナから話は聞いたわよ」
そこで、麻の衣服を着て森で取れる花や葉を模した装飾品で身を固めた、中性的な冒険者風の衣装に身を包んだ、翡翠色のように澄んだ緑色の長髪をポニーテールにして、同色の大きな瞳を中心に森の中に差し込む光を思わせる美女が姿を現した。
「…あ、あなたが…ヴィーナが言っていた…“癒しの泉”を管理するっていう…この地のニュンペー?」
「そうよアルテミス、正確にはその泉を守る淡水をつかさどるニュンペーのナイアス達がね。私は彼女たちとこの都で一緒に暮らしてるその親戚で森のニュンペーであるアルセイスのカリスト。初めまして、よろしくね」
「…あ、う…うん…よろしく…そして、助けてくれて…ありがとう…」
「あー、お礼はいいけどそれはあの一緒に来たあのユピタって男の子にも言っといた方が良いわよ。あの子がいなかったらあなた達は皆が死んでいたわ」
「…え? あのヤリチビが…?」
その美女カリストの登場から自分は彼女たちに助けられたと知ったアルテミスだが、そこで飛行船にて自分にセクハラをかましたあの少年に触れられて戸惑う。
「あなた達があの空飛ぶ船で吹き飛ぶようにここへ来た時、あの子が何か綿みたいに触れられる雲を魔術でたくさん作ってそれで船が地面にたたきつけられた時の衝撃を消してくれたのよ。そのおかげであなたのように女の子たちは軽傷で済んだけど、代わりにあの男の子がもう少し打ちどころが悪ければ地面に投げつけられた泥団子みたいになって死んでたわ」
「…なっ!?」
その理由をカリストに教えられて驚くアルテミスの脳裏に、自分が地面へ衝突する前に羞恥と怒りで蹴り飛ばしたユピタの姿と、その彼を中心に出た雲の光景が蘇る。
(…あいつ、あんな状況で…自分の身よりもあたし達を…)
「…それで私たちが落ちてきた現場に駆けつけてみれば、他の女の子も致命傷というわけじゃないけど十分大怪我をしている中で、身の何か所から骨が突き出て内臓まで傷が達してそうでしかも毒に蝕まれてる身で芋虫みたいに這いずってて…、私達を見つけたら血を吐きながら“あの子達を…皆を助けて…仲間だから…”って言ってそのまま意識を失っちゃった。自分が一番死にそうになってるのにためらわずそんなことを言った後で見捨てたら、私たちはもう人でなしよ。まー人間じゃないけど私たちはー…」
「…そ、それで…あいつは…? ユピタは…何処に…いるの…?」
「…ああ、あの男の子なら今はここから真東のこの都のはずれにある癒しの泉の中で最も効果が強くて広い湖で治療中でー…!?」
カリストの説明が続く中でアルテミスは次第に俯いていって声が震えがちになって行くが、命の恩人の居場所を知ると身は寝台からばね人形のように跳ね上がって窓から外へ飛び出し、まるで樹から樹へ兎のように飛んで駆け抜けていく。
(…あんな状況で自分よりも人の身を案じる子なのに…! あたし…あれっぽっちーーーーー…というのは微妙だけどー…あいつもわざとじゃないのに…あんなことでぞんざいなことをして…! 謝らないとー…! そして…あいつを助けるのに何かできないことはー…!?)
元から頑健且つ高い治癒力を持っていて治療魔術で傷口はふさがれているとはいえ、まだ痛む身にも関わらず恩人への申し訳なさからアルテミスは我が身に鞭を打つ思いで森の中を蹴り飛んで駆け抜けていき、その治療が行われているという泉らしき場所が見えてきた。
「っ! ユピタ! ごめん! あ、あたし…いつもあんたに助けられてるのにあの時のあんなことを―――!?」
そうして樹々の中を飛びぬけて泉の湖畔に着いたアルテミスは口から思ったことが素直に飛び出ていくが、恩人の今の姿を見たとたんにそれは思わず止まってしまう。
「…ア❤️ ふう…怪我してる時でも本来は綺麗な子だと持ったけど…ちゅるぅ❤️」
「あの状態でも傷が普通より断然にぃ…❤️ 早くぅふさがっていっていたけどぉ…❤️」
「…治癒の魔術をかけたらすごい勢いでぇ…小さいけれどぉすごくぅ逞しくてぇ綺麗な体がぁ…あむぅ❤️」
「今はまだ毒があるけどぉ…身に宿っている力もすごいわぁ…❤️」
その澄んで底の白く美しい砂の湖底が見える湖の中心には、一人の全身を包帯で巻かれつつもそれが徐々に解けていき、再生したばかりと思わしい真新しい白く秀麗な素肌を見せていく、稲妻が形を得たような光輝な輝きを持つ金髪の少年が仰向けで寝ながら浮かんでおり、その少年の身に群がって生まれたままの姿になった我が身を寄せて淫蕩な動きを見せるニュンペー達の姿があった。
「…あ! く…ぁ!? そ、そこはぁ…?」
「―――おぶぶうう!?」
そうしたニュンペー達に取り囲まれてその秀麗な指先や妖艶な舌、豊満な乳房を押し付けられるたびに、中心の少年であるユピタは肌に血の気が戻っていって苦しそうだった寝顔には安らぎの色が強まって閉じているままの瞼がぴくぴくといつか開きそうになりつつあったが、その近くに唖然として赤くなった顔でアルテミスが不時着して間抜けな悲鳴と盛大な水飛沫を上げた。
相変わらず、周囲からの評価の乱高下が激しい本作主人公。
果たして、今現在のユピタの身を襲っている事態の正体は…!?(棒)
そして、その時代の中でアルテミスはどう動くのか!?