……ぼーっと、夢をみているような気分で、その日を終えて。
翌日、シスター達の誰もがまだ眠っている早朝、僕はひとりでマルファの私室へと足を運んだ。
元は孤児院でもあったこの教会には、出入り口の大扉を開けた先にある聖堂の他に、いくつもの部屋が存在している。シスター達と同じく、自分も今はその部屋のうちひとつを借りて寝泊まりしている。
マルファが使っている部屋は、かつては孤児院の院長が使用していた最も大きな部屋である。その部屋の戸を叩くと、存外に早く返事があった。
「どうぞ」
戸を開けて、ネグリジェを着たままのマルファの前に膝をついて頭を下げ、僕は彼女に昨日の出来事をありのまま話した。
エリスとステラの二人と姦淫を行ったこと、彼女たちからの誘いを断れなかったこと、そして今も、受け取った『鍵』をずっと持っていること……。
けれど、すべてを話し終えるより前に、マルファの言葉が僕の告白を遮った。
「待って、待って頂戴、貴方様。え、っと……昨日……と、おっしゃったの?」
「……はい。つい、昨日のことです」
それからマルファは、目を丸くして。
「……昨日が、はじめて? 本当に? わ……わたくしはてっきり、もうとっくに……」
「……はい?」
言っている意味が――よくわからなかった。
仮にとはいえ神父である僕が、魔を祓う聖女たる彼女たちとまぐわい、純潔を奪ったことなど到底許されるはずがないと思っていたのに。マルファは、もうとっくに……と口にした。
それからマルファはあっけに取られる僕を立ち上がらせると、来客用の椅子を運んできて、そこに僕を座らせた。
テーブルを挟んだ向かいの壁、そこの棚から茶葉を取り出し、湯を沸かしながらマルファは言葉の意味を説明する。
「わたくし達は皆……貴方様を、心よりお慕いしております。心だけにあらず、この体もすべて、もとより貴方様に捧ぐつもりで……いえ……捧げたつもりでおりましたわ。ですから、わたくしはてっきり、もうとっくに誰かを抱いたものとばかり……」
……。小さく開いた口が塞がらなかった。
ステラの言葉は誇張と思っていた。みんながみんな、肉欲と結びついた好意を僕に抱いている、など。
「ステラやエリス、それからソフィア。みんな、夜な夜な貴方様のベッドに潜っていたのは知っていて? イレーヌは堪えていたけれど……時折、下着や衣服の数が減ったりしたときはなかった?」
…………ある。
夢だと思っていたし、思い違いだとも思っていた。なくなった下着や衣服は、後日綺麗になって戻ってくるものだから、てっきり気合を入れて洗われたものだとばかり――。
仮に……仮にそれがもし本当なら、あまりにも、僕に都合がよすぎる。彼女たちに無条件にこれほど愛されるなど――なんの対価もなしに、こんなに都合の良い幸せを享受していいものなのか。
だって、マルファの言葉もステラの言葉も本当だとするなら……今こうしてお茶を淹れてくれるマルファですら。
「貴方様?」
不意に左から聞こえた声と、そこにあったマルファの顔に驚く。
花弁のように鮮やかな薄赤い髪と、金色の瞳。いつの間にか注がれたハーブティーの香りと、マルファの香りが入り混じって鼻をくすぐる。
……エクソシスターの誰のことも、平等に愛しているつもりだけれど。
マルファに対してだけは、どうしてか、際立って特別な想いが自分の中にあるように感じられた。
「僕は……」
左手を持ち上げて、マルファの頬を撫でて、問いかける。
「……僕はどうしたらいい。マルファ、君は……僕に、どうしてほしい?」
マルファは一瞬、呆気にとられたような顔をして。
それから優しく微笑むと、自らの頬を撫でる僕の左手に、自分の手を重ねながら頬ずりをした。
「そうね。わがままを言うなら、わたくしのことも、今すぐにでも抱いてほしい。けど」
……けど。
そう言ってマルファは、僕の左手を抱きしめながら、まっすぐにこちらを見つめて続ける。
「導いてあげて、くださる? あの子たち……エリスとステラと、イレーヌとソフィアを」
「導、く……?」
マルファはこくりと頷く。
「わたくし達は皆、エクソシスターである前に、ひとりの女。純潔を貴方様に捧げたが故に……男性とお付き合いをした経験が無いの。だから貴方様を誰よりも何よりも愛してはいれど、内なる欲求をいかにして発露すればよいものか、貴方様にお伝えすればよいものか……その手段を知らない。エリスもステラも……きっととても強引に、機を逃すまいと貴方様に迫ったのでしょう?」
まるで目の前でその様子を見てきたかのように、マルファは話す。
……実際、二人の様子はおかしかった。それを受け入れてしまったのは僕だが、突き放して傷つけるわけにもいかなかったし、何より――心地よかったのも事実だ。
その行為に喜びを覚えたことを恥ずべきだと思っていた、そのはずだったのに。
「わたくしも、おんなじ。だから導いて…………受け入れて、あげて? 彼女達の想いを、どうか……どうか」
ぎゅっと僕の左腕を抱きしめるマルファの顔は、この上なく嬉しそうで、幸せそうで――けれど同時に、どこか寂しそうでもあった。
――彼女たちを束ねる主として、マスターとして。
したいと思ったことをすべきなのは、彼女たちではなく。
彼女たちが僕に何かを求め、するのを待つのではなく……。
「ねえ……貴方様。今日はイレーヌとソフィアに、近郊で新たに発見された遺跡の調査を命じるつもり。貴方様は彼女たちに同行して、彼女たちの想いを……受け取ってあげてくださらない? ……いえ、正しくないわね。昨日はエリスとステラ、今日はあの子たち、二人と――っ、ん、ぁむっ……!?」
椅子から立ち上がり、彼女の体を抱き寄せて、その唇を奪う。
普段外で見るあの正装ではなく、肌触りのいいネグリジェを着た彼女の体を強く抱きしめながら、背中を撫でてその感触を味わいながら。
抵抗はしなかった。ただ驚きつつもマルファは、小さく足を踏み出して、内腿をこちらの足に擦り付けた。
「ぷぁ……っ、……貴方様? どう、なさいっ……んっ♥」
彼女が抱きしめている左手で、今度は自分から彼女の乳房に触れる。
下着をつけていない、半ば透けたそこに触れると、マルファの大きな胸の感触と体温、それから鼓動の速さがじかに手のひらに伝わってくる。
マルファは、先程並べたエクソシスターたちの名前に、自分を含んでいなかった。昨日がエリスとステラなら、今日はイレーヌとソフィアと。自分も同じと、先に伝えておきながら……彼女は、自分だけは後回しでいいと思っていたのだろう。それが彼女の思いやりに依るものなのだろうか。
その心遣いを思った瞬間、急に彼女のことが愛おしくなった。
したいと思ったから、した。マルファの顔は、驚き戸惑いながらも赤く蕩けていた。
「い、いけません、今は……まだ。っだって、彼女たちはまだ眠って……」
「マルファ」
左手で胸をまさぐりながら、右手で彼女の手を取り、その甲に膨らんだ股間を触れさせる。
ゆらゆらと揺れる黄金色の瞳を見つめ返しながら、静かに命じた。
「……鍵を、よこせ」
慣れない強い語気が、唇を少し震わせたけれど。
固く保っていた心がとろりと融け始めたかのように、マルファは自ら掴まれている手を返し、すりすりとそこを撫でながら答えた。
「……。じゃ……ぁ。……彼女たちが……起きるまでの、間だけ……」
撫でる手とは反対の手を懐から取り出し。
その指先で握る小さな鍵を、こちらに見せながら。
「その、左手で……わたくし達を握り、守ってくださる左手で……わたくしの鍵も……開けて、くださる……?」
*
「んっ、む、んぅっ、…………っ、……はむ♥ ぁあ、はむっ、ん……ぅっっ♥」
教会の部屋の一室に、熱のこもった息を混ぜ合う声と、規則正しい水音だけが響いている。
細い指は雄々しくそそり立った性器を懸命に扱き立て、鈴口から溢れる涎を伸ばし、塗りたくり、泡立てていた。
上の口は重なり合って塞ぎ合い、貪り合いながら。マルファの手は性器を、僕の手は彼女の胸を。
「ぷぁっ……はぁっ……♥ ……本当にっ……想像以上に、立派ですこと……♥ これを、本当に……エリスにもステラにも、突き立てたの……?」
熱い吐息と声が耳孔を撫でて刺激する。お返しにと彼女の頭を撫でながら、ぎゅっと胸の先端を摘まむ。
次は君だ。それに、キスは君が初めてだった。そう伝えながら。
「んぉ……っ♥ っ、やだ、敏感なところをいじめられながら、そんなことを言われると……はしたない声が、出てっ……♥ …………んっ♥」
両手は彼女の体を愛でながら、興奮が凝り固まる股間はマルファの手に扱かれる。
自慰しか経験のなかった自分にとって、自慰を誰かに手伝ってもらうというこの状況は、とても新鮮で心地よかった。
特にマルファの手は細くしなやかで……それでいて巧いとは言い難い手の動きが、殊更に興奮を強めてくれる。
「……じゃあ……貴方様の唇の味を知っているのは、今、この瞬間は、わたくしだけ、なのね……♥ いずれ、みんな味わうことになるのでしょうけど……今は、わたくしだけの、ものっ……♥ ぁむっ♥ ぢゅぅぅ♥ んむぅっ、ふっ、ふぅっ、れる、れぉ……っ♥ っ♥♥」
加えて、マルファは言葉を交わすとき以外、貪るようにキスを求める。
欲情と欲望をぶつけ合うようなエリスとステラとの行為とはまた違う、ただひとりとふつふつと愛情を刺激し合うこの行為は、肉体的な快楽よりも精神的な充足のほうが心地よく感じられて。
愛おしい。その気持ちが、自然と口をついて出た。
「……ふえ……っ?」
僅かに口が離れた瞬間に聞こえた言葉に、マルファは目を丸くする。
好きだ。そう言った。
「…………っっ♥♥」
マルファはくしゃりと微笑むと、ぐりぐりとこちらの肩に額をうずめた。
それから蕩けた笑顔のまま、こちらを見つめて訊ねる。性器を扱く速度を、ゆっくりと優しいものに変えながら。
「……もっと。もっと……好きに、なって? わたくしのことを、もっと、愛してくださいませ……貴方様……っ♥ わたくしの――」
ぎゅ、っと強く握り。
ぐちゅぐちゅぐちゅと、激しい水音を立てながら。ぞわりとする体に、彼女の声が追い打ちをかける。
「――おっぱい♥ おまんこ♥ 全部、ぜんぶ、好きになって――夢中になって、大好きに、なって♥ わたくしも、貴方様の、これが……欲しくて、欲しくて、愛おしくてっ……♥♥ ああ、もう、もうっ、駄目、お願い、貴方様っっ――♥ はむっっ♥ ん、むぅっ、れる、れろぉっ……くちゅっ、ぢぅぅぅ……っっ♥♥」
刺激の緩急に性器は跳ねて悦び、股間の奥でぐつぐつと精液が迫るのを感じる。
たっぷりとキスをした後、マルファは名残惜しそうに口を離すと、耳元で淫らにねだった。
「おちんぽ、おちんぽっ、しゃぶらせて……っっ♥♥ わたくしも、貴方様の精液を――ザーメンを♥ 口で、胃で、おまんこで、子宮で、全部で受け止めたいの……っっ♥♥」
ぐちぐちと性器を扱き、唾液がわずかにつながる口を小さく開いて、ここに出してほしいと訴えるマルファ。
そうすれば……ああ、そっか、キスができなくなるから――。先程までのキスはそういうことだったのかと、納得しながら僕も名残惜しさを覚えながら彼女の胸から左手を離す。
その左手で彼女の手を掴み、達してしまう寸前でぴたりと止めさせる。そうして、沈黙で肯定を伝えてから、付け加えた。
「……っ?♥」
エリスとステラは、一発分の精液を、二人で分けて飲んだと。
それから――大きな大きなゲップを聞かせてくれた、と。
「…………ふ……たり、で? ……っ、~~~~っ……♥♥」
するすると僕の体に手を這わせてしゃがみ、先ほどまで懸命に扱いてくれていた性器の前に顔をやり、じっと見つめながらマルファが呟く。
「そんなに……すさまじい量を、ここから……? っ、それに、げっぷだなんて、なんてはしたない――そのようなことを、本当に……?♥ それは大変、失礼、をっ……ぉ、ぉおおっほぉぉぉ……っ♥♥」
失礼……というわけでもない。むしろ、興奮した。
だからマルファにも飲んでほしい。聞かせてほしい。そう言いながら、泡立った我慢汁にまみれたそれの先端をマルファの頬に擦りつける。
据わった目でそれを見つめるマルファから吐息と声が漏れて、頬と吐息の感触だけでもあやうく射精しそうになった。
吐息を吐きかけられるだけでびくんと跳ねたのをマルファは見逃さなかったのか、小さく開けた口を先端に近づけて――咥えは、せずに。
「……っ、ふぅぅぅ…………っ♥」
息を、鈴口に吹きかける。またびくんと跳ねる性器を、ぎゅっと握る。
そしてまたぐちゅぐちゅと扱き始め、大きく開けた口から溢れる熱い吐息を何度も亀頭に吹きかけた。
あの口内の温かい感触を想定していた性器に、まるで焦らすような吐息の熱と意識の埒外から来る手の刺激がもたらされて、腰ががくがくと痙攣し始めた。
「ふぅ、ふぅうっ、ふぅぅ……っ♥ ふふっ……♥ ああ、こんなに、びくんびくんと跳ねてっ……♥♥ 出して、出してください、エリスとステラにご馳走した貴方様のザーメンっ♥♥ 出して、出して、出してっっ――――」
駄目だ、出る――そう無意識に呟いた、瞬間。
「れぇ――♥ ぁむ♥♥ っっっぢぢゅるるるるるるぅぅぅぅぅぅぅ…………♥♥♥」
「~~~~~~っっ……!!!」
“ぶびゅっっびゅぐるるるるるっっ――ぶびゅびゅるるるるるるるぅっっ――――♥♥”
射精と同時に、マルファが亀頭にしゃぶりつき。
ストローからシェイクを吸い出すように、尿道を押し広げて噴き出る精液を吸い上げながら受け止めた。
途端に頬が膨らんでいくものの、膨らんだそばから精液を一気に飲み込んでを繰り返し、ごくっ、ごくっ、ごぐっっ、と喉を鳴らしながら、伸ばした舌先で亀頭をれろれろと刺激し続ける。
その刺激がさらに射精を促して、完全に砕けた腰をどうにか支えながらも、耐えがたい快楽にどんどん背中が反れていく。
「んっっぐ、んぐ、んっぐ、んぐっ、ん、んっ……こぷ、ごぷっ!! ……っ、ん゙、ん゙ぅっっ、ぐむ、ん、ん゙んんんぐっっ♥♥」
“……どくっ、どっく、どくっ、びゅる、ぶびゅるっ……びゅぐ――――♥♥”
長い長い一発分の射精をようやく終える頃でも、マルファの喉は鳴り止まない。
懸命に懸命に精液を飲み込み続け、時折こぷっと口の端から溢れさせ、顎から垂れ落ちた精液も両手の皿で受け止める。
そうして一滴も精液が出なくなった頃、僕は自分から彼女の口から性器をずるりと引き抜いた。
それでも吸い付く彼女の唇が、亀頭ににゅるりと絡みついてぴくりと腰が跳ねた。
「……♥ ふー……ふー……♥ ふぅ、ふぅ、ふぅ……♥ ず、ぢぅ……ずるるるっ、こく、こく、こくっ…………♥」
マルファは口から漏れて両手で受け止めた分を、盃を傾けるようにして飲み。
途中、こぷっとまた口の中で逆流したような音も聞こえたものの、最後にはごっくんと飲み干した。
「ぶは……っ♥ はーー……♥♥ ごちそう……さまでした、貴方様っ、ぁ……うぷっ」
先の二人と同じものが出そうになったのか、慌てて両手でぱたりと口を塞ぐ。
……その塞いだ手をぎゅっと掴み。ぐっと引いて、強引に剥がした。
「ぁ、っぷ、いけませ、貴方様っ、やだ、ゃっぷ、こぷ、っ、ん、んーーんっ、ん、っぶ――っっげぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙え゙え゙え゙え゙え゙っぷ♥♥ …………けぷっっ……♥♥」
どうにか押さえ込もうと試みたものの、それでも溢れ出たザーメンゲップが硬いままの性器に吹きかけられる。
必然、覗くのは大きく開いた口と喉。塩基臭い濃厚な臭いを立ち上らせた口の中はほとんど精液が残っておらず、綺麗にカラッポになっていた。
マルファの声は、淑やかで綺麗な声だ。その口も唇も、とても綺麗で魅力的で。
そんな彼女の口に精液を流し込み、飲ませ、あまつさえザーメンでゲップをさせたという実感が、硬いままの性器をさらにビクつかせる。
「ぅ、ううっ、う……は、ずかしぃ……♥ ど、どうかお忘れください、貴方様っ…………ん、んっ!?♥」
もとよりたった一度の射精で収まるようなモノではないけれど。
彼女の慌てる姿を見ると、到底堪えられるようなものではなかった。せめて、と自分が淹れたハーブティーを口に含み、くちゅくちゅと濯ぐ最中のマルファの肩を掴み、数歩歩かせてからベッドにどんと押し倒した。
「ん、ごっく……っ、げぷ、っ……ぁ、貴方様っ……?」
仰向けになったマルファの体に覆い被さり、両脚を開かせて、先ほど受け取った鍵を股間の貞操帯へ差し込む。
魔力で構成されたこの貞操帯は装着者に不快感や異物感を与えず、下着代わりに使用できる優れものだと言う。
その優れた働き者を、この鍵は手なづける。かちゃりと回した瞬間、貞操帯は呆気なく外れ――。
「ぁ、あっ、あ…………っっ♥♥」
ぐ、ちゃぁっ――♥
と……強い粘り気のある愛液にまみれた、つるりとした綺麗な女性器を露わにさせた。