志喜屋先輩のお話、後半戦に移ります。
鳴り響く機械の音。湯に塗れた二人分の衣服を溜めこみ轟音を鳴らして忙しそうだ。
洗い終わったら乾燥させて、それまではどうするか
「部屋で、続き……する?」
「魅力的な提案ですが……その、俺はまだ飲み込み切れていないんです」
脱衣所に出て、裸で二人。体を拭くタオルで互いに体を隠しているが、それでも目の前に裸で無防備で、そしてつい先ほど性行為をした相手がいる事実は消えない。
志喜屋先輩にキスをされたまま繋がった事実も、かき消せない。拭っても、きっとこの口に残る感覚は消えてくれないどころか鮮明になるだけだろう。
本当に、本当にどうして、俺はこの人との一線をいきなり越えてしまったのか。
「……髪の毛、乾かしたい……ドライヤー、貸りていい?」
「!」
「……?」
体に巻いていたタオルを、志喜屋先輩はおもむろに外し、そして首にかけた。とくに他意の無い動作。体を拭いたから、さあ次は頭を乾かす。煩わしいタオルは一度首にかける。
しかし、見られているのにどうにも堂々とし過ぎだ。
「……見て良い、よ……えっち、したから……今さらだと思う」
「そ、そうですけど……あ、横向いてますね」
「いいのに……別に」
湯上りで暖まった先輩の肌は血色がよくなり、ほんのり桜色が映えていて実に艶やかだ。
身体の前に置いて隠していたタオルも、首にかけてしまったことで乳房も露になり秘部でさえも丸見えだ。
「……ッ」
色白な肌が熱を帯びて色を濃くしている。
生気に満ちた志喜屋夢子の裸体に、脳が忘れる機能を忘れてしまった。
忘れられない裸に、性器を隠す腰巻のタオルが外せない。さっさと着替えてでないと。
〇
~リビング~
……失敗した
髪も乾かし、さあ次は着るものをどうしようかと。
当然だが志喜屋先輩には着る服が無い。サイズ的に着れるのは俺のものだけ、そして先輩はあろうことか制服のワイシャツをチョイスした。
それはいい。正直嬉しい姿を見られたことは否定しない。
今だって、先輩はソファーに座して男ワイシャツを着た、半裸の姿で冷たいお茶を飲んでいる。
そう、半裸でだ。
「……服、着てください」
「熱いから、着れない」
湯上りの熱が冷めない。だから前も閉じないし、下も履いてくれなかった。
肌を出していないと倒れる。そう先輩に押し切られて拒めなかった俺も悪い。過去に熱中症なりかけで動けなかったことが決断を鈍らせたのだ。
「……おっぱい、見放題」
「!」
シャツの前を開き、普通に胸を見せてくる。あえて見せてくる。
大きな乳房を見せつけることがそんなに楽しいのか
「色々と見えすぎますからッ」
「……あぁ、なるほど」
太腿は丸見え、下だって何も履いていない状態だ。
最低限の布を着て、ソファーに生尻を置いて、先輩は常にこちらを見ている。
裸に見とれている俺に、揺さぶりをかけるのを楽しんでいる。
「君も、脱いだら……涼しい……きっと、良い」
「ダメです。俺達は文明人なんですから」
「部屋の中で、裸……えっち、し放題」
「……ダメです」
「もしかして……もう、してる?」
「ノーコメント」
過去にした佳樹との裸生活を思い出す。あの日ほど性に溺れてしまったことを悔やんだ日は無い。
「……下着、借りれないから仕方ない」
「短パン、貸しますけど」
「……熱い」
「!」
下を持つ、そしてパタパタとたくし上げるような所作をしていた。
先輩の秘部は隠されていない。
かろうじて布に隠れていたりするだけ。微かに生える白色の痴毛に、ぷにっとした割れ目も見えてしまった。
「……反応、かわいい」
「言わないでください」
とりあえず、どう説得するか
これ以上性に溺れてしまうのは宜しくない気がする。
けれど、あの発言はスルー出来ない
「……あの、先輩……どうして知って」
「見てたから」
「あ、いえ……知ってる上で、その」
「八奈見ちゃんのおっぱい吸いながら、おちんちんしごかれてた……文芸部の部屋で、匂い嗅がれていたり、目隠しで責められてたり、君……いっぱいエッチしてる……楽しそうだった。主に、女の子たちが」
「……」
尋ねるべきことは、一度保留。
ソファーの横に座り、俺は改めて志喜屋先輩に向き合い、頭を下げる.
「先輩、口外しないでくれてありがとうございます」
「……お礼、予想外」
「えっと、一応言わないといけないかなとは」
「……別に、言うつもりない……言ったら、私も困る」
「そ、そこなんですよね……あの、どうして俺にそこまで」
良くするのか
行為を裏付ける重い、先輩が自分に対して何を想いあそこまでしたのか、そこが解せない。
志喜屋夢子、学年が上のこの人はかつて月乃木琴先輩に対して特別高い好意を抱いていた。
結果そのことが原因で少しだけクリスマスに騒動があったけど、それも終わった。俺は、そんな騒動の中で軽い橋渡しをして、そして、最後に先輩の笑顔を見た。
好意があるのなら受け止める。この人は良き先輩としていつも後輩に接してくれている。
けど、好意が行為に発展するのなら、それはもう特別な好意だ。
「……先輩」
確かめる、べきか
そう、これが本当に特別な好意なら
「温水、くん……ん」
……するり
「!」
しかし、どうも危惧していた通り、この人の行為はラブコメではない。
他の皆と同じ、死体の様に重く冷たい体に過剰な熱を灯して、発散しないと気がすまなくなっている。
考えるより、行動が優先されている。
つまるところ、志喜屋先輩は発情して、男を求めて自分を選んだ。
これは、エロゲ展開だ。
「あ、あの……ん!」
……ぬるッ♡……くちゅッ、ぬりゅ、くちゅッ♡
「————ッ♡♡」
塞がれた唇、侵入してきた舌先。
溶けるほどに熱くなった先輩の温度が唾液に溶け込んで伝わってくる。入ってくる。
……むにゅ……むにゅ、ふにゅん♡♡
「ん……ん♡……ぁ、熱い♡……から、熱ッ♡……まだ、出る♡」
「あ、あの……ん……先輩」
「見て良いって、言った。だから……触ったっていい……さわって、ほしい……痛いぐらいで、ちょうどいい……私、感じやすいから♡」
手首を掴まれ強引にてのひらが胸を掴む。
せまり、膝の上に跨って、キスをしながら胸を揉ませてくる。
密着して感じる先輩の温度は、普段から考えられないほどに、昂って熱い。
……っく……ぬる……くちゅ…………ちゅ、ちゅっぷ……ちゅぱ♡
「……ぁ……キス……慣れてる♡……されるの、多いの?」
「い、一方的になら」
「そう、なんだ……かわいい♡」
「言わないでくださ……んん!?」
……ぬりゅ、ぬりゅん……くちゅッ♡
塞がれる。何も抵抗できない。
生き生きとした志喜屋先輩に流されてしまう。
この人はまだ、飢えたまま。口はした唇を噛み、そして顎を通り首に
降りていく。先輩が、下に降りて
「……おちんちん、舐めてみたい♡……私も、君の精液……飲むの、してみたい♡」
「フェラチオ……はじめて、だけど……きっと、できるから♡」
「……舐めさせて欲しい……温水君のおちんちん……今度は、下じゃない方の口で♡……順序、今度は守るから♡」
生々しい宣言。
飛ばしていきなり本番に至った自覚はあったらしい。そして、今度は段階を踏むと。
先輩は、性行為の順序立ての中に、さも当たり前のように口で性器を舐める行為があることを前提にしている。
「……するんですか」
「君は……慣れてる、でしょ……なら、問題ない……そう、問題なんて、ない♡」
指を使って表情を作る必要はない。
先輩は自然に笑顔を作っている。笑顔で、こちらを見て、またキスをされた。
こちらの口にではなく。服越しの膨らみの先に
「硬い♡……かわいい、素直で……よき♡」
言い切る口元は、わずかだが口角を上げて笑みを浮かべていた。
熱で柔らかくなった先輩の表情は普段以上に思いを描く。本当に、発情していて、自分を求めてくれている異性の顔を、俺は見降ろしている。
「……お、お手柔らかに」
抗えず、次第に理性にも限界が来ていることを察してしまう。
次回に続く
次回、前戯。
続きをお楽しみに。