輪廻の輪の転生ゼウス~前世知識に基づいてギリシア神話で穏便生存(?)ルートを目指したら…~ 作:oosima
○神代 黒海某沿岸地帯某上空 魔術式熱気球型飛行船○
「……………」
ユピタの治療などが紆余曲折ありつつも成功し、ニュンペーのナイアス族からアマゾン国への帰り道の途中、その夜空の旅にある飛行船の船中で目を覚ましたアルテミスは後ろめたさを覚えていた。
(…あの子、そもそもあたしを庇って毒に犯されたのに…まあ、魔の悪いところで助平癖発動しまくるのがあるけど…あたし、あの子に迷惑をかけて…アマゾンに帰ったら謝ろ…!?)
だが、その反省の途中でアルテミスの鋭敏な感覚は、彼女の近くでぐるぐると廻るプロペラのため耳栓こそしているが、常人ならわずかな揺れにしか感じない船体のそれを不審に感じ取った。
(何この揺れ!? 今はあの子が運転している時間だけど…あの子の身に何がー…!?)
ばね仕掛けのように飛び起きたアルテミスはナイアス族の里からの土産を積んだ船体の後ろ側から前方の操縦席に向かうが、その彼女の心配は良い意味(?)で裏切られる。
「…ぅ…ううぅ! ヴィ…ヴィーナァ…もう少し優しく…でないと手が大きく震えてぇ舵輪が乱れて声も大きくぅぅ…!」
「…無理よぉ❤️ 何日もぉ毒やら謎の病気やらの治療でぇあなたのこれをぉ直に味わえなかったんですものぉ❤️ 私の体もぉ限界だったしぃ…んんん❣ 何よりあなたのもぉ私の中でぇプロペラみたいに回ってぇええええ❣」
必死に震えを抑えようとしている手で舵輪を掴んでいるユピタと、その彼と背を大きく伸ばしている猫のようなバックスタイルで交わり、互いの腰と尻を静かに触れさせ合って淫蕩な微笑みを浮かべているヴィーナの姿があった。
「…お詫びにぃ回復後の初めての子種汁を特濃大放出で迎えさせてあげるから―――❣❓」
久々の愛しい男の肉の侵入とそれを空の旅で行っているという特殊な状況に、ヴィーナは性感と興奮の両方が高まって淫裂と男根から溶けて混ざり合って高みに噴出しつつあるような感覚を覚えるが、それで背後を流し目で見た時に感情を失った無表情の誰かが舵輪を安定させようとしつつも悶えるユピタの背後に立っている姿にドキッとした。
「許しも謝りもするわけないでしょうがぁこの淫乱共ぉ!!」
「ホドゥアーーーーーーー!?」
「―――あぁーーーーーーーーー❣❓」
その影の正体であるアルテミスの怒りを込めたハイキックを、股間へ思いっきり叩きつけられたユピタは精巣から弾け飛ぶような痛みに押し出される射精という激痛交じりの未知の快楽で船体から跳ね上がってしまい、それに押し上げられたヴィーナは未知の震えを伴った男根の急上昇と白濁の噴水で驚きつつも体ごと天へ撃ちあがったような極みに押し上げられてしまう。
そうなればユピタの制御から離れた舵輪は大きく回って船体は大きく揺れ、それに驚いたアテナ達が起きて現場に駆けつけてその理由に気付き、痴態を見られた三人が怒られたのは言うまでもない。
「…な、何だぁ!? 月の光の下を…船が浮いて進んでやがる!?」
「…それでぇ、何かあのクソチビの悲鳴が聞こえてきたようなぁ…」
ちなみに、その時の悲鳴は下の森の中を進む武装したケンタウロス達の鼓膜も震わせ、初めて目にする飛行船の姿もあって彼らを大きく驚かせた。
○神代 黒海某沿岸 アマゾン国 王都 城下町付近森林地下迷宮○
「…ううーー、まだ時々…ヒリヒリするなー…」
「自業自得でしょうが…私まで巻き添え受けたし…」
そんな真夜中での痴態より数日後、アマゾン国へ無事に帰還できたユピタは、
「キシャアアアアアア!!」
二人を中心にアマゾン国の人々が作業しているその迷宮の一角に、全身を岩石や土で出来た巨大大蛇型の魔物である
「あ、ちょうどよかった。小雷」
「えい」
「じゃじゃあぁ!?」
それを見たユピタはさして慌てずに小さな雷を打ち出して
「さー、この子の土もならして広げましょう」
「岩石の方も鉱石は加工すれば金属器に使えるし、そのほかも質のいい石材になるからー…」
アマゾネスを中心とする他の作業者達がその
「…しかしまぁ、ユピタの頭の柔らかさには何時も驚かされるなぁ」
「ええ、まさか水の力で車輪を動かし、それの回転の力を変えて生まれる魔力を日光やその熱を閉じ込めた魔導符へほぼ常に補充されるからくりを考え付くなんて…」
今現在、この区域は“水力式魔力変換機”とそれを動力とした“室内農業”の実験地下農場となっていた。
ユピタ達がいる森の下の迷宮の相当な区域が地下農場となり、地下を流れる河川の流れで水車がガラガラ回るたび上の貯水槽に水が注ぎこまれ、それは通路に並走して掘られた水路を通って各農場へ届けられて畑を潤している。
「原理は風力式とほぼ同じで、部品の加工も飛行船のプロペラづくりも含めたこれまでの積み重ねで技術は確立されていたからそこまで難しいものじゃないよ」
「そうですね。そこでこちら魔術と肥料で成長を進ませている畑と、隣の魔術なしで肥料だけの畑、さらに隣の魔術も肥料もなしの畑のそれぞれの記録ですがー…」
「ありがとう。魔術を実用出来る段階まで使える人は限られるし、その魔術とて人によって向き不向きがあるから、なるべく頼りにせずともいいようにした方がー…」
ユピタはその農場でアマゾネス達と共に体を動かしつつも技術指導を行っていたが、そこで彼の腹がグーっと盛大に鳴った。
「ユピタ様のお腹って鳴る時は本当に大きく鳴るわねー」
「まあ、毎日あれだけ体も頭も回しているから当然だがー…」
「…う、もうそろそろ昼食の時だから…昼食にしようか…」
神族の出自のためかハイスペの代わりに燃費の悪い身のその証拠に、ユピタは周囲の可愛いものを見たという感じの笑いや視線に赤くなった頬をポリポリと掻きつつも言い訳した。
「…でもさー、ユピタさんが考えだした魔力変換機って本当に便利だよねー」
「そうだよねー。あれで色々なカラクリがあまり人手を使わずに動かせるようになったし」
「それでチーズやバターとかいろいろな食材も今まで人間の手で全てやっていた時よりもたくさん早く楽に作れるようになったしー」
「そう言えばあの人が教えてくれた“マヨネーズ”も美味しいわねー」
「ねー、あなたもそう思うでしょー」
「は、はい…そうですね…」
同じ頃、地下農場区画の地上に近い階層にある厨房では多くの人が働いており、その中に記憶喪失五人姉妹の三女であるヘラの姿があった。
(…名前以外はほとんど何も思い出せない私達の庇護者になってくれた…あの人…ユピタさんが褒められ…感謝されるのは嬉しい…けれど、同じ女の人がそうすると嬉しさ以上に焦りみたいな感じがするのは何でだろう…? 私とあの人はあの時…あそこでの出会いが初めてなのに…まるで前から長くいたような感じがするというかー…)
「ただいまー、迷宮の奥を行ってきたらデカい猪みたいな魔物と出くわしたから仕留めて持ってきたわよー」
その中でも中心になるユピタ系の話題にヘラがもやもやとした気分を強めつつも作業をしていると、アルテミスが魔物の死体を抱えて厨房へ入ってきた。
「うわー、今日もすごいのを仕留めてきたわねアルテミスー」
「これは実験名目で今日の昼食に使う“ベーコン”にしましょう」
「幸いにもユピタ様が色々考えてくれたおかげで地下でも料理が出来るしねー」
「火をつけるんじゃなくって、水車を回して得られる魔力を魔力変換機で熱を蓄える魔道符に注ぎ込めるようにし、それを新しい鉄で出来た鍋とかに張ることで料理できるようにするなんて…」
「でもさー、確かアルテミスって確かこの前のナイアス族の里への出張で確か
「お腹の赤ちゃんも危なくなるから当分は冒険とか激しい運動は控えた方が良いわよー」
「…………っ…」
今回のアルテミスの収穫にアマゾネス達は驚きつつも彼女の身を案じるが、その中に混じるヘラの胸を占めるもやもやとした圧迫感にちくっとした痛みに似た感覚も加わる。
(…何でだろう? あの子とは姉妹で…特に悪い事なんて起きてないのに…何故か、長らく何度も怒りつつもそれ以上に大事にしてきたものが…忘れていた間に嫌いな子に取られてその印をつけられたような感覚が―――)
「な、何お姉ちゃん? 何か少し怖そうな顔をしてるけど…何か起きたの?」
「―――あ、い、いや…何でもないよ…アルテミス…」
その感覚はそういうものに狩人生活のため敏感になったアルテミスに怪訝な顔で触れられたことで、とりあえず今この場では中断となった。
とりあえず、今はユピタによる数々の入れ知恵や支援で強化された厨房で、彼の前世知識由来のアイディア込みの料理に皆は集中しなおすのであった。
次回、今回出てきた地下農場由来の作物で出来た、主人公の前世由来の料理が中心になる予定です。