輪廻の輪の転生ゼウス~前世知識に基づいてギリシア神話で穏便生存(?)ルートを目指したら…~ 作:oosima
それらに尺が取られて大人向け描写は薄目です。
○神代 黒海某沿岸 アマゾン国 王都 城下町付近森林地下迷宮 地下実験農場○
「…ご飯が出来ましたー」
「わーい」
「今日はどういうのが出来たのー?」
地下の厨房でヘラがアルテミスに謎の嫌悪感を覚えて十数分後、地下農場にある休憩室にヘラ含めた給仕たちが料理をユピタ達に持ってきた。
「今日のお昼ご飯は“ジャガイモと魔物猪ベーコンにチーズとマヨネーズのピザ”です」
「おお! 何か匂いの時点ですごく美味しそう!」
「小麦の生地の薄く丸い黄金色の焼き物の上に、白いチーズやマヨネーズにあえられたジャガイモやベーコンを始めとする食材が…いかん、自然に唾が…」
(…うわー、前の世界でよく行ってた海辺のレストランに出てた元のにはまだまだ及ばないけど…この時代の技術や道具では…おそらく、この世界で再現してきた“ピザ”の中で最高傑作のものが…ぅ…何か頬が濡れ…)
ここアマゾン国では初めて作られた料理ピザの誕生に、それを初めて目にする女性達は目を輝かせて無意識のうちに唇が緩んで唾を滴らせてしまう者が続出し、記憶にあるものに比べると稚拙さや未熟さが否めないが、味覚以外にも記憶を刺激する既視感溢れる情報でユピタは目じりが熱くなり始めてしまう。
「…あつ! ハフハフして…けれどおいしー!」
「…お、おお…このマヨネーズの…舌をピリピリさせる甘辛さが…ジャガイモのほくほくとした味わいと調和して…いけるなー…」
「おおお…チーズがこんなにもグイーンと伸びて…お、面白いなぁ…」
そして、初めてピザを口にした女子達はその感動で口が軽く正直になってしまっており、焼けたチーズの香ばしさや伸縮性の高さも相まってますます好意を強めていっていた。
(…うーむ、この世界で神族としての力を普通に使えて世界中を旅してまわっていた頃、乳製品作りが盛んな地域で習ったのが功を奏したなー。技術や時代の違いのせいで…、現実的な人の物品や技だけでは記憶にある味には近づけなかったから、この世界のファンタジー要素も頼りにしないといけんかったけど、あのスラ―――)
「大変だー! 家畜の脱柵だー!」
「―――い…え??」
そうして味わう料理のこの世界での過去の旅の記憶を思い返されるユピタだが、そこでよからぬ知らせが入ってきた。
「…チージャーーーー!!」
「マヨアアアァア!!」
「きゃあああ! なにこれぇ!?」
「辛くて肌がひりひりするるううぅ!」
数分後、ユピタ達がたどり着いたその家畜が脱柵して暴れているという地下農場の上の地上の一角では、チーズやマヨネーズに近い色合いや香りのする巨大スライムが暴れ、その身から伸ばされた無数の触手で人々を襲っていた。
「…な、何ですかこれーーー!?」
「申し訳ありませんユピタ様! あなたが発見されたマヨネーズやチーズなどの原料になるスライムを以前にて肥育してから壺詰めで運んでいる途中で、ケンタウロスの襲撃で零れて逃げ出した分が野生化して増殖した模様でー…」
それを目の当たりにして半ば呆然としているユピタに訳知りのアマゾネスの一員が説明するが、それに混じる一部内容の通りこのアマゾン国におけるユピタ式のマヨネーズやチーズの原料には、魔物の一種であるスライムの何種類かが混ざっていたのである。
前世の学生時代に、SSを多く読み漁っていた頃に色々な技術書などを呼んでいたユピタだが、いかんせんは若い学生だったので穴が多かったり、偏りがあったりで名前や効果は知っていても詳しい作り方は知らないというのは結構あるのだ。
チーズやマヨネーズはその一部で、前世の地元のレストランで食べたピザの味が忘れられなかったユピタはその再現を今回よりも前から何度も試みていたが、この世界で似たものの作り方は学びつつもいかんせん時代からくる違いと、前世世界での作り方を知らなかったこともあってなかなか進まない時期があったのである。
それが、旅していた頃の戦闘の一つでスライムに捕まってその一部を口に含んだことがあるのだが、その何種類かは前世で食していたものに味が近かったということが結構あったのだ。
そして、ユピタはそうしたスライムを捕まえて、特定の餌を与えるかなどして消毒や殺菌もかねて煮込んで屠殺などすれば、前世のそれに近い色合いや味の食品に作り出せることを発見したのである。
そうしたスライムに依拠する調味料技術をユピタは研鑽を重ね、ここアマゾン国でも導入して生まれたのが先に食べていたピザだったのだ。
幸いにも、この世界のアマゾン国はスライムの体液を薬や接着剤代わりに使っていたので、ユピタが持ち込んだそうしたスライム食品加工技術を受け入れるのに抵抗はなかった。
「い! いやぁ…今度は服が溶けてきてぇ…あ❣❓ ああ…何か体が熱くううぅぅ❣」
「まさかスライムの家畜化がこのような事故に繋がるなんて…(前世のゲームで見たスライム系エロゲで見た場面を…あ、あそこの子は乳房が丸出しになってー…その隣の明るいオレンジ色の元気な子はちょうど大きなお尻がこちらに向けて突き出される姿勢になってぇ…こんなのを現実に見れるなんて眼福だけど…何とかしないとー…でもなんかどこかで見た覚えがあるんだけど何故ー…?)」
今回はそれがピンチを招いた状況に、ユピタはまだ捕まっていない他の人々を逃しつつ、自分の頭上で触手に捕まれて衣服を溶かされて、スライム体液には媚薬に似た成分が混じっているのか艶を帯び始めた様子で悶え始めている女性達に魅入られそうにもなったり、既視感を覚えたりもしてしまう。
「ええい! たかが調味料用の家畜が調子に乗りおって! 俺が核を槍で穿ちぬいてや―――!」
「マヨォオオオオオ!!」
「きゃあァ!?」
「―――あぁ!? 卑劣な!」
遅れて現場に駆け付けたアテナが巨大化スライムの薄っすら見える核の部分へ投げ槍をしようとするも、捕まえられている少女の一人を振りかざして彼女を悔しがらせる。
「あーもう! うちのヤリチビといいこういう助平野郎ってどうしてこんな悪知恵ばかり働くわけ!? 見た目は金色に近いのに中身は腹黒ってわけ!?」
「いやいや! そんな形で僕にまで当たらなくても…ん? 金色? 何かますます――――」
「あー! ユピタさん来てますよー!」
続けて到着したアルテミスの悪口にユピタはよそ見しつつもますます既視感を強く覚えるが、ヘスティアの警告通り巨大スライムの触手の一本が彼に襲いかかった。
「チイイイイィズアアアァア!!」
「―――ううって危なぁ!? うわ! マヨネーズやチーズの味と匂いのする金色の体液がぁ周囲に飛び散ってぇぇ…え、確かこの光景ってぇ…!?」
その触手攻撃を間一髪で回避したユピタだが、それで地面を粉砕して土煙と共に周囲へ雨のように細かい水飛沫となって飛び散る黄金色の体液の数々でようやく既視感の理由に気付く。
(…あ! 思い出した…この細かい金色の液体…確か大学の授業で聞いた神話原典での僕が金色の雨に変身して幽閉中の女性の所へ行った時のイラストと似てるんだー…!?)
だが、ユピタがそう気付いた直後、飛び散った体液は彼の身に飛びかかって集まり、瞬く間に肥大化して再び本体と繋がって彼も捕えてしまう。
「ああ! あいつも捕まったわぁ!」
「まさかこんな器用な戦い方もできるなんて…魔物のくせになんて奴だ―――」
「マァアアヨオオオ!!」
「チイズアアアアアア!!」
「―――あああ!?」
それにアルテミス達が驚いた次の瞬間、巨大スライムから狂ったような歓喜を伴った強大な咆哮が発せられ、それらに伴って発せられた魔力の衝撃波は彼女たちを吹き飛ばしてしまう。
そして、巨大スライムはその質量と威圧感を更に大きくしながら動きも速くなり、大蛇のような動きで地面を踏み荒らすように高速で駆け抜けていって迷宮の入り口の一つへ向かっていく。
「な、何なのあの魔物…!? 急に速くなって…強くもなって…ええ!? こっちに来て…きゃああああ!?」
その時、迷宮の入り口より地上の騒ぎが気になって出てきたヘラが怯えを隠せない表情を浮かべるが、次の瞬間に彼女も迷宮へ飛び込んできた巨大スライムに飲み込まれ、その巨躯もろとも奥の闇へ消えてしまう。
「あぁ!? ヘラお姉ちゃんまでぇ!?」
「おい! あいつが逃げ込んだのはまだこの迷宮で調査が住んでいない区域だぞ!」
それを追ってきたアルテミス達は悲鳴交じりの声を上げる中、彼女達を前にした迷宮の未探索区域の入り口はせせら笑うように冷風を彼女達へ浴びせた。
次回、本作名物の肉食女子系主体パートに入ります。
ちなみに、今回出てきた本作主人公の前世知識由来の料理の元ネタは、こちらのX(Twitter)に載せていますので、興味がある方は見てくださって良いです(https://x.com/kaioosima/status/2018709766852301279 https://x.com/kaioosima/status/2018708686214955434)