※この作品はR-18です。

推しのSAW   作:∞色

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星野アクア 〜 ?????

 

 

 

 

 

 

あかね……

 

結局俺は誰も救えてない…みんな俺の判断ミスで死んでいく……

どうしてこんなことに…

俺だけが死ねばいい話なのに……

なんで…みんなが……!

 

 

 

視界の隅で光が灯る。そちらに目を向ければ、水槽の反対側の壁一面が窓となっており、その奥に明かりが点いたようだった。

 

まさか…!

 

俺は慌ててそこまで行くと、思った通り、窓の向こうにも部屋があり、そこの手術台の上でルビーが眠っていた。

 

 

 

「ルビー!良かったぁルビー…」

 

 

 

まだ無事みたいだ。特に目立った外傷や顔色の悪さ等はなく、遠目だが呼吸もしっかりとしているようだ。変な装置に繋がれているっている様子もない。

ほっとしていると、爪先で何かに触れる。そちらを見てみればテープレコーダーだった。前と同じように表面には『再生しろ』と書かれたテープが貼られていた。

俺はそれを手に取って、恐る恐る再生ボタンを押した。

 

 

 

『やあ、アクア。これまでで君は何を学んだ?選び、示し、分け合う事で人と共に入れることの喜びを理解した筈だ。そして君にとって1番大事なゲームだ。今まで君がその人生を掛けて護ってきた大切な存在。血を分けた妹。いくらその血の半分が復讐相手のものだとしても、君は彼女の全て愛することが出来るだろう。その全てを掛けて彼女を護るだろう。だがそれは彼女も同じだ。彼女は君のやろうとした事、隠してきたこと全てを知っても君を愛し、護るだろう。このゲームで君がすることは何も無い。何もせず、ただ彼女の選択を肯定し、彼女からのアイを受け入れることだ…。』

 

 

 

そこでテープが終わる…

 

どういうことだ?ルビーからの愛を受け入れる?

 

俺が考えていると、窓の向こうでルビーが目覚めた。

 

 

 

「ルビー!ルビー!大丈夫か!?」

 

 

 

どうやら俺の声は聞こえていないらしい。ルビーは手術台から起き上がると、周りをキョロキョロと見渡した。向こう側からこちらも見えていないのか?

 

 

 

「ルビー!ルビー!」

 

 

 

窓を叩く。その衝撃は向こうに届いたようで、ルビーはビクッと身体を震わせた。

 

 

 

「なに!?なんなの!?」

 

 

 

ルビーの声はこっちに聞こえているのに…

ちくしょう!どうすればルビーをあそこから出せるんだ!

 

ルビーが眠っていた手術台の隣の机を見ると、手術道具と一緒にテープレコーダーが置かれていた。更に向こうには別の手術台にシーツが被せられている。形的に人みたいだが…

 

まさか……

 

嫌な考えが頭をよぎった…

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

星野ルビー

 

 

 

 

 

 

手術台に手術道具が並んだテーブル、その上に置かれたテープレコーダー。表面には『再生しろ』と書かれているテープが貼られてた。

私はそれを震える手で再生した。

 

 

 

『やあルビー、ゲームをしよう。ついさっきまで、君の兄は3つのゲームを行ってきた。彼には秘密がある。君と彼の母、星野アイを死なせた黒幕を殺すことだ。復讐だよ。彼はあの日から、人生の殆どをそのために使ってきた。利用できるものはなんでも利用した。育ての親も、自分に好意を寄せてくれた人達も、自分の血さえも…。だが、君だけは心の底から愛し続けてきた。君をずっと護ってきたんだ。君の夢を叶えるために人を集めた。情報を集めた。悪しきものから遠ざけ、それらは自分が請け負うことで、君が目指す夢を夢中で追えるように…。』

 

 

 

テープから聞こえてくる声がお兄ちゃんについて話していく。

 

お兄ちゃん…そんなことを……

 

 

 

『だが、最後の最後で彼は君をも裏切った。死を望んだことによって…。彼は今も死を望んでいる。救えなかったからだ。君を取り巻く環境を、愛を、アイを。』

 

 

 

そうだ。お兄ちゃんはいきなり人が変わったように私達に当たり始めて、遂には自殺しようとした…

何度泣いても、何度訴えても、お兄ちゃんは私の元から居なくなろうとした。悲しかった。お兄ちゃんとはいつまでも一緒にいられると信じてたのに…

 

 

 

『苦しみは本来分け与えるべきなのだ。血を分けた兄妹ならば…。彼を救えるのは君だけだ。もう時期、ここと彼のいる隣の部屋は毒ガスで満たされる。』

 

 

 

っ!?そんな!

 

 

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃんいるの!?」

 

 

 

私が声を上げると、一面の鏡ばりとなっている壁がドンッと帰ってくる。

 

お兄ちゃん…

 

 

 

「そこにいるんだね…」

 

 

 

私は自分の姿しか写っていない鏡を手で触れた。なんだか、お兄ちゃんも手を重ねてくれている気がする…

 

 

 

『そうなる前に君は彼の復讐を肩代わりしなければならない。』

 

 

 

その言葉に私はテープレコーダーに目を向けた。

 

どういうこと?

 

 

 

『目の前にいるのは彼が探し続けていた復讐相手だ。』

 

 

 

私の前にもう1台の手術台があり、それは白いシーツで覆われていた。私はそのシーツを一気に剥ぎ取った。

 

 

 

『その男は君達と血の繋がった実の父親、カミキヒカルだ。』

 

 

 

そこに寝ていたのはお兄ちゃんに似た人…。お兄ちゃんがもう少し大人になったらこんな感じなんだろうなと思わせる輪郭と体型。この人が私たちの…

両手両足が拘束され、上半身裸の状態で寝かされたその人は私を見ると力のない笑みを浮かべた。

 

 

 

「やあ、ルビー…大きく……なったね…」

 

 

 

 

左手の指が全てなくて、右手の指も何本かないその人…

 

この人が私たちの…?

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

わたし

 

 

 

 

 

は見ていた。

 

カミキヒカルは左の指全てを斬り落とした後、己の失敗に気付き一度は絶望に囚われたものの、粉砕機に掛かる前に残りの指を食いちぎるといった行動に出た。

凄まじい執念だった。歯で指の骨まで食いちぎることまでは予想していなかった。

 

わたしは装置を止め、彼を保護した。彼は理解した筈だ…命の尊さを学んだ筈だ…そう思った……

 

しかし、彼は既に手遅れだった。生きていたことよりも、新しい玩具を見つけたような、それを欲しがる子供のような目でわたしに教えを乞うてきた。

これはダメだ。もはや歪んだ魂は戻らない…残念だよ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

星野ルビー

 

 

 

 

 

 

手術台の上で拘束されて動けない男の人。この人が私とお兄ちゃんのパパ?

だったらなんでこんな所に…それにお兄ちゃんの復讐相手って…

 

 

 

 

 

 

『その男は人の命を測ることで自らの価値を高めようとしていてね。君の母親もその毒牙にかかって死んだ。先生もね。』

 

 

 

……は?

 

 

 

『その男にもゲームを仕掛けた。見事クリアしたのだが、その心にこびり付いた悪意はとても固く、未だに囚われたままだ。』

 

 

 

この人がママを……せんせを……

 

 

 

『君は男の心を解き放つんだ。その変わりに君の兄を助ける鍵が手に入る。だが、君自身を助ける鍵でもある。兄を助けるなら青い方、君が助かるなら赤い方を選べばいい。ただし、その男が死ねば、君の部屋は解除出来ない。さあ、時間は無いぞ。充満するまで5分しかない …』

 

 

 

そのための手術道具…わかったよ。後は私がやるね、お兄ちゃん…

 

 

 

ドンッドンッ!

 

 

 

鏡の向こうから音がする。私はそれを無視してメスを手に取った。

 

 

 

「ルビー、話をしようよ…それは君が持つものじゃモゴッ!」

 

「黙ってて!あんたなんかとは話したくない!!」

 

 

 

汚い口を開く男を布を詰め込んで黙らせる。

 

心を解放するんだから、胸を開かなきゃだね…

 

私は1度開かれたのであろう跡が残る男の胸にメスを躊躇無く刺しこんだ。

 

 

 

「ぐぅぅぅぅぅぅっ!!!」

 

「うるさい!!ママとせんせの痛みはこんなんじゃないんだよ!!」

 

 

 

そのまま切り裂いたけど、開けるほどではなかった。だからもう1回、同じところにメスを入れる。

 

 

 

「!!!!!!」

 

 

 

バタバタと暴れるけど拘束具がしっかりとしているから多少揺れるだけに留まる。

 

 

 

「暴れるな!変なところ刺しちゃってもいいの!?」

 

 

 

そう脅せば、男は呻きながらも動くのを辞める。

早くお兄ちゃんを助けないといけないのに…

男の胸を切り開くと、この男の心…心臓を見つけた。ドクンドクンと動くその心臓の管に鍵が括り付けられていた。簡単には外れそうにない…

 

けど、そんなのは関係ない…

 

私はハサミを取り出すと、躊躇うことなくその管にハサミを添える。

 

 

 

「ん〜〜〜!!!ん〜〜!!!!!!」

 

「ママとせんせの仇…」

 

 

 

チョキンッ!

 

 

 

私は躊躇わずにそこを切った。大量に血が吹き出して、私の顔にかかる。

 

汚いな……

 

これが私やお兄ちゃんにも流れてるなんて…

 

無事に鍵を取り出せたけど、こんなに血だらけじゃ…

軽くシーツで拭うと、先程のテープが言っていた青い鍵穴に鍵を挿した。そのまま回せば、鍵穴の上に着いていたランプが点灯する。

良かった…

 

 

 

「大丈夫だよね?」

 

 

 

私はさっき、お兄ちゃんがいたであろう場所で再び鏡に手を触れる。

 

 

 

「お兄ちゃん…大好きだよ…!」

 

 

 

お兄ちゃんが生きているなら…私は……

 

 

 

 

 

 

 

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