はらぺこサキュバスが性欲の強い男エルフと一夜のあやまちで契約してしまう話 作:ケロリビドー
「お姉ちゃんが家族連れて遊びに来たいって言ってるんですよ」
婚姻して五年ほどたったころ、朝食の時にシルキィがそう切り出した。シルキィの姉のミルキィはあの後アルベリオと一緒に暮らしだし、娘を一人産んだ。サキュバス界では子供が異境界領域を渡って別の世界に行くのは学び舎に入学できる年齢になってからということになっており、ララミィと名付けられたその子が該当の年齢まで成長したので連れて来たいとのことだった。
「お姉さん! そう言えば婚姻の式の時に会って以来ですね。シルキィ君はちょくちょく連絡していたようですが……。よいのではないでしょうか。うちに泊まってもらえば楽に角も尻尾も出していてもらえると思いますし」
この世界ではサキュバスなどの淫魔はモンスター寄りの認識をされている種族なのでシルキィも普段は幻惑魔法で角や尻尾は隠して暮らしていた。種族的に誰でもできる事なのでそこまで苦痛ではないが、それらを出しっぱなしにするのは靴下を脱いでくつろぐ程度には気が楽で、シルキィはそういうところに気を使えるレイモンドがさらに好きになった。
「シルキィ君今私のこと好きって思ったでしょ」
「思いました! しゅき!」
「私も好きです、ちゅッ♡」
「ん~、ちゅッちゅ♡」
ちゅっと口づけを交わすと、ほんの少しだけレイモンドの精気がシルキィに移る。これはシルキィ専用の食後のデザートだった。
「あ、でもこれは言っておかないといけないかも……」
「なんですか?」
「前もちょっと言ったかもしれないんですけど、お姉ちゃんと婚姻したアルベリオ、わたしのこと好きだった時期があって……レイモンドさんがそういうの嫌じゃないといいなって……」
唇を離したシルキィがそういうと、レイモンドはちょっと長めに「あー……」と声を漏らす。
「……あー、でも、もうお姉さんと婚姻して子供まで作ってるし、もし何かあるんだったらこうやって私に言いませんよね? シルキィ君も。大丈夫だと思います。はい」
「わたしたち、あ、わたしたちっていうのは淫魔のことなんですけど、こっちの人たちとちょっと人との距離感っていうか物事の捉え方が違うんで、レイモンドさんがやだなって思うことあったらすぐ言ってください」
「そうですね。どうしてもってことがあったら言います。我慢してシルキィ君と喧嘩とかしたくないので」
そんなことを言いながら、レイモンドはシルキィを膝に乗せ、腰から尻にかけてをなでなでと撫でまわす。
「きゃ、レイモンドさんったらまたしたくなっちゃったんですか? なんか勝手に淫紋がぽかぽかしてきましたよ? 洗い物しなくちゃいけないのに……♡」
「そんなの後で私が洗います、シルキィ君が朝から可愛すぎるのが悪い。もちろんそれで興奮する私はもっと悪いですけどね。一回! 一回で満足するから!」
「ぜーったい一回じゃ満足しないでしょ♡ わたしも満足しません♡ ちゅっ♡」
婚姻から数年経っても二人はこの調子である。周りが呆れるほどにお互いを好き合って、こうやって毎日朝も昼も夜も繋がり合う。二人とも目と目が合えばすぐに臨戦態勢になり、下着をちょっとずらしたらもう準備万端。椅子に座ったままのレイモンドに跨ってシルキィが腰を落としたら、レイモンドの淫紋の先端はずぷぷ……♡ と深くまで割り入り、シルキィの臍下の淫紋に出会う。中で淫紋同士がちゅッ♡ とキスをすると、二人は頭の芯まで痺れてしまう……。
「んッ♡ ふッ♡ んッんッ♡ ぅんッ♡ んん……♡」
「ふっ、ふッ♡ ん……♡ んん、っふ♡ んッ……♡」
上と下と両方で深いキスをして、二人は抱き合ってお互いの体温や鼓動を楽しむ。最初はあまり動かずにお互いの粘膜をじんわりと気持ちよくしていたが、だんだんと気持ちが高ぶっていくにつれてシルキィは自分で腰を振り、レイモンドもそれを大きな手で手伝う。ぱちゅ♡ ぱちゅ♡ とお互いの皮膚が打ち付け合わされ、欲望の蜜がかき混ぜられる水音が朝の食堂に響いた。
「ああ……ッん♡ レイモンドさん♡ わたしイっちゃう……♡」
「はあッ、私もイきますッ♡ イくッ……♡」
ぎゅっと強くシルキィを抱きしめながら放たれたレイモンドの精が彼女のサキュバス袋に勢いよくどくどくと注がれ、そのまま一滴残らずごくごくと飲み干された。
「はぁ~ッ♡ いつ飲んでも美味しくて最高ッ……太っちゃう……♡」
「シルキィ君なら太ってても私は大好き♡」
「んもう……レイモンドさんったら……♡」
サキュバスは二十歳過ぎるとエルフ以上に歳を取らないので、シルキィはいつまでもうっすらと幼さを残した外見をしていて、さらに毎日の精気供給でぴちぴちと瑞々しい。レイモンドが彼女と婚姻したのは、婚姻衣装で街道を爆走したりしたのもあって仲の良いものもそうでないものもみんな知っているが、人間であれば大体三十代くらいの肉体のレイモンドを「ひょっとしてあいつ色ボケなだけじゃなくて少女愛好なのでは、子供の世話してるのも怪しいんじゃないのか?」などと噂する者もあり、レイモンドが口さがない噂話から解放される日はなかなか来ないようだった。
「わたしがお休みもらえた日に来てもらうように話しておくので、その時はよろしくお願いしますね」
シルキィはそう言って仕事に出かけて行った。最近は教会でマノンの手伝いをする傍らパン屋で働いているようで、よく売れ残りのパンを持ち帰ってくる。レイモンドはそれを持って、家のない子供たちに読み書きや生活の術を教えたり、引率でダンジョンに潜ったりして今は暮らしていた。二人はお互いのしたいこと、すべきことを理解し合い、協力し合う理想的な夫婦の形を見つけることができている。
数日後、ミルキィ一家がレイモンドたちの家のドアを叩いた。
「やっほー! シルシル久しぶり! レイモンド君も!!」
「お姉ちゃん!! 久しぶり~!!」
「ミルキィさんお久しぶりです、あ、こちらアルベリオさんですね。初めまして、レイモンドです」
「……ス」
「ス、じゃないよ! ちゃんと挨拶しな!!」
「痛って!」
顔も合わせたことがないのに恋の勝負に負けた相手と挨拶を交わすのが気まずいのか、目を合わせずにもごもごと対応するアルベリオの後頭部をミルキィがペンと叩く。レイモンドは長いエルフ生の中でこういう状況になったことは別に初めてではないのでニコニコと笑って許した。
「ララちゃんも挨拶しようね」
「……こんにちはっ!」
ミルキィがとても下の方に目をやって声をかけ促すと、アルベリオの足の後ろあたりからあどけない高い声がする。レイモンドの視点は高いので、意識してそちらに目をやると声の主がくりくりとした目で大きなエルフを見上げていた。
「かっ」
その目にばっちりと捉えられたレイモンドは一瞬窒息したような声を出した。彼と見つめ合っているその子は黒くふわふわとした髪と同じく真っ黒な目が特徴的で、それ以外は全体的にシルキィを子供にしたらこんな感じだろうという姿をしていて、大層可愛らしい女児だったのだ。
「か……かわいいですねぇ~ッッ!!!!」
レイモンドはがばっとしゃがんで子供用に視線の高さを調整するといつもより二段ほど高い声で叫ぶ。いつもニコニコしている彼だが、溶けそうなくらい眼尻が下がってしまっている。
「ララミィちゃんですか? 初めまして、レイモンドおじちゃんですよ! よく来てくれましたね! 会えて嬉しいです!!」
「レイ……ちゃ?」
「こーら、レイモンドおじちゃんね」
「レイちゃです! レイちゃでいいです!! ああ、シルキィくんそっくり!! 可愛すぎる! どうにかなりそうです、ああ!」
ミルキィが注意するが、レイモンドはまったく気にしない。ララミィはその様子を見て「レイちゃ!」と嬉しそうに彼を呼ぶと、その分厚い胸板に飛び込んで形のいい唇に伸びあがりざま、ちゅーっ! とキスをした。
面白かった、続きが気になるなどございましたら感想、評価、ブクマ、いいねなどで応援いただけると嬉しいです。