※この作品はR-18です。

人生をやり直せることになったので、未来の知識でチートします!! ―産まれ直して人生逆転―   作:読人不識

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今回短いです。


第十五話 テストマッチに向けて

 現在の売読ジュニア世代(U-12)は、スクール生もアカデミー生も、押しなべて技術の水準は高い。

 そして年上になればそこにフィジカルが伴って強くなり、年下世代はその代りに戦術理解が高く、サッカーIQが高い。

 

 今の売読(ヴェルデ)のジュニア年代の育成は、そういう一長一短がある。

 

 マエストロはサッカーIQが高く、気の利くプレーをする選手に経験を積ませたいという思惑があるようだが、そういう選手はまだ数が少なく、ピッチに送り込むにしてもメンバーのバランスを取らなければ勝利は難しい。

 

 彼が育成の総監督に就任してから、各年代のリーグもトーナメントも、2年連続して全て勝利で飾っている。

 だからこそ、普通は6年生がレギュラーとして出場するU-12リーグや、全日本選手権にボク等3年生を起用したいという意向をクラブ側が容認した訳だが、当然中にはその意向に反発する者もいる。

 

 なのでスタメン組とメンバー候補組で紅白戦をやることになった。

 スタメン組にはセラが入り、候補組はボク達3年生や5年生、6年生の控え選手で編成されると同時に、一週間後にテストマッチを行うことになった。

 

 円堂コーチからメンバー分けの内容を知らされ、ボクとシン、サキ、グレッグ、ホコリは飛び級して控えチームのスタメンとして起用されるらしい。

 

 ここで爪痕を残せばスタメン入りも夢ではない。

 

 ちなみに、主力組のメンバーも聞いてみたが、6年生主体の中、中心選手として5年生のセラがいる。

 どの選手も基礎的な技術が高く、小学生なりには鍛えられたフィジカルを持ち、そこそこに戦術理解の高い良い選手揃いだ。

 

 それに比べて控えチームは、一芸においてはスタメンチームに勝るものを持つ者もいるが、平均的なクォリティはスタメンチームを下回ると言わざるを得ない。

 

 ボクは円堂コーチに5年生と6年生の練習風景と、出場した試合を撮影したビデオをダビングしてもらうと、自宅のビデオデッキでメンバー表と突き合わせて、自分のチームと相手チームの戦力分析を行う。

 

 しばらくそれを見ていると、

「う~ん、やはり正面からまともにぶつかっては勝ち目がないな……」

 という結論を出さざるを得なかった。

 

「そんなに力の差があるのかい?」

 居間のソファーに腰かけて、ビデオを見ていたボクに、ダイニングから父がボクに声をかけてくる。

「力の差があるというより、相性が悪いって感じかなぁ?」

「具体的に言うと?」

 ダイニングからボクの横に移動し、メモを取り始める父。

「スタメンチームは個人技寄りで、守備はフィジカル頼み。守備のブロックはそんなに固くないから、控え組でも数的優位を作って搔きまわせば、崩すのは難しくないと思う」

「それのどこが相性が悪いんだい?」

「フォワードの決定力が段違いなんだよ……」

「続けて」

「相手チームは個人技で局面を打開しつつ、決定的な所でフォワードにパスを出す。それこそどこからでもセンタリングする意識で攻撃を組み立ててくると思う。で、問題は相手チームのフォワードがお姉ちゃんって事なんだ」

「星羅はそんなに凄いフォワードなのかい?」

「うん、平均して一試合二得点(ブレイズ)はするフォワードが凄くない訳がないよね……」

「う~ん、星羅にボールが渡ったらほぼ得点されると考えた方が良い訳か。そりゃ厄介だね、じゃあパスの出し所を封じたら?」

「そうしようと思って、ビデオを見てたんだけど……」

 そう言ってボクは、スタメンチームの得点シーンから、ポジティブトランジションまで、ビデオを巻き戻す。

「守備は良いとして、ここで攻撃が切り替わってから、守備的ミッドフィルダーにいったんボールを預けて、そこから……あ!」

 スタメンチームの攻略法が頭にひらめく。

「ありがとうお父さん! お蔭で相手チーム対策が浮かんだよ!!」

「え? どうするんだい?」

 父はボクとマエストロのサッカー理論に魅力を感じ、売読入団以降サッカーの事についてボクによく話を聞いて理解しようとしてくる。

 恐らく自分の新作マンガのネタに使うつもりなのだろう。

 

「教えても良いけど、お姉ちゃんには絶対言わないでね。約束だよ?」

「分かった約束する」

 父はボクに約束すると、ボクの説明を熱心にメモに書き込んでいくのであった。

 

 次の練習日、ボクは円堂コーチとマエストロにフォワードへの転向を申し出た。

 恐らく相手のフォーメーションは4-1-4-1それを前提とした対策の一環として、こちらのフォーメーションも進言する。

 

 どんなに強いチームにも、どんな状況でも破綻しないなんてことはないし、どんなコンセプトのチームでも、無理をしている部分はある。

 そこを上手く突ければ実力で多少下回っていたとしても勝ち目はある。

 

 ボクはそれを二人の指導者に説明し、何とか許可をもらった。

 話を聞いていたマエストロは面白そうに微笑みながらボクの話を聞き、円堂コーチは驚いた表情で聞いていたが、許可が出た以上対策を充分に練るべきだ。

 

 ボクは控えチームのメンバーを集めて、相手チーム攻略の為のコンセプトを説明し、皆の納得と賛同を得ると。全員でそれに沿って特訓を重ねたのだった。




次回の更新は木曜日の予定です。
よろしくお願いします。
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