※この作品はR-18です。

バレンタイン・コンドーム   作:屍蜂朽一

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Case6:逆コンドーム ~恋人同士のイチャラブ本命ゴムセックス~
6-1:如月千夜子と嫁菜つくし


「つくしくん、ハッピーバレンタインだよ!」

 

 二月十四日。夜。

 ショコラ高校生徒会での仕事を終え、嫁菜(よめな)つくしは恋人である如月(きさらぎ)千夜子(ちよこ)の家に招かれていた。

 三年C組所属、元生徒会長・如月千夜子。

 チョコレート色のセミロングヘアー。小柄なつくしよりも頭一つ分以上大きな背丈。グラビアアイドル顔負けのスタイル。凛々しさと親しみやすさが同居している、生徒会長らしい生徒会長だった先輩の女性。

 今夜、彼女の両親はいない。バレンタインデーだからだ。彼女の妹も泊まりだという。バレンタインデーだからだ。

 恋人の家で、恋人の部屋で、二人きり。

 待ちに待った、付き合って初めてのバレンタインデーだった。

 

「ありがとうございます、如月先輩!」

「んー、如月先輩?」

 

 受け取ろうとした箱が、引き戻される。

 

「あ、すみません。ち、千夜子さん……」

「ふふっ。はい、どうぞ」

 

 千夜子が手渡してくれたのは、コンドームだけではなく、コンドーム専用のケースや、精力剤や、使い切りタイプの潤滑ゼリーが詰まった高級品──

 いわゆる、本命コンドームの箱だった。

 

「わぁ、ありがとうございます、千夜子さん!」

「喜んでもらえたみたいで嬉しいよ。じゃあ、さっそくだけど……」

「あっ、ちょっと待ってください」

 

 つくしは自分の鞄を引き寄せた。

 

「千夜子さんに、渡したいものがあるんです」

「渡したいもの?」

「──じゃん! ハッピーバレンタインです!」

 

 つくしは鞄から取り出した大きな箱を──

 コンドームだけではなく、コンドーム専用のケースや、精力剤や、使い切りタイプの潤滑ゼリーが詰まった高級品。

 いわゆる本命コンドームの箱を、差し出した。

 

「ぼくからの本命コンドーム──千夜子さんへの、逆コンドームです!」

 

     ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 二月十四日。バレンタインデー。

 それは、女性がセックスをしたい男性にコンドームを贈る、特別な一日──

 

     ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

「如月先輩、好きです。ぼくと、付き合ってください!」

 

 十二月二十四日。クリスマスイブ。

 ショッピングモール内に飾られた巨大クリスマスツリーの下で、つくしは如月千夜子に告白した。

 

 そもそもの始まりは、一目惚れだった。

 ショコラ高校に入学したその日、生徒会長として校門の前でにこやかに挨拶運動をしていた彼女に、つくしは一目惚れをしてしまったのだ。

 

「おはようございます!」

 

 目が合ったつくしを真っ直ぐに見つめ、千夜子は挨拶をしてくれた。

 

「お、おはようございますっ……!」

 

 思わず挨拶を返すと、彼女はにっこりと笑い返してくれた。

 その瞬間、つくしは生徒会に入ることを決めていた。

 動機は不純だったが、つくしは懸命に働いた。幸い、千夜子は後進の育成に熱心だった。一年生のつくしでも、会話をする機会は多々あった。その結果、念願叶って、つくしは彼女と仲良くなることができた。

 あっという間に半年が過ぎた。三年生の千夜子は、生徒会を引退することとなった。

 

「あのっ、如月先輩!」

 

 引き継ぎ式の日、つくしは意を決して言った。

 

「これからも、お話してもよろしいでしょうかっ? その、プライベートとかでっ……!」

 

 それは実質、告白のようなものだった──と、後(のち)につくしはその場面を見ていた生徒会役員たちにからかわれることとなる。

 

「もちろんだよ、つくしくん。これからもよろしくね?」

 

 千夜子は、にこやかにそう答えた。

 

 こうして、生徒会を離れても二人は同じ時間を過ごすようになった。

 受験勉強の合間を縫って、千夜子は時間を作ってくれた。

 一緒に登下校をしたり、昼休憩を一緒に過ごしたり、図書館で勉強会をしたり、勉強の息抜きにデートをしたり──

 

 そして本日。クリスマスイブ。

 終業式後に向かったデート先のショッピングモールで──地域では有名なデートスポットとなっている巨大クリスマスツリーの下で──つくしは、千夜子に告白したのだった。

 

「……ごめんなさい、受験勉強でお忙しいのに。でも……!」

「いいんだよ、つくしくん」

 

 千夜子は首を振って言った。

 

「私もね、正直どうなのかなって思ってた。受験勉強に集中するべきなんじゃないのかって。時間の使い方を間違えてるんじゃないのかって。でもね、今はつくしくんがいるから、頑張れてるの。つくしくんのために時間を作ろうって思うと、底無しのやる気が溢れ出してくるの。だから私は、大丈夫」

「先輩……!」

「ありがとう、つくしくん」千夜子は満面の笑みを浮かべた。「私でよければ、ぜひつくしくんとお付き合いさせてください!」

「あ、ありがとうございますっ!」

 

 つくしは腹の底から喜びが湧き上がるのを感じた。

 

「や、やった、やったぁ……!」

「大喜びしちゃって、可愛いんだ」

 

 千夜子は笑った。

 

「ねえつくしくん、お願いがあるんだけど」

「な、なんでしょうか?」

「付き合うことになった記念に、ハグ、してみない?」

「えっ、いっ、今ですか⁉」

「今がいいんだけど……ダメかな?」

「い、いえ……ハグですね、やりましょう!」

 

 こうして、巨大クリスマスツリーの下で。

 

 恋人同士となったつくしと千夜子は、深く抱き合った。

 

「つくしくん、大好きだよ」

 

 千夜子が囁いた、その瞬間──

 

「──先輩、ダメっ、あっ、あああああっ……‼」

 

 ドピュッ、ドピュッ、ドピュッ、ドピュッ……‼

 

 つくしは、ズボンの中で射精してしまっていた。

 

     ※

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」

「大丈夫だよ。泣かないで、つくしくん」

 

 ショッピングモール一階、男子トイレの入り口にあるベンチで、つくしは千夜子に慰められていた。

 トイレの個室で、トランクスの中に出してしまった精液をトイレットペーパーで拭った直後だった。情けなさで、涙が止まらなかった。

 

「何が起こったのかだけでも、教えてくれない?」

「……ごめんなさい」

 

 つくしは、ポツリポツリと話し始めた。

 

「先輩との、クリスマスデートが嬉しすぎて……告白が成功したことが、嬉しすぎて……その、少し、ぼ、勃起してたんです……ううっ……」

「そっか。だから最初、ハグを嫌がってたんだね」

「その時は、射精するとは思ってなかったんです……!」

 

 つくしの瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれる。

 

「厚着してるから、先輩に勃起はバレないだろうと考えて、ハグしたんです。でも、ハグが、気持ちよくて、幸せで、それに……」

「……私が、大好きって言ったから?」

「ごめんなさいっ……!」つくしは両手で顔を覆った。「せっかくの、クリスマスデートだったのに! 大好きって言ってくれたのに! ごめんなさい、嫌いにならないでください……!」

「嫌いになんて、ならないよ」

 

 断固とした彼女の口調に、つくしは思わず顔を上げた。

 真剣な瞳の──それでいて、頬を真っ赤に染めた千夜子が、囁く。

 

「私だって、つくしくんとのデートで、エッチな気持ちになってた」

「え……」

「特に今日はクリスマスデートだから、その、何があってもいいように、色々準備もしてきたし……」

「ええっ⁉」

「気持ち悪い? 嫌いになっちゃう?」

「な、なりません!」つくしは力強く首を振った。「むしろ嬉しいというか、あ、いや、その……」

「私も同じだよ。むしろ嬉しい」千夜子は言った。「だって──恋人同士になった記念のハグで射精してくれるなんて、すっごくロマンチックだもん!」

「ろ、ロマンチック……?」

 

 女子にとってはそうなのだろうかと、つくしは首を傾げた。

 

「でも、そっか。つくしくんは、ド早漏くんだったんだね」

「うう……自分でも、ここまでとは思ってなかったです」

「……ねえ、だったら提案が……ちょっとエッチな提案があるんだけど、いいかな?」

 

     ※

 

「あ、あの、先輩、着けてきましたけど……」

 

 男子トイレから出てきて、つくしは言った。顔を真っ赤にして、もじもじとしている。

 

「お帰り、つくしくん。着けてきたってことは……勃ってるんだよね、今」

 

 千夜子の興味津々な視線が、つくしの股間を見つめる。

 

「うう、先輩、なんでこんなことを……」

「それはもちろん、つくしくんがまた射精しても下着を汚さないためだよ」

 

 つくしは今、千夜子が持参したコンドームをペニスに装着していた。彼女は専用のケースに、サイズの違うコンドームを何袋か用意していた。つくしはその中から自分のサイズに合ったものを選び、トイレの個室で装着してきたのだ。

 千夜子からコンドームを貰ったという事実だけで、つくしのペニスは再び勃起していた。

 

「じゃ、行こっか」

「あ、あう……」

 

 つくしは千夜子に手を引かれ、再び巨大クリスマスツリーの下へとやって来た。

 改めて、カップルがたくさんいた。地域でも有数のデートスポットなだけはある。先程までは、千夜子とのクリスマスデートに夢中で、周囲のことなど気にならなかった。

 しかし、今は違う。今のつくしは、勃起したペニスにコンドームを着けてここにいる。クリスマスムードのカップルたちの中で、射精するつもりでいる。そんなことをしようとしているのは、恐らく自分たちだけだろう。

 

「これから、またハグをするよ」千夜子は囁いた。「今度は射精しちゃっても大丈夫だから、思いっ切り恋人同士のハグをしようね。もちろん、射精を我慢できればそれに越したことはないんだけど……」

「が、頑張ります……!」つくしも小さな声で言った。

「じゃあ……はい」

 

 千夜子が両手を広げて、彼を誘った。

 

「先輩……!」

 

 射精してしまう恐怖が、一瞬、足をとどめる。

 しかし、今や恋人同士となった千夜子の誘引力には、逆らえなかった。

 巨大クリスマスツリーの下で、つくしと千夜子は、再び深く抱き合った。

 

「せ、先輩、如月先輩っ……!」

「あー、確かに。硬いの、当たってるね」千夜子が、楽しそうな声で囁く。「あ、腰引かなくていいよ。つくしくんのこと、ちゃんと感じさせて?」

「先輩っ……!」

 

 つくしのペニスは、ハグだけでパンパンに張り詰めていた。同時に敏感にもなっており、千夜子の匂いや、体温や、ハグの力加減といった刺激だけで、射精感がじわじわと忍び寄って来ていた。

 

「ハグだけなら、射精は我慢できるんだね」

 

 千夜子が囁く。

 

「……つくしくん、大好き」

「ふぐぅ⁉」

 

 ペニスが、ズボンの下でピンッと跳ねた。射精感が、危ういところまでせり上がる。

 

「ふふっ。今度はちゃんと我慢できたね。偉い偉い」

 

 千夜子が抱き締める力を強めた。

 

「つくしくん、大好き、大好き、大好き……!」

「如月先輩、あああっ……!」

 

 ペニスの拍動が止まらない。射精が近い。

 

「ねえ、つくしくん、お願いがあるの」

 

 千夜子が囁いた。

 

「ハグだけじゃなくて、ファーストキスも、今ここでしてみたいんだけど……ダメ?」

「先輩、ダメ、出ちゃう……!」

「ダメ?」

「ぼ、ぼくも先輩と、ファーストキスがしたいですっ!」

「ありがとう」

 

 ちゅっ、と。

 

 千夜子が優しく、つくしの唇を奪った。

 

「──んんんんんんんん~~~~っ⁉」

 

 ドピュドピュドピュドピュ~~~~ッ‼

 

 つくしは再び、彼女と深く抱き合ったまま射精した。

 

「いいよ、思いっ切り出して……」

 

 キスをしたまま、千夜子が囁く。

 

「んんっ、んんんっ……!」

 

 ドピュドピュッ、ドピュドピュッ……‼

 

 クリスマスムードでイチャイチャするカップルたちの中、コンドームに精液を吐き出す。堂々とキスをするつくしたちのことを、誰も気にしていない。しかしこの場にいる誰も、まさかつくしが射精までしているとは思っていないだろう。

 そんな背徳感がスパイスとなり、とてつもない快感の中で射精を終える。唇同士のキスをしたまま、余韻に浸る。

 千夜子が、ゆっくりと唇を離した。

 

「ありがとう、つくしくん」

 

 満足そうに、千夜子は微笑む。

 

「クリスマスに告白をして、ファーストキスも済ませて、しかも射精までしてくれるなんて……すっごくロマンチックだよ!」

 

(あ、これ、先輩にとってのロマンチックが独特なだけだ……!)

 

 キスと射精でぼんやりした頭でも、つくしはそう確信した。

 

「これから、こうやって少しずつ慣らしていこうね」

 

 千夜子はにこにこと笑う。

 

「目標は、来年の二月十四日、バレンタインデーがいいかな。処女と童貞を一緒に卒業できるように、特訓するの。もし成功したら……すっごくすっごく、ロマンチックだよね!」

 

 




ハッピーバレンタイン!
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
本日はバレンタインデー当日ということで、4回に分けた連続投稿を予定しております。
次回更新は06:05、その次は12:05、そして18:05の更新で、最終回です!
どうか最後までお付き合いください!
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