~後日~
◯
~2時限目と3時限目の間~
……じゅるぅ、じゅぶるるぅぅ
「ん、んんぅ、んっく……ぁ、んぅ、れるれろ」
「……八奈見さん、もう出るッ」
「ーーッ……ん、んぅ、じゅぶるぅ……ぁ、んぅ、いいほ、らひへ♡」
「……出、出す!」
……どびゅッ!ごぶびゅ、びゅるるぅ、ぶびゅるるるぅ…………こく、コク
「んっ♡んー♡んふ、ごくっ、ごくっ、ごきゅっ♡」
「はぁ……はぁ……」
八奈見さんは喉を鳴らして精子を飲み込む。そして、最後の一滴まで搾り取るように奥に残るのも吸い上げてくる。
刺激に耐え切れず射精、少ない休み時間でもう二度も効率的に抜かれてしまった。
抜かれてしまったが、それでもなお八奈見さんは離そうとしない。
出したのも、奥に残るのも吸い出してなお丁寧に舐め回し、唾液を嚥下。
すぼめた唇を強く締め付けながら、ゆっくりと顔を引いて亀頭が露になる。
唇が、先端に触れて、そしてようやくちんぽから離れる。
口の端についた精液をぺろっと舌でぬぐう様は性行為のあととは思えないほどにあどけなくてあざとい。つまり、可愛い。
「美味しかったよ……でも、まだ出るでしょ♡」
「……サキュバス」
「あれ?ラッコじゃなかったのかな?」
……くちゅ、ちゅ
キスを何度も先端に、剥き出しの亀頭に八奈見さんの唇がたくさん触れている。
一番敏感な場所で女の子の潤った唇の質感を知ってしまった。夢にまで鮮明に浮かぶほど
「楽しいよ、フェラチオ……温水くんも好きでしょ」
「ひ、人並みには」
嘘だ。もう、毎日され続けて八奈見さんのフェラチオなしでは性欲が溢れてくるってしまう。
八奈見さんの、口の良さを知ってしまった。一人でしごく快楽なんて、口でしてもらえる快楽に比較したらなんとむなしいことか。
だから、勃起は常に起きる。簡単には萎えてくれないし、萎えたいと思わないのが今の自分の体である。
すでに限界なのに、この人のためにと体が懸命に精を捧げてしまう。
「すぐ元気になる。温水くんのおちんちん、素敵だね♡」
……くちゅ、ちゅ♡
八奈見さんはフェラが好き。そして、その好きは容易に満たされない。
性経験を得た八奈見さんは、ゴムがなくても場所を選ばず可能な性行為、性欲と空腹を同時に満たすフェラチオなる行為がお気に召したみたいだ。
だから、今日も朝から執拗に、暇さえあれば今いるここ非常階段でさえ咥えたがる。他にも、トイレ、部室、物陰になる場所ならどこでも舐めたがるし、飲みたがる。
「ね、ぬっくん……しよ?」
「……」
欲求はすさまじく、飲んでも飲んでも底を見せない。
「わ、わかったから……どうぞ」
「んふふ、フェラチオされるのも慣れちゃったね」
「誰のせいだと」
「ん、私のせいだね……私のフェラチオが可愛いからだね。役得だね」
「ありがたくは、思ってます。……ほんと、役得すぎて申し訳ない」
「謙虚だね、温水くん」
「……過ぎた欲望は身を滅ぼすと相場が決まってるから」
「ふぅん、だから触ったりしないんだね……頭さわりたそうにしてるけど、いつも途中で止めてる。足に当たるおっぱいも、意識しないようにがんばってるし」
「……ッ」
全部バレている。それとも自分が分かりやすすぎるのか
「ねえ、フェラチオ……だけでいいの?」
「え?」
問いかけ、上目使いで階段の下に位置する八奈見さんは僕のちんぽをつまみながら聞いてくる。
指先で弄られて、固さを帯びて先走りを垂らすちんぽに目が行く。舐めるなら舐めて欲しい、唾液が乾くのがもどかしい。
そんな、こちらの心境を見透かしているように、八奈見さんは余裕のある顔でにこやかだ。なにを言い出すつもりなのか、それは、何となく察してしまう。
八奈見杏菜は負けヒロイン、だけど自分と二人きりの時だけはまるでエロゲのヒロイン。フェラ好きのヒロインだ。
そんな主語のあなたが発する台詞は、想像するに難しくない。
「フェラチオ、してあげる……おまんこでエッチした後のおちんちんを、優しく丁寧に舐めてお掃除フェラしてあげる。あの時みたいに♡」
ほら、やっぱりだ。
フェラ好きヒロインの八奈見杏菜は平気でこんなことを言ってみせる。
平気で、爽やかにランチを共にする気軽さでインモラルな提案を持ちかける。
「でも、流石にわるいし」
「なにそれ?我慢して紳士になってるつもり?……にひひ、素直になりなよ♡」
「で、でも」
「……私で童貞捨てたくせに♡」
「!」
ずるい、その台詞は反則だ。自分の癖に刺さりすぎる。
捨てたところで魂の童貞臭さは抜けきらない。
刺激的な誘惑に、内に作った紳士はまたも砕けて消え去った。
抗えない。抗っても、八奈見さんには敵わない。
「昼休みに……なら?」
「うん♡したい♡……昼休み、ギリギリまでしよっか♡……だから、我慢しないとね。今、もうあとちょっとで……ッ」
「や、八奈見さん」
「わかってる、わかってるよ温水くん……ちゃんと、待つから」
待つとは言うが、あと授業は2コマだけどもう我慢の限界が来てる八奈見さんはきっと待ちきれない。
ゴム臭ただようチンポを腹の中で味わう喜びを知っている。そんな八奈見さんにとって、フェラチオは押さえつけるための蓋だ。
蓋がなければら八奈見さんはそれこそどこでも本番行為を求めてくるだろう。
外見でこそ変化はない。周りも知らない。皆いつも通りだと思っている。
多淫な八奈見さんは、自分だけが知っている。独占を許されている。
「ギリギリなら、いいよ……どうぞ、好きにしてください」
「え、いいの?……連続は辛いって言ってなかったっけ?」
「……今日だけだよ」
「やったぁ♡……温水くんありがとね♡」
「……ッ」
その体と心は淫らに代わり、発散する相手に自分なんかを求めてくれる。
まるで、本当にエロゲのヒロイン。だけど、現実に接してくれる八奈見さんには決められた定型文は無い。
心がある。
心から淫靡に染まり、生々しい体温をもってこちらに寄り添う。
画面の向こうじゃない。今、自分が手を伸ばせば届く位置に君はいる。
「……なに?触りたいの♡」
「あ、いや……ごめん」
「ふふ、べつに嫌じゃないのにさ……もうエッチした相手なのに」
「……呆れて、る?」
「呆れるけど、呆れないよ……だって、温水くんだし」
「理由になってない」
「じゃあ、なんで呆れないか温水くん、はわかる?」
「……それは、その」
思考を巡らせる。でも、うまく回ってくれない。射精後の賢者だからというのもあるけど、その答えを導けるほど人の心を表す語彙が無い。
言えない。答えを書けない。
「……ひゃ!?」
……くちゅ、ちゅぷ
「!!?」
不意のキス。だけど、場所は下。
敏感な先に八奈見さんはきすをして、少し開いた唇で先をついばむ。
擦れる前歯の質感。ぷるぷるした唇が先走りの滴を潰して唾液に溶かす。
……くちゅ、ちゅぷ
「!」
糸を引く。
八奈見さんの舌先が出て、口の回りを舌舐めずり。
丁寧に、先走りを吸ってお掃除。
唇で亀頭の湿り気が奪われる。
外気に曝され乾く先、さらさらになる性器の表面に少し乾いた唇が張り付く。
「……はむ」
「!」
先っぽをあまがみ、更に咥えて全部吸い取る。そして舐め回す。
「……ちゅぷ……れろぉ、れるれりゅ、んぅ……あむ……んぐ♡」
「うぁ……!」
「……ふふ」
射精後の敏感な先端に湿った粘膜の接触は拷問だ。
だが、そんな絶頂直後の敏感おちんぽを余所に八奈見さんのフェラチオは続く。今度は下の裏筋を舐め上げながら喉の奥まで迎え入れたかと思うとまた亀頭だけを咥えて唇を前後させる。
まるでストローでジュースを飲むみたいに、口内に溜まった唾液を吸い上げて飲み込むとまた先端を唇で包み込んで愛撫してくるのだ。
「ん……ちゅぷ♡れろぉ~♡」
「……くっ」
「ふふ……温水くん可愛い声出てるね♡」
「……ッ」
「あ、我慢してる。もっと聞かせてよ……あむ、ちゅるぅ♡」
八奈見さんのフェラチオは続く。今度は竿の部分を手で握り、しごきながら吸い出してくる。
「ん、んく……コク、コク」
「……ッ」
当たり前のように精液を飲み干す。
丁寧に、尿道に残るもの全て八奈見さんは頂いた。いや、頂いてくれた。
他人に受け入れられるというのは人の喜びの代表格だ。
きっと、これはその中でも最上級だろう。
「――ッ」
恥ずかしいから口にはしない。でも、これだけは間違いない。
八奈見さんに飲んでもらえるの、本当に本当に本当に嬉しいことだ。
「ありがとう、八奈見さん……ほんとうに、ほんと…………助かります」
おべっかじゃない。自然に、心から出でる言葉。
だから、本音をお漏らししたみたいで、言った後に恥ずかしくなる。
八奈見さんは、そんなこっちの反応をみて、実に良い顔だ。
満たされた顔をしている。
「そういうとこだよ、温水くん」
「え?」
二度は言わない。水を飲み口を清め出で立ちを直す。
膝立ちで、腰をまげていたのだろう。立ち上がるやその場で伸びをした。服越しの胸の膨らみが強調されて少し目の毒だ。
八奈見さんに目を奪われてしまっている。
ずっと、目を離せないでいる。
「次の授業はじまるね。先、戻るから」
「……うん」
「お昼、たのしみだね」
去り際、八奈見さんは目を細めて、少し恥ずかしそうに笑っていた。
にやけが落ちない顔のまま八奈見さんは教室に戻るのだろう。だけど、上機嫌な理由はきっと誰も気づかない。
軽やかな足取りも、何もなくても浮かべる幸せな、満ち足りている自然な笑みの理由を、俺だけが知っている。
fin
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