※この作品はR-18です。

負けヒロインがエロゲヒロイン過ぎる!   作:37級犬築士

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久しぶりの投稿、新章入る前の幕間です。

抜き要素少ないかも

※あとがきに宣伝あります。


(30) 八奈見さんとカラオケに行こう ※一曲も歌いません

 

 カラオケ屋のアプリをダウンロードした。支払いが安くなるから入れたけど、今後活用するとは思えない。だから、支払いが終わったらスマホの容量を考えてすぐ消そうと思っていた。さっきまでは。

 

 俺に歌う趣味なんてない。でも、この空間は有用なのだと、その点だけは理解出来た。

 

 

……じゅる、じゅるりゅ、れるれる……びゅ、びゅびゅッ……っく……コク、コク♡

 

 

 俺たちは今、カラオケルームを悪い目的の為に利用している。

 

 

 

 

 

~佳樹編から数日経過~

 

 

~放課後、駅前広場

 

 

 何でもない帰り道、だけど隣を歩く八奈見さんの様子ばかりが気になってしまう。

 

 皆といる時は何もない。ただ、二人きりになると妙に、掴めない。不機嫌でも、避けているわけでもない。

 

 妙に、落ち着き過ぎている。

 

 

「……佳樹ちゃんとはあれからどうなの?」

 

「?」

 

 質問をされた。

 

 今いる場所は駅前の広場、八奈見さんの空腹を気遣ってちょっと食べに行こうと提案。

 

 フードトラックを前にして、八奈見さんは質問を優先している。離れようとした俺を止める為に、しっかり手首を掴んでいる。

 

 逃がさないようにして、聞いてきた。

 

 

「それは、佳樹がプレゼンした通りだけど」

 

 朝、そして夜、おはようやおやすみのキスをする感覚で佳樹はご奉仕行為をしてくる。断ると駄々をこねて拗ねる。最近ますます妹に甘くなってる気がする。

 

「……気まずく無いの?」

 

「無い……不思議と」

 

 思ったことを正直に話した。八奈見さんは特に表情を帰るでもなく鼻で平坦な返事を返す。

 

 しかし、捕んだ手は少しだけ落ち着きが感じない。やはり、気にかけていたのか

 

 つい先日のこと、日曜日に佳樹と一線を大いに超え、そしてそれを文芸部の三人の前で共有した。

 

 結果俺は今八奈見さんと焼塩と小鞠と、そして佳樹と身体の関係がある上で平穏な日々を過ごしている。

 まあ、平穏なというにはかなりインモラルな日々を過ごしているけど。

 

 感覚が麻痺してしまう。冷静に考えればしていることは当然問題行動だ。軽蔑されても仕方ないまである。

 

 でも、それを言えるのはこの関係の中には誰一人いない。そこにはもちろん八奈見さんも含むし、その事は当然理解しているはず。

 

「……佳樹ちゃんとエッチしてる」

 

 ぼそりと、小さく聞いてくる。外とはいえ人の往来だから、でも小声になってしまったからか妙にどきりと胸を刺す。

 

 どこか、寂しさ訴えてきているように見えてしまうからだろうか

 

 

「ねえ、佳樹ちゃんとのエッチはさ、気持ち良いの?」

 

 

「……」

 

 

「気持ちいいんだね……そっか。良かったね」

 

 

「あ、あの……八奈見さん」

 

 

 捕まえたまま、手首を引いて曳航するように八奈見さんは歩き出す。

 

 

「お、怒ってるの?」

 

「怒ってはないよ、でも……ちょっとね」」

 

 

 声色は、平坦。

 

 抑えつけられた感情の機微は感じない 

 

「佳樹ちゃん、嬉しそうだし……私だってエッチしてるし、しないでなんて誰も言えないよね」

 

「……そう、なんだ」

 

「そうなの……だから、私は怒ってなんてない」

 

「じゃあ、いったいどういう気持ち?」

 

「…………なんだろうね」

 

「わからないんだ」

 

「ん、だから……行こ」

 

「どこに?」

 

「カラオケ」

 

「……」

 

 寄り道は行けないと思う。小学校の頃から学校の先生も言っていたし

 

「いいから、行くの」

 

「その、やっぱりその……歌うのは苦手で」

 

「温水君は私と今からカラオケに行くの。」

 

「……拒否権」

 

「優しくされるのと痛くされるの、どっちがいい?」

 

 人差し指で口の端を引っ張って、綺麗な犬歯を見せつけながら笑顔で八奈見さんは問いかけてきた。

 

 痛みを想像して若干前傾姿勢になった俺は、それはもう従順な、今まさに刑務所絵連行される犯人のごとく首根っこを掴まれて連れて行かれるのだった。

 

  

   ×   ×   ×

 

 

 きっかけは八奈見さんだった。

 

 八奈見さんとの関係が体の関係込みのモノへとアップデートしたのをきっかけにどんどん俺は一線を越えてしまって、今や実妹を含めて四人同時に関係を通じている。

 

 我ながら悪い男になったものだ。まあ、そこだけ切り取ればいかにも髪は金髪で肌も浅黒く筋肉質でウェイウェイと求愛の鳴き声を響かせていそうなヤリチン男だけど、でも現実はまったくそんなことない。

 残念ながらこの関係は基本的に受け身だ。八奈見さんも、焼塩も、小鞠も佳樹も、皆等しく男を絞りつくす夢魔の類に該当される。

 

そんな中で俺は基本的に受け身だ。ほぼ行為の主導権は皆にある。

 その証拠にほぼ毎回搾り取られて情けなく負け続けているし、その負けが心地よく感じられるし時には母性ある甘やかしで蕩かされるわけで、うん、自分がマゾだと認めたくない。

 

 

「……マゾじゃ、ないッ」

 

「温水君、嘘つきは泥棒の始まりだよ……悪い子♡」

 

 

……くちゅ……ぬっちゅ、ぐちゅッ

 

 

「——……ッ」

 

 認めたくはない。

 

 だけど、証明されてしまう。八奈見さんは真実を常に剥き出しにしてくる。

 

 

「おちんちん半起ち、皮でカリ首隠れてる……可愛い♡」

 

 

 

……くちゅ、じゅるるぅ

 

 

「————」

 

「ん、んふふ……即尺、されちゃったね♡」

 

 

……じゅぶ、じゅるじゅる……れる、ぬちゅ…………ちゅっぷ、ぐちゅぷッ♡

 

 

入室してすぐだった。

 

 曲を選ぶ機械を手に取ろうとしたらその手をはね除けて八奈見さんが足の間に入ってきた。

 見下ろす先には八奈見さんの顔がある。床にハンカチを敷き、テーブルを押しのけてスペースを作り入って、即尺のフェラチオを始めた。

 

 

……じゅる……れる、くちゅッ♡

 

 当たり前の様に剥き出しの性器に口を付けた。口の中では、舌先で皮をめくり唾液塗りながら漏れる液を吸い出してくる。

 

 躊躇いなく口を開けてチンポを味わえる女子、そんな八奈見さんだから、毎回主導権を委ねてしまうのかもしれない。

 

 その口に身を委ねれば、必ず快楽へと導いてくれる。

 八奈見さんの口はチンポの良い場所を完璧に理解してくれている。

 

 全幅の信頼を預られる。

 

「ん、んぁ、んむ……んぅ、じゅるるぅ、れぇるれるれぇ♡れるれろ、るれぇ……るぁ、んむぅ♡……ん、ちゅ、くちゅ……ちゅぷぷ、んぷ、んぅ、じゅる、じゅぶ、んぶぶ、んぇ、れるぇ♡……ぁ、んあむ、んうぅ、んくく♡」

 

 

……ぢゅるる、ぢゅぶぶぶ

 

 

……びゅる!

 

 

「ん……っく、ん……んふふ♡……早いよ、温水君♡」

 

「————」

 

 

 モゴモゴうごめく唇。閉じて、そして今開いた口には真っ白な歯とピンクの舌しか見えない。

 

 生々しい勃起したチンポを背景にして八奈見さんの顔がある。綺麗な顔、愛らしくて最近どこか色気を感じさせるその瞳。

 

 跪いて性器にフェラチオなる奉仕をしているのにもかかわらず立場が上にしか思えない。

 

「八奈見、さん……ッ……く、ぁあッ」

 

 見下ろしてなお、八奈見さんは上にいる。

 

 その小さな口で、自分は完全に手なずけられてしまった。

 

 

 

……ちゅ……れる、くちゅ……ちゅるッ

 

 

 

「!?」

 

「ん、はっむ……ぁむ、んむむ……ぁ、んぅ……おいひ♡……おひんひん、ん、あっむ……るれぇ、れるれる、れるれぇ♡……ぁっむ、んむんむ♡……じゅるる、じゅるるぅッ♡」 

  

 根元まで咥えて、執拗に舐めまわす。

 

 手首を掴まれて、膝に置いていた手は八奈見さんの頭に触れさせられた。八奈見さんの頭に手を添えて、その状態で何度も頭が前後している。

 

 危うくて、力なんて籠められない。

 

 

……ぐっぽ……ぬぷ……ぐぽ、じゅぐぽ……ぐちゅ、ぬちゅにちゅッ♡

 

 

だけど、向こうの方から寄ってきて離れて、激しい口淫がループする。

 

 八奈見さんの頭を掴んで無理矢理舐めさせている。そんな風に思えてしまって、だから余計に、快感が迸ってしまう。

 

「んん!……んふふ~♡……ん、んくぅ、くく……んぁ、んう……れる、るれぇ、れるれるれぇ♡……ぁ、んむぅ♡……ん、ぢゅる、ぢゅぶぶぅ♡」

 

「ひ……ぁ、激しい……それに、音ッ」

 

「————……ッ♡」

 

 

 にやける視線、すると八奈見さんは傍に会った操作盤を手に、何やら始めた。

 

 ろくに見もしないで慣れた手つきで、すると部屋中にメロディーが響き渡る。それは、本来この部屋では流れて当たり前な音だ。

 

カラオケ部屋ではじゅぼじゅぼれろれろ等と、性的な音が反響していいわけがない。

 

 

「ん、んぅ……んふふ……ぐちゅ、じゅるる————————ッ♡」

 

 

 前の利用者の歌ったと思しい曲で、なんとなくメロディーだけ知っている有名で流行りの曲に八奈見さんの口淫が上書きされる。

 

 音は隠された。なのに、それでもまだ音は体から伝わってしまう。

 

 

「……————ッ♡」

 

 

……じゅる、ぐちゅ……じゅぶ、ぐちゅぐちゅッ♡……ずりゅる、ずりゅるるるるるッ!!

 

 

「!?」

 

 躊躇いなく響かせる激しいバキューム音、下品に口をすぼめて何度も何度も頭を引いて押し込んで、八奈見さんはチンポを研磨してきた。

 

 舌の味蕾、粘膜、歯の凹凸、喉奥の壁、全部を使って快感を刷り込んでいく。

 

 無論、その快感はすさまじく、俺は歌うように情けない声を上げた。

 

 叫びあげるロックのサビと共鳴してしまったのは、要らぬ偶然だろう。

 

 

……ぐちゅ、じゅぶ、ぐちゅ、ジュポジュポジュポッジュポジュポジュポッッ!!

 

 

「————ッ♡♡」

 

 

 腰に抱き着く腕、足に八奈見さんのおっぱいを感じる。

 

 きつく抱き着いて、その上で小刻みに口を蠢かしてくる。食らいついて咀嚼するように、強く強く八奈見さんはフェラチオを継続。いや、この行為を俺は覚えていた。

 

 自ら喉奥まで咥えに来る口淫、セルフイラマチオ。この快感は、佳樹との行為で体験済みだった。だけど、八奈見さんそれは一味違った。

 

 

「……くッ……深い、強いッ」

 

 

 佳樹は小さく細い、だから限界があった。でも、八奈見さんはそれを超えてきた。

 

 口は佳樹よりも大きくて、それに良く動くし力強い。日々多量の食事を得るその口は圧倒的に発達している。それゆえ、嚥下する力がチンポを置くまで引き込める。

 

 チンポを舐めまわす舌も、嚥下する喉も、佳樹とは違う力強いモノを感じさせる。

 

 

……ジュルルッ……ずじゅるるるるりゅりゅりゅりゅりゅりゅぅううううううッ!?!?!?

 

 

「んんぅ、く……ッ……ぐっく、じゅるる、じゅるるぅう、じゅぶじゅぶじゅぶじゅぶッ♡……ん、っぱ……ぁ、ああっむ……んぅ、れるれる、じゅるるぢゅぶぢゅぶぢゅぶ……れるれる、じゅりゅれるッれるれおれおれおれおれおッ♡……んぅ、じゅずぅうううぅううううッ♡♡♡!?!?!?」

 

 

……ジュブジュブ……ジュブぶびびびぃいいいいッ!?!?!?

 

 

 

「っく……ん、ん……んンン!?」

 

 

「————ッ……ご、ごめん……八奈見さん、出るッ!」

 

 

「ん、んふ♡……ん、んごぉ、おっごぉおッ♡♡……ぉ、ぉぉ……ん、んぐぅッ♡……んんッ♡♡」

 

 

 掴んだ。

 

 強く、八奈見さんの頭を掴んで、そして引き寄せた。

 

 強く強く吸い上げるその奥に、狭い喉奥へとチンポを挿入した。

 締め付けにもまれて、亀頭からは勝手に熱が噴き出てしまっている。

 

 その衝動を、少し遅れてから射精したのだと俺は意識した。

 

 出る、出ていく。

 

 吸われて、飲み干されているッ

 

 

 

「っく……ごきゅ、っく……ん、っく……んぉ、おおご、んぼッ……ぉ、けほ、ごほえほッ♡……ぁ、おおぉッ♡♡……ぉお、おおぉぉぉぉおおぉッ♡♡」

 

 

 

 淫らな顔で、そして口から漏れ出る声はきっと、いや間違いなく下品な音色なのだる。

 

 眩しい映像の光に照らされて、涙目になりながらも喉奥までチンポを咥える八奈見さんは酷く卑猥だ。陰茎の根元から先まで十分すぎるほどに血が巡り膨張しすぎてしまう。

 

 だというのに、そんな卑猥な表情を、気が狂ってしまったのか俺は綺麗だと思ってしまった。

 

 

「綺麗だよ、八奈見さん」

 

 

「————ッ」

 

 

 聞こえたのかどうかはわからない。

 

 ただ、次の曲が再生されて、バラードのしっとりしたラブソングに合わせたかの如く八奈見さんの口淫はスローなモノに変わる。唇がカリ首に日かかる所まで頭を引いて、静かに、ゆっくり、モヨモヨと口を微弱に蠢かしながら行為は継続する。

 

 ふと、部屋の明かりが暗くなった。

 

 八奈見さんが部屋の照明のリモコンを取って、明かりを消した。

 

 テレビ画面の眩い光が影を作ってしまうから、その顔が見られない。

 

 

「……八奈見さん」

 

 

「————……ん」

 

 

……ぐ、ぐぐッ……ぎり

 

 

「ひゃ……ぁ、歯を立てないで……ダメ、あひひッ……だ、敏感だから……止めてッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 電話がかかった。店員さんから延長をするか聞かれた。

 

 電話にはノーと答えた。八奈見さんが。

 

 俺は悶えていて普通に喋れなかったから仕方ない。まさか、絶頂のタイミングでコールが来るとは

 

 

「んあ♡……ぁふ♡……はぁあぁ、お口疲れちゃった。温水くん、舐めやすくて良い形してるから、舐めすぎて疲れちゃった♡」

 

「……結局歌わなかったね」

 

 

 お掃除フェラを終えて、性器は服のなかに戻る。

 

 起き上がる八奈見さんは少しふらつくもその場でのびをして快調な様子を見せてくれた。

 

 

「ん、そうだね……今度来るときはちゃんと歌おっか。少しぐらいは歌わないと妖しいよね」

 

 マイクを持つ手振りでそんなことを言う八奈見さん、でも直前の行為のせいだろうか何かを持つ手も開いた口も、性的なジェスチャーにしか見えない。

 

「もう、何?人の口ばかり見て、確かめなくてもちゃんと飲んであげたよ♡」

 

「……どうも」 

 

「美味しかったよ、温水君の精液。今日は、ちょっと汚いのも混じってたね。おちんちんの苦くてしょっぱい汚れ、少しカリ首に溜まってたね♡……悪くなかったし、結構イケたね」

 

「是が非でも遠慮させてもらう」

 

「あはは、無理に勧めたりしないから♡……でも、美味しいって思ったのは本当だよ。温水くんのおちんちん舐めるの全然気にならないし、精液だって前からずっと好きで飲んでるしね」

 

「その、控えめに言うけどさ、エッチ過ぎないかな?」

 

「ちょっと、全然控えてないじゃんw……まあ本当のことだけど」

 

 楽しそうに笑う。お腹をさすりながら、満たされた様子で八奈見さんは佇んでいる。

 

 ピロートークというにはムードもない。ちゃんと制服を着たもの同士、健全な距離感を保っている。

 

 声色も、平坦なまま  

 

 

「……私で童貞捨てたくせに」

 

 

 目を見る。

 

 息を整え、もう一度

 

 

「私で、童貞捨てたくせに♡」

 

 

「と、唐突に………………何?

 

 

 事実この上ない。でもその言い方は心臓に悪い。蠱惑的に笑みを浮かべて、いじらしく告げてくるからたまったものじゃない。

 

「んふふ、なんでだろうね……ん、でも今のでようやくすっきり。温水くんのお仕置きはこれで十分かな?」

 

「え?、今日のこれってお仕置きだったの?」

 

「かもしれない……でも、違うかな。温水君、悪いことも間違ったこともしてないし」

 

「……じゃあ、いったい?」

 

 尋ねてみる。でも、八奈見さんは興味を無くしたように口を閉ざした。

 

 いそいそと手荷物をカバンに仕舞ってブレザーを着用する。そんな姿を見つめていたから、観念したように八奈見さんは肩を落とした。

 

 背は向けたまま、顔は見せずに

 

 

「佳樹ちゃん、小鞠ちゃん、檸檬ちゃん……でも、私が一番古いよね」

 

「それって」

 

「言わないで良いよ……言ったらだめでしょ。みんな一緒、皆で楽しくしてるからこれでいいの。私たちは今、これでいいの」

 

「……」

 

 曖昧なままが都合の良い事もある。

 

 それを理解したうえで、きっと八奈見さんは、ちょっとだけ我儘を唱えたいのだろう。

 

 

「やっぱり一人目だしさ」

 

 

 振り返る。

 

 その顔には嫉妬や寂しさなんてない。

 

 明るく元気な愛らしい同級生の女子がいる。満たされている。そして、その満たされた笑みをいじらしさで傾けた。

 

 

「……そういうとこだよ」

 

 

 細めた目付き、吹きかける言葉遣い

 

 頬に触れた手が、そのままなぞるように後頭部へ。自分より背が高い相手の口の位置を、無理矢理下げてきて。そこからの

 

 

「!」

 

 

……ぬる……くちゅ……ちゅッ♡

 

 

「ん……ッ……ちゅ……ぁ、あぁ♡……ぁ、んふふ♡」

 

 

 啄むキス、口直しに飲んだ清涼飲料水の味しかしない八奈見さんの唇と舌が俺の内側を侵食する。

 

 満足するまで、退出のアラートが鳴り響く部屋の中でまったく焦りもせず、ただただ普通に心地が良いキスを続ける。

 

 

「……ぁ、八奈見さ……ぁ、え……っと、あの」

 

 

……ちゅ……つ、くちゅ……ぬちゅ

 

 

 啄まれた。唇を唇で挟まれて引っ張られる。そんな、遊びを数度重ねてまた顔が離れる。

 

「ただのキスだよ♡」

 

 

「……ただの」

 

 

「嬉しいとか嫌とか、その程度で返してよ」

 

 

「……」

 

 

「ほら、言って……どうだった?」

 

 

「……すごく、嬉しかった。」

 

 

「——~~♡♪」

 

 

 満たされている。破顔一笑、その言葉が実に似合う笑顔をこの人は魅せてくれる。

 

 

「……ありがとね、いつも」

 

「それは、こちらこそ」

 

 

 今、その喜びを見ていると、普段から我慢をしていたことの裏付けではと思えてしまう。

 

 四人と関係を築いたうえで、八奈見さんは特別を欲しがっている。でも、それは他を出し抜きたいとか、独善的なモノではない。

 

 もっと、小さくて愛らしい衝動から来ている。

 

 

……「私で童貞捨てた癖に」

 

 

「————」

 

 

 何度、その言葉を言われたかわからない。それほどに、好んで八奈見さんは口にしている。この言葉だけは、ちゃんとはっきりと口にしている、とも言える。

 

 そこから掴める意図は

 

「……八奈見さん」

 

 

「?」

 

「……いや、ごめん。やっぱり、なんでもない」

 

 

 上書きするように行った激しい口淫も、お決まりの様に口にするその台詞も、全部八奈見さんの愛らしい我儘から来ている。

 

 言ってしまえば、これは先住の特権というべきだろう。

 

 ペットを複数買う際に先に飼っていた方を配慮しないといけない、みたいな感じのことなのだ。

 

 

「くす……あはは」

 

 

 でも、それを口にしたら蹴られるだけだと理解した。

 

 なので、余計なことは言わないように。

 

 

「……えっち」

 

 

「あ、ごめん」

 

 

 払いのける手、覆い隠すように頭を庇う八奈見さん。

 

 無意識だった。先に飼っているペットに気を遣う、みたいなことを想ったせいか自然と頭を撫でに手が向かってしまった。

 

 

「……ごめん、つい」

 

 

「……いきなり頭撫でてくるとか、減点。そういうのは小鞠ちゃんにしなさい」

 

 

「だ、だって……さっきは頭を」

 

 

「……————」

 

 

「は、歯音聞かせないで……犬歯も見せないで……わ、わかったごめん、ごめんなさいッ」

 

 

 

 

 不機嫌になる八奈見さんをなだめていると、いい加減退出しろとアラームが鳴り響いて、俺達は逃げるように会計を済ませた。

 

 

 

 

 




以上、八奈見さんとカラオケに行くお話でした。

次回からは志喜屋先輩のお話です。お楽しみに


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