はらぺこサキュバスが性欲の強い男エルフと一夜のあやまちで契約してしまう話 作:ケロリビドー
レイモンドさんと同じ姿のアルベリオは動けずに立ち尽くすわたしの前に立ちはだかった。
「サキュバスってのは可哀そうだよな。生まれつき効率よく男の精を絞るのに都合良い体で生まれてくる。女をイカせる能力に優れたインキュバスに勝とうとしても圧倒的に不利だもんな」
手足の動かないわたしは、ただ睨みつけることしかできないでいた。
「なあ、このエルフ、おまえの彼氏なんだって? リルカに聞いたぜ。見せつけてくれるよなあ、おぼこ気取ってるくせに体温とか息まで思い出せるくらい良く知ってるのが家族とかじゃなくてこいつとかさ。エッロ……」
「それ以上その人の声で嫌なこと言わないでよ……大嫌い」
「おいおい、俺はこいつの声までは知らねーよ。おまえの頭が、この姿を見て俺の声を勝手にこいつの声として聴いてるんだぜ。ってことはよ。その程度には俺とこいつの見分けがおまえにはついてないってことだ。おもしれーじゃん?」
「何言ってるの……あんたとレイモンドさんの見分けがつかないわけないじゃない……真面目にやってよ」
「ふーん、じゃ、こうしたらどうなんだよ」
「きゃ……!」
アルベリオは、わたしの着ている服の胸元をぐいっと掴んで左右に拡げる。他のサキュバスよりは布面積が多いとはいえ、人間の服よりはかなり下着に近い作りの服はわたしの胸を守るにはあまりに頼りない。簡単に前を開けられて、おっぱいがぷるんと出てきてしまった。
「ケヒャヒャ! 気丈そうなこと言っておいておまえ乳首勃ってんじゃねーか! 最初の試験の時もこうだったもんな。隠してるつもりだっただろうが、バレバレだったぜ? サキュバスのサガってやつだなあ。今の俺は声と姿はエルフ野郎だが、匂いは俺のままだろうな。女の心と体をぐずぐずに蕩かす、今年の新作だぜ。これに逆らえるサキュバスなんかいねーさ……」
「あっ、い、嫌っ、ひ」
アルベリオは跪いて、わたしのおっぱいを柔らかくつかんで片方の乳首に舌を這わして来た。嫌なのに、暴力的な香水の匂いとレイモンドさんそっくりの声と姿に、私の体は意に反して反応を返してしまう。
ちゅ♡ ぴちゃ♡ ちゅっちゅ♡ ぺろ♡ れろれろっ♡
「ふっ、くっ♡ ンンッ♡ 嫌、やめて、アルベリオッ……♡」
「やめてって声じゃねーじゃねえか。大嫌いとか言っておいてこんなにこの顔が好きかよ? ひでーな。俺はおまえのこと結構好きなんだぜ? からかうとおもしれーし、妹みてえに思ってんだ。大嫌いなんて言われて、傷ついたぜ」
「うるっ、さい……嫌い、大嫌いっ……んひっ♡ やめてっ♡♡ そこだめッ!!♡♡」
胸への愛撫を続けたまま、おねえちゃんが作ってくれた下着みたいに短いズボンの前から、アルベリオの指が侵入してきて、わたしの一番弱い所を見つけ出して弄る。動かない足は簡単に広げさせられて、アルベリオが弄りやすい幅にされてしまう。
「あれぇ~? なんかぬーるぬるしてんなァ~? これな~に? シルキィちゃんよぉ~? 大嫌いな男の指で何こんなに濡らしてんのォ~? ちょっと雑魚まんこすぎませんことォ~? 嫌ですわぁ~、奥様ァ~♡」
くちゅっ♡ くちゅくちゅっ♡ カリッ♡ カリカリッ♡ にゅぷぷ♡
「ふっ……ざけ……っ、ンイィ……カリカリする、なぁっ……♡ もうその顔やめっ……ズルいっ……♡」
「なあ、シルキィよお。俺はさあ。ホントにおまえの事が好きなんだよ。一人だけ恥ずかしい恥ずかしいっていっぱい服着てて変な奴だと思ってたけどなんかほっとけなくてよ。つい意地悪しちまうけど、おまえの事かわいいって思ってんだ。都会で何人かサキュバスと付き合ってみたりしたけど、やっぱおまえみたいな素朴でおもしれーサキュバスが好きだなって思ったんだ。そんで帰ってきたらおまえ、人間の世界に行ったきり帰ってこねえっていうし」
ぬちゅっ♡ ぷちゅぷちゅ♡ ぴちゅちゅちゅちゅっ♡
「や、弾くのやめっ♡ あひっ♡ も、もうやめっ……♡♡♡」
アルベリオはわたしの弱い所ばかりをしつこく責めてくる。からかってくるときとおんなじしつこいいじめ方。女の体を隅々まで知ってる百戦錬磨のインキュバス。嫌なのに、嫌なのに体だけが気持ちよくて、立ったままの膝がガクガク震えた。
「なあ、こんなこともうやめちまえよ。催眠なんか使えなくても俺がおまえの事守ってやるって。この顔が好きならずっとこの顔でいてやってもいいぜ。人間の世界が好きなら俺もついてってやるよ。そうだ、こいつに催眠かけて、下男としてだったら一緒に暮らすのも許してやるよ。そしたらおまえも精気に困らないし、それで吸い尽くされて死ぬならこいつも本望じゃねえ? なあ、そうしようぜシルキィ」
さ、最低、最低ッ!!!
「嫌……離してっ! レイモンドさんッ! 助けてレイモンドさんッ!!」
「うるせえな、愛しの『レイモンドさん』はここには居ねえんだよ。抵抗すんなら催眠で言うこと聞かせてもいいのに、おまえの意思を聞いてやってる俺の優しさに感謝してもらってもいいのによ。あー、めんどくせえな。もうおまえ一回イッとけ。おら、イケよ」
ぐりゅんッ!!♡♡♡!♡
「ん゛ッッひぃいぃいぃッッ!!!♡♡!!!」
ブシュッ♡ ガクガクガクガクッッッ♡♡♡♡♡ ビクビクッ♡ ビクンッッ♡♡♡
「潮噴きシルキィちゃん、かぁ~わいいよなぁ♡♡ 口では嫌がっててもおまんこ気持ちいいのには抗えねえんだよなぁ、サキュバスってのはよ。さあシルキィちゃん、アルベリオおにいちゃんとキスしようぜ」
やだ……やだ……。
『俺とキスしたらお前の冒険はおしまいだ』
催眠の響きを漏らしながら、アルベリオの唇はわたしの唇を奪おうとした。
(いやだ!!!! 助けて!!! レイモンドさん!!!!! わたしを助けに来て!!!!!!!! レイモンドさんッ!!!!!!)
ドクンッ!!!!
『砂糖菓子、猿真似、殺処分』
「は?」
心臓が一回、跳ねるように高鳴ったその瞬間。それはわたしの背後に出現していた。形のいい唇が三つの単語を紡ぎ、わたしの手足は自由になる。
「離して!!!」
動くようになった両手で、私はアルベリオの体を突き飛ばした。アルベリオは後ろに数歩たたらを踏み、びっくりした顔でわたしの背後を見つめている。
「なんだ、そいつ、その虚像、今、喋ったのか……?」
アルベリオの視線の先、わたしの背後にはレイモンドさんの虚像がわたしを守るように立っていた。ダンジョンの中で怒りを募らせて狂い始めていた時の、オーラと髪の毛をゆらゆらと立ち昇らせたエルフの狂戦士。わたしの、わたしのヒーロー。
「はあ、はあっ……わたしのレイモンドさんは、わたしがピンチの時には絶対に助けに来てくれるの……。わたしはそれを心から信じてる。だからそんなわたしの作った虚像が喋るくらい、なんだって話……!!」
「自分の喋る言葉は解除の鍵にならないはずなのに……虚像だってそいつの一部なら無理なはずだぞ……シルキィ、おまえ、とんでもねえ……」
アルベリオはぽかんとしたまま、レイモンドさんの虚像を見たままだ。今しかない。わたしはアルベリオの名前を呼ぶ。
『アルベリオ! 出会い、性交、あやまち、路地裏、仲間達、以上の言葉を連続して聞くまで、おまえは……!!』
「しまった! クソッ!!」
『おまえは、サキュバス・シルキィへの執着を失う!!!!』
自分の言葉がまがい物の部屋に響くと、ニセモノのレイモンドさんの表皮がめくれるようにアルベリオからはがれ、風に吹かれた砂のように四散していく。宿屋の壁も同じようにめらめらと剥がれて消えていき、いつの間にかわたしたちは学び舎の教室に向かい合って座っていた。
「……まさかあんなところで負かされるとはな。ぜってえ勝ってたと思ったのによ」
「ご愁傷様。試験は合格?」
「ああ、文句ねえ、満点で合格だ。事務員から証書もらって帰んな」
アルベリオは仏頂面で腕を組んで、椅子の背もたれに寄りかかっている。
「ねえ、さっき言ったこと。どれくらい本当だった?」
「おまえのことが好きだったのは本当。催眠なんか使えなくてもおまえを守ってやりてえってのも本当。あとは全部おまえをからかうための嘘だわ。けど、もう今は全部なくなっちまった。えげつねえことしやがるよな。やるじゃん」
「それくらいされても仕方ないくらいの意地悪したんだから、自業自得だよ」
「ぐぅの音も出ねえよ。あーあ。いい女。リルカと仲良くしてくれてありがとな。これからもご近所さんでいてくれよ」
「うん。アルベリオもお仕事頑張ってね。じゃあ」
わたしは椅子から立ち上がって教室を出る。これでもうわたしは催眠が使えるようになった。レイモンドさんを助けるために、早く人間の世界に行こう。家に帰るまでの道のりが長く感じて、わたしは羽を広げて飛んだ。
合格しました。レイモンドとシルキィの再会を楽しみにしていてください。感想、個別返信はしていませんがとても励みになっています。引き続き二人をよろしくお願いします。評価とブクマもとても助かるので、気が向いたらぽちっとどうぞ。