輪廻の輪の転生ゼウス~前世知識に基づいてギリシア神話で穏便生存(?)ルートを目指したら…~ 作:oosima
今回、この時代(?)の技術的にありえないシーンが少しありつつも、大規模な戦闘が終わった後の様子の一面が中心になります。
それとノクターンの方で総合評価が600ポイントを越えました。応援ありがとうございます。
これからもノクターンの方も含めて時間が出来た時にでも応援をよろしくお願いします。
○神代 黒海某沿岸 アマゾン国 王都○
「はーい、降伏してお縄に掛けた連中はあそこに連れていってー!」
「死体はこっちの穴に入れてねー」
逃げ出した本陣付きのケンタウロス達が無残な最期を遂げて数時間後、勝利した側のアマゾネス達は喜びつつもその後の戦後処理を進めていっていた。
「…しかし、凄い戦果です…。こちらは4000人参戦して被害は死者が54人で負傷者は123人に対し、打ち負かしたケンタウロス達は七千人以上いたのが、今は確認しているだけでも死者が5521名、捕虜にしたのが785名…」
「戦争は死人が出るなど当たり前ですが…ここまで死者が出るというのは…それもこんな一方的に…私私のこれまでの知見にはありません…」
その戦場の跡をアマゾン国女王アウラは多数の護衛に守られながら見て回っており、彼女達はその詳細を知るにつれて、この戦場を産みだしたあの功労者たる若者に畏敬と畏怖のどちらも覚えるようになっていた。
「大将ー! ニンニク三百個お持ちしましたー!」
「卵百個足りませーん!」
「ニンニクの方はヘスティアに回してー! 卵の方はヴィーナに問い合わせてー!」
一方そのアマゾネス達から畏怖と畏敬を集めている最大の功労者ユピタは、彼女達に混じって厨房で戦勝祝いのための料理の調理のため厨房に混じって共に汗を流して鍋やおたまを振るっていた。
「あ、あのーユピタ様ーもう御体を休めてもいいのでは―? 戦闘中も各所への指揮や支援だけでなく実際の戦闘にも加わってあれだけ働いた後なのにー?」
「あーヘラ大変だけどまだまだ大丈夫。もっと大変なのはケガをしたりそれで亡くなった身内がいる人たちだからー…あぐぅ!?」
その前世日本人的な
「だ、大丈夫ですか!?」
「…だ、大丈夫…少し立ち眩みしただけー…そ、それよりも運よく零さずに済んだ…このー…ゴーヤと卵と豚の炒め物をー軽傷の皆に
先ほどまで宝石のように光る汗を多く滴らせつつも元気溌溂とし続けていた様子のユピタの急な不調にヘラは慌てるが、ユピタは彼女を宥めると別方向に薄朱色になって焦燥を覚えた顔になって、その何名かがすっぽり入れそうな巨大中華鍋のような鍋をその場において内股の早歩きでその場を去っていった。
「…うわ! あんな小さな体でこれだけ大きなものを振るって…しかもこれだけ作っていて良い匂い…な、何とか私も持てるけどー…うわわ!?」
「あーもー大人しそうな顔と小さな身に似合わない魔力と膂力があるのは認めるけどあまり無理するんじゃないわよ。私がいなかったらこけて中の炒め物が台無しになってたわよ」
「…あ、どうもありがとうございます
その素早い動きに驚きつつもサイズに大きな違いのある女性二名はユピタが残したものを上手くさばいていく。
「
「ありがとうね。あの坊やと一緒に暮らすここには美味しいものが増え続けてこっちの舌も肥えていってるから助かるわ。よその国にいた頃ならあそこでたくさん転がってるケンタウロスの死体でも食ってるだろうけどー、そういうのを思うとあのユピタ坊やの泣きそうな顔が自然と思い浮かんで食欲が萎えるし。それにこの子にも悪そうだしー」
「…え、えぇ…そうですね…」
二人は和やかな親しみも深め合っている空気で料理をさばいていくが、ヘラは
(…この国の中心を担う人たちであるアマゾネスの皆さんは先祖が受けた呪いのせいで女性しか生まれないから、服属させている他の族の村に住んでいる有望そうな男の人に子作りを協力してもらっているのは納得できる…。その中でユピタさんは体は小さくて子供のように見えるけどー…とっても助平で男の人の象徴は凄く立派でー…ってそっちじゃなくて! すごく綺麗で力や魔力がすごくて頭も色々な道具や今回の戦いの作戦みたいに思いつくくらいに頭もものすごいしー…。あ、あれだけ凄い子なんだからー…
そうしてヘラは調理をしながらも何度目になるかわからない妙な既視感や懐かしさのある暗い情念や独占欲と、それらに対する違和感や嫌悪感を生じさせて頭をぶんぶん振るが、そこで都を見下ろす山の中腹の茂みより何かぎらついて澱んだ視線のような気配を覚えてゾクッとしてしまう。
「ヘラ?」
「…あ、いいえ! 何でもないです姉様! ささ! 皆さん“ゴーヤと卵と豚肉の炒め物”でーす! 内臓に怪我がない人はどうぞ―!」
それで思わず料理を零しそうになったが、ヘスティアのキョトンとした問いですぐ我に返ったヘラは怪我人へ自分が任された料理を人々に配った皿へと盛っていった。
「うー! このゴーヤってそれだけだと苦いけど他のものと合わせると味に深みを増させるよねー!」
「他にもあの人が教えてくれたゴーヤのカーテンとか意外としゃれているし、あの苦みと香りのおかげで虫よけにもいくらかの効果があるしねー」
「風邪とか病気にも良い滋養になってくれるしねー」
「だよなー、卵や肉もこれだけとれるようになるなんてー、その作物の餌にもできる美味しい作物がたくさん採れるようになったしねー。それもあの人のおかげだよねー」
「“ガーリックチャーハン”出来ましたー!」
「ううー! このニンニクの味わいと焼いた米の香ばしさにあの人が持ち込んで地下農園で作れるようになった“黒胡椒”を始めとする香辛料の香ばしさがたまらないー!」
「麦があるのに何でわざわざこんな米なんて水をやたらと使って空気の冷たさ温かさにも気を付けなくちゃいけないものを育てなくちゃいけないんだって最初は思ったけどー、やっぱこのご飯って蒸しただけでうまみが増すのが良いよねー。どんなおかずにも合うしー」
「本当に凄いっすねーあの子ー! ただー、気になるのはー…」
激闘やその後の復旧作業で腹を空かせていた女戦士たちにはそれらの料理は、神官たちが言い聞かせる
「…ぅ…ううぅ! う、うめえよぉぉぉ!」
「こんだけ旨いのがこの世にあったのかぁ!? がつがつがつ!」
「あ、ありがてぇ!」
「…な、情けないぃ…! た、頼りとすべき同胞に見捨てられてぇ…敵からの施しでぇ腹を満たすなどぉぉ…」
「何であいつらまでこの御馳走を食えているわけ!?」
その不満が現れている視線の先には、お縄に掛けられつつも最低限の手当てをされて、彼女達が食しているものよりコスト的な問題でより簡単な感じはあるが、基本は同じ料理を口にでき、それに感謝や恥辱の涙を流しているケンタウロス捕虜チームの姿があった。
「まあ、皆で落ち着け。本来ならああして捕まえた連中は何名か生贄にした後で奴隷として働かせるか他所に売り飛ばすが普通だが、そうしようとするとユピタがそれをしたら生き残りが激しく抵抗してこちらの被害がより増すと言われてみればーな感じなことを言いながら、こっちまでなんか後ろめたさを覚える悲しそうな顔を浮かべてくるからな。実際、あの旨い食事でケンタウロス共の口も緩んで色々と楽に白状させられるから都合がいい。それにー…」
「それに?」
「…ユピタも言っていたがー、何というか今回…襲撃してきたケンタウロス達は…何かに急かされていた…というより、怯えて必死になっていたという顔をしていた…。実際、あいつらもまだすべてを話しているわけではないが、何かに怯えて急かされているようなのはわかってきた…。もしかしたら…、まだ何かが有るかもしれない…」
そうしたこの人権意識E---なこの時代では真っ当な不満にアテナはいくらか同調しつつも宥めすかしながら、まだ警戒を消しきれない表情で、ヘラが恐れを生じさせた眼差しを向けたのと同じ方角を見やった。
(…もしかしたら、ユピタが…“せっかく作ったのに使わないのは勿体ないから復旧作業で使おうか”とぼやいていた
そして、次にアテナは城内の奥にある研究施設の一角に何枚もの壁や陣幕で隠されている
「…ち、生き残った連中も手なずけられ始めやがって…。だったらもう…全部俺が食ってあの女共に産ませまくって仕切り直しだな…」
一方、ケンタウロス軍本陣の諸将達が逃げ込んだ先にある山林の奥地にて、アテナ達がいる都を見下ろすその馬頭の存在は、口からペッと馬と人のそれが入り混じったようなケンタウロスの骨を吐き捨てた。
次回、久々の大人向けシーンも混ぜつつも今回も話の終わりでやばそうな気配を見せた敵とのバトルパートにも入る予定です。
それと、今回のお話で登場した料理の元ネタはこちら(https://x.com/kaioosima/status/2066686086882173099)に載せています。