はらぺこサキュバスが性欲の強い男エルフと一夜のあやまちで契約してしまう話 作:ケロリビドー
「レイモンドさん、最近うなされてることが多いですよ」
わたしたちが婚姻を結んで夫婦になってから、五年経った。あの頃レイモンドさんが面倒を見ていた子供たちが熟練しだして、かなりの人数がマッピング師を目指すようになった。班の数も増え、レイモンドさんはマッピング師を辞めて、今は子供の冒険者の育成と引率に専念している。レイモンド班は解散。リィナさんは夢だと言ってた森林大迷宮の探索を始め、それにライオットさんとアーダさんが付いて行ったのでライオット班も解散した。
わたしは教会の仕事が忙しくなったマノンさんを手伝って今は教会で働いてる。サキュバスが教会で働くなんて、バレたら大変なことになるかもしれないけど、催眠をうまく使ってそのへんはなんとかしている。状態異常の人を催眠で治してるんだけど、それはマノンさんの力ということにしているので、立場上はわたしはただのお手伝い。
ドーソンさんは漠然と何か店をやりたい気持ちがあったけど具体的なことが見えてこなくて、急にみんながバラバラになってはじめはちょっと調子を狂わせていたようだったけど、前にレイモンドさんが体調を崩したときに子供の引率を代わりにやったのが楽しかったらしく、冒険者の学校を作るのはどうかと言い出して、最近のレイモンドさんはよくドーソンさんのところにそのことについての話し合いをしに行くことが多かった。
特に問題もなく、それぞれがそれぞれの夢を叶えるために頑張っているんだけど、近頃急にレイモンドさんがうなされるようになり始めてわたしはちょっと心配なのだった。
「え? うなされてる? 私が? 言われてみれば朝起きてもスッキリしていないことが時々あるかな……」
目覚めたばかりのレイモンドさんは寝耳に水と言った感じで首をひねっていた。
「起こすと落ち着いてすぐまた寝ちゃうんですけど……なんだか、『入って来ないで』とか『痛い』とかそういう感じの寝言を言ってるので心配で……」
「あっ……」
何か心当たりがあったのか、レイモンドさんはちょっと瞳を揺らした。
「どうしたんですか? 何かあるならわたしにだけこっそり教えてください。わたし、レイモンドさんのおくさんなんだから……」
「んん……でも……ちょっと。その」
「レイモンドさぁん」
「ああ……う、ええい。その。笑わないでくださいね?」
「笑ったりしませんよ。教えてください」
レイモンドさんは、大きい体を折り曲げて膝を抱くような恰好でベッドに座り、ちらりとこちらを伺うような目で見ながら、ぽつりぽつりと話し出した。
「……ローパーに呑まれたとき、二回とも、その、お腹の中に泥食い蟲が入ってしまって……その時の夢をその……見てしまってるんじゃないかと……」
泥食い蟲。動物の糞便を食べて生きている太いミミズのような虫で、時々弱った動物の肛門に直接入り込んでくることがある。あの時のローパーの体の中には泥食い蟲が共生していて、レイモンドさんはお尻から潜り込まれながらも頑張って脱出したのだ……。そういえば、お湯の出る水場で引っ張り出して縛って捨ててたっけ。
「あれからもう五年……。結構経っているのになんで私は今頃夢に見るのでしょう」
「うーん、わからないですけど、エルフは長生きですし、人間だったらすぐ現れるような異変が結構経ってから現れるってこともあるかもしれないですね。教会に来る状態異常の人も結構元気になってきてから悪夢に悩まされたりしてるみたいですし」
ベッドから降りて、下の階で朝ご飯にしながら、お互いの考えを話し合う。わたしたちはこうやってなんでも話し合うことで、特に喧嘩らしい喧嘩もしないで仲良くやってきている。
「シルキィ君の催眠で、私の頭から泥食い蟲に入られた事実の記憶を消すことってできますか?」
「できるとは思いますけど、うーん。ちょっとそれでいいのかなーって思って……」
「何か問題があるのですか?」
確かに記憶自体を忘れさせてしまえばレイモンドさんはもううなされることなく解放されると思う。だけど、だけどなんかそれって……。
「それじゃ、レイモンドさんがいつまでたってもお尻で気持ちよくなれないじゃないですか!」
「は……?」
わたしがフォークを天に突き上げそう主張すると、レイモンドさんはぽかんとした顔で口元に運んだソーセージをぽろりと落とした。
「わたしは悔しいです! レイモンドさんのお尻の初めてがわたしじゃなくて変な虫に取られてるだけじゃなくて、いつまでもレイモンドさんがそれに苦しめられてるなんて! 」
「え? シルキィ君、え?」
「おかあさんもおねえちゃんも彼氏とお尻えっちでラブラブしてるのに、わたし変な虫に負けてる!! 情けない……やっぱりわたしがサキュバスとして未熟だから……」
「し、シルキィ君、そんなことないよ、君は私だけの世界一素敵なサキュバスだよ、あれ? おかしいな。私がおかしいの? あれ?」
レイモンドさんはこの間、自分がやってた自慰の方法が他の男の人たちはやったことない珍しいやり方だったって知ってちょっと気を落としていたので自分の常識に自信が持てなくて混乱している。わたしも言いながら頭の端っこで、もしかして、こっちの世界の男の人ってインキュバスと違ってあんまりお尻えっちとかしない感じ? って思ったけど、もう止まらない。ロスアスタさんだってアルベリオだってお尻で気持よくなれるのにわたしがそれをレイモンドさんに教えられてないなんて! サキュバスがすたる!
「レイモンドさん! お尻で気持よくなる練習しましょ!! お尻のこと考えたらわたしの顔しか思い出せないようにしてあげます! それからだったら催眠してもいいです!」
「……。は、はい……。よくわからないですけど……お、お手柔らかにお願いします……ね?」
実は夫婦のえっちの時間で、ちょっとレイモンドさんのお尻の穴を舐めるくらいはもうやってたりする。お尻を舐めながらおちんちんを手でシコシコしてあげるとレイモンドさんはおちんちんを先走りでびしょびしょにして真っ赤になって女の子みたいに啼くのでそうするとわたしもすごく燃えるし、その後のレイモンドさんのわたしへの仕返しがかなり激しくなるのでなかなか良いのだけども……。
「そうと決まればいろいろ準備が必要ですね、明日はお仕事お休みでしたよね? 今夜からやりますよ! だから頑張っていってらっしゃいませ、だんなさま♡」
「ううん……勢いに負けてしまった……でもまあ、君がしたいことならやってみましょう」
はっきりしないような顔をして、出かける支度をしているレイモンドさんのお尻を手でぺちんと叩くと、彼は照れたように笑ってキスしてくれた。
「ん~しゅきしゅき♡ レイモンドさんだいしゅき♡♡♡」
「私も大好きですよ。では行ってきますね」
一通りべたべたしてから、レイモンドさんは出かけて行った。さて。
「いろいろ考えないといけないなあ……」
サキュバスがインキュバスのお尻を責める時どうするかっていうと尻尾を使う。サキュバスの尻尾は先が細くなっている上に返しが付いててお尻をコリコリ責めるのには最適だから、おちんちんがついてなくても男の人のお尻を責めることもできるし、場合によっては女の人だって責められる。でもレイモンドさん、わたしの指とかが汚れるからって言っていつも中まで入れさせてくれたことなかったんだよね……。
「あ、そうだ! リィナさんが持って帰ってきた『アレ』が使えるかも!!」
わたしはいいことを思いついて、目当てのものを仕舞った棚をガサガサ探った。
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