輪廻の輪の転生ゼウス~前世知識に基づいてギリシア神話で穏便生存(?)ルートを目指したら…~ 作:oosima
○神代 黒海某沿岸 アマゾン国某所 某集落○
「あんた達の頭でもわかるように結論から言っておくわ!! こんな戦を続けてもあんた達じゃ全滅するだけだからこれ以上は止めて故郷に帰ってもう侵略なんてやめなさい!!」
「「「「「!!!!????」」」」」
アマゾン国へ侵攻するも同国軍の作戦で味方が大勢死んで恐怖し動揺しているケンタウロスの前で、アルテミスが拡声の魔術符を用いたユピタ考案のメガホンを用いて堂々とした態度で彼らに宣言した。
「…あんた達のことは一通り調べさせてもらったわ! その無駄にデカくて足が速い身にものを言わせて周囲からの略奪で暮らしているってことを逃げて来た女達からの話でね! こちらの村々を荒らしてくれた償いはそこで血肉の山となっているあんた達の仲間で済ませてあげるわ!」
崖の上から聞いてくるケンタウロス達の前でアルテミスが指さしたのは、彼女達アマゾン軍側の作戦で崖の下の岩場に落とされて何百と重なってしまっているケンタウロス達。
「…ぅ…ううぅ…」
「痛いよぉぉ…」
「た…助けぇ…」
その崖下に積み重なっているケンタウロス達のほとんどは絶命しているが、少しは生き延びて苦悶の声を上げていた。
「そこの山になっているあんた達のお仲間にもまだ生きている連中はいるわ! 今すぐに手当てをすれば助かるからこんな馬鹿な戦争はすぐにやめて故郷に帰りなさい! 癪だけどあんた達の身が持つ速さと膂力は大したものがあるわ! 略奪を止めて正業で生きていくならあたし達の国が持っている技術や種を分けて平和に暮らせるように手伝ってあげる! もしもそれを断って戦争なんか続けてもあんた達じゃ全滅よ! これすらもこっちが沢山用意してある切り札の一つに過ぎないわ!!」
「「「「「…!!!!!!」」」」」
アルテミスの宣言にケンタウロス達の恐怖と悪寒は増していき、崖の上で仰け反って後ずさり始める。
これまで多少の苦戦や小規模な戦いでの敗北はあっても、このような大きな戦いでここまでの大損害など彼らには初めてだったのだ。
その体からくる膂力と機動力で自由奔放に周辺勢力を荒らし続けてきたケンタウロス達にとって、この作戦で受けた被害はそのうぬぼれていたメンタルを大きく減衰させるには十分過ぎた。
「…よし、何とか上手くいきそうね…」
「でもさあ、ここまで準備しておいて残りは追い払うだけって甘くない?」
「そうよねぇ、特にこの先の王都の方やそこまでの道には色々準備をしたのに…もったいないというか…」
「あの二人が来るまでこっちは散々被害を受けてたんだからその分をやり返さないと…」
「無茶を言わないでよ。まだ死人は出てないけど普段の戦みたいに死人が大勢出るのは嫌よ」
「うちらの軍師殿も“戦わずして勝つが最善”っていう昔の偉そうな人の言葉を言ってるじゃん」
「…い、いやー…今回はもう戦争自体が始まっていると思うけどー…」
そうして怯えの色が眼に見えてわかるケンタウロス達に、アマゾネス達は不満や安堵など様々な反応を見せ始めた。
「そうよーケンタウロスの皆さーん! これ以上続けてもーあなたたちじゃーもっと無様なことにしかならないから~帰った方が良いですよー!」
「「「「「…え??」」」」」
そんな感じで片方が沈黙してもう片方はひそひそ声のおしゃべりになって互いに手出しが止まる均衡状態になりかけるが、それを崩す存在が現れた。
「今さっき死んだお仲間さん達の分をまた取り返すのにも時間がかかりますしー! 今そっちの死体の山の中にもまだ手当すれば助かるお仲間さんもいますよー! そもそも戦争なんて失うものが多いばかりなんですからー! それよりもそんだけ良い体をしてるんだから真面目に働いた方がその馬並みの一物もあってすごくモテますよー! こっちでちゃんとした仕事を習って甲斐性を身に付ければ“きゃーステキー!”とか“頼りになるー!”って感じにモテますよー!」
その明るくも懸命な感じで宣言を出しているのはヴィーナで、意外と言っている内容も彼女らしい軽い調子は混じるが真面で且つ魅力的なものがあった。
但し、その美貌とナイスバディで、クレーテー島にゼウスとして暮らしていた頃のユピタがこっそり作成した図面を基に作り上げた、皮革製高露出度ビキニアーマーであることを除いたらである。
「…ふふふふざけんじゃねえ! ここまで舐めた真似をされて引き下がれるかぁ!」
「テメエら! あいつらをやっちまぇ!」
「あそこにいるあいつらをとっ捕まえて殺された分以上に産ませて数を取り戻すぞぉ!」
「仲間の仇だぁ!」
「あっちなら崖の下へ降りられるぞ! すぐに仲間を呼んで来い!」
当然、そうなればケンタウロス達はその体からくる馬並みの一物をおったて、色々と本音と建前が混じる咆哮を上げながら崖の下へ続く道を下りだした。
「…あれ? 失敗しちゃった?」
「そんな煽るような格好してたら当たり前でしょうが! あたしも一緒に加わるからあんたも殿しなさい! 皆ー! 王都に戻るわよー!」
素で不思議そうな顔になるヴィーナにアルテミスは怒鳴りつつも即座に撤退に移った。
「…上手くいくと思ったんだけどなー。仕方ないわねー…じゃ、
周囲のアマゾネスが馬に乗って退いていく中、ヴィーナは口からシャボン玉を出し、そのシャボン玉は巨大化して彼女とアルテミスを包み込むと、内部がバイクの搭乗席のような形となって二人はそこに乗り込んだ。
「さー出発ー!」
「…あんたとあいつって本当に色々考えるわねぇ」
二人が乗り込んだその巨大シャボン玉の泡車は下の方に幾つかの泡を生じさせ、それが高速で回転してアマゾネス騎兵やケンタウロスに引けを取らない速さで駆け出した。
その中で、アルテミスは後ろ向きに座って崖の下に降りて追ってきているケンタウロス達に、先ほどのように弦と矢がない弓を構えた。
「はい、割れないように穴を開けておくからそこから射てねー」
「…あいつがあの晩の隠れ浜で見つけた“星の石”から取り出した鋼も用いたこの“魔弓”…、何度使ってみても本当に凄いと思うわ…っ!」
アルテミスがその弓の魔弓を泡車に生じた穴を通してケンタウロスに向けて弦を離したような動作を見せると、ヒュンと小さくだが風を切る音が響いた。
「ギャアァ!?」
「っ!? 先頭のが一人やられたぞ!?」
「頭にデカい矢が突き刺さったような穴が血を噴出して死んでる!」
「馬鹿な!? 矢がねえのにどうし…ギャアァ!」
そのほぼ同時に追ってくるケンタウロス達は先頭から謎の大穴を開けながら死に出した。
「…風の魔術を生じさせたり、それを助ける術式を施したこの魔弓なら確かに矢の補充はいらないのが良いわね。矢の代わりに魔力を使うから強い魔力や、それの補充用の魔力符を多く求められるけど矢をたくさん用意しないといけないよりかは良いし。まだそこまで量産は出来ないけど…」
ケンタウロス達を襲う謎の死の正体は、アルテミスが魔弓で周囲の大気を集めて圧縮して魔力で強化や振動を与えて撃ちだしている“風属性魔術の見えない矢”であったのだ。
これはユピタがアテナと協力して作成した武器の一つで、今回のケンタウロス族との
「皆ぁ怯むなぁ! やられていってるのは少数派だぁ! この数なら何人かは追いついてあのような弓でこんなことを多分してるあのガキを捕まえられ…ギャアァ!?」
それでもケンタウロス達は驕慢な蛮勇と数にものを言わせて殿をしているアルテミスとヴィーナとの距離を詰めていくが、そこで周囲の茂みから太く長い蔓が無数に幾重にも伸びてきて絡み合ってフェンスのようになって、その先頭を止めてしまう。
「ぐえええ!?」
「と、止まれぇ! 潰されちまうぞ…ギャアァ!?」
「こ、これ結構丈夫だぞぉ!?」
そうなれば先頭のケンタウロス達は絡みとられて止まってしまい、急な柵の登場で減速できなかった後続達も次々と追突し、その速度と質量もあってまた骨肉がひしゃげて腸や骨が悲鳴と共に露になる。
「やった! やりましたよー!」
「凄いですね! この違う属性の魔術を合わせる研究の進展で、地属性と水属性を合わせて進んだ“植物を操る魔術”は! これならユピタさん達ほどではないにせよあの人達以外の皆にも植物を操る魔術は使いやすくなりま…あぅ❣❓」
そこで別の茂みに隠された見張り櫓よりアマゾネスの待ち伏せ部隊も降りてきたが、彼女達はアルテミス達に合流したところで声に艶を帯びて少し内股になってしまう。
「よーし! 皆ーここで足止めできている内にまた駄馬共の数を減らせるだけ減らすわよー!」
「よし! 弓矢を浴びせてー!」
「長槍を蔓の隙間に突っ込んで仕留めるのよー!
「ギャアァ!?」
「き、きたねぇぞ…ぐふぅ!?」
「…うーん、やっぱり戦争に勝って皆を守るために必要とはいえ…食べ物を無駄にするのは嫌よねー。特にこの“ゴーヤ”って言うのはユピタほどじゃないけどご立派で且つ凹凸も良い実を多数ならしてくれるのにー…」
「あんたは今もその足の付け根に無駄に凝ったものを突っ込んだままでしょ」
そこで退いていたアマゾネス達が一旦止まって足止めを受けたケンタウロス達を次々と仕留めていく中、ヴィーナはその蔓から落ちたその長く太い緑色のイボイボが無数に付いた“ゴーヤ”というユピタが持ち込んだ作物の一種の実をとってもったいなさそうにし、アルテミスにジト目を向けられて呆れられた。
「失礼するわね。これだって戦争から皆を守るための工夫だし、あなたたちだって同じく入れている状態でしょ」
ヴィーナがそれに不満げな顔を浮かべて皮革製ビキニアーマーのショーツのクラッチをずらすと、そこにはアルテミスの魔弓と同じく“星の石”を一部用いた、彼女が愛する男のものを模した魔術仕込みのディルドが突っ込まれている状態が晒された。
「…う❤️」
「そ…それはー…」
「しししし仕方ないでしょ! 戦争に負けてこの子を含めて皆が死んだり奴隷にされたりしたら全部が無駄になるんだし! ややややヤリチビつっても魔力は凄いんだからそれは使えるだけ使わないとーー…それにあたし達はあんたほど無駄に大きいものは入れてないわ…ってもうそろそろこの柵も破られそうだから次に行くわよ次に!」
それを見せられて自身の足の付け根を指さされたアルテミスは顔を真っ赤にして下腹部を大事そうに撫でながら内股になるも、戦況分析は冷静で周囲の羞恥の色を見せるアマゾネス達を仕切って再び退き始めてまたケンタウロス達との距離を開けていった。
次回、今回のお話に出ていた大人向け要素の理由解説も交えて、主人公の今の様子も見られます。