見られて嬉しい
触られると安心する
吸ってくれる気持ちが良い
俺が八奈見さんに甘やかされる時、どうしてと疑問を投げてもこんな答えばかりが返ってくる。本音なのだろうが、それでも理解が追いつかない。
皆、性的な営みを当たり前として常識をアップデートしていても自分だけは地に足が付いたまま。正気ではないと、疑問を投げることを諦めきれていない。
無論得をしているのは事実だし、嬉しいことを隠すつもりもない。
他人からすれば情けなくて恥ずかしい行為だが、吸い付く欲求を堪えたくない自分がいる。口唇欲求に抗えなくて、気づけば誰かの指先や乳房が置かれているのが現実だ。
幼児退行している。
同い年の女の子に頭を撫でられて授乳行為を施されて、安心している。力を抜いて、八奈見さんに抱きしめられて体幹を維持しているから、離れられたら俺は座ることもままならない。
「……ッ」
「ほら、しっかり……抱き着かなきゃ♡……倒れちゃうよ、ねえ」
抱きしめられる。
撫でられる。ため息が額の肌を湿らせる。
「もう、仕方ないなぁ……いいよ、支えてあげる♡」
乳房に甘える俺を八奈見さんは可愛がってくれている。
抗えない。
「良い子♡……良い子♡……んふふ、えへへ~♡」
「————」
「ちょっと、落ち着いてきた……嫉妬は良くないね、うん。だから、心を落ち着かせないと……こうして、嬉しいしてさ……うん、うん、やっぱり落ち着く♡……おっぱい、誰かに吸われているとすごく落ち着く♡」
「————……ん、んむ」
……コク、コク……コクン
何度も、何度も経験した
一度でも、俺から吸わせて欲しいと懇願したことは無い。八奈見さんから積極的に施したがる。
大きくなっていくその乳房を自慢するように、何度も何度も俺の口に押し当てて、頭を撫でる手で引き寄せてくる。心地よい吸い口を押し付けてくれる。乳首を舐められる快感で、八奈見さんは嬉しそうに息を吐き、時たまに体を震わせているのだ。今も、この瞬間も
「ん……あ、ん♡……あぁ、はあぁ……えっち、舌がえっちなんだから♪……えっち、えっちえっち♡」
「————ッ」
唇で感じる乳輪も、舌先で感じる弾力も、飽きることは無い。
「ん……んぅ、あぁ……乳首、舐め舐め上手だね……なんで上手なんだろうね」
「あ、そっか……毎日、吸わせてるからだね♡……フェラチオだけじゃなくてさ、おっぱいちゅっちゅもしさせてくれるなんて、私って優しいね♡」
「……ねえ、温水君……温水君、温水君♡」
……っく……こく……こく
「——……ッ」
出るものは無いし、あるのは表皮にある汗の味。いつかにミルク味の飴を舐めた後の唾液を塗りたくったこともあったけど、今はただの肌の味だ。
…………むにゅ……むにゅ、むにゅぅ♡
「ほら飲んで……出てるから、私のおっぱいの甘い味♡……出てる、出てるから♡」
「…………っく、んぅ」
「思い出せば、何時でも甘いおっぱい飲めるでしょ♡」
「うぅ……ん、むぐ」
ずるいと、思っている。
そんな風に言われてしまえば、舌と喉が勝手に乾いてしまう。八奈見さんのささやきにくすぐられて、この体はますます情けないことになってしまう。
甘い味を、ずっと思い出して舌が止まらない。
「ん♡……やらしい舌遣いだね♡……ちょっと、くすぐったいんだけど?」
……ぬちゅ……ぬちゅ、くちゅ……っぱ
「……ご、ごめん」
「謝って欲しいなんて言ってないけど……もう、卑屈すぎ。自信もって、もっと堂々とすればいいのに」
撫でて、額にそっとキスをする
前髪に八奈見さんの吐息が触れてくすぐったい。
「……ッ」
脱衣所で、互いに半端に服を脱いでいったい何をしているのやら。そう呆れてしまったから、ため息を一つ吐く。しかし、すぐに堪えきれない笑いを浮かべて八奈見さんは胸を揺らしていた。
機嫌が良い。
乳房に張り付く俺の吸い痕が残っているから、一度溢れ出る母性の出口があれば際限なく出続けてしまう。
実際に出る者は何もない。だけど、八奈見さんは母性に狂ってしまう。
「ん、ん……んふふ、もっと堂々としなよ」
「開き直ったら、カス男にならないかな?」
「なるかも、ね……ふふ、イメージできないや。なら、そうならないでしょ。温水君は温水君だから、変わらないよ。」
「……ッ」
自分のことをよく理解しているよ、そう遠回しに伝えられているように感じる言葉だ。
顔が熱くなる。
熱い。
「温水君はさ、私とエッチしてるんだよ。男の子ってさ、エッチすると自信付くものじゃないの?」
「それ、何処情報なの……ん、むぐッ」
押し付けられた、吸っていなかったもう片方の乳首で口を塞がれる。
ずるい、乳房の使い方がずるい。
「ほら、吸って……一つで足りないなら、二つでいっぱいに自信飲ませてあげる♡」
「他にも差、いっぱい試してみたいな♡……エッチなこと、せっかく知ったんだから。エッチさせてくれる男の子もいるんだから♡……ほら、これとか」
「!」
「あ、ごめん……おっぱいちゅっちゅさせてたね。見えないね~ごめんごめん」
顔から胸が離れていく。入れ替わる様に見せつけるスマホの画面、そこには八奈見さんがしてみたいというパイズリがある。
少し、上級者向けのパイズリを見てしまった。
「え、これするの?」
「うん、してあげる♡……だって、これぐらいしないと上書きできなくない?」
「……ッ」
冷えるような心地がした。
画面には、男の尻を舐める女性が映っていたから。
「さあ、服脱いじゃお♪……そろそろさ、温水君のお尻、気持ちよく弄ってあげる頃合いだしね♡……タップリほぐしてあげるね♡」
「そ、そんな頃合いは存在しな……ちょ、八奈見さん」
時間にして、半刻ほど。ようやく俺達は浴室へと向かう。
服を脱いで、完全に裸になってから
悲しいことに、八奈見さんに腕力で負けてしまった俺は逃げられずに浴室へと連れ込まれてしまった。
「!」
バタバタ手足を動かしても、それより強い力で引きずられる。
自分が非力だとしても、この構図はおかしい。
八奈見さんに優しく抱き締められた俺は、無条件でしたがってしまうのだ。
抗うことを首から下は拒んでしまう。
「良い子」
「……」
褒められるから、抗えない。そうしない方が良いとまで、心は意識に反してしまう。
服だって完全に脱げていないのに、乱暴に扱われて、湯を浴びせさせられて
「キスするから……唇、ちょうだい♡」
……れろぉ、じゅるるッ
「!?」
頷く間も無く、行為が先走る。
脱がせることも億劫で、八奈見さんは熱さに狂う。熱は何故灯された?
俺は何もしていない、何もせず、ただ受動態なだけだった。
……れろぉ、じゅるるッ……じゅるれる じゅるるり♡……るりゅ、ぐちゅ、ジュルル――ッ♡♡
「――――ッ」
ひどく、快感に痺れて神経が狂う。意思と反して手足が躍り狂うから
八奈見さんは手を握る。指と指を絡めて深く、恋人繋ぎになって
「ん――ん、ぁ……はは、あはは♡」
「……ッ」
押し倒されているんだ。
倒すことは手段でしかない。目的がある。
「何を、する気?」
「パイズリ♡……温水くん、私のおっぱい好きすぎるから♡……仕方なく、ズリってあげる♡……挟んで、ズリズリ♡先っぽを舐めてあげても良い♡」
「……ッ」
「でーも、でも、でもだよ。温水くん、先に謝るね。ごめん、本当に申し訳ないと思ってるし、基本的にエッチの時は優しくしてあげたいよ」
しかし、でも、だけど
逆接を繰り返して、念入りに本意ではないと並べている。だけど、その見下ろす顔は興奮と楽しさでつり上がったまま
笑みは崩れない。
「――ッ」
見上げる八奈見さんは、俺を押し倒して興奮して、牙を隠すことが出来ていない。
「お尻、敏感だよね♡」
「パイズリ、してあげるから……いいでしょ、パイズリしてあげることに変わりはないんだしさ♡」
服に手をかけてきた。
ズボンも下着も下ろして、優しく乳房で包み込むためじゃない。それもあるが、それとは別の場所も狙っている。
「や、八奈見さんッ……汚い、から……良くないッ」
「駄目、お尻出して♡……アナル舐めパイズリ、させてよ♡さっき見せた動画みたいに♡いいでしょ、隠さないでよ♡…………もう、おちんちんマゾ勃起してる癖に♡♡」
「――――ッ」
見下ろされて、にらまれて、そして嗤われる。
お気に召された自分に異を唱える権限はない。きっと、持つことを避けている。
何故?知っている、甘やかされることはすごく満たされるけど、その逆にも価値はある。知っている、かつてその快感を何度も教えられている。
「甘やかしてあげるから♡……良い声で、泣いて♡」
「…………ッ」
優しい笑みでサディズムな感情を向けられる。
冷えきってしまってはいない。湯気が立つ湯船と、温かい浴室の床を背にしているのに、体は震えて仕方ない。
爪や歯を立てられているわけでもないのに、消えない痛みが首筋に刺さったまま
落ち着かない、息が乱れる。
震えて、乱れて、情けなく
……――――――ッ
「!?」
「え、あぁ…………あれ、温水くん。ねえ、ねえねえ」
「ひ、いや……うぅ、ひぐ……ッ……やだ、見ないで」
「無理かな、もう見ちゃったし……見過ごせない。起こして、一度洗ってあげないと背が汚れちゃうね。ほら、だっこしたげるから捕まって♡」
「……ひ、うぅッ」
「大丈夫、ほら……泣いてもいいからしっかり座って。じゃないと、おしっこ洗えないでしょ♡」
「――――……ッ」
明言されてしまったら、余計に涙腺が開いてしまう。
情けない粗相を致して、その処理を八奈見さんに委ねてしまうのは、ひどく、そうひどく
……キュッキュ、シャァアアアアアアアッ――!!
「……ぁ、あぁ」
「ほら、温かくしようね。大丈夫、ちょっと怖がらせ過ぎたから、ごめんね。温水くん、濡れた服脱がしておちんちん、直接洗ってあげる。フェラとかする?して欲しいなら言ってね♡」
「……――ッ」
ずるい、ここで優しくされてしまうとひどく響いてしまう。
ますます抗えない。
「……して、八奈見さん」
「うん、してあげる。洗ってあげるのも、優しくすくするのも……気持ちよくしてあげることも♡」
「して欲しい、だから……お願い」
媚びてしまっていることに気づいた。
涙目で、震えた声で願う俺は、さぞみっともないはずだ。なのに、八奈見さんは何度も咀嚼して嚥下して、甘いものを胃に入れたように蕩けた笑みを浮かべている。
手が伸びる。
体に湯を浴びせるシャワーホースを投げ捨て、カランカランと音が響いた。
噴水の湯を互いに浴びる。
顔に八奈見さんの乳房を押し付けられて、抱き締められて、そして背中を撫でるその手は徐徐に下に
降りていく。
「ん、あぁ……そう、お仕置きしないと。服を着たままおしっこを漏らすなんて、悪い子♡そんな子は、ただのパイズリじゃ駄目♡……だから、舐めなきゃ♡」
「お尻、見せて♡」
「温水くんの敏感なところ、いっぱいお仕置きしてあげるから……約束♡」
口付けを一つ。
契約の最後に烙印を押すように、八奈見さんは額の上に強く唇の感触を残した。
今回はここまで、次回からがっつりエッチシーン長めな予定です。
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