TSリーガルがプレセアに身体をあれそれされる話 作:タニシカレー
世界再生の旅も終わり、恩赦によって囚人でなくなった私はレザレノ・カンパニーの会長としての日々を過ごしている。しかし手枷が外れても償いとは何か、己がやるべきことは何か、それを忘れることはなかった。世界の統合によって混乱しているふたつの地、特にディザイアンに荒らされていたシルヴァラントの暮らしをすこしでも豊かにする。その意志と共に、レザレノ・カンパニーは今日も様々な事業を営んでいる。
さて、世界再生の旅をきっかけに、我が社にはある女性が仲間に加わった。様々な困難や温かな思い出を共にした旅の仲間の一人、プレセアである。一見年端もいかぬ少女に見える彼女だが、実年齢は私と数歳程しか違わず、また私にとっては愛する者が遺したただ一人の家族である。そんな彼女が自らの意思で私の事業への協力を申し出たこともあり、私は彼女を使用人としてではなくビジネスパートナーとして雇うことにした。今は彼女の職人としての腕を活かし、開運グッズを始めとした我が社の商品開発に携わってもらっている。
そんなある日のこと、社長兼執事のジョルジュと共に書類仕事を片付けた私のもとに、プレセアが一人で訪れた。信頼できるパートナーとして会長室にも入れる社員証を渡しており、仕事の話をすることもよくあるので、彼女の訪問自体に問題はない。ただ、彼女が手に持っているものは気になった。書類の他に、何かが入った小瓶を手にしているようだ。
とはいえ、おそらく仕事の話だろうから立たせっぱなしにするわけにもいかない。私はジョルジュに紅茶とカップの追加を命じ、応接用の席にプレセアを座らせる。ちょうど淹れたての紅茶と会議のメンバーが揃ったところで、私はプレセアから話を聞くことにした。
「プレセア、もしかして例の件について進展があったのか?」
「はい。リーガルさんから依頼されていたもの……まだ試作品ですが、試験に移れるようになりました」
「なんと!予定よりもずっと早く試作品ができるとは、さすがプレセアですな」
「ああ、頼もしい限りだ」
「快適な座り心地、温泉地でも安心の完全防水、新感覚のマッサージ機能、そしてもちろんエクスフィアを使わない動力。全ての要望をクリアした、自信作です」
そう言ってプレセアが渡した企画書と設計図にざっと目を通す。企画書からでもわかる期待以上の出来栄えに、私は感嘆の溜め息を吐いた。
現在プレセアに商品開発部との共同製作を依頼しているのは、スパリゾートに設置するマッサージチェアだ。温泉地でもマッサージを楽しんでもらうため、またこれからの世界であるべき娯楽を提供するためにいくつか要望を言い渡したが、その要望を全て達成したものをこの短期間で開発するとはたいしたものだ。
「私たちである程度試験は行ってますが、開発者ではない目線での感想がほしいということで、リーガルさんにモニターを頼みに来ました」
「うむ、よかろう。私もこの商品の使い心地が知りたかったのだ」
「いやはや、レザレノ・カンパニーの未来は明るいですな」
ジョルジュの嬉しそうな声に大きく頷いたところで、プレセアが小瓶をテーブルの上に差し出す。そういえばこの小瓶については、まだ何も知らされていない。ピンクと紫が混じったような、この上なく怪しい色をしているのがとても気になるが……。
「これは?」
「これは、アイテム開発部から預かりました。これも、リーガルさんにモニターになっていただきたいそうです」
「プレセアよ、中身は何か聞いているかね?」
「トランスボトル、というアイテムの試作品だそうです。アイテムの性質を変えるルーンボトルから着想を得たと言っていました」
「それは人が飲むものだろうか?効果は?」
「飲むと数時間の眠りの間に身体が変化し、性転換した状態が一日ほど続くそうです。ちなみに眠る間に身体の疲労という疲労が全て取れて、目が覚めたら身体がとても軽くなるとか」
プレセアが淡々と告げた効果に、私とジョルジュは頭を抱えた。まさか我が社の商品開発部が期待以上のものを生み出そうとしている一方で、別の開発部が恐ろしいものを生み出していたとは思いもしなかったのだ。
「サイバックの研究院で生まれる類のものではないか」
「そもそも、疲労回復の効果だけでよかったのでは?それに何故リーガル様に試験をさせるのだ。向こうの開発部では試験を行ったのだろうか」
「我々で試すのは怖いけど、会長の体力と生命力なら多少何かあっても平気だから試してください、だそうです」
「レザレノ・カンパニーの未来もやや怪しくなってきましたな」
「そのようだ」
プレセアが私の目の前に小瓶を動かす。おそらく、向こうの開発部が相当な熱意を彼女に伝えたのだろう。彼女も商品開発に携わっている身だからか、開発者の熱意というものに少々同調しやすいらしい。
「……飲まれるのですか?リーガル様に万が一のことなどあってはならぬと思いますが」
「しかし、プレセアはこの様子だと私が飲むと言うまでテコでも動かぬだろう。私に万が一のことがあったときは……お前に会社を任せる」
「左様でございますか。私も腹を括るしかありませんな」
「これからマッサージチェアの試験も兼ねて一日程不在にする。明日私が無事で帰らなかった場合は、あの開発部は即刻解散させていい」
「かしこまりました。では、ご無事を祈っております」
おおよそ新商品の試験とは思えぬやりとりをジョルジュと交わし、私はプレセアに連れられる形で会長室を出る。ふたつの商品の試験を同時に行うことになったが、私はただただ無事に試験をやり過ごせるよう祈ることしかできなかった。
プレセアに通された部屋には、マッサージチェアと簡易的なベッドが一台ずつ置かれていた。部屋自体がシャワールームのような床と壁で造られていて、内側から鍵がかかるらしい。
「部屋は温泉地を想定した造りになっているので、このバスローブに着替えてください。着替えたら枕元のボトルを飲んで、ベッドに横になってください。元の服は濡れてはいけないので、リーガルさんが寝ている間に部屋の外に出しておきますから」
「承知した」
試験を行う前の準備だけ確認すると、プレセアは私を置いて部屋を出ていく。部屋の外の様子を見る限り、どうやら試験の立ち会いをするのは彼女だけのようだ。
(まあ、試験の内容を考えれば大勢に見られるよりはマシだが)
そんなことを思いながら、着ている服を脱いでは備え付けのカゴに畳んで置いていく。下着まで脱ぐのは抵抗感があったが、身体が変わることと濡れることを考えると脱がざるを得ない。私は脱いだ下着を服の間に挟むと、渡されたバスローブに袖を通した。バスローブは、今の私の体格に合わせてあった。
(さて、こちらの試験の気は進まぬが……飲むしかあるまい)
怪しい色の液体が入った小瓶を開け、気が変わらぬうちに一気にあおる。口の中に広がる妙な甘味に眉をしかめながらも、私はベッドに仰向けに横たわった。プレセアなりの気遣いだろうか、照明は着替えと寝ることができる程度の暗さを保っている。
(以前と違って身体が変わることはわかっている。あとは身体に害がないと信じるしかないか)
液体の効果が早速出ているのか、身体が緩やかな眠気に襲われる。やや高めの湿度と今の格好には心地いい温度に包まれながら、私はゆっくりと眠りに落ちた。
部屋の明るさで目を覚ましたとき、私の身体は既に女性のものになっていた。バスローブから伸びる脚はしなやかさがあり、胸元は大きく膨らんでいる。女性の身体になったことには動じなくなった一方で、私は自らの身体の身軽さに驚いた。身体の変化が起こった代わりに、たしかに全身から疲労が取れている。
(本当に、疲労回復の効果だけなら良かったのだが)
内心ぼやいてみたところで、目の前の状況が変わるわけでもない。大人しくベッドに腰掛け、ノックと共に部屋に入るプレセアを迎え入れた。
「身体はどうですか」
「今のところ大事はない。疲労回復の効果に驚いてはいるが」
「このまま、マッサージチェアの試験には移れそうですか」
「移れる、というよりそちらの方が本来受けたい試験なのでな。すぐに準備に取りかかってほしい」
「わかりました。そのままこのマッサージチェアに座ってください」
胸元以外は余裕の出来たバスローブ姿で、私はマッサージチェアの試作品に座る。部屋は温泉地を想定してか湿度が高くなっているようだが、座り心地は快適そのもので何の問題もなさそうだ。私の身体がマッサージチェアに包まれたところで、プレセアが手元のスイッチのようなものをいじった。
「試作品ではまだ背もたれの調節しかできませんが、実際にお客さんが使うときは手元のスイッチで自動的にマッサージを行います。今回は、私の手元にある遠隔スイッチで操作します。あと……」
「なんだろうか」
「マッサージで身体が滑り落ちないよう、両方の足首と片方の手首を備え付けのベルトで固定してください。その輪にベルトを通せば身体は固定できます。外したいときは、輪から引き抜くだけで外れますから」
「……よし、準備完了だ。始めてくれ」
私の一言を合図に、プレセアがマッサージチェアのスイッチを入れる。予備動作のような音がした後、全身を揉みほぐすようにマッサージチェアが動きだした。
「なるほど、たしかにこれは心地良いな。マッサージするべき場所をしっかり抑えているし、力加減もちょうどいい」
「もうすこし、このモードにしておきますか?」
「そうだな、あと数分ほど」
既に疲れの取れた身体だが、与えられるマッサージはそこから更に疲れを取るような極上の心地良さだった。動く音は静かで、それでいてしっかり身体を揉みほぐすパワーもある。湿度から来る身体の滑りやすさは、ぴたりと身体に合うチェアの柔らかさが解決してくれている。間違いなく私の要望通りの商品だ、きっとスパリゾート・グランブルーの目玉のひとつとなってくれるだろう。
しばらく癒しに身を委ねたところで、私はあることを思い出した。私が商品開発部に出した要望が、あとひとつ残っている。
「そういえばプレセア、あとひとつの要望はどうなっただろうか」
「新感覚のマッサージ機能ですね、もちろん用意できました。今、起動させます」
プレセアが何かのスイッチを押すと、チェアの後ろから静かに何かが開く音がする。何かと思った次の瞬間、背後から予想外のものが私の目の前に現れた。オイルのようなものを纏った、そう……まるで魔物の触手のようなものだ。小さな吸盤が並んだ四本の触手のようなものはバスローブの隙間を縫い、私の二の腕とふくらはぎに絡まった。
「こ、これは?」
「新感覚のマッサージ機能を搭載した、新型マッサージアームです。クラーケンの足から着想を得た形状、とても小さいパーツを無数に繋げることによる柔軟な動き、そして……」
「!」
絡まったアームは適度な締めつけで私の二の腕とふくらはぎを揉みながら、吸盤から来る細かい振動で私の筋肉を震わせる。それと同時に、ぬるぬるとしたオイルが私の身体に塗り広げられていくのを感じた。
「揉む、押す、締める、撫でる、振動する。とても多彩な機能でオイルマッサージをします」
「これは……すごいな。まるで本当の生き物のような感触と動きだ。形状はマッサージチェアのものとは思えぬが、色が合っていることで多少違和感も薄れている」
「リーガルさん、どうですか。この機能は要望をクリアしていますか?」
「完璧だ。やはり共同開発に携わってもらったのは間違いではなかった……」
そのとき、私はプレセアの表情に強烈な違和感を覚えた。感情をしっかりと宿した、鈍く輝く瞳に見覚えがあった。そしてその瞳をいつ見たか思い出したそのとき、私の腕に絡まっていたアームがバスローブの袖から抜け、胸元を隠すバスローブの合わせを大きく開いた。
「なっ……しまった!」
「大丈夫です。これもマッサージですから」
不覚だった。かつて女性の身体になったときにプレセアに何をされたか、そして再び女性の身体になったときに何をされる可能性があるか、しっかりと考えておくべきだった。あれから二度と女性の身体になることなどないと思っていたから、完全に油断していたのだ。
開いたバスローブから露わになってしまった胸に、二本のアームが下から絡みついてくる。そしてアームの先端にある吸盤が胸の先端を包んだとき、私は彼女に刺激を与えられる前に声をあげた。
「これは試作品といえど我が社の商品だ!こんな動きができるものなどとてもお客様に提供できるものではない!プレセア、早くアームを止めるのだ!」
「もちろん、完成品ではこの動きはできません。せっかくですから、試作品でしか味わえないマッサージを堪能してください」
「くっ……ぁ、っ!︎」
私の言葉も虚しく、胸の先端から甘い痺れが走る。アームの腕は容赦なく私の胸の膨らみを揉みしだき、吸盤は先端を吸うような動きをしながら振動する。ベルトの拘束を外して逃げようにも、唯一自由になっている手を一本のアームが絡め取る。胸に与えられる刺激に、私はなす術なく耐えるしかなくなってしまった。
「ぁ、はぁ、はなせ、くっ、ううっ」
「身体中に、オイルが塗られていきますね。そこにもオイルが塗られているか、一度外してみますね」
「ん、ぁっ!」
突然離れた吸盤に先端を引っ張られて、胸を大きく揺らしながら身体が跳ねる。吸盤に弄ばれた胸は先端からオイルを垂らし、私の太股にぬるつく雫を落とした。
「硬く、膨らんでる……オイルマッサージの効果が出てるみたいです」
「こ、こんなのは、マッサージなどでは……ぅあ、っ」
再び吸盤を先端にあてがわれて、情けない声が漏れてしまう。オイル塗れのアームの感触と先端を引っ張られながら与えられる吸盤の刺激に、腹が疼きだす。これは本当にまずい、とりあえず片腕のアームだけでもなんとかしなければ、打開策を考えるのに必死になっていた私は、残り一本のアームがバスローブの裾から潜りこんでいることに意識が回らなかった。
「ああっ!」
直接下半身に触れるアームの感触に、思わず裏返った声が出る。アームの吸盤が最も敏感な場所に触れたとき、忘れかけていた背徳への恐怖が蘇る。拘束を解きたい、この後与えられるだろうものから逃げ出したい。そう思ってもがくも、胸と下半身の性感帯に触れられる度に力が入らなくなって脱出に失敗する。私に残された手段は、目の前で私の何もかもを握っている女性への懇願のみだった。
「あ、ぁ、プレセア、とめて、くれっ、そこは……っ」
「気持ちいいと思うのでやりましょう」
「っあぁっ!あっ!うあああっ!」
性感帯をアームで擦られ、すれ違う吸盤の振動を与えられて、私は最早耐えることすらできなくなっていた。私の身体を暴き尽くした彼女の意思のまま、生々しく蠢く機械に容赦なく蹂躙される。再び背徳を背負い、恥辱に塗れ、それでも腹の疼きが求めるものを請うように喉を震わせた。
「あ、ひっ、ぁあっ!ぃ、たえられ、ないぃっ!ああっ!」
「もう、こんなにいやらしい顔になってます……マッサージ、気に入ってくださったみたいですね」
「はぁ、っ、ぁ、あ……!く、くる、ぁっ、あれがっ!ぁっ、あっ!」
「遠慮しないでください。チェアも部屋も完全防水ですから」
その言葉と共に、吸盤が性感帯に吸いつき振動が激しくなる。徹底的に敏感な場所を責められ続けた身体は、既に限界を迎えていた。
「くるっ、ぃっ、きて、るぅ……っ!あっ!ぁ、ああっ……!」
意識を飛ばしかけるほどの快楽を身体中に走らせながら、私のそこは控えめな勢いで愛液とは違う絶頂の証を噴いた。失禁したように溢れだすそれは下半身とチェアの座面を濡らし、バスローブで吸いきれなかった液体は逃げ場なく留まって座面の隙間に水溜まりを作る。
「あ、ああ……」
「気持ちよかったですか?」
「……」
「リーガルさんが気持ちよくなれたか、確認しますね」
「ぁ……」
バスローブの腰紐を解かれ、下半身まで露わにされる。ぼんやりと見下ろした先では、プレセアがオイル塗れの私の胸を指でなぞり、オイルと色々な体液に濡れた下半身と太股を撫でている。私の身体を再び暴き、まだ解放を許さないだろう彼女の瞳の小さな炎に、私は見て見ぬふりをした。
バスローブに袖だけ通し、ほぼ全裸の身体をプレセアに晒しながら、私は束の間の休憩を与えられていた。水溜まりは拭かれ、多少の不快感にも慣れてきたが、それでも羞恥が消えるわけではない。目の前に差し出された水を飲むことですこし正気を取り戻せたが、こうして見るとやはり異常だと思う。
「このような痴態など、あまり、見るものではない……」
「そうかもしれません。でも……見たくなります」
「見たくなる?」
「はい。見たくて、触りたくて、知りたくなるんです」
「それは私が……」
そこまで言いかけて、私は言葉の続きを強引に切った。もし言葉の続きを、理由を聞いたとき、最も聞きたくない答えが返ってくるのが恐ろしくなったのだ。
本心では杞憂だとはわかっている。だが、万が一彼女の興味が私の、特に女性としての身体でなく私そのものにあるとしたら、私は彼女を拒まざるを得ない。たとえ身体を暴かれても、今まさに蹂躙されて肉体に快楽を刻まれていても、私の心だけは動けない。それ故に、彼女を拒んで傷つけることも、彼女の心の底に触れることもしたくないのだ。この考え自体が、私自身の身勝手に過ぎないとわかっていても。
「続きは、言わないんですか?」
「言うべきでは、ないと思った」
「そうですね、それでいいんです。私も、リーガルさんも」
「背徳はもう背負ってしまった。それ以上のことは、知らない方がいい」
「……この話は終わりにしましょう。その方がマッサージも気持ちよく受けられると思います」
プレセアが手元のスイッチを操作し、マッサージチェアの背もたれを倒す。さっきよりも下半身が見えやすくなる体勢に、思わず目を背けた。
「やはり、まだ終わらぬか……」
「まだ、マッサージできていないところがありますから」
「そこのマッサージは、必要ない……っ!」
「リーガルさんは嘘が苦手ですね」
私の胸を弄っていた二本のアームが下半身に伸び、秘めたる入り口を拡げる。かつて私が自らしたように、目の前の彼女に見せつけるように。それを自覚した瞬間、下腹の疼きが一層切なくなるのを感じてしまった。これでは、まるで……
「こんなに濡れて、ぬるぬるにして、それに……お腹もここもマッサージを欲しがってます。ここも、最後まで気持ちよくしましょう」
「ぁ、待っ、う、うそ、だ……」
先程は絶頂するまで性感帯を責めていたアームの先端が、拡がった入り口に迫る。ぬるつく先端が狙いを定めて、そして私のナカに勢いよく侵入した。
「おっ、あああっ⁉︎」
「先は細いですし、アームもナカもぬるぬるしてるからすぐ挿入りましたね。指で慣らす必要もないみたいです」
「な、慣ら、す……っ⁉︎っ、あっ!やめろっ!おく、おして、ぁ、あっ!」
蠢くアームが私の腹を満たし、先端で奥をノックするように刺激する。入り口近くは痛みを感じない程度の太さで内側から腹を押し、私の身体は未知の快楽に侵食されていく。
逃げられない快楽に目を逸らした先で、プレセアが小さな箱から何かを取り出し、私の腹の上にそっと置く。滲む汗と涙でぼんやりしていた視界がはっきりした瞬間、腹の上に置かれたものに私は目を見開いた。
「あ、ぁっ、張型……っ!」
「リーガルさんが寝ている間にカスタマイズしました。あのときのものよりすこし太く、柔らかい材質でできています」
「そんなっ!ぁ、そんなのっ!た、頼んで……ない、ぃっ!」
「これは私物です。でも……今のリーガルさんなら気に入ると思います。マッサージの仕上げとして」
「仕上げ……っ⁉」
一瞬だけ感じた足首の自由と、直後に感じた急激に持ち上げられる浮遊感。ベルトの拘束から解放する代わりに、私の脚を持ち上げる彼女の眼差し。逃げようとするとナカを蹂躙され、手首のベルトの拘束が外れたところで快楽に脱力し、今度は手首と足首をまとめて拘束されてしまった。
「い、いけない、こ、こんな、っ!」
「もう片方も上げますね」
「ぁ、はぁ!はなして、くれ、っ!だ、だめだ、だめっ、あ、ぁっ!」
アームに責められながらの懇願も空しく、もう片方の足首も手首とまとめて拘束される。本来隠すべき場所が全て晒され、そのうえはしたなく身体が悦ぶ様を余すところなく見られている。あまりに屈辱的な姿をさせられても、彼女と背徳的な快楽を前にして逃げる術はどこにもなかった。
「ぁ、あっ、あ!あぁ……!」
「恥ずかしい格好……でも、すごくいやらしくて綺麗な顔してます」
「ぅ、そっ、そんなこと、っ!ない、ぃっ!」
「これが挿入ったときは、どんな顔になるんでしょうか」
「うぅっ!」
卑猥な音を立てながら私のナカを弄んでいたアームが一気に引き抜かれ、身体が快楽の余韻でガクガクと震える。あれだけ必死に刺激から逃げようとしていたのに、腹の中を満たしていたものがなくなった途端に腹の底が切なく疼く。張型がオイルと体液を纏うように下半身を擦るほど疼きは激しいものになり、無意識に腰が誘いこむように動く。
身体と欲が、心から完全に離れようとしていた。欲は理性を食い尽くし、身体は心に留めている想いを裏切る。心を許してはいけない、大切な想いだけは失っていない。それなのに、欲しくてたまらない。快楽を請うことでしか、身体と欲を満たすことができない。
「もう、挿入りそうです」
「ぅ、あ……」
「挿入れるには何が必要か、わかりますよね」
「っひ、ぃ、っ」
張型の先端が、焦らすように入り口をつつく。張型がナカに挿入ってきたら、奥まで容赦なく何度も突かれたら……考えるだけで恐ろしく、それでいて暗い期待に胸が高鳴る。一方的な快楽責めを受けながら、それを受け入れるかどうかは、私にしか決められない。
……欲しい、背徳が欲しい。心から離れてしまったものを、満たしてほしい。かつて導かれた絶頂を思い出し、渇望し、淫猥な涙を流して媚びる入り口を張型の先端に押し付け、私はプレセアの前に屈服した。
「ほ、ほしい……っ!ナカにっ、挿入れてくれっ!奥まで、いれていい、から……!」
「どうぞ」
「っは、あああっ!きてる、ナカに、きてるぅっ……!」
侵入される悦びに、“情婦”の嬌声があがった。張型がナカを満たしていくにつれて、秘めるべき欲も暗い悦びに満たされていく。下半身が無意識に締まって、張型に愛人のごとくしがみつく。張型の先端が奥にたどり着いた瞬間、身体の底から湧く多幸感に溜め息が漏れた。
「お、おくまで、きた、ぁっ……!」
「どうですか?仕上げのマッサージは」
「い、いぃ、きもち、いいっ……!」
「……もっと気持ちよくなってる顔、見せてください」
「ひっ、あっ!あう、ああっ!」
張型の律動に合わせてプレセアの手とアームが胸の先端を弄び、ナカを蹂躙していたアームが性感帯に吸いつく。残り二本のアームも私の胸に吸いつきながら容赦なく揺さぶってくる。最早耐えることも躊躇うことも捨てた身体は、快楽を喜んで受け入れる。
この部屋にいるのはレザレノ・カンパニーの会長でも、ただ一人の女性に一筋の愛を捧げた男でもなかった。背徳を共にした女性と機械仕掛けの触手に犯されることを悦び、理性と誇りを塗り潰して快楽を貪る恥辱の虜だった。
「ぁ、あ!ぁっ!は、あぁっ!」
「すごく、いやらしいです。大きな胸を揺らして、ここもいっぱい濡らして……あの日と同じ顔をして」
「ぁ、あっ!お、ぉく、はげしい、っ!こ、こしっ、うごいて、うぅっ!」
卑猥な音を響かせながら、身体は絶頂に近づいていく。来てほしい、導いてほしい、ほとんど自由の利かない身体で腰を振り、プレセアと作り物の男の象徴に昇りつめるような快感をねだる。その願いが届いたのか張型の動きがより激しくなり、足の先から頭の頂点まで煮えたぎるような歓喜に湧く。
絶頂に向けて身体を揺らす中で、情欲に染まりきった瞳が私を犯す女性の表情を捉える。感情をはっきり表そうとはしないが、瞳の中には小さくも煌々とした炎が上がっていた。
「は、ひっ!あ、ま、またっ、くる、くるっ!あ、ぁ!んぐ、ああっ!」
「見せてください、リーガルさん……女の人として、一番綺麗な姿を」
張型で奥を容赦なく突かれて、胸の先端を指先と吸盤で弄ばれて、性感帯に激しい振動を与えられて。最後の最後に張型が最奥を突き上げ、性感帯を強く吸われたその瞬間、私は待ちに待った絶頂の瞬間を迎えた。
「あっ、あっ、あああ……っ!っあ、あっ!」
身体が大きくのけ反った瞬間にナカから張型が一気に引き抜かれ、勢いよく絶頂の証を噴き出した。愛液とも尿とも違うそれはプレセアの服を汚し、再びチェアの座面を濡らし、チェアを伝って床に落ちていく。アームからも解放され絶頂の余韻に浸る私の頭を、小さな手のひらが撫でた。
「マッサージ、とても気持ちよかったみたいですね」
「はーっ……はぁ、っ」
「まだ片付けまで時間があります。リーガルさんがよければ、試験を続けますが」
手足の拘束を外され、元の体勢でマッサージチェアに座り直す。本来の動作の試験はとっくに終わっていて、性能も十分に理解した。明日の会議でどう話を進めるかも既に決めている。試験を続ける意味はどこにもない。
だが、炎の消えぬ瞳を前にして、私は収まらない熱と暗い欲望に抗うことができなかった。意味を成さなくなったバスローブを脱ぎ捨て、肘掛けに両脚を引っ掛け、今度は自らの手で張型を受け入れたばかりの入り口を拡げていた。
「試験を、続けよう……。お客様の満足度と、安全のために……っ、徹底的に機能を、試さなければ……」
「……わかりました。試験を、続けましょう」
プレセアが手元のスイッチを押し、三本のアームが私の下半身にゆっくりと狙いを定める。
「あぁ……」
一本は拡げた入り口へ、もう一本は性感帯へ、最後の一本は未知を秘めた後ろの入り口へ。これから行われる“試験”に腹を疼かせ、私は感嘆の声をあげた。
「会長、つまりこのマッサージチェアは……!」
「ああ、合格だ。スパリゾートの目玉となるべく、更なる改良を加えて商品化を進めてほしい」
「はっ、承知いたしました!」
商品開発部の責任者が喜びを抑えきれぬ表情で頭を下げる。ジョルジュを始めとした出席者も顔を明るくし、会議は順調に進んでいた。
マッサージチェアと件のアイテムの試験を行った次の日、無事男の身体に戻った私は新商品のモニターとして開発会議に出席していた。ある意味ハードな一日を過ごしたはずだが元の身体に戻った後も身体は軽く、予定を遅らせることなく会議に出席することができたのだ。
この会議は、ここ最近で試験を行った試作品を本格的に商品化するかどうか、商品化するためにどのような改良を行うかが主な議題となっている。商品開発部の責任者はマッサージチェアの企画書が通るか不安そうにしていたが、私は当初から考えていた通り商品化を進めることにした。なお、私の身体を変えたあのアイテムの開発は真っ先に中止させた。あのアイテムで私自身はとても人には言えぬことをしたが、レザレノ・カンパニーの名を付けて商品化するとなれば話は別である。あんな劇物は、決して世の中に放ってはならぬ。
商品化を進めるものが大方決まったところで、次の議題に進む。商品開発部の責任者からは、モニターとしての意見を求められた。
「会長、実際に使ってみた際に改良すべきと思った部分をご教授いただければと思うのですが……」
「そうだな……まず、手と足を拘束する部品はやめるべきだ。オイルマッサージで滑らないようにするためのものだが、容易に人の身体を拘束できる設備は、事故やトラブルに繋がるだろう。マッサージでお客様を不安にさせては本末転倒だ」
「そうですね……あれはオイルマッサージのためだけの部品ですから、オイルマッサージごとなくしてもいいかもしれません」
「うむ、マッサージ機能が優秀だからな。わざわざオイルを使う必要もなかろう。もし水や他のもので滑る可能性があるなら、座面を改良した方がいい」
「座面に座り心地の良く、かつ滑りにくい素材を張るよう改良しましょう。他に改良すべき機能はありますか?」
責任者の問いかけに、私はすこしだけ意見を出すのを躊躇った。言ってしまえば、試験中に何をしたか気づかれるかもしれぬと感じたからだ。しかし、言わなければ大問題に発展する可能性がある。私は事の詳細を悟られぬような表現を考えながら、それでも全くの嘘にはならぬような意見を出すことにした。
「あとは、そうだな……マッサージアームについてだが、背後ではなく側面から伸びるようにして、本数を増やす代わりに長さを短くすることはできないだろうか」
「可能ですが、試作品のアームに何か問題がおありでしたか?」
「その、試験中に予期せぬ動作があった。怪我や痛みを与えることはなかったが、本来触れてはならぬ場所に接触してしまったのだ。アームは、ある程度の部位には届かないような長さにした方がいい」
「なんと!アームの動作には細心の注意を払って設計していたのですが、そのような不具合があったとは……会議が終わりましたらすぐ改良に取りかかります!」
「よろしく頼む」
どうやら気づかれず、しかし改良すべき点は伝わったらしい。起きてはならぬ事態を防ぎつつ、起きてしまった事態についてもなんとか誤魔化しができたことに、私は密かに安堵した。
その後も会議は順調に進み、出席者達の前向きな表情と共に終わりを迎えた。出席者が次々と会議室を後にする中、私も次の仕事のために席を立ったところで、商品開発部の責任者に声をかけられた。
「会長、先程のアームの不具合についてすこしお伺いしたいことがあるのですが……」
「なんだろうか」
「不具合が起こった際、アームの操作は会長自らがなさっていましたか?」
「いや、アームの操作はしていないが」
「そうですか……」
「どうしたのだ」
「いえ、予期せぬ動作が起こる原因はなくはないのですが、まずありえないなと思いまして」
顎に手をあてて考えこむ責任者の姿に、冷や汗が滲む。頭のどこかで聞くべきではないと声がするが、表向きは平静を保ちながら話を聞くことにした。
「何か心当たりがあるのだろうか」
「仕様の話になるのですが、そもそもアームをオートで操作した場合、上のアームは肩や二の腕まで、下のアームはふくらはぎまでしか伸びないようになっているのです」
「そうなのか……!」
「また、マニュアルで操作しても、アームが胴体に触れないよう内部パーツの曲がる方向と角度は安全装置で制御されているのです」
「そんな、馬鹿な」
「アームがお客様の性器に触れることなどあってはならないことです。それゆえ私達はあらゆる操作パターンを想定し、何百回も試験をしたうえで、会長にモニターになっていただいたのですが……」
ここで責任者が嘘をつく理由はあるまい、おそらく本来の仕様は彼の言う通りなのだろう。では、何故アームは私の身体を弄ぶような動きができたのだろうか。冷や汗が止まらぬが、それでも彼の思いつく原因について聞き出さねばならなかった。
「なるほど、ちなみに万が一の事態を意図的に起こすことは可能なのだろうか」
「一応可能ではありますが、今回の原因としてはありえないかと」
「ありえないと、何故思うのだろうか」
「明らかに試験でやる手順ではないからです。意図的に不具合のような動作をさせるには全てのアームをオートからマニュアル操作に切り替え、そのうえで全ての安全装置を外さなければいけません。安全装置は専用のドライバーなしでは開かない場所にあるので、試験は安全装置での制御を前提に行うのです」
「……!」
「ですから、我々が見落としていた不具合があったものかと……誠に、申し訳ございません」
あまりにも丁寧に述べられた理由に、背中が嫌な汗をかく。彼女が普通ではない操作をしていたのはわかっていたが、まさかここまで手の込んだことをしていたとは思ってもいなかったのだ。
(私の身体は試験のついでに触られていたのではなく、試験を始める前から……いや、これ以上考えてはならぬ)
とにかく、試験は終わったのだ。商品化の際には二度とあのようなことは起きず、誰一人としてあの異様な出来事を体験することはない。あのことについて、彼女の真意について、これ以上の深追いはしない方がいい。
「今後、不具合が起きない仕様になるのであれば構わぬ。では、私は失礼する」
「は、ははあっ!」
本人の落ち度はないにも関わらず頭を下げる責任者を労わりつつ、会議室を後にする。一段と大きくなってしまった彼女の問題と新たに抱えるものが増えた私自身の問題については、もうすこし落ち着いてから考えることにした。
私が試験のモニターとなってから数週間、異例を通り越して異常な早さで商品化されたマッサージチェアはスパリゾート・グランブルーに設置され、瞬く間にお客様の人気を集めた。私も視察に回ってみたが、改良に改良を重ねられたアームはお客様の胴体に決して触れぬ長さとなり、健全な癒しを提供しているようだ。
しかし、実際にアームが動いている様を見るとどうにも落ち着かず、マッサージチェアそのものに座ることはできなかった。設置されているチェアはあのときのものとは違う、そうわかっていても身体があの刺激を思い出し、足を遠ざけたのだ。
(どうしてくれよう……いや、私自身がどうにかならなければいけないのだが)
仕事に支障が出ないよう雑念を振り払いながら、私は今日も会長室に向かう。彼女と私の問題は、あの試験から数週間経った今も解決の糸口が見つかっていない。
終