人生をやり直せることになったので、未来の知識でチートします!! ―産まれ直して人生逆転― 作:読人不識
キックオフはボク達のチームからだった、おねえちゃんが相方のシンにボールをちょこんと蹴りだし、シンはそのボールを中盤のホコリに戻す、、
こちらのメンバーは
GK
右SB
CB シリポーン・チャンタラ 通称ギラー
CB
左SB
の4バックにの前に、フラットにセンターハーフを3枚置き、トップは3枚の4-3-3
CH
CH
CH
右WG
CFW
左WG
の11人がスタメンだ。
変わっているのはシリポーン・チャンタラくん…ギラー君で御両親がタイから留学生として日本に来て生まれた子でタイ語はほとんどしゃべれない。ニセタイ人と呼ばれていることもある。
基本穏やかな性格だが、プレイは激しく荒いプレイをする。
センターバックにするにはちょっとした怖さがあるが、対人能力の強さとカバーリングの広さ、マークの受け渡しのスムーズさを考えると、サキの相方としては彼が最も適任なのだ。
そのサキは高い位置に最終ラインを敷き、全体をコンパクトにまとめようとしている。
GKのフバ―がこの時代では考えられないほど足元の技術が高く、また前への飛び出しを得意とし、最終ラインの後ろをスィーパーの様にカバーできるため、ラインを高くとっても安心して後ろを任せられるのだ。
栗原博士、ヒロはグレッグのいとこらしい。グレッグから色々話を聞いてサッカーに興味を持って一緒に練習していたとか。
グレッグと組ませたら結構生きるかもしれない。
右サイドバックのれんたは右足の精度が凄く高い。右からのセンタリングという一点掛けで右サイドバックに起用。
右WGのケンは豊富な運動量で足も速い。ボールの扱いこの中では今一かもしれないけど、献身的に動いてくれて戦術理解度も高いので、プレスのキーマンになってくれることを期待してほぼフリーの役割を与えている。
この試合でのボクらは4バックを採用しているがそれは見せかけだ。
そもそもボクは中に絞り込んだり自由に動く偽サイドバックだし、右サイドバックのれんたは場合によっては中に絞り込んで、3バックを形成する。
中盤と前線も位置を固定していない、ホコリは攻撃と守備の両方を繋げるキーマンになる予定だが、右WGのケンはトップやサイドに張り付くのではなく中盤でのプレスに連動する動きを意識するよう言っている。
勿論ゾーンで守るため、空いたスペースは近くの者が声を掛け合い補い合う必要性も意識づけている。
対する中学年チームは4-4-2の中盤がダイアモンドを描く、ブラジル的なフォーメーションだ。
ホコリはボールをグレッグに戻すと、グレッグは迷うことなくサキにボールを戻す。
その間にホコリは相手チームの中盤の底を守る選手の横にある空いているレーンへ向けて相手右IHを引き連れて走り、その子が動いてできたスペースにボクが走り込み、そこへサキからのパスが通る。
グレッグがボクのいなくなった左サイドを埋めるように動き、ヒロがグレッグのいたスペースを埋める。
そしてヒロがいたスペースをケンが埋める為に下がり、セラが中央から右サイドへDFとMFを連れてずれる。
ここはホコリを使ってもいいのだが…
一番左外のレーンで相手の右サイドバックを引き付けいるシンがこちらを見ると左ハーフレーンへボールをもらいに下がってくる。
ここはまず腕試しだな、そう思ったボクはシンについてきた右サイドバックを抜きセンターバックに角度をつけた位置で立てるようなスペースにパスを出す、それを計ったかのようなタイミングでくるりと反転したシンは、ワンタッチで右サイドバックの股を抜き去ると、待ち構える相手のセンターバックをボディフェイントで揺さぶって体勢を崩させ、一瞬の切れ味で綺麗に抜き去り、慌ててフォローに戻ってきたもう一人のセンターバックの後ろを、右サイドからダイアゴナルランで斜めに入って来たセラが走る先のスペースにラストパスを出す。
セラは落ち着いて優しくゴールにパスするようにダイレクトでシュートすると、相手のゴールキーパーは遮断機みたいに横になってコースを防ぐも、セラのシュートは横になったその体の上をふわりと浮かんでネットを揺らす。
ゴールだ!!
まずは先制点、想定以上に連動した動きが上手くはまった結果だが、これに気を抜かず試合終了まで行こう。
そう思って左サイドに戻ろうとしたところでサキが
「ナイスゴール!! みんなうまく動けてる、次はきちんと守備してそこから追加点だ!」
と声をかけている。
彼にはやはりキャプテンシーがある。
サキが精神的支柱となってくれたらこのチームはもっと上を目指せるのではないか?
ボクは何となくそんな気がするのだった。
中学年チームはお互い冷かし合いながらセンターサークルにボールをセットする。
どうやらボク達のチームを相当舐めているようで、さっきのゴールも油断していたからだと思っているようだ。
彼我の戦力を正確に評価できないのなら、彼らはしょせんそこまでだろう…
ボクは冷酷に彼等を評価付ける。
中学年チームはボールをちょこんと押し出すと、生意気そうな顔をしたFWがドリブルでボールを運び始める。
すかさずセラが縦のコースを切り、シンが相手チームの右IHへのパスコースを切る、もう一人のFWにはヒロがついてパスコースを切り、セラがサイドに追い出しながらプレスをかける。相手チームはパスコースを作る為に前のめりに人数をかけてくるが、ある程度下がった所でグレッグが守備に加わり、圧力が増す。意地になってこちらの味方を抜こうとする相手FWは、その圧力に耐えかねて、ボールが足から離れる。そこを狙いすましてボクが素早くボールを回収し、真ん中の空いたスペースを埋めていたホコリにパスを出す。
ホコリは足元でキレイにトラップしたボールを裏に抜けようと駆けだしたシンの走る先のスペースめがけてボールを出す。
相手ディフェンダーを出し抜く綺麗なスルーパスが決まり、そのままシンは独走状態からGKとの一対一で遮断機させて追加点を奪う。
そしてボクらは結局この試合を大したピンチもなく、ゾーンプレスとボールポゼッション、そして卓越した個人技で8-0で勝ったのだった。
神の子マラドーナの為の代表チームがアルゼンチンで作られたこの時期、世界の反対側である日本では、サッカーの歴史を変える金剛石のような世代に恐るべき異分子が入り、静かに躍動し始めていたのだった。