※この作品はR-18です。

はらぺこサキュバスが性欲の強い男エルフと一夜のあやまちで契約してしまう話   作:ケロリビドー

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57.サキュバスとエルフは幸せなキスをする

「あーっ……」

「あ……♡ んん♡」

 

 レイモンドさんはわたしを後ろから抱きしめたまま、地面に仰向けの姿勢で転がった。固さを失ったおちんちんは、勃起してなくても全然常人より長いのでわたしの足の間に突き刺さったまんまずっと中に馴染んでいる。

 

「打ち止めです。もう煙も出ません。でも君は暖かくて気持ちいい。しばらくこうしていませんか」

「は、はひ……♡」

 

 ぷしっ♡ ぷしっ♡ とわたしの潮だけが出続けてるけど、精液は全部サキュバス袋が飲み込んでしまって、わたしのお腹はぽっこり膨らんでしまっている。これはちょっと外の人たちに見られたくないと思うので、落ち着くまで二人で天井を見上げていた。

 

「ちょっと無理させすぎましたね……。声も荒げてしまったし……。冷静に考えてみると君が可愛いのも私に堪え性がないのも別に全然君のせいじゃないのに。すみませんでした……。ここ、痛くないですか?」

「大丈夫です。んっ……なでなで気持ちいいっ……♡♡♡」

 

 そう言ってレイモンドさんはおちんちんが嵌ったままのわたしのおまんこをぬるぬると可愛がるように撫でる。いつもだったらそれだけで足がガクガクして腰が抜けちゃうけど、今はもう腰なんかとっくの昔に抜けてるし、股の部分が丸ごと痺れちゃってるので小さくピクピク痙攣するだけで、下半身全体にじんわりとひろがる甘い感覚を味わう余裕がわたしにもあるから、わたしは体を横切る長くて太い腕を抱きしめて頬を摺り寄せる。

 

「シルキィ君、私の求婚を受けてくれたということでいいでしょうか。私は意気地なしなのでもう一度ちゃんと確認したいです」

 

 レイモンドさんの声はちょっと掠れて、少し不安が混じった響きをしていた。わたしの返事はひとつだ。だけど、わたしにも不安に思うことがないわけではない……。

 レイモンドさんと出会ってから、いくつもの決断をしてきた。それは全部、レイモンドさんの隣にいたいから出た勇気。だから、場合によってはこれが最後になっちゃうかもしれないけど、返事を聞くのが怖くてずっと訊けなかったことを今訊いてしまうことにした。

 

「……わたし、レイモンドさんのお嫁さんになりたいです。レイモンドさん以外にこんなに愛してる人は今までも、この先もずっといないと思う。でもわたしはサキュバスで、サキュバスはインキュバス以外の種族の子供が産めないんです。レイモンドさんは子供が大好きだから、その、わたしで、いいのかなってずっと思ってて……」

 

 レイモンドさんの手が、ぴたりと止まった。彼は、少しの間そのまま黙っていて、わたしは怖くなって彼の名前を呼ぶために振り返ろうとする。

 

「んっ……きゅんっ……♡」

 

 でも、彼の両手がわたしの腰をがっしり掴んで持ち上げて、おちんちんがずるずるっと抜けたのでそれにびっくりした声がでてしまい、愛しい人の名前はわたしの口から出ることはなかった。

 レイモンドさんはわたしの体をこっちに向けると自分のお腹の上にわたしの腰を下ろして、腹筋の力でぐっと起き上がってきた。その表情は、最初の夜にわたしに早く家に帰ったほうがいいと言った時の表情と同じで、返事を聞くのが怖くなる。はやく、ねえ早く何か言って……。

 

「シルキィ君。君ねえ。私が欲しいのは子供じゃなくて君です。そこのところを勘違いしてもらっちゃ困る。私が君じゃなくちゃ嫌だから、君と婚姻したいと言っているんですよ。私が子供を守りたがっているのは自己満足だし、自分の子供じゃなくても守るべき子供はこの街には大勢います。それに君がつき合わなくちゃいけないということもないです」

 

 レイモンドさんは、真っ直ぐわたしの目を見ながらそう言った。その目には迷いが全くなくて、本心をそのまま伝えてくれていることがわかる。

 

「あ、でも君が子供を産んでみたかったって言うなら、それはどうしようもないですね……私は君に大きなものを諦めさせることになってしまう……けど、君が私から離れて別のインキュバスの子供を産むところなんて想像したくない……、それを決めるのはシルキィ君の権利で、私が決める事じゃないのに、ああ、これが独占欲か……」

 

 レイモンドさんの若草色の瞳の真ん中がぶわっと開いて、一人の思考に沈もうとしているので、わたしは慌てて声を出した。

 

「ヤです!! わたしもレイモンドさん以外の男の人とどうにかなるとかはヤです!! レイモンドさんじゃなきゃ嫌!! わたし、レイモンドさんの隣にいて、レイモンドさんのやりたいことのお手伝いをずっとして行きたい!! シルキィをレイモンドさんのお嫁さんにしてください!!! お願い……ッ」

 

 わたしが大きな声を出したので、レイモンドさんは思考の淵から引き戻されてびっくりしたような顔でわたしを見つめた。わたしは彼に懇願しながら、気付けば涙を流している。その涙を大きな手がそっと拭ってくれて、その手があまりに暖かいので、ああ、本当に、わたしはこの大きなエルフが好きで好きでたまらないのだと改めて感じ入った。

 

「……シルキィ。私を受け入れてくれてありがとう。私を励ましてくれてありがとう。私のために泣いてくれてありがとう。私たちはきっと、お互いを幸せにするためにめぐり会ったんです。君に会えなかったら私はこの冷たい洞穴で骨も残らず、誰も私を思い出さないまま消えていく運命だったと思います。君に会えてよかった。今、私は長い生の中で一番幸せです。今度は私が君を幸せにしたい。私に君を幸せにさせてください! 愛している!!」

 

 そしてそのまま、レイモンドさんはまたわたしの唇を奪った。ずるいなずるいな、こういうところ。大事なことを一方的に言って、わたしが返事する前にキスしてきて、わたしの返事を聞き逃しちゃうの。あとで不安になるくせに。でもね、レイモンドさん。シルキィもあなたが大好きよ。おっきすぎて全然腕が背中まで回らないけど、わたしは世界一大好きなエルフの体を抱きしめる。ずっと……ずっと離しちゃイヤだよ。絶対に、離しちゃイヤだよ。

 

(レイモンドさん、……だぁい好き)

 

 愛しさで胸がいっぱい。好きな人と結ばれた幸せを、わたしはなんだかよくわからない何かに感謝して回りたい気持ちになった。それは神様なのか、世界なのか全然わからないけど、ありとあらゆるすべてに感謝したかった。

 

「シルキィ君。地上に戻ったらもっとちゃんとしたものを渡したいけれど……とりあえずこれ、拾ってきたのでまた持っていてください」

「あ、小鳥のマント留め!!」

 

 レイモンドさんの掌に小さく収まっていたのはなくしたと思っていたあの小鳥のマント留めだった。

 

「私が気まぐれであげたものをずっと大事に持っていてくれたなんて……ひとまず、今はこれを夫婦の証とさせてください」

 

 そしてわたしたちは夫婦になった。

 汚れた服を洗って乾かす間、裸のまま抱き合って眠る。目が覚めて水場から出ると、みんなも起きてきていて心配そうに出迎えてくれた。わたしたちが婚姻することにしたのを伝えるとみんなそれぞれ驚いたり呆れたりしてたけど、自分のことのように喜んで祝福してくれた。ドーソンさんの腰の入った胴体へのおめでとうパンチは結構痛かったみたいで、涙目のレイモンドさんを見てみんなでひーひー笑った。

 

「それで? レイモンドの狂化はどうなりましたの?」

 

 落ち着いてきたころ、マノンさんが切り出したのでわたしもレイモンドさんの顔を見る。そうだ。もう大丈夫なんだろうか。

 

「そうですね……。今は欲求が完全に満たされている状態なので断言はできないんですが、灼けるような渇望はなりを潜めているような気がしますね。自分を呑んだローパーが死んだことによって支配から抜けたのかもしれないです」

「シルキィちゃんが寝てる間にも聞いたけどさ、シルキィちゃん、あんたの狂化を治すためにサキュバス界に帰ってたんだろ? 女に頑張らせていい気なもんだよホントに」

 

 リィナさんの呆れ顔を見ていたら大事なことを思いだした。わたし、ここにいる人たちにサキュバスってバレてる。

 

「あ、あの。えっと。騙してたつもりはないんです。わたしがサキュバスって知られるわけにいかなかったから隠さざるを得なかったっていうか……」

「つーかな。俺はけっこう前からシルキィちゃん、サキュバスかなんかなんじゃねえかって思ってたんだけど」

「へっ!?」

 

 ドーソンさんの一言にわたしはびっくりして硬直してしまった。

 

「レイモンドほどじゃねえけどやたら耳がいいし、使う術も人間離れしてたし、なにより狂った筋肉エルフと本気でハメて死なねえのタフすぎておかしいもんよぉ。これで納得いったわ。サキュバスならそりゃ死なねえよなぁ」

 

 わ、わ~……。わ~。

 

「わたくしとしましても、聖職者の立場上淫魔を看過するのはどうなのかと思いますけど……。それ。教会の子たちが作って、わたくしたちが祈りを込めた魔よけのマント留め。いつもつけてましたでしょ? わたくしたちの祈りが激ヨワなのかあなたが邪悪なサキュバスではないのかのどちらかですけど……。わたくしたちの祈りがカスだったとか絶対認めたくないからきっと善良なサキュバスってことなんですのよね!!」

「適当にハーフエルフかなんかだってことにしておけば大丈夫なんじゃないかニャー?」

「まあ、あとはレイモンドの狂化が解けてるっていう確認ができればどうにでもなるさ」

 

 みんながあれこれ自由に言う中、わたしとレイモンドさんは顔を見合わせた。

 

「えっと……念のため、催眠かけておきます?」

「うーん……とりあえず、禁煙のための催眠だけでもかけてもらいましょうかね……?」

 

 わたしはレイモンドさんに、もう煙草を吸いたくならないという催眠をかけた。レイモンドさんを悩ますいろんなことは、今はこれでなくなったと思う。これから抱えるだろう悩みは、二人で一緒に解決していけばいいのだ。きっと。




 大団円。もうちょっとだけ続きます。感想、評価、ブクマでエールをいただけると嬉しいです。
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