惇(うへぇ~。本当に女子だけだな・・・アイツも顔真っ青じゃん・・・)
キリッとした黒目をしており、目と同様の色をした髪を持ち合わせた端正な顔立ちをしている少年は今、スマホを弄りながら入学した学校の教室で、自分と同じ男子の身に突き刺さる視線を感じていた。
その視線の殆どは、好奇の視線だ。その中で、ポニーテールの見知った顔がいた。
惇(久しぶりに会ったが、あんなに美人になるなんてな・・・箒・・・)
箒を見て、惇は更に美しくなっていると感じた。
その時、教室の扉が開き、入ってきたのは
山田「皆さん入学おめでとう。私は、副担任の山田真耶です。」
私服姿の女性だった。
惇(あれ、教師か?随分と童顔だな・・・)
見てそう思った惇。
しかし、教室の女子生徒は、惇ともう一人の男子に集中していたため、彼女の自己紹介を流されてしまった。
山田「あ・・・え・・・。あ、今日から皆さんは、このIS学園の生徒です。この学園は全寮制。学校でも、放課後も一緒です。仲良く助け合って、楽しい3年間にしましょうね。」
それでも立ち直った山田先生は、その後もそう生徒達に言ったが、流されてしまった。
山田「じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっとぉ、出席番号順で。」
その空気に耐えきれず、山田先生は自己紹介を始めさせた。
そして
山田「次、足立惇君。」
惇「うぃーっす。」
惇に回ってきた。
惇「あ~、2番目にISを起動した足立惇です。趣味は寝る事で、武道を一通りやってて特に剣道をやってました。まあ、宜しくお願いします。」
そう、当たり障り無い自己紹介をした。
すると
「「「キャーッ!!!」」」
教室に女子の黄色い歓声が響いた。
「イケメン!!イケメンよ!!」
「クールでぶっきらぼうな感じだけど、それが良い!!」
「細マッチョで良いわー!!」
これには
惇(うわぁ~。スゲー喚声・・・)
惇も少し引き攣った表情で苦笑いを浮かべていた。
そして
山田「織斑君?織斑一夏君!」
一夏「あ、はいっ!」
最初に男子としてISを起動した男子、織斑一夏の自己紹介が始まった。
山田「あのぉ~、大声出しちゃってごめんなさい。でも、『あ』から始まって今『お』なんだよね。自己紹介してくれるかな?駄目かな?」
一夏「いや、あのぉ~、そんなに謝らなくても。」
一夏「えー。えっと・・・織斑一夏です。よろしくお願いします。」
そして
一夏「以上です!」
変な締め方をしたため
ドテッ!!
どこかの新喜劇のように女子生徒はずっこけた。
一夏「え?あれ?駄目でした?」
その時
ゴツーン!
一夏「アダッ!」
一夏の頭から拳骨が落ちた。
一夏「げっ!千冬姉!」
すると
ゴツーン!
千冬「学校では『織斑先生』だ。」
再び拳骨が落ちた。
山田「先生。もう会議は終わられたんですか?」
千冬「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな。」
そして、その者が教壇に立つ。
その者の名は織斑千冬。ISの世界大会、モンド・グロッソにて初代優勝者であり、初代『ブリュンヒルデ』の称号を持っている。
千冬「諸君!私が担任の織斑千冬だ。君達新人を1年で使い物にするのが仕事だ。」
すると
「「「キャーッ!!!」」」
惇の時と負けず劣らずの黄色い喚声が響いた。
「千冬様!本物の千冬様よ!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」
これには
千冬「はぁ~・・・毎年よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。私のクラスにだけ集中させてるのか?」
千冬は頭を抱え、溜息をつき呆れた表情でそう呟いた。
「お姉様!」
「もっと叱って罵って!」
「時には優しくして!」
惇(おーお、スゲー人気。まぁ、そうだよな。ISの元日本代表で世界一にもなり、公式戦の無敗記録を保持したまま引退しちまった。ある意味レジェンドだよな・・・)
それを、惇は冷静に見ていた。
千冬「で?そこの男子と違って挨拶もまともに出来んのか、お前は?」
一夏「いや、千冬姉。俺は・・・」
ガシッ
千冬「『織斑先生』と呼べ。」
一夏「はい。織斑先生。」
これに
「えっ。織斑君って、あの千冬様の弟?」
「それじゃあ、世界で最初に男でIS使えるっていうのも、それが関係しているのかな?」
女子がそう一夏に対して話していたら
千冬「静かに!」
千冬「諸君らには、これからISの基礎知識を半年で覚えて貰う。その後実習だが、基本動作は半月で染み込ませろ。」
千冬「良いか?良いなら返事をしろ!良くなくても返事をしろ!」
「「「はいっ!!!」」」
千冬が教壇でそう生徒達に凛とした声で言った。
山田「皆さんも知っている通り、ISの正式名称はインフィニット・ストラトス。日本で開発されたマルチフォームスーツです。」
山田「10年前に開発された当初は、宇宙空間での活動が想定されていたのですが、現在は停滞中です。」
山田「アラスカ条約によって、軍事利用も禁止されているので、今は専ら競技種目。スポーツとして活用されていますね。」
山田「そしてこのIS学園は、世界で唯一のIS操縦者育成を目的とした教育機関です。世界中から大勢の生徒が集まって、操縦者になるため勉強しています。」
山田「様々な国の若者達が、自分達の技能を向上させようと、日々努力しているんです。」
山田「では、今日から3年間しっかり勉強しましょうね!」
「「「はいっ!!!」」」
そう、山田先生は言い、千冬と共に教室を後にしたのであった。