そのスタジオに入ったとき、速水奏と城ヶ崎美嘉の2人はえもいわれぬ違和感を覚えた。塩見周子、宮本フレデリカ、一ノ瀬志希の他の『LiPPS』メンバーはラジオの公開録音で地方遠征。都内に残された2人が事務所から伝えられた仕事の内容は、来る夏に向けてファッション誌で特集される水着グラビアの撮影だった。照明を反射する白い空間の中に、夏を思わせるいくつもの小道具が配置されている。スタジオの設備はごく一般的だ。問題なのは、スタジオ内に流れるどこか浮ついた、ざわついた空気だった。撮るプロ、撮られるプロが醸し出すピンと張り詰めた空気とも、演者の素顔に近いリラックスした姿を引き出すための和やかな空気とも違う。例えるなら、彼女たちが現在のような超売れっ子になる前、ファンとのカジュアルな握手会で感じた熱気……。撮影スタッフが自分たちに興味があり、撮影を望んでいることはわかる。けれど、すでに衣装である水着に着替えていた彼女たち2人に対する視線は、プロというよりファンやマスコミに近いものに思えてならなかった。
「おはようございます。本日はよろしくお願いいたします」
2人を代表してあいさつを述べたのは『LiPPS』でもリーダーを務める速水奏だ。深い青にも見える黒髪に神秘的なゴールドの瞳。現役女子高生にしてあまりにも大人びた美貌とスタイルの持ち主であり、その言動のミステリアスさは唯一無二の存在感を演出する。
(あいさつへの返答も何だかニヤついてない?どういうことかしら……歓迎してくれてるのか、バカにされてるのか……とにかく、ちょっとやりにくいかな)
与えられた衣装から彼女が選んだのは、エレガントなナイトブルーのビキニだった。トップスはいわゆるホルターネックで、ストラップ部分にゴールドのリングがあしらわれている。ボトムスは左右に紐が結ばれているがもちろんイミテーションで、ローライズすぎず、股のカットも控えめ。色味もデザインも奥ゆかしい……しかしそれゆえに、ホルターネックにずっしりと支えられ、深い谷間を刻む豊満なバストが強調されている。B86cm・W55cm・H84cm……女子高生とは思えないグラマラスなスタイルの奏に相応しい水着選びと言える。
(ちょっとヘンな現場だけど……選んでいられる立場じゃないよね。どんなお仕事でも全力投球!それがカリスマなんだから……)
一方、奏と同じく現場の違和感に戸惑いながらも、持ち前の健気さで乗り越えようとするのは城ヶ崎美嘉だ。見事に染め上げたピンクゴールドの髪をツインテールにくくり、鋭く挑発的な琥珀色の瞳。その抜群のルックスとファッションセンスで全国の女子から“カリスマギャル”と崇められながらもストイックにアイドル業をこなしている。
与えられた衣装から彼女が選んだのは、切れ込み鋭いオレンジ色の三角ビキニだった。やや小さめなトップスは彼女の形の良いバストに絶妙な“こぼれ落ち感”を演出し、ボトムスも鋭角的なハイレグ。B80cm・W56cm・H82cm……スレンダーながらもメリハリのあるモデル体型を数値以上に見せる挑戦的な水着だ。
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「それじゃ、最初は1人ずつお願いしまーす!ポーズは自由ですが、適宜こちらからも指定するので!」
「はいはーい、アタシ、いきまーす!」
撮影スタッフの声に反応して真っ先に動いたのは城ヶ崎美嘉だった。そこには戸惑いを隠せない奏のために先陣を切ろうとする思いやりと同時に、モデル業に軸足を置き、グラビア撮影に精通しているアイドルとしての自負もあったに違いない。
オレンジ色の三角ハイレグビキニ姿で、美嘉は順調にポーズをこなしていく。ビーチチェア、ビーチボール、水鉄砲、トロピカルジュースなど、スタジオに用意された小道具を使いつつ、夏の海を満喫するパリピギャルをセルフプロデュースしていく。
「おっ、そのポーズ良いですね!ちょっとそのままでお願いします!」
それは両腕を頭の上で組み、脚を肩幅に開いた快活なポーズだった。表情は彼女一流のギラリとした猛獣のような目つきと白い歯を見せた笑顔。カシャ……カシャ……カシャ……何枚も何枚もシャッターが切られていく。スタッフの指示通りにカメラの前で静止する美嘉は、撮った写真を確認するスタッフの妙な表情を察したが、プロのアイドルとして笑顔を崩すことはなかった。
果たして、美嘉が感じた懸念は事実だった。カメラマン以下数名のスタッフはデジタル出力された写真を見て、努めて真面目な表情を保とうとしても、暗い笑みを抑えられなかったのだ。なぜなら……オレンジ色の三角ハイレグビキニでカメラに写っているはずの美嘉は、どういうわけか一糸纏わぬ全裸姿に変貌していたからである!
(カリスマギャル城ヶ崎美嘉の全裸!全裸だよ!)
(おっぱいプリプリ!絶対B80cmはウソだよな……♡)
(でもパイパンでツルツルのガキマンコだぜ♡)
(おいっ、ちゃんとアップで見ろよ!毛穴があるぜ……俺たちのためにマン毛剃ってきてくれたんだよ♡)
これまでのモデル経験で水着はもちろんランジェリーなどのきわどい衣装も着こなしてきた美嘉だが、現役JKアイドルでもある彼女にプライベートゾーンを晒す類いの撮影の経験はさすがにない。スレンダーでありながら十分以上に豊満なバストが丸出し、あまつさえ処理済みパイパンマンコの1本筋が剥き出しのこの1枚は、世界で初めて収められた城ヶ崎美嘉のヌード写真ということになる。これは一体どういうことなのだろうか?実は、当初2人が感じていた不安は的中しすぎるほど的中していたのだ。今日、彼女たちの水着撮影を行なっているのは、特殊なビキニとカメラを使って被写体のフルヌードを密かに撮影する悪徳スタジオだったのである!
その詳細なメカニズムは明らかではない。ただ、彼らのやり口はこうだ。被写体に撮影用の複数の水着を提供する。その水着は特殊な素材でできており、同じく特殊な光源を捉えるカメラを通して撮影すると布地が完全に透過して、水着の下の“すべて”をデジタル画像として収めることができるのである。つまり、被写体の女性は水着姿を撮られていると信じている状態で、実際にはフルヌードを撮られてしまっているというわけだ。
この卑劣な罠に、美嘉は自ら手を挙げて飛び込んでしまったのである。美嘉ほどのアイドルは水着姿を撮られ慣れている。日本中の人々も、彼女の水着姿を知っている。どれだけ谷間の切れ込みがキツく、ハイレグな水着でも美嘉は恐れない。今回の三角ハイレグビキニも本来ならば何の問題もない。だが悪徳スタジオのファインダーを通せば、美嘉が当分は、あるいは一生晒すつもりのなかったフルヌード写真が出来上がっているのである。
衣装に包まれていれば誰もが憧れるルックスの持ち主である美嘉。しかし、彼女もひとりの人間だ。全裸になれば欠点の1つや2つは浮かび上がるもの……。美嘉にとってのそれは、あらゆる女性が求め続ける完璧なお椀型の乳房の先端にある、一対の突起だった。
(あ〜あ〜、あずき色な上に乳首がデカくて乳輪が小さい、アンバランスな乳だなおい!)
(モントゴメリー腺もプツプツで大根おろしができそうだぜ!)
(おいっ、見ろよ!左の乳首はぷっくりしてるのに右の乳首だけ萎んで先っぽに横スジが入ってる!)
(左の方が敏感なんじゃねーの?ほら、水着に擦れて勃っちゃってるとか……)
アイドルである以前に現役JKである美嘉にとって、赤茶色に染まった左右非対称乳首を指摘され、萎んでるだの勃起してるだのと囃し立てられるのは泣きたいほど辛いに違いない。知っている、誰よりも知っているのだ……思春期になって乳房が膨らみ始めた頃から、乳首は左の方が大きく、右にだけ不自然なシワが寄っていることなんて、誰よりも美嘉自身が知っていて、苦しんでいるコンプレックスなのだ。決してグラビア撮影の場ではしたなく左の乳首だけ勃起させているわけではないのだ。だが、彼女は泣くことも反論することもできない。プロのアイドルとして、ギャルのカリスマとして、水着撮影なんかでヘマをするわけにはいかない。自らの威信をかけて、彼女はパイパンガキマンコと萎えた横スジ右乳首&勃起がちな左乳首を晒したまま勝ち気な笑顔を続けるしかないのだ。
「あおりで撮りまーす!ポーズはそのままでお願いしまーす!」
(え゛っ……なにこのいやらしいアングル、あおりってレベルじゃない……こんなの“覗き”じゃん!)
なんとカメラマンは両脚を肩幅に開く美嘉の股下に潜り込み、仰向けになってカメラを構える。あまりにも平然と行われる変態的な所業に、さすがの美嘉の顔も引きつる。
(城ヶ崎美嘉のマンコ、おっぱい、ドン引き顔の3点セット、ローアングルでいただきだ!)
(うほ〜っ、サーモンピンクのビラビラとクリ包皮!陰唇の痩せたガキマンコだから脚開いてるだけでおしっこ穴まで丸見えだぜ♡)
だが、少女のドン引き程度では悪辣なスタッフ陣は動揺しない。むしろその嫌悪と軽蔑のにじむ表情こそ求めていたものだった。
「あっ、できればシチュエーションをイメージできるセリフとか、お願いしまーす」
「あっ、は、はい……え〜っと……ホラ立って!疲れるにはまだ早いよ、もうひと泳ぎ、しよっ★」
自らの眼下に寝転がったカメラマンを彼氏に見立てて、溌剌とした笑顔と気の利いたセリフを素早く切り返す美嘉……アイドルとしての類まれな実力を見せつけた一幕だが、カメラマンは素っ裸の逆さ撮りアングルに向かってとびきりの営業スマイルを見せるカリスマギャルの痴態をファインダーに収めるのに夢中だった……。
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「じゃあ、次は速水さん、お願いしまーす」
「は、はい……」
その外見相応に、17歳にしては明らかに肝が据わっている奏だが、これから始まる撮影には正直なところ尻込みしていた。
(何、さっきのローアングル……マトモじゃない……)
ちらりと視線を送ると、美嘉も気まずそうに奏を見ていた。本来なら完璧な撮影をこなして奏を安心させたかった彼女だが、一昔前の悪質なカメコの如き所業を許してしまい、逆に奏を動揺させる羽目になってしまったのである。
美嘉に比べると水着のグラビア撮影には疎い奏。しかし彼女も超一流のアイドルである。夏の海で奔放に遊ぶギャルを演じた美嘉に対して、奏はリゾートプールで優雅にくつろぐオトナ女子として自らをプロデュースする。
ナイトブルーのホルターネックビキニで腕を後ろに組み、静かに歩く姿は実にエレガントだった。だが、悪徳スタジオの特殊なカメラを通して見た奏の格好は、美嘉同様にとんでもないことになっていた!
(ウヒョ〜〜、でっけぇ〜♡バスト86cm♡推定Eカップ巨乳♡)
(美嘉ちゃんもでかく見えたけど、奏ちゃんに比べたら貧乳だな……)
(見ろよ、奏ちゃんは陰毛残す派らしいぜ!)
(扇形に刈り込まれた陰毛が大人っぽい♡)
そのグラマラスなスタイルでファンから期待されながらも、そもそも水着姿になることすら珍しい奏。それなのに、彼女はいくつもの段階を飛び越えて、理不尽な手段によってフルヌード写真を収められてしまったのである。ミステリアスさが最大の売りである奏も、おっぱいとおまんこの2大プライベートゾーンが剥き出しでは一介のJKに成り下がるしかない。だが、奏の不幸はそれだけでは終わらない。
(……てかさ、奏ちゃん、乳首はピンク色だけど、でかくない?シャンパンのコルクみたいにグリグリじゃん♡)
(いやいや、乳輪もきれいだけどでかいって!正面から見たらカラス避けの目玉みたい……♡)
(人一倍おっぱいが育ったら、乳首と乳輪もデカデカ育っちゃいました、みたいなこと?)
(17歳なのにピューピューミルク飛ばしそう♡)
コンプレックスのデカ乳首&デカ乳輪を赤裸々に暴かれてしまったのである。異性の注目を集めるだけでなく、同性からも憧れられる美巨乳を持つ奏。だが、持てる者にはそれなりの苦労があったのである……乳房と一緒にムクムクと立派に育ってしまったバストトップがそれだ。赤ん坊に母乳をあげるには最適な太さと長さかもしれないが、上品な顔立ちと裏腹なグロめの造形は中学生以来の奏の悩みだった。それを今日出会ったばかりの、それも悪質な撮影スタッフに知られてしまったのは奏にとって痛恨の極みだろう。
「じゃあ、今度はうつ伏せ、お願いしま〜す」
「はい……」
ビーチチェアに仰向けになってくつろぐポーズをとっていた奏は、指示通りにうつ伏せになる。
(カメラにお尻向けてるけど……どこを撮ってるのかしら?)
芸能関係者として当然の疑問だが、その答えは簡単だった。スタッフ陣は奏のヒップを撮影したいだけなのだ。
(胸だけじゃなくてケツもでかい♡さすがヒップ84cm♡)
(くっそ〜……お上品に脚閉じやがって……そうだ!)
ここでスタッフ陣は卑劣な策を講じたのだ。
「よし、奏さんもお一人での撮影オッケーでーす!」
「はい」
(ふぅ、とにかく一旦は終わりね……)
カシャカシャカシャカシャッ!
「えっ⁉︎」
撮影が終わったと安心して、奏がビーチチェアの上で仰向けから立ち上がるために四つん這いになった瞬間だった。悪徳スタジオの特殊カメラが火を吹くように連射されたのである。
(キタ〜〜、スケスケ四つん這い!アナルとおまんこのダブルパンチだ〜♡)
(小陰唇がグネグネのアワビマンコ!さすが奏ちゃん、大人っぽい♡)
(おいおい、なんだよこのアナル!括約筋がぷっくり浮き出てタコの吸盤じゃねーか♡)
(ぷっ……シャッター音にびっくりしてアナルがヒクッて震えたぞ♡驚かせてごめんね♡)
淑やかな足捌きを常とする奏も、撮影終了後にチェアから降りるタイミングではさすがに両脚を開かざるを得ない……人間の限界を利用した、スタッフ陣の策略によって、奏はおまんこだけでなく、存在感あふれる赤ピンクアナルまで……しかも安心しきって弛緩した括約筋、シャッター音に驚いて緊張した括約筋の両方を連写されてしまったのである。おまけに四つん這いのまま振り返り、目を見開いた間抜けなびっくり顔までセットで……。あの大人っぽくミステリアスな速水奏がこんな無様な格好と表情を見せるなどと信じることのできないファンも少なくないだろう……。
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奏はチェアから降りると、美嘉の下に駆け寄った。美嘉もまた、奏と手を取り合い、身を寄せ合った。
「次は2人の絡みを撮影していきますからね〜!」
速水奏と城ヶ崎美嘉。今や老若男女が知るこの2人の超人気アイドルにとって、水着グラビア撮影は数多くの仕事のうちの1つでしかなかった。だが今、この隔離されたスタジオの中で手を握り合う2人は駆け出しの新人アイドルにしか見えなかった。スタッフを、カメラを恐れ、次に何が起きるかに戦々恐々とする、か弱い少女にしか見えなかった。
(続く)