悪徳プロデューサーへの転生 ~バッドエンドを回避するため枕営業させていた彼女たちに優しくしていたら、いつの間にか好意を寄せられてました ※ただし枕営業は辞めません 作:柊咲
「ほら、そんなとこで立っていないで座れ」
「は、はい、失礼します……」
離れようとする眞由美の肩を抱きながら洋一郎を座らせる。
コの字のソファー。
離れた位置に座っているとはいえ、よく見れば社長に抱かれているのが自分の妻だと気付いてもおかしくはないが……。
「おい、さっきから見すぎだぞ」
「すみません、そ、その」
「どうした?」
気付いたか?
眞由美の身体が微かに震えているのがわかる。
「綺麗な女性だなと思って、つい」
「ほお、顔もはっきり見えないのにか?」
「え、あっ、まあ……」
「お前、身体だけ見て言っていないか?」
「自分は、その……すみません!」
自分の妻に見惚れたか。
まあ、惚れたから結婚しようと思ったんだから当然っちゃ当然だ。
だがそんな女とずっとご無沙汰だったのはお前だぞ?
「嫁がいるのにいいのか、そんなこと言って」
「いや、それは……すみません、このことは眞由美には内緒でお願いします」
「わかっている。今日は無礼講だからな、好きにハメを外していい」
「あ、ありがとうございます!」
酒を注いでやると笑顔を浮かべた洋一郎。
というより、この状況を疑問に思わないものなのか?
以前から俺はこいつと社外で酒を酌み交わすほど仲良くも、ましてや可愛がっていたわけでもない。
そしてつい一ヵ月前に問題を起こした奴だ。
そんな奴が社長に呼ばれてご馳走してもらえるなんて普通に考えておかしいと思うべき状況だが──洋一郎はそんなこと微塵も考えていないとわかるほど浮かれた顔で俺の隣で顔を隠す眞由美の身体を横目で楽しんでいた。
「そういえば、今お前が進めているあのアイドルグループのプロデュースは順調か?」
酒を飲み、仕事の話題を振る。
前屈みになった洋一郎は何度も頷く。
「はい、後は最終オーディションのみです。歌も踊りも上手な子が揃っていて、もう少ししたら社長にお披露目できると思います!」
「歌と踊りか。ただ、そのグループは普通のアイドルとは違うだろ」
「えっと、かなりその、エロ寄りのグループなので……」
眞由美のことをちらっちらと確認する洋一郎。
「別に女の前だからって言葉を選ばなくてもいい。身体付きも、いい女が集まったんだろ?」
「えっと、は、はい……。社長もきっと気に入ってくれる子ばかりだと思います」
一般的な”かわいい”とされるアイドル像とは違う”エロ”を全面的に売り出したアイドルグループ。
これに関しては前から──俺が蛇口になる前から進められていたプロジェクトで、発案者も蛇口本人だ。
年齢層も二十代全般で、業界内のあちこちで売れなかった子を対象にオーディションを開催した。
崖っぷちの子。
モデルとして大成したレイカの少し前のように、業界にしがみついて踏ん張っている子たちの弱みに付け込んで枕営業をふっかけ食い物にしてやろう……という考えなのだろう。
「わかっていると思うが、味見しようなんて考えるんじゃないぞ?」
「そ、そそそ、そんなことしませんよ!」
「どうだかな」
このままこいつに任せていたらつまみ食いされそうだ。
別に今となっては女に困っていないが、せっかくの機会だ、この”プロジェクト”に関しては俺も楽しませてもらうとするか。
「最終選考に関しては俺も立ち会う予定だ。正式に日程なんか決まったら報せてくれ」
「わかりました!」
そこで、ずっと蚊帳の外に置いておいた眞由美を見る。
「いつまでチャックを下ろしたままにしておくつもりだ?」
解放されたズボンのチャック。
眞由美は何か言いたげに顔を上げたが、すぐに洋一郎に顔を見られないように俺の肩に顔を伏せる。
「ほら、いつもみたいにしろ。これは”命令”だ」
少し間を空けて、眞由美は左手を俺の股間へと向ける。
「え、社長!?」
「ん、ああ、気にするな。こいつには、いつもこうさせているんだ」
屹立した肉棒が顔を見せると、洋一郎はゴクッと唾を飲む。
「おお、いいぞ……そのまま扱け。いつもしているようにな?」
「──ッ!」
涙目の眞由美に睨まれたが、旦那の前で声を出すわけにはいかないので必死に堪えていた。
根本から肉棒を握ると、旦那の前で夫とは違う男のモノを扱く。
「社長、その……そちらの女性は、社長の恋人なのですか?」
「いいや、違う。さっきも言っただろ、専属秘書で身の世話をさせている愛人みたいな女だと」
「はあ……社長には、そういう女性が他にもいらっしゃるのですか?」
「まあな。誰もが羨む美女もいれば、子持ちの気遣いできる女もいる。他に若い女もいるな」
「そう、なんですか。凄いですね……」
「羨ましいのか?」
「えっ!? い、いや、自分は……」
俺と洋一郎の会話が気になるのか、手コキのリズムが一定じゃない。
それに力の入り方も、たまに力が強くなるときがある。まるで怒っているかのような。だけどそれは洋一郎が愛人を羨ましく思った瞬間ではなく、俺が他の女の話をしたときだったような気がする。
「別に隠さなくていい。今は俺とお前しかいないんだ。夫婦なんて、何かしらの不満があって当然だろ?」
「そうですよね。あはは」
「なんだ、上手くいっていないのか?」
そう問いかけると、洋一郎は俺を信頼して吐露しはじめた。
「実はその、例の件から眞由美の態度が変で」
「変?」
「以前はもう少し愛想があったといいますか、最近はよそよそしくて……。その、夜の方も、最近は誘っても断られてばかりで」
「……ほお、誘っても断られると」
この一ヵ月は夫との夜の営みは禁止させているので断られるのは当然だ。だが、さっき眞由美は俺に”誘われない”と言っていた。
誘われないからセックスをしていないと、誘われて断ったからセックスをしていない、では随分と話しが違う。
俺はいい意味での嘘をついた眞由美の頭を優しく撫でる。
「だったら溜まっているんじゃないのか? お前も、こういういい女と犯りたくて仕方ないんだろ」
「そ、それは……」
「まあ、この女は俺のだから渡せんが、仕方ない……おい!」
手を上げると、ボーイを呼ぶ。
「失礼します、お呼びでしょうか」
「手頃な女をこいつの隣に座らせてやってくれ」
「かしこまりました。少々お待ちください」
ボーイがいなくなってから、洋一郎は慌てたフリをする。
「社長!? 自分は、その」
「お前の妻には内緒にしといてやるから安心しろ。……っと、もう来たみたいだぞ」
「えっ」
黒のレースに下着姿の女性が来ると、洋一郎は初めてソープに行った客のようにそわそわと席を立ったり座ったりを繰り返す。
そしてエロい身体のコンパニオンが隣に座ると、さっきまであんなに妻の身体を盗み見ていた洋一郎が眞由美を見ることはなくなった。